呪われた天使、ヴィットーリオ
- ヴァンパイア・クロニクルズ外伝 (2)
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なんというか、原作?というか、夜明けのヴァンパイアも面白かったけれども、ヴィットーリオさんの冒険譚は、短いけれどもなんとも壮大で、視野が広いという気がしました。悩みの幅が広いというか。あと、嘆かわしいというのだろうか。昔のヴァンパイア作品は「飢えが…乾きが」と言ってるのに対し、新しい作品のヴァンパイにはあんまり飢えてる印象がなく、獲物狩り放題のようなライトな印象がありました。そこにちょと若いというか、若さを感じて初々しい少女小説みたいな印象もありました。でもしっかりヴァンパイものでハードでダークです。最後らへんはもう、ファンタジー小説さながら、美しい比喩の連続で、とても甘美でファンタジックで好きです。トスカーナ人が読んだら怒るんじゃ?とヒヤヒヤしながら読んでいた。でもそこがちょっと、ワールドワイドな視点を持った新しい時代のヴァンパイア作品らしくて斬新で爽快だった。ヴィットーリオの激しい感情の猛々しい動きが、ぞんぶんに描かれているのを追いかける読書で、すごく素敵な体験でした。どうしてそんなに感情が激しいのだろうと思ってたけど、主人公は一応若者の設定だったので、若者らしいという事なんですね。でもその若者には誇りがあって、その誇りがヴィットーリオのなんともいえない美しさを絶対的なものにしている感じです。恐ろしい存在、という設定のヴァンパイアなんですどね。なんだか憎めないというか。自分の誇り、自分が正しいと信じているその美しさ、自分には絶対曲げられない信念があるというその姿は、ヴァンパイアというより、殉教者そのものである。そんな彼の輝かしさ、彼の、なんとも感情的で、感情豊かで、そんな心を殺さないで生きている聖人という、矛盾した個性が、熱中させてくれました。あとがきも必見でした。いくらなんになっても、なんて汚れない存在なんだろう、ヴィットーリオ!と、主人公の輝きを思ってドキドキしてみてました。光とは…?と読み切れない部分もいっぱいあり、内容はこっちが赤面するくらい純情っぽいけど、本当は大人向けだと私には思えて仕方ない。 | ||||
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イタリアがまだ統一されていず、たくさんの王国、共和国、教皇領などに分かれていたルネッサンス期1450年を舞台にしています。ミラノ、フィレンツェ、ヴェネチアなどの有力諸国が勢力を伸ばそうと争いが絶えなかった時代、フィレンツェに忠誠を誓っていた地方領主を父親に持つヴィットーリオは16歳の美貌の青年。敬愛する両親や親族たち、愛する弟、妹と共に平穏な生活を送っていました。ある夜、突然訪れた見知らぬ客を激怒して追い出した父親に驚きますが、それが惨劇の始まり・・・。彼らは人間ではない魔物で、血の生贄を求めていました。その夜、城は襲撃を受け、彼ひとり残して、一族、配下の兵士たちはみんな虐殺されてしまいます・・・。 ・・・という始まりです。レスタトやルイなど、おなじみのヴァンパイアたちが登場する年代記とは関連のない独立した作品です。アン・ライスはここでも、まるで見てきたかのように過去の時代やその雰囲気を鮮やかに描きだしています。ルネサンス期イタリアの政治状況、人々の生活、修道院や教会の様子、明るい月夜に城から見下ろした街、崖からそこへ飛翔し駆け下りてくるヴァンパイアの群れ・・・などなど。 ただ、やはりヴァンパイア・クロニクルに属する作品群よりもスケールが小さいというか、ひとつのエピソードをさらっと書いただけという感じで、いつもの重厚さはなく、凡庸な印象を受けるのは否めません。また、ライス作品は後になるに従ってだんだんと宗教色が強くなってくるのですが(それは作者が長女や夫を亡くしたり、いったん離れた教会の信仰に戻ったりした個人的な体験に影響を受けているようです)、ここでもヴィットーリオと天使の会話が続き、キリスト教に興味のある人でなければ、ちょっと冗長な感じを受けてしまうと思います。 他のレビューアさんも書いておられるように、初めてアン・ライスの作品を読む方は、ヴァンパイア・クロニクルの最初の作品「夜明けのヴァンパイア」か、または「魔女の刻」シリーズ「魔女の刻1」から始められるのをおすすめします。こちらは小粒な作品という印象でした。 | ||||
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正直、久し振りのアン・ライスの新刊だったにも関わらず落胆したのは否めません。アン・ライスのルネサンス好きに付き合わされた気分に読後なりました。 訳者が相変わらず柿沼さんだったにも関わらず、平坦な文の羅列。話の読める筋。全て中盤で最後のオチが分かってしまう話運び。氏ならば、もう少し特色を出した、何か迫力のようなものを感じさせる話を書いてくれると期待していたのですが。 初めてアン・ライスを読む人にはこれは読まないで欲しいです。彼女の著作はこんなもんではないと思います。どんな方向でも、読者をびっくりさせるような作品が大半なのですが・・・ | ||||
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15世紀のイタリア、コシモ・デ・メディチが権勢を振るっていたフィレンツェとその周辺が舞台。フィレンツェで勉学に励んでいた地方領主の息子ヴィットリオが城に帰ったある晩、失礼千万な異相の客が訪れる。憤激する領主、ビビリまくる家臣……。さあ、一族郎党あげて鉄壁の防備を固めよう。しかし、深夜の来襲は人間のものではなかった!生き残ったのは主人公ひとり。なぜか美女が見逃してくれたのだ。こうして主人公と吸血鬼軍団との闘いは火ぶたを切り、美女ウルスラとの宿命の愛が育まれていくのだった……。吸血鬼小説ははじめてのぼくだが、しばしば息をのんだ。たとえばその自然描写の美しさ。丘の上を迫りくる吸血鬼軍団の描写は壮麗ですらある。首領の、我々は森の古くからの住人で人間たちの森林破壊に鉄槌をくだす式の言いぐさもヘンだし。天使たちの出現に一瞬あ然。なんとこれは人間賛歌に終わる吸血鬼小説であった!この世から悪が消えれば善もまた消える(あの天使たちのタイクツそうな人生……)。より多くの悪によって人間の悪をあがない続ける(500年間!)吸血鬼とは、逆立ちしたキリストだろうか?著者も勧めるように、より深い理解のためにアウグスティヌスやアクィナスをひもとく人がいても不思議はない(??)。 | ||||
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