秀吉の枷

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秀吉の枷の評価:

3.93/5点 レビュー 61件。 C ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点3.93pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全114件 41〜60 3/6ページ
No.74
(5pt)

人間が描けていると思います

よく、直木賞の選評では「人間が描けていない」ということが云われます。その意味ではこの小説はとてもよく人間が描けていると思います。
 たまたまですが、さいきん冲方丁さんの『天地明察』を読んで主人公が近代人のようにしゃべり近代人のように考えることを不思議に思っていました。たしかに、わたしたちは近代人ですからそれ以前のひとたちがどのようにしゃべったか(書き言葉はいざしらず)、あるいは、どのように考えたのかはよくわからないのです。しかし、この小説は実に中世の秀吉らしい考え方・しゃべり方をしていてよかったです。
 この小説はもともと知っていたのですが(『信長の棺』は既に読んでいました)、ぼくがさいきん興味を持っている若桜木虔さんという作家兼小説講座講師の方が「この小説の著者である加藤廣さんはわたしの小説講座の受講生だった」という旨のことを云っていて読んでみよう、と思いました。これは「時代小説でミステリ」というくくりでいいのでしょうか。若桜木さんによれば「この三部作はあとになるにしたがってミステリの度合いが低くなって残念だった、というAmazonのレビューが見受けられる」とのことですが(『時代小説家になる秘伝』参照)、ぼくにとってはたしかにミステリでした。思いつくままに謎を列挙すると……。
 ・信長の遺体の謎
 ・光秀の遺体の謎
 ・淀殿の子どもの謎
 ・秀次を切腹させた謎
 これらの謎が緻密な時代考証の末、想像力によって解き明かされる快感!
 とてもおもしろい小説だと思います。
 以上です。
秀吉の枷〈下〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 秀吉の枷〈下〉 (文春文庫)より
4167754053
No.73
(3pt)

主題は?

この作品は本能寺の変を秀吉側視点での描写と、秀吉に子供が生まれないことの悲哀が描かれていますが、両者の相関は全くありません。
「信長の棺」を秀吉側から見た外伝がページ数が足りないので秀吉後継者問題で無理やり膨らませた印象を受けました。
三部作の三作目「明智左馬助の恋」は「信長の棺」の視点違いであり、本作だけが浮いた印象をうけます。
失礼ながらこの作者の方は小説家に向いていないのではないかと感じてしまいました。
秀吉の枷〈上〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 秀吉の枷〈上〉 (文春文庫)より
4167754037
No.72
(3pt)

主題は?

この作品は本能寺の変を秀吉側視点での描写と、秀吉に子供が生まれないことの悲哀が描かれていますが、両者の相関は全くありません。
「信長の棺」を秀吉側から見た外伝がページ数が足りないので秀吉後継者問題で無理やり膨らませた印象を受けました。
三部作の三作目「明智左馬助の恋」は「信長の棺」の視点違いであり、本作だけが浮いた印象をうけます。
失礼ながらこの作者の方は小説家に向いていないのではないかと感じてしまいました。
秀吉の枷 (上) Amazon書評・レビュー: 秀吉の枷 (上)より
4532170699
No.71
(4pt)

信長と秀吉の相似性。

豊臣秀吉を思い浮かべるとき、人それぞれ異なるイメージを抱くのではないでしょうか。
秀吉ほど一生の間に姿を変えていった人は稀有でしょう。
信長の家臣として出世に次ぐ出世を遂げた頃。天下統一を成し遂げた頃。そして口臭の漂う晩年の頃。
下巻は、小田原征伐から説き起こされます。
秀吉を思い浮かべるとき、その明るく陽気な印象がまず最初に浮かびます。
戦わずして敵を味方につけてゆく才覚は領土を広げるときに存分に発揮されたと思うのです。
俗に人たらしの秀吉でさえも、戦いが終わると俗な欲望に取り付かれていきます。
秀吉の血筋に対する執着とその絶望感を覆い隠すための愚行。天下人なるが故の孤独。
このあたりは、現代的な感覚で著者は秀吉にアプローチしていると感じられました。

時間は後戻りすることはありませんが、歴史は遡ることが可能です。
歴史のある地点から過去に遡ってゆくとそこに必然性がみつかる場合があります。
天下統一を果たした豊臣家は秀吉亡き後、徳川家康にその座を奪い去られてしまいます。
読み終えた段階で豊臣家の最期を思い浮かべるでしょう。

著者は、前野将右衛門が随分お好みのようです。秀吉、影の軍団。
信長が部下を放逐していったことは良く知られていますが、秀吉も同じ事をしていました。
この本を読むと、信長と秀吉が如何に良く似ていたかが感じられます。

秀吉の枷 (下) Amazon書評・レビュー: 秀吉の枷 (下)より
4532170702
No.70
(4pt)

