(短編集)
七色の密室
- 密室 (311)
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日本推理小説界屈指の技巧派、佐野洋の実力が遺憾なく発揮された全てのミステリー・ファンに文句なしでお奨め出来る傑作短編集です。本書は今から38年前に書かれた作品なのですが、その面白さは些かも変わらない時代を超えた普遍性を持つ正真正銘の本物だと思いますね。ヴァリエーション豊かな密室トリックは全てが実行可能な説得力を持っていますし、何一つありきたりな物はない巧みな構成の推理小説としての面白さは折り紙つきで読み始めたら最後頁を繰る手が止まらなくなる一気読み必至をお約束します。また著者が題名に込めた色彩が何を意味するのかを考えながら読まれるのも一興だと思いますね。 『青の断章』地方ホテルの一室で起きた男の密室殺人には数年前の同室での猫の出現事件が関係していたのだった。密室トリックを一旦解明してから更に困難な状況で迷わせ一ひねりしている工夫が素晴らしいですね。『紫の情熱』新聞社に勤める女が挿し絵画家の男を計画的に殺害した上で巧妙な密室トリックを施す。著者の冒頭の描写でのトリックの大胆なヒントと悪のヒロインが如何にして犯行を暴かれるのか?の答に誰もが読後大満足される事でしょう。『赤の監視』マンションの一室でホステスの女が死体で発見されたのだが、入り口には発見者の男により監視カメラが仕掛けられていた。一箇所だけ刑事の確認の不手際という瑕はありますが、単純ながらも見事なアリバイ工作&密室トリックに脱帽しましたね。『緑の幻想』個人宅での麻雀客四人が密室状況の室内で集団中毒死体となって見つかる。ほんの些細な物証から徐々に推理が進んで苦労の末に遂に密室トリックが解明される過程が鮮やかですね。『紺の反逆』元刑事で今は私立探偵となった男が離婚裁判の証人席で過去に起きた尾行中の男の密室からの謎の消失事件を思い出す。種明かしされると「なんだ、そうか」とあまりの簡単さに苦笑しますが、こんな面倒な事を現実にやろうとするかどうかは別にして手の込んだ動機には完全に参りましたね。『黄の誘惑』ホテルの浴室で男の刺殺死体が発見されるが、男が生前にフロントに話していた彼を尋ねて来るはずの女は結局現われなかったのだった。この密室トリックが一番つまらなかったですが、犯人の絞込みに繋がる刑事達の捜査のドラマは面白かったですね。『白の苦悩』病院で見つかった男性患者の死体は密室状況でもあり当初は自殺かと思われたが、やがて捜査の結果殺人と断定される。巧妙なアリバイ工作と心理的な密室トリックが素晴らしく意外な犯人と動機にも満足しましたね。 | ||||
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昭和52(1977)年の「週刊文春ミステリーベスト10」の第8位に選出された、密室ものばかり7編の短編推理小説を集めた短編集。それぞれの作品のタイトルに色の名前が含まれているため、本書はこのようなタイトルとなっている。著者の佐野洋は、その作家人生において1000編以上の短編推理小説を書き上げた超人。「都会派ミステリーの名手」と呼ばれた(未だに「都会派ミステリー」の定義が良くわからんのだが)。 読んでみての感想としては、「密室をテーマに、それも7つも集めた割には薄味だなぁ」である。これまでにも何冊か佐野洋の作品は読んでいるのだが、どうにもケレン味が足りないのである。 「密室」と言えば、推理作家を生業としている人間であれば1度は挑戦したいと思うジャンルである(と思うんだけど)。しかし、本格推理作家に分類されない佐野洋は、密室という部分に余りこだわりを見せていない。トリックはどれもこれも小粒。いや、もう、はっきり言ってしまおう。かなりショボショボである。佐野洋にとって、密室トリックなどというものは付け合わせでしかなかったのだろう。タイトルに色の名前を取り入れて、華やかな印象を持たせようとしたのかもしれないが、タイトルと内容とがチグハグである。それに、佐野洋の作品にはありがちなのだが、キャラクター同士の会話の描写が下手くそである。「そんな風に喋る奴、いねぇよ」とツッコミを入れたくなってしまう。「君は〜と言っていたけれど、本当にそうなの?」(←いわゆるテンプレ)。こんな感じである。 同じような趣向の、折原一の「七つの棺」は面白かったんだけどなぁ。こっちはパロディの要素が濃厚で、ミステリーマニアには堪らないケレン味たっぷりの作品となっている。まぁ、ぶっちゃけた話、「週刊文春ミステリーベスト10」なんて、日本アカデミー賞並みに信用出来ない代物だからね。 | ||||
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