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霧の訪問者: 薬師寺涼子の怪奇事件簿



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霧の訪問者: 薬師寺涼子の怪奇事件簿の評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

取材経費削減対策?

海外を舞台にすることが多かった薬師寺涼子シリーズだが、本書では前作に引き続き日本の避暑地軽井沢が舞台となっている。不況による取材費の引き締めか。
いや下衆の勘ぐりはよそう。

今までのシリーズ同様、ドラ避けお涼こと薬師寺涼子の自由奔放、傍若無人ぶりは健在で今回も権力の壁を乗越えて、カツカツとハイヒールの音高らかに闊歩する。

今回の敵はアメリカの食品業界を牛耳るUFAのオーナーである女性大富豪マイラ・ロートリッジ。不老不死を夢見るこの女帝は実の娘を若返り用クローンとして育てているというのが今回の趣向。
この自らの延命のためにクローンを育てる金持ちというテーマは21世紀になって数多書かれた物で、内容的には驚きはもたらさない。このシリーズはアイデアの斬新さを求めるのではなく、色んな敵に薬師寺涼子がいかに勝利するか、そのプロセスを愉しむべきだろう。

しかしこのシリーズに放り込むオタク度、マニア度の高いカテゴリーの豊富な事。コスプレ、メイド、女装趣味と現代日本の歪んだ多様性、いわゆる萌え要素があらゆる限り反映されている。
そしてそれらに没入する社会的地位の人間が警察や官僚の高官だったり、医者だったり、実業家だったりとかなり高い地位の人々であるのが皮肉か。ストレス社会と云われる日本の現在を田中氏なりに毒を込めて盛り込んでいるのだろうか。

で、今回いつもにも増して気付かされるのが薬師寺涼子の部下泉田警部補に対する愛情だ。
今までは単純に独善的に泉田を引っ張りまわし引き連れていた感があるが、今回は泉田と共有する時間を敢えて取ったり―冒頭の軽井沢へ向かう列車にわざわざ乗り合わせる―、泉田に女性としての自分を売ったりー交通事故に遭った泉田に食事を手ずから食べさせる―する。
シリーズも7作目になってようやく単なる師従の関係から進展してきた感がある。まあこれは鈍感な私が今までの作品でそれに気付かなかったところもあるかもしれないが。
しかし無敵の美貌を誇る薬師寺涼子はある意味究極のツンデレだ(これももはや死語か)。

とはいえ、やはり読みやすいが故に1ヵ月後には忘れてしまいそうなお話ではある。まあ、嫌いではないので次巻が出たら買うだろうけど。



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