儚い羊たちの祝宴
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初版刊行(参考)
種別
短編集
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373回
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あらすじ
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評判
儚い羊たちの祝宴の評価:
7.43/10点 レビュー 30件。 A ランク
儚い羊たちの祝宴の総合評価:
7.85/10点 レビュー 190件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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本書もその一冊。「身内に不幸がありまして」を読んで(ああ、夢に関する小説をたくさん読んだのだなあ)と思い、「北の館の罪人」を読んで「絵画の素材について調べたのだなあ」と思い、「山荘秘聞」を読み、(山岳救助についてよく調