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呪われた天使、ヴィットーリオ



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呪われた天使、ヴィットーリオ

呪われた天使、ヴィットーリオの評価: 3.50/5点 レビュー 4件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.50pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(5pt)

耽美耽美していて、幻想的でした。

なんというか、原作?というか、夜明けのヴァンパイアも面白かったけれども、ヴィットーリオさんの冒険譚は、短いけれどもなんとも壮大で、視野が広いという気がしました。悩みの幅が広いというか。あと、嘆かわしいというのだろうか。昔のヴァンパイア作品は「飢えが…乾きが」と言ってるのに対し、新しい作品のヴァンパイにはあんまり飢えてる印象がなく、獲物狩り放題のようなライトな印象がありました。そこにちょと若いというか、若さを感じて初々しい少女小説みたいな印象もありました。でもしっかりヴァンパイものでハードでダークです。最後らへんはもう、ファンタジー小説さながら、美しい比喩の連続で、とても甘美でファンタジックで好きです。トスカーナ人が読んだら怒るんじゃ?とヒヤヒヤしながら読んでいた。でもそこがちょっと、ワールドワイドな視点を持った新しい時代のヴァンパイア作品らしくて斬新で爽快だった。ヴィットーリオの激しい感情の猛々しい動きが、ぞんぶんに描かれているのを追いかける読書で、すごく素敵な体験でした。どうしてそんなに感情が激しいのだろうと思ってたけど、主人公は一応若者の設定だったので、若者らしいという事なんですね。でもその若者には誇りがあって、その誇りがヴィットーリオのなんともいえない美しさを絶対的なものにしている感じです。恐ろしい存在、という設定のヴァンパイアなんですどね。なんだか憎めないというか。自分の誇り、自分が正しいと信じているその美しさ、自分には絶対曲げられない信念があるというその姿は、ヴァンパイアというより、殉教者そのものである。そんな彼の輝かしさ、彼の、なんとも感情的で、感情豊かで、そんな心を殺さないで生きている聖人という、矛盾した個性が、熱中させてくれました。あとがきも必見でした。いくらなんになっても、なんて汚れない存在なんだろう、ヴィットーリオ!と、主人公の輝きを思ってドキドキしてみてました。光とは…?と読み切れない部分もいっぱいあり、内容はこっちが赤面するくらい純情っぽいけど、本当は大人向けだと私には思えて仕方ない。
呪われた天使、ヴィットーリオAmazon書評・レビュー:呪われた天使、ヴィットーリオより
4594041515
No.1:
(4pt)

ルネサンスイタリア、吸血鬼も人間賛歌をうたう?!

15世紀のイタリア、コシモ・デ・メディチが権勢を振るっていたフィレンツェとその周辺が舞台。フィレンツェで勉学に励んでいた地方領主の息子ヴィットリオが城に帰ったある晩、失礼千万な異相の客が訪れる。憤激する領主、ビビリまくる家臣……。さあ、一族郎党あげて鉄壁の防備を固めよう。しかし、深夜の来襲は人間のものではなかった!生き残ったのは主人公ひとり。なぜか美女が見逃してくれたのだ。こうして主人公と吸血鬼軍団との闘いは火ぶたを切り、美女ウルスラとの宿命の愛が育まれていくのだった……。吸血鬼小説ははじめてのぼくだが、しばしば息をのんだ。たとえばその自然描写の美しさ。丘の上を迫りくる吸血鬼軍団の描写は壮麗ですらある。首領の、我々は森の古くからの住人で人間たちの森林破壊に鉄槌をくだす式の言いぐさもヘンだし。天使たちの出現に一瞬あ然。なんとこれは人間賛歌に終わる吸血鬼小説であった!この世から悪が消えれば善もまた消える(あの天使たちのタイクツそうな人生……)。より多くの悪によって人間の悪をあがない続ける(500年間!)吸血鬼とは、逆立ちしたキリストだろうか?著者も勧めるように、より深い理解のためにアウグスティヌスやアクィナスをひもとく人がいても不思議はない(??)。
呪われた天使、ヴィットーリオAmazon書評・レビュー:呪われた天使、ヴィットーリオより
4594041515

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