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丸太町ルヴォワール



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丸太町ルヴォワールの評価: 3.84/5点 レビュー 31件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.84pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全31件 1~20 1/2ページ
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No.31:
(5pt)

面白い!

複雑に練られたシナリオ、いくつも丁寧に重ねられた叙述トリック。荒削りですが作品を面白くする仕掛けをこれでもかと詰め込んだ珠玉の作品に感じます。それでいて、京都の風情を感じさせる細かな描写が見事でした。突き抜ける良作。
丸太町ルヴォワール (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:丸太町ルヴォワール (講談社文庫)より
4062773694
No.30:
(1pt)

文体が拙い

読んでいて話がすんなりと入らず、イライラを感じる表現。第一章の朱雀の女も途中からつまらなくなって読むのをやめた。会話から展開まで、一体何?
丸太町ルヴォワール (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:丸太町ルヴォワール (講談社文庫)より
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No.29:
(4pt)

読むのがつらいがその価値あり

虚々実々、どんでん返しの連続で酔わせる最終盤のミステリはたしかに素晴らしい。一読の価値あり。

しかし、この作者、がんばってキャラクター小説としての魅力も出そうとあれこれやっているのだが、そちらの能力は皆無なので、前半とてもつらい。西尾維新から面白い部分を全部抜いて寒くて滑っている要素だけを真似てしまったみたいなやりとりが延々続くのだ。特に第一章のルージュと論語の会話はかなり痛々しい。ここで挫折してしまった読者は少なくないのではないだろうか?

自分は京大ミステリ研というブランドを信頼していたし、ミステリなので重要な手がかりが含まれているかもしれないと我慢して全部読んだが、読み終えた今、第一章と第二章は八割方不要なのだとわかる(まあ二割は必要だし、読んでみなければその二割がどの箇所なのかはわからないのだが)。
第一章で挫折しそうな読者に言いたい。多少は飛ばし読みしても大丈夫な確率高いです!最後まで読む価値はありますよ!
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No.28:
(4pt)

とても面白かったです

叙述トリックや伏線に次ぐ伏線が素晴らしく、読者としてとても気持ちよく引っ掛かられせて頂きました!
丸太町ルヴォワール (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:丸太町ルヴォワール (講談社文庫)より
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No.27:
(1pt)

疑似法廷での推理アクロバット

2009年に講談社BOXから出たものの文庫化。
 京都を舞台とした長編ミステリである。
 怪しげでゲーム的な儀式を通して、推理合戦が繰り広げられる。二転三転する真相は、まあ、意外と言えなくもない。
 しかし、真相は納得いくものではないし、肩すかしでもある。キャラクターやその振る舞いにも共感しにくいし、魅力的にも感じなかった。
 物語としての作法が未熟なように思う。
 「1」を付けたのは数年ぶりだ。
丸太町ルヴォワール (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:丸太町ルヴォワール (講談社文庫)より
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No.26:
(4pt)

途中からミステリらしくなったような…

独特な文章とあらすじで、読みにくいというわけではないのですが、小説というよりは漫画のような感じで、途中までは辞めようか迷いながら読み進めていましたが、なんだかんだで一気読みしてしまいました。
読んでしまえば、しっかりとしたミステリだったな、と感じましたし、最後も素敵な終わり方でした。
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4062773694
No.25:
(5pt)

秀逸

様々な仕掛けが次々と登場し、非常におもしろい。
仕掛けがありすぎておもしろさが減ってしまうと感じる人もいるのかも知れないが、そんなことはない。
多少の欠点は見受けられるものの、それを凌駕する卓越したストーリーと仕掛けがある。
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No.24:
(5pt)

面白い

最後ここまでかというくらいこねくりまわします。大変面白かったです!
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4062773694
No.23:
(5pt)

とりあえず2章まで読んでみて!

