水の柩

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評判

水の柩の評価:

3.60/5点 レビュー 30件。 C ランク

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平均点3.60pt

Amazonレビュー一覧

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未読の方はご注意ください

全45件 41〜45 3/3ページ
No.5
(5pt)

少年少女の成長物語

忘れることは、乗り越えるといこと……作中には、時折人生について深く考えさせる表現が出てきます。今回は著者の得意とする二転三転の展開はありませんでしたが、「人間が人間である以上、誰しもが他人や自分、そして家族にさえも嘘をついて生きている。またはそうしなければ生きていけないのかもしれない」という深いテーマの元で書かれた素晴らしい作品だと私は思いました。少年の成長物語ですが、大人の私が読んでも、主人公の前進していこうという勇気には感動します。 絶望から希望へ……少しずつ光に向かっていく哀しくも美しい物語に、心揺さぶられる事は違いありません。
水の柩 Amazon書評・レビュー: 水の柩より
4062172577
No.4
(5pt)

「月と蟹」が昇華した至高作品。

道尾ワールドといえば、暗黒な絶望感、希有な
どんでん返し、チラチラ見え隠れしてつかめそうで
つかめない光明。

そして、テーマが「家族」であること。

しかし、もうひとつのジャンルとして、文芸的で
静謐な、心情の動きと成長をじっくりと読ます道尾節が
今作で完成した。

「家族」のみならず、関わりあう人間への優しさや
労わり、強さ、救いを圧倒的な文章力で書きあげた。

いじめや家族の過去の内容が、ありきたりで弱い動機
だな、と感じつつも、読み進めるうちに、裏の真相
への拘りなんかよりも大切な、著者のメッセージを
強く感じた。

「光媒の花」の後半を、さらに濃密に熟成させたような
色使いというか。

現在進行形の物語の中に、過去の場面をインサートして
くるも、ゴチャゴチャにならないギリギリの線で、
展開させるバランスもちょうどいい。

そして、最後の場面の表現の美しさが、タイトルと見事に
融合する。奥深く、崇高なる情景が想像力をかきたて、
余韻が瞼の裏に焼きつけられる。

我々は、多かれ少なかれ、「蓑虫」として生きているんだ。

また、これは道尾ではない、という拙私の勝手な思いが、
筆力と世界観で氷解させられた、とも言える。

妖しい伏線やトリックがなくとも、力技で、道尾
ファンの軌道修正を余儀なくされた感じ。

過日放送された「情熱大陸」の一場面。

中学生の男女の気持ちがわからない、70代の老婆の
心情とは?、と語っていた。

しかし、その後、それをつかめたといって、完成した
場面が映っていた。

その時の著者の満足感がよくわかる。

タイトルも「水の祈り」「水葬」から「水の柩」へ。
「棺」ではなく、「柩」にした。
「久しい」という言葉を使った字を見つけた瞬間の
著者の充足感も慮れる。

今後は、不安定で未熟な小中学生主役作品は、お休みして、

壮大で重厚な、凄みあるエンタメ大作。
久し振りの、あっけにとられる心闇トリック全開作。
疲弊した中年のオヤジが主人公の哀愁ミステリー。
冷淡でストイック、孤独な美魔女が、跋扈しながら
しっぺ返しを喰らう痛快作。

などの上梓をお待ちしております・・・。
水の柩 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 水の柩 (講談社文庫)より
4062778319
No.3
(4pt)

水の柩

つかみは引き付けられた。なかだるみしたが、後半の展開からラストシーンまで一気に読めた。特にラストシーンは異常に美しい。
水の柩 Amazon書評・レビュー: 水の柩より
4062172577
No.2
(5pt)

「月と蟹」が昇華した至高作品。

道尾ワールドといえば、暗黒な絶望感、希有な
どんでん返し、チラチラ見え隠れしてつかめそうで
つかめない光明。

そして、テーマが「家族」であること。

しかし、もうひとつのジャンルとして、文芸的で
静謐な、心情の動きと成長をじっくりと読ます道尾節が
今作で完成した。

「家族」のみならず、関わりあう人間への優しさや
労わり、強さ、救いを圧倒的な文章力で書きあげた。

いじめや家族の過去の内容が、ありきたりで弱い動機
だな、と感じつつも、読み進めるうちに、裏の真相
への拘りなんかよりも大切な、著者のメッセージを
強く感じた。

「光媒の花」の後半を、さらに濃密に熟成させたような
色使いというか。

現在進行形の物語の中に、過去の場面をインサートして
くるも、ゴチャゴチャにならないギリギリの線で、
展開させるバランスもちょうどいい。

そして、最後の場面の表現の美しさが、タイトルと見事に
融合する。奥深く、崇高なる情景が想像力をかきたて、
余韻が瞼の裏に焼きつけられる。

我々は、多かれ少なかれ、「蓑虫」として生きているんだ。

また、これは道尾ではない、という拙私の勝手な思いが、
筆力と世界観で氷解させられた、とも言える。

妖しい伏線やトリックがなくとも、力技で、道尾
ファンの軌道修正を余儀なくされた感じ。

過日放送された「情熱大陸」の一場面。

中学生の男女の気持ちがわからない、70代の老婆の
心情とは?、と語っていた。

しかし、その後、それをつかめたといって、完成した
場面が映っていた。

その時の著者の満足感がよくわかる。

タイトルも「水の祈り」「水葬」から「水の柩」へ。
「棺」ではなく、「柩」にした。
「久しい」という言葉を使った字を見つけた瞬間の
著者の充足感も慮れる。

今後は、不安定で未熟な小中学生主役作品は、お休みして、

壮大で重厚な、凄みあるエンタメ大作。
久し振りの、あっけにとられる心闇トリック全開作。
疲弊した中年のオヤジが主人公の哀愁ミステリー。
冷淡でストイック、孤独な美魔女が、跋扈しながら
しっぺ返しを喰らう痛快作。

などの上梓をお待ちしております・・・。
水の柩 Amazon書評・レビュー: 水の柩より
4062172577
No.1
(5pt)

乗り越え、次に進むための『水の柩』

著者のほかの作品に比べ、物語は、静かに、ゆっくり進んでいく。

場所は温泉旅館のある街。美しい川が流れ、
少し足をのばせば大きなダムがある。
ダムの底には、かつてあった村が沈んでいる。

主人公は、温泉旅館の、中学生の長男、逸夫。
そして彼のクラスメート敦子。彼女は複雑な家庭環境を背負い、
また学校でもいじめられている。
逸夫の祖母いくは、誰にも話せない過去を秘めて生きていた。

ある日逸夫は、敦子に、小学校の時埋めたタイムマシンを掘り返したい、
中にある自分の手紙を、差し替えたいと協力を仰がれる。
そうして逸夫の傷みと葛藤が始まる…

そこに描かれている敦子の苦悩は、ありふれているようで
残酷で、せつない。子どもにとっては逃げ道がない、繰り返しの日常。
そこから彼女は逃れたかった。
逸夫も、無力な自分にただただ打ちひしがれる。
敦子に対しても、祖母に対しても…

水の柩は、読んでいる間、常に不吉なメタファーとしてつきまとっていた。
しかしそれは違った。まったく違っていた。

せつなかったのは、逸夫がとても優しい少年だということ。
彼のような少年に、自分もあの頃出会えていたらな…。
そして、いつものように著者が描く自然は、どこまでも美しい。
読み終わってもまぶたの裏に、きらきら光る、儚くも強い水の眩しさが浮かび上がる。
水の柩 Amazon書評・レビュー: 水の柩より
4062172577