■スポンサードリンク


(短編集)

七色の密室



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

七色の密室の評価: 3.50/5点 レビュー 2件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.50pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(5pt)

難解な謎に心を奪われ意外な結末まで一気読み必至の「色と密室」テーマの連作短編集。

日本推理小説界屈指の技巧派、佐野洋の実力が遺憾なく発揮された全てのミステリー・ファンに文句なしでお奨め出来る傑作短編集です。本書は今から38年前に書かれた作品なのですが、その面白さは些かも変わらない時代を超えた普遍性を持つ正真正銘の本物だと思いますね。ヴァリエーション豊かな密室トリックは全てが実行可能な説得力を持っていますし、何一つありきたりな物はない巧みな構成の推理小説としての面白さは折り紙つきで読み始めたら最後頁を繰る手が止まらなくなる一気読み必至をお約束します。また著者が題名に込めた色彩が何を意味するのかを考えながら読まれるのも一興だと思いますね。
『青の断章』地方ホテルの一室で起きた男の密室殺人には数年前の同室での猫の出現事件が関係していたのだった。密室トリックを一旦解明してから更に困難な状況で迷わせ一ひねりしている工夫が素晴らしいですね。『紫の情熱』新聞社に勤める女が挿し絵画家の男を計画的に殺害した上で巧妙な密室トリックを施す。著者の冒頭の描写でのトリックの大胆なヒントと悪のヒロインが如何にして犯行を暴かれるのか?の答に誰もが読後大満足される事でしょう。『赤の監視』マンションの一室でホステスの女が死体で発見されたのだが、入り口には発見者の男により監視カメラが仕掛けられていた。一箇所だけ刑事の確認の不手際という瑕はありますが、単純ながらも見事なアリバイ工作&密室トリックに脱帽しましたね。『緑の幻想』個人宅での麻雀客四人が密室状況の室内で集団中毒死体となって見つかる。ほんの些細な物証から徐々に推理が進んで苦労の末に遂に密室トリックが解明される過程が鮮やかですね。『紺の反逆』元刑事で今は私立探偵となった男が離婚裁判の証人席で過去に起きた尾行中の男の密室からの謎の消失事件を思い出す。種明かしされると「なんだ、そうか」とあまりの簡単さに苦笑しますが、こんな面倒な事を現実にやろうとするかどうかは別にして手の込んだ動機には完全に参りましたね。『黄の誘惑』ホテルの浴室で男の刺殺死体が発見されるが、男が生前にフロントに話していた彼を尋ねて来るはずの女は結局現われなかったのだった。この密室トリックが一番つまらなかったですが、犯人の絞込みに繋がる刑事達の捜査のドラマは面白かったですね。『白の苦悩』病院で見つかった男性患者の死体は密室状況でもあり当初は自殺かと思われたが、やがて捜査の結果殺人と断定される。巧妙なアリバイ工作と心理的な密室トリックが素晴らしく意外な犯人と動機にも満足しましたね。
七色の密室 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:七色の密室 (文春文庫)より
4167214032

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!