信長と秀吉の相似性。

豊臣秀吉を思い浮かべるとき、人それぞれ異なるイメージを抱くのではないでしょうか。
秀吉ほど一生の間に姿を変えていった人は稀有でしょう。
信長の家臣として出世に次ぐ出世を遂げた頃。天下統一を成し遂げた頃。そして口臭の漂う晩年の頃。
下巻は、小田原征伐から説き起こされます。
秀吉を思い浮かべるとき、その明るく陽気な印象がまず最初に浮かびます。
戦わずして敵を味方につけてゆく才覚は領土を広げるときに存分に発揮されたと思うのです。
俗に人たらしの秀吉でさえも、戦いが終わると俗な欲望に取り付かれていきます。
秀吉の血筋に対する執着とその絶望感を覆い隠すための愚行。天下人なるが故の孤独。
このあたりは、現代的な感覚で著者は秀吉にアプローチしていると感じられました。

時間は後戻りすることはありませんが、歴史は遡ることが可能です。
歴史のある地点から過去に遡ってゆくとそこに必然性がみつかる場合があります。
天下統一を果たした豊臣家は秀吉亡き後、徳川家康にその座を奪い去られてしまいます。
読み終えた段階で豊臣家の最期を思い浮かべるでしょう。

著者は、前野将右衛門が随分お好みのようです。秀吉、影の軍団。
信長が部下を放逐していったことは良く知られていますが、秀吉も同じ事をしていました。
この本を読むと、信長と秀吉が如何に良く似ていたかが感じられます。

秀吉の枷〈下〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 秀吉の枷〈下〉 (文春文庫)より
4167754053
No.69
(4pt)

天下獲り。

多くの作家が豊臣秀吉の実像を描くことを試みています。
司馬遼太郎、吉川英治、山岡荘八、津本陽。
どの秀吉も魅力たっぷりですが、この秀吉もう〜ん、そうかな、と思わせられます。
それぞれにタイプが多少異なるのですが、逆に人間の多面性を感じさせられ自分なりの秀吉像を拵えるのに役立ちます。
中巻では、山崎の合戦から九州征伐までとなります。
歴史に残った事実と事実の間の空白に最も合理的な線を引っ張ろうとしているように思えました。
なぜ、秀吉は中国大返しが可能であったのか。
それを成り立たせるための材料、条件を求め、逆に時間を遡って推理を働かせていきます。
そこから、秀吉は信長との関係を洗い直していきます。
なぜ秀吉は武家の頭領である征夷大将軍ではなく、関白となったのか。
秀吉の織田家へのこだわりは何であったのか。
著者は、コンサルティングをするように分析を進めてゆきます。
秀吉の枷〈中〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 秀吉の枷〈中〉 (文春文庫)より
4167754045
No.68
(5pt)

中国大返しの謎。

『信長の棺』の歴史観で秀吉を描いた作品です。
歴史好きの方には、とても面白く読めるのではないでしょうか。
信長、秀吉、家康。
幾多の作家、歴史研究家が人物像を語ってきたかと思います。
上巻は、三木城攻めから本能寺の変まで進みます。
中国大返しは如何にして為されたのか。
歴史の謎に対して非常にユニークな推理を試みています。
可能なら、『信長の棺』を読まれれば良いかなと思います。


秀吉の枷〈上〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 秀吉の枷〈上〉 (文春文庫)より
4167754037
No.67
(5pt)

中国大返しの謎。

『信長の棺』の歴史観で秀吉を描いた作品です。
歴史好きの方には、とても面白く読めるのではないでしょうか。
信長、秀吉、家康。
幾多の作家、歴史研究家が人物像を語ってきたかと思います。
上巻は、三木城攻めから本能寺の変まで進みます。
中国大返しは如何にして為されたのか。
歴史の謎に対して非常にユニークな推理を試みています。
可能なら、『信長の棺』を読まれれば良いかなと思います。


秀吉の枷 (上) Amazon書評・レビュー: 秀吉の枷 (上)より
4532170699
No.66
(5pt)

豊臣秀吉

「信長の棺」の続編にあたる作品でぜひ前作品を読んだ上で本書を読むと一層おもしろい。秀吉の信長を恐れる心情がやがて信長を超える自信となっていく様子が見事。しかし生涯信長の遺骸行方に翻弄させるところはこれまでに無かった展開で読み応えがある。歴史小説225作品目の感想。2010/02/07
秀吉の枷 (下) Amazon書評・レビュー: 秀吉の枷 (下)より
4532170702
No.65
(5pt)

豊臣秀吉

「信長の棺」の続編にあたる作品でぜひ前作品を読んだ上で本書を読むと一層おもしろい。秀吉の信長を恐れる心情がやがて信長を超える自信となっていく様子が見事。しかし生涯信長の遺骸行方に翻弄させるところはこれまでに無かった展開で読み応えがある。歴史小説225作品目の感想。2010/02/06
秀吉の枷〈中〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 秀吉の枷〈中〉 (文春文庫)より
4167754045
No.64
(5pt)

