お文の影(ばんば憑き)
評判
お文の影(ばんば憑き)の評価:
3.08/5点 レビュー 89件。 A ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全69件 61〜69 4/4ページ
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お文の影(ばんば憑き)の評価:
3.08/5点 レビュー 89件。 A ランク
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なった。だが、彼はいつもお志津のわがままに悩まされてきた。湯治の帰りに宿に足止めされた
ふたりは、ある老婆と知り合う。老婆は佐一郎に、50年前のできごとを語り始めた。それは、
不思議な、そして忌まわしいできごとだった・・・。表題作「ばんば憑き」を含む6編を収録。
表題作の「ばんば憑き」では、老女が淡々と50年前のできごとを語る。ちょっと不思議な
話だとは思ったが、それほど怖さを感じなかった。けれど、読み終わった後にじわじわと怖さが
湧き出てきた。「やはり人の心は怖い。」そう思わせる話だった。また、「お文の影」では、
子供の数より一つ影が多いというぎょっとするような話だが、こちらは怖さよりも切なさのほうが
大きかった。5歳の女の子に起こったできごとは、哀れと言う以外に言葉が見つからなかった。
「博打眼」では人の心の隙につけ入る妖怪を描いているが、その妖怪を生み出したのが人の心の
醜い部分だということに複雑な思いを味わった。退治方法はユニークで、面白かった。
「野槌の墓」はひとつの野槌にまつわる話だが、人の身勝手さが野槌の運命をガラリと変えて
しまった。人の形をしているが心は鬼という者が、世の中にはたくさんいる。野槌はそういう者の
犠牲になってしまった・・・。
6編は、個性豊かな話ばかりだ。そして、どの話も読み応えがあり、心に強く余韻を残す。善にも
悪にも簡単に染まってしまう人の心を、本当によく描いている。作者の力量やその感性に、感心
したり驚かされたりだった。「珠玉の短編集」と言っても過言ではない、多くの人にオススメ
したい作品だ。