ラノベっぽい最初の数ページで好きじゃないなあと全く期待できずに読み進めていったのですが、1章が終わるとその誤解は解け、後半のとある手紙から最後にかけては泣きまくってました。
見事に騙され裏切られまくって疲れましたが読み終えた今、とっても爽快で良い気分です!
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4062773694
No.22:
(2pt)

とっても残念

個性的な登場人物と斬新的な私的裁判・・・読み始めたときはなかなか面白くなりそうな予感にわくわくしました。
しかし読み進むにつれ次第に期待から大きくはずれていってもう途中からはなんだかげんなりしてしまいました。
小説だから叙述トリックはもちろんいくらでも有りということなのでしょうがそれにしてもここまでやられると食傷気味。
どんでん返しにつぐどんでん返しが何度も何度も繰り返されるけどむしろその効果は薄れるばかりで面白さは半減していくばかり。
驚きも意外さも感じられず、いじくり倒しでせっかくのユニークな人物、設定が台無しです。
ラストにいたってはこれはないなと思った次第です。
丸太町ルヴォワール (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:丸太町ルヴォワール (講談社文庫)より
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No.21:
(5pt)

作者はテクニシャン

文体含め軽いノリがわりと人を選びそうな感じではあるものの(いわゆるライトノベルと呼ばれるものに分類されるらしい?)
予備知識無しに読み進めていくと大半の読者は作者の仕掛けにコロっとやられてしまうのではないかと思う。
技術面には非常に感心したし、長編といえど意外と早く読めてしまうところも良い。
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No.20:
(1pt)

釈然としない

相手を打ち負かしたら勝ちという私的裁判。
〈真実〉は二の次というのが現代的でその点は面白く感じた。
でも証拠の捏造合戦になると、もう面白くも何ともない。
勝手にドタバタやってる舞台を冷ややかに眺める感じの読書になってしまった。
ペースメーカーについては敢えてツッコまないが、
それ以外の箇所でも、相手はいくらでも言い逃れできそうな論理が決定打になってりして、甘いと感じた。
(論語の部屋の前の床の歪みなど)
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4062773694
No.19:
(4pt)

真実をとるか、推理をとるか

推理は相手を言いくるめるものであって、それと真実が一致するとは限らないというのはミステリの一面を捉えており、京大ミステリ研出身者らしい、斬新でかつ本質的な良いテーマである。そしてお互い偽の証拠を出しまくり相手の弱点を突きまくり口八丁手八丁で相手を打ち負かしてやろうという展開は、かなり燃えるものがある。そりゃ、言い負かせばいいのなら、後期クイーン問題も何も関係ないや!と言わんばかり。
しかし結局のところ論語が求めているのは勝利という結果ではなく真実であり、それならば普通のミステリと本質的には変わらないわけで、後期クイーン問題から逃げることは能わないはず。そこがテーマのぶれ、ロジックの詰めの甘さに繋がっている点も否定できず…うーん、だからどうしたら良かったと問われても難しいのだが。もう少し真実をロジックで明らかにするのではなく、さらっとほのめかす感じで終わらせればよかったのか。

冒頭に明らかに男性描写をされて疑いの余地のない人物に対し、別の登場人物が「あなたは女性では?」と投げかけるシーンがあり、勿論男性なのだが、「こういうやりとりを挟むことで、同じことはしてこないだろうと思わせる作戦だろう」と疑いつつ読み進めると、実際作中にはかなりの数の叙述トリックがあり、結構わかりやすい。しかしそれが作者の思う壺で、わざわざ女性を男性のように描写しているのだから、こいつがルージュなのか?と思わせて、そのトリック自体まったく意味がなかったりする(笑)。叙述トリックがある部分は明らかに描写がおかしく、読者の注意を惹きつけてしまうぎこちなさがある一方、終章の「◯◯はようやく口を開いた」など思わずおおっと唸ってしまう鋭い描写もあり、ただ無駄に叙述を配したわけではない計算高さと相俟って、私は非常に好感を持てた。