豊臣秀吉

「信長の棺」の続編にあたる作品でぜひ前作品を読んだ上で本書を読むと一層おもしろい。秀吉の信長を恐れる心情がやがて信長を超える自信となっていく様子が見事。しかし生涯信長の遺骸行方に翻弄させるところはこれまでに無かった展開で読み応えがある。歴史小説225作品目の感想。2010/02/07
秀吉の枷〈下〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 秀吉の枷〈下〉 (文春文庫)より
4167754053
No.63
(2pt)

・・・

上巻辺りはなかなか面白いなぁと読んでいましたが
勇将の本多忠勝を謀臣のように書いていたり
それって本多佐渡正信の間違いでは...
秀吉が信長の死に関わっている証拠を家康が掴んでいるとしたら
果たして臣下の礼を取る必要があったでしょうか?
少し作りに無理があるような気もします。
歴史のとらえ方は人それぞれですし小説ですから自由ですが、
自分には違和感ありました。
秀吉の枷 (下) Amazon書評・レビュー: 秀吉の枷 (下)より
4532170702
No.62
(2pt)

・・・

上巻辺りはなかなか面白いなぁと読んでいましたが
勇将の本多忠勝を謀臣のように書いていたり
それって本多佐渡正信の間違いでは...
秀吉が信長の死に関わっている証拠を家康が掴んでいるとしたら
果たして臣下の礼を取る必要があったでしょうか?
少し作りに無理があるような気もします。
歴史のとらえ方は人それぞれですし小説ですから自由ですが、
自分には違和感ありました。
秀吉の枷〈下〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 秀吉の枷〈下〉 (文春文庫)より
4167754053
No.61
(4pt)

でも面白い

いくつかの仮説が前提ではあるが、卑屈な忍従を強いる信長に服しながら信長を見切っていく秀吉の心理描写はお見事。理屈抜きで面白い小説です。
秀吉の枷〈上〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 秀吉の枷〈上〉 (文春文庫)より
4167754037
No.60
(4pt)

でも面白い

いくつかの仮説が前提ではあるが、卑屈な忍従を強いる信長に服しながら信長を見切っていく秀吉の心理描写はお見事。理屈抜きで面白い小説です。
秀吉の枷 (上) Amazon書評・レビュー: 秀吉の枷 (上)より
4532170699
No.59
(4pt)

秀吉の苦悩

『信長の棺』に続く、本能寺の変、信長の死にまつわる歴史ミステリー。
『信長の棺』が面白かったので、こちらも読んでみたが、前作に劣らず、こちらも息もつかせぬ面白さ。
秀吉を主人公に、前半では彼が信長のもとで、天下を狙う様を、後半では彼が掴んだ権勢をどうつかめていくか、をほとんど秀吉の視点で描いている。
前作に比べるとなぞ解きの要素は少なくなっているが、むしろ人間秀吉の苦悩が描かれていて、小説としては、こちらの方が面白いかもしれない。
でも、これが70歳過ぎた人が書いているとは思えないぐらい、熱い小説。
秀吉の枷 (下) Amazon書評・レビュー: 秀吉の枷 (下)より
4532170702
No.58
(4pt)

秀吉の苦悩

『信長の棺』に続く、本能寺の変、信長の死にまつわる歴史ミステリー。
『信長の棺』が面白かったので、こちらも読んでみたが、前作に劣らず、こちらも息もつかせぬ面白さ。
秀吉を主人公に、前半では彼が信長のもとで、天下を狙う様を、後半では彼が掴んだ権勢をどうつかめていくか、をほとんど秀吉の視点で描いている。
前作に比べるとなぞ解きの要素は少なくなっているが、むしろ人間秀吉の苦悩が描かれていて、小説としては、こちらの方が面白いかもしれない。
でも、これが70歳過ぎた人が書いているとは思えないぐらい、熱い小説。
秀吉の枷〈下〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 秀吉の枷〈下〉 (文春文庫)より
4167754053
No.57
(4pt)

