京都東町奉行所同心組頭の家に長男として生まれながら、訳あって公事宿(訴訟人専用旅籠)「鯉屋」に居候する田村菊太郎。

同心組頭の兄・田村菊太郎は公事宿(訴訟人専用旅籠)の居候。

血が繋がらないながらも仲睦まじいお蔦と千代の母娘。

気がやさしい鋳掛け屋・伊助が、息子・浅吉にせがまれ背中に入れた髑髏の刺青。刺青を入れるには大金がかかる。

京都東町奉行所同心組頭の家に長男として生まれながら訳あって京の公事宿(訴訟人専用旅篭)「鯉屋」に居候する田村菊太郎。

女絵師のお琳はある日、十二、三歳の娘が泣いている姿に足を止めた。

石屋に見習い奉公に出ていた十六歳の市助は、日頃から主や兄弟子による苛めを受けていた。

与惣次行きつけの居酒屋に忘れられた風呂敷包み。中には位牌と骨壼、それに十両もの金が。

五山の送り火の二日後、菊太郎は姉小路大宮で襤褸をまとい、力なく歩く四十男を見かける。

若い頃、駆け落ちに失敗して男と生き別れた金物問屋の隠居・お蕗。

「地蔵さまがわしに笑いかけはったんどす。

『板倉籠屋証文』から浮かび上がった意外な新事実を元に、政治や芸術にかける男の野心、恋を雄大に描く長篇時代小説！

実直と評判の男・新兵衛が奉公先の息子を人質に御堂に立て篭った。

名立たる画人の贋絵を描いた廉で公事宿「鯉屋」へお預けの身となった扇絵師の定助。

病身の父に代わり、仇を討とうとする健気な少年を助太刀する植松頼助。しかし敵には六十人もの加勢があった。

乳飲み子とお定を残して忽然と姿を消した又七。

菊太郎の恋人・お信が娘のお清を連れ、神妙な面持ちで「鯉屋」へやってきた。

京・知恩院の本堂回廊で、毎日寝転がっている女。「お釈迦さまに違いない」という者もおり世間の耳目を集めていた。

米屋の主・十左衛門の葬列に石を投げた少年・修平が公事宿(現代の弁護士事務所)「鯉屋」に連行される。

金貸しの老婆を絞殺し、百五十両を奪った廉で六角牢屋敷に送られた多吉。

博打の賽の目を読む天稟に恵まれた街道人足の多吉は、妻のお里から賭場への出入りをきつく諫められていた。

東町奉行所に吟味役同心組頭として出仕する義弟の銕蔵と、久しぶりに楽しい酒を酌み交わした菊太郎。

妙寿尼の焼く黒茶碗は名匠の作と見紛うほどの逸品。

泥鰌売りをして細々と独り身の生計を立てている岩三郎は、篠突く雨に打たれて長屋の木戸門にもたれかかる若い女を助ける。

古手問屋の隠居・九郎右衛門は愛妻・お民を亡くした悲しみを趣味の骨董蒐集で癒す日々。

公金横領の汚名を晴らし、高瀬川のほとりに居酒屋・尾張屋を開いた元尾張藩士の宗因。店の評判もよく繁盛していた。

悪評高い焼き物問屋の彦市郎と、町中で一触即発の状態にあった明珠。

京を焦土と化した応仁・文明の大乱、前夜。人買い商人に十五歳で湯屋へ売り飛ばされた少年「牛」の数奇な運命。

お徒士組の市郎助は、新藩主が初めて入国する際の祝能で『道成寺』のシテに選ばれたことで、心ない人々の妬みを買う。

お徒士組の市郎助は、新藩主が初めて入国する際の祝能で『道成寺』のシテに選ばれたことで、心ない人々の妬みを買う。

いっそ逃げよか手に手を取って、伏見に下る高瀬舟。愁いを帯びた調べに乗って浮世の涙も流れゆく。

久隅平八は生薬売りに変装し、「市歩」と称して京都内の情報収集と探索に当たっている折り、深い傷を負った若い男を助けたものの、途方に暮れているお民に呼び止められる。