しかし不満も多い。
1.5回しか読んでいないので私の読みが甘い部分があれば謝罪したいが、ロジックの矛盾、医学的なツッコミはパッと読んだだけでもかなりあり、錠剤はすぐ溶けないから粉末というのは短絡的で、プロチゾラムOD錠などすぐに崩壊する錠剤の眠剤も発売されており、片手でも簡単に混入可能だろう。もし粉末で譲歩したとしても、利き手云々のロジックは後々、要になってくる論理だが、自分が龍師なら、右利きに矯正された結果両方使える左利きの人間は多いと反論するだろうなぁとか。ていうか、医師なんだから睡眠剤飲まされたと言っている人に取り敢えずトライエージくらいしてあげればいいのに…。

おそらく「ルージュは男性では?」と考えた読者もいるだろうが、そういう問に関しては「論語が絶対女性だと断言した」という事実から、今回はそういうルールなのだと私達は納得した上で推理する。
一方で、達也が「仮に◯◯だとすると処理する情報が膨大になり、今回の双竜絵で相手を言い負かすのは難しい」としているので、私はつい◯◯でないというのもルールなのか?と思ってしまったが、真実はその否定された◯◯であり、双竜絵で言い負かすことと真実の探求は違うというのはわかるものの、上手いようなずるいような気もしてしまった。だって◯◯なら、携帯電話を盗んだ人と電話をかけた人間が違ってもいいのだから、別にあの人がルージュでも成り立っちゃうよ…!これは結構致命的なミスの気がするのだが、私の読みが甘いのだろうか?
達也は論理でルージュに辿り着き、論語はある理由で真実にたどり着くとされているが、◯◯の可能性を考えるなら論理の詰めが甘々も甘々、論語が真実にたどり着く切掛も「え、今までさんざん騙されたのに、そんな曖昧な理由で納得したの!?それ偽の証拠かもよ!?」と思ってしまい、どうにもこうにもしっくりこない。論語は口は達者なのに、やることなすこと回りくどく、何かわかるようなわからないような取ってつけたような理由をこじつけて、ハイリスク・ローリターンな上に成功確率低い方法を選択してくるし、最後まで読んでも納得できない行動が幾つもあった。

あとはまあ、突っ込んだら負けのような気もするが、やっぱりペースメーカーはそんなに簡単に止まらない。実際はペースメーカー入れている人でも携帯電話使えるもん…未だに死亡事故ないですし。たとえば別の方法で殺したことのカモフラージュに使用したとか、偶然携帯電話でペースメーカーが止まりそれをカモフラージュするために論語の携帯電話を使用しようとしたとか、気の利いた説明出してくるのかなぁと思ったら、やっぱり携帯電話で殺そうという「計画」でしたと言われると(実際はどうあれ)、仮にも人一人を殺そうというのに、随分ずさんだなあとしらけてしまう。
そもそも電波を恐れて隠遁している老人の家に携帯電話を持った人がいるという状況、いくら説明されてもやっぱり納得できないや。

まあ、そうやって自分が龍師になったつもりで考え考え読んでしまうということ自体、この作品にハマっているということですし、それこそが作者のやりたかったことなのだと思います。
人が死ぬミステリで、これほど読後感のよい、爽快感漂う良質なハッピーエンドは見たことありません。
丸太町ルヴォワール (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:丸太町ルヴォワール (講談社文庫)より
4062773694
No.18:
(4pt)

本格推理の極北を目指す試み

円居挽先生のデビュー作であります。
本作で描かれるのは、平安王朝以来の伝統を持つ疑似裁判行事「双龍会」で展開される推理合戦……ではなくて、「真実」の追求なんてものはそっちのけ、審判役や聴衆に対して相手よりも説得力のある「真相」を披露してみせたら勝ちという、見世物ショー化した論理ゲーム。偽証、隠蔽、証拠の捏造やすりかえ、ゲームに勝つためなら何でもありというイカサマのてんこもりで、相手の裏を掻きつつこちらの「真相」を立証してみせるという本作の趣向は、「真相」をもっともらしくする「推理」の構築という意味で、本格推理の極北を目指す試みといえるものです。
同趣向の試みとしては「虚構推理」という怪作がありましたが、こちらの方が一枚上手な印象。
残念なのはキャラクター描写や小出しにされる設定の数々があまりにいまどきのライトノベル風味ということで、その点で肌が合わないという読者の方々は多いかも。
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No.17:
(1pt)

呆れる程つまらない

最初の2ページくらい、面白いかなと思って読みはじめたところ、どんどんバカバカしく幼稚な展開に。
素晴らしい美少年で古今東西の教養豊富な怜悧で大金持ちの跡取りくん、がはじめに登場。
すると、次から次へとカリスマだの美少女だの天才だの、出てくる登場人物全員ネーミングも含めてみんなキラキラのピカピカの安っぽさ。
出版する価値ないと思います。
お金返して。
丸太町ルヴォワール (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:丸太町ルヴォワール (講談社文庫)より
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No.16:
(5pt)

本格の限界を突破してみせる技の冴え

本格ミステリは宿命的に足付きの蛇だ。論理的に唯一の真相を導かねばならないので、別解があってはならない。犯人の自白でお茶を濁すのでなければ、可能性を虱潰しに検証して排除することになり、どうしてもダレる手続きが存在してしまう。
さて、そこで本作。双龍会と呼ばれる和風裁判バトルで追求されるのは真相ではない。それらしく聞こえて面白い決着である。黄龍師(検事)と青龍師(弁護士)が真相そっちのけで説得力ある作り話を競い、丁々発止の渡り合いを演じるのだ。勝利条件を真相の解明でなくシナリオ作りに置くことで、唯一の真相がメインでその他の可能性は手続きという構図を乗り越え、すべてをメインディッシュ扱いするエンタメへと見事に昇華している。
なにぶん双龍会の場で臨機応変に虚構の作り話を仕掛け合うため、新しい手掛かりが突然登場したりもするが、萎える超展開かといえばさにあらず。何気ないセリフや相手側の話を踏み台にカウンターが踊り出て来るから、話の脈絡はしっかりと用意されている。
読者には真相が間違いなく真相と知らされるが登場人物は判断できないという本格ミステリにつきまとう例の問題も、面白ければ勝ちと条件設定することで神回避。もっとも、そう嘯きながらも最終的に解明に至るのがまた本格ミステリ読者好みといえる。
思えば現実の裁判は検事の作文や弁護士の空論の巣で、必ずしも真正を目指さず冤罪も罷り通る。これは、真相の担保があるミステリから見た現実のデタラメさを戯画化する所から生まれた物語なのかもしれない。ともあれ本格の限界を上手く捌いた凄いものを見た。
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No.15:
(5pt)

久しぶりに本を読んで昂奮した。

丸太町は勿論、京都の町名で、ルヴォワールとは再会の意。タイトルに惹かれて読み始めたが、直ぐに通常のリアルなミステリではないので困った。本格推理小説、いや新本格モノは苦手なのでどうしたものか。先ず100頁読破を目指そうと思った。次に戸惑いながらも登場人物のキャラクターが面白いので200ページを目指した。ふーむ、油断は出来ないが面白い。

とはいえ、さすがに半分まで来た時、後ろの解説を読んだ。心構えを持とうと思ったのだ。本書は平たく云えば法廷物で、事の真相に対し、丁々発止のやりとりがある。その論理、仮説の応酬が見所だという。これが極めて興味深い。敵側の鉄壁な攻撃が効果を上げ、これを最後はどう打ち砕くのかと久しぶりに本を読んで昂奮してくる。幻惑的な言葉の流れは、京極シリーズに似てなくもない。

あとはどう決まるかだが、見事に決まり、極上の恋愛小説にもなっている。そしてこれは、「丸太町通ルヴォワール」ではないか。
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No.14:
(5pt)

推理物、法廷サスペンス、恋愛物の要素も入った傑作!

古より京都で行われていた私的裁判「双龍会」。祖父殺しの嫌疑をかけられた主人公は、この裁判を受けることになる。祖父が亡くなった当日、屋敷にいた謎の女の正体は?事件の真相とは? 検事側は「黄龍」、弁護士側は「青龍」、裁判官は「火帝」、証人は「鳥官」と呼ばれる。それぞれが証拠と証人を示し、それぞれの真実を主張するが…。 登場人物達のキャラクターも漫画的で面白い。推理合戦の末、次々と新たな「真相」が明らかになるが…。その推理の過程を十分堪能することが出来た。 推理、法廷サスペンス、恋愛物の要素も入った傑作!もっと話題になってもいいはずだと思う。
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No.13:
(3pt)

『舞台』を生かしたテンポのよい会話劇

09年11月の単行本(講談社BOX)の文庫化.これに際し,全面改稿が行われているとのことです.

ヒネ気味の少年と謎の女性,一対一でのそれに始まる物語は,ほぼ会話のみで構成されており,
好みが分かれそうではあるものの,テンポのよいやり取りは,読み手を引き込む魅力を感じます.

これが,二章に入るとさらに度合いが増していき,私的裁判という場での欺し欺されての応酬は,
その会話劇はもちろん,見世物にもなっている変わった舞台,バレなければ何でもありなルールと,
法廷,裁判を舞台にした作品とはまた違う,変わったコンゲームのような楽しさが繰り広げられます.

ただ,メインとなる裁判の場面では,ある意味閉じられた空間であるため,場面転換には乏しく,
さらには,このパート自体が結構な長さであるため,少しずつダレてくるのは否めないところです.
また,弁護側に立つ青年の背景が,『過去に何かやらかしたスゴ腕』程度にしか語られないことから,
いきなりの大舞台,しかも百戦錬磨の相手に対し,堂々と立ち振る舞う様子にはやや出来過ぎの感も….

ほかにも,エピローグでのどんでん返しは,裏の裏は表で…といった類が波状のごとく押し寄せ,
確かに驚きや巧さはあるものの,もはやどちらが表か裏かわからず,『ゲップ』が出てしまいそう.
おかげで,ラストに用意されたステキな場面も,そんな気分で迎えざるを得ないのが何とも残念です.

とはいえ,その風情が語られることは少ないながらも,それでもどこか京都のニオイというのか,
私的裁判に代表される荒唐無稽な世界観は,やはり京都だったからこそ描けたもののようにも思え,
これほどまでに進んだ世の中でありながら,古き都が抱く神秘的,幻想的な雰囲気を改めて感じます.
丸太町ルヴォワール (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:丸太町ルヴォワール (講談社文庫)より
4062773694
No.12:
(4pt)

化ける可能性のある作者だと思う。

文庫版を読了した。
エンタメ方向に走った法廷ミステリと、どこか捻くれたボーイ・ミーツ・ガールを融合させた異色の作品。火花を散らすロジックの応酬と、繰り返される小粋などんでん返しが見所である。
登場するキャラクターの造形や文章にはライトノベル的な匂いが漂っており、特に第一章の会話などはいささか鼻についた。ただ、作者は決してこういった書き方しかできないのではなく、わざと上辺に一枚羽織っているだけという印象を受けた。おそらく、脱ごうと思えばいつでも脱げるのだろう。
キャラクター同士の掛け合いは軽妙とは言えず、少々滑っているように感じた。どのキャラクターの台詞回しもなんだか似たり寄ったりで、あまり差別化が図れていないせいだろう。
〇〇トリックが用いられているが、それもどこかで見たことあるような種類のものであり、斬新性に乏しく、個人的には白けてしまった。
物語の展開の仕方も少々ぎこちなさがあり、まだまだ小説としては改善の余地がある。
何やら悪い箇所ばかりあげつらってしまったが、優れた競技ディベートを見ているようで、総評としては面白かった。論理対決が好きな人なら楽しめること間違いないだろう。
四つ星の評価をつけているが、実際は三つ星に近い四つ星といったところか。
丸太町ルヴォワール (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:丸太町ルヴォワール (講談社文庫)より
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