(上)〜(下)の中では一番読み応えがありました。

北条氏打倒と家康の関東への「追放」、そして専制君主化したが故の、信長晩年の狂気を彷彿とさせる秀次粛清、朝鮮出兵、そして寂しい死に至る、秀吉の「枷」から逃れられない、必死に生きたが暗澹たる晩年を、子供ができない苦悩、女性たちの寵愛争い、特に淀の方(茶々)の急接近と2度の懐妊・秀頼誕生に大胆な推理のメスを入れ、北野大茶会や醍醐の花見といった有名なイベントも交えて描く。私は本能寺の変の真相に関する著者の説に与しないが,天下人に駆け上がる過程で主家を打倒した負い目が一生つきまとったであろうことは想像できる。そして茶々の急接近と2度の懐妊に関する作者の推論。何故茶々だけが2度も懐妊したのか、昔から噂が多くても本格的な研究に私はこれまで接したことがない。しかし、本書を読む限り秀吉の行動の記録と懐妊時期を付き合わせた推理には一応納得がいく。もっとも関係者は著者の創作・想像だと思うが。また、秀次関係者をあれほど徹底して粛清する必要があったのかは長年の謎だったが、茶々の陰謀が秀次に及び、かつ秀吉の誤解が大粛清の原因となったとする推論は、あり得たかもしれない歴史として面白い。

結局、秀吉は信長を上回る器だったのだろうか。主家を打倒せねばならなかった運命、茶々の子供と言う信長の血筋に後継を委ねざるを得なかった悲劇。著者があとがきで記すように、秀吉は結局シェイクスピアのマクベスではなかったかという指摘は傾聴に値する。

老いの感傷に縁取られた本書だが、秀吉を温かく迎えてくれる老妻、そして推理の幕引き役を演じて潔く死ぬ謀臣・前野将右衛門、この2人の姿がくっきりと心に刻まれる。
秀吉の枷 (下) Amazon書評・レビュー: 秀吉の枷 (下)より
4532170702
No.56
(4pt)

きちんと全巻読みましたがレビューはここだけに…

私が目下住まっているのは京都市中京区西洞院蛸薬師近辺
そう、まさにこの本の序章ともいうべき『信長の棺』で描かれた本能寺〜南蛮寺地下道の真上(かもしれない)のだ!!!

425年前、ひょっとしたら私のこの足下で信長は窒息して息絶えたのかもしれない、
そう思うと、この「小説」もがぜんリアリティをもって読めてしまう。

ただ、「信長〜」と異なるのは、やはりそれなりに史上に名を留める人物ばかりが登場するため、どうしても想像力の飛翔感というものが今ひとつ感じられなかった点であります。
それに嫡子を持てない、ということがこれほどまでにコンプレックスになるものか…?もちろん、あとがきに作者が書くように、これが秀吉の覇者である半面の悲哀なんだそうだが、どうなんだろう?意地でも己の種を残そうとじたばたすることこそなんかいかにも動物的本能を表に出しまくっているカンジで、好もしくないなぁ。単なる色欲だけ、って方がよっぽどワルっぽくていいのにな。

秀吉はほんとうに数えきれないほどTV化されていて、いろんな名優が演じているけれど、やっぱり緒形拳が最高だと思う。でも、この本の秀吉は緒形拳にはやって欲しくないなぁ、と、そう思ってしまいました。
秀吉の枷〈上〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 秀吉の枷〈上〉 (文春文庫)より
4167754037
No.55
(4pt)

(上)〜(下)の中では一番読み応えがありました。

北条氏打倒と家康の関東への「追放」、そして専制君主化したが故の、信長晩年の狂気を彷彿とさせる秀次粛清、朝鮮出兵、そして寂しい死に至る、秀吉の「枷」から逃れられない、必死に生きたが暗澹たる晩年を、子供ができない苦悩、女性たちの寵愛争い、特に淀の方(茶々)の急接近と2度の懐妊・秀頼誕生に大胆な推理のメスを入れ、北野大茶会や醍醐の花見といった有名なイベントも交えて描く。私は本能寺の変の真相に関する著者の説に与しないが,天下人に駆け上がる過程で主家を打倒した負い目が一生つきまとったであろうことは想像できる。そして茶々の急接近と2度の懐妊に関する作者の推論。何故茶々だけが2度も懐妊したのか、昔から噂が多くても本格的な研究に私はこれまで接したことがない。しかし、本書を読む限り秀吉の行動の記録と懐妊時期を付き合わせた推理には一応納得がいく。もっとも関係者は著者の創作・想像だと思うが。また、秀次関係者をあれほど徹底して粛清する必要があったのかは長年の謎だったが、茶々の陰謀が秀次に及び、かつ秀吉の誤解が大粛清の原因となったとする推論は、あり得たかもしれない歴史として面白い。

結局、秀吉は信長を上回る器だったのだろうか。主家を打倒せねばならなかった運命、茶々の子供と言う信長の血筋に後継を委ねざるを得なかった悲劇。著者があとがきで記すように、秀吉は結局シェイクスピアのマクベスではなかったかという指摘は傾聴に値する。

老いの感傷に縁取られた本書だが、秀吉を温かく迎えてくれる老妻、そして推理の幕引き役を演じて潔く死ぬ謀臣・前野将右衛門、この2人の姿がくっきりと心に刻まれる。
秀吉の枷〈下〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 秀吉の枷〈下〉 (文春文庫)より
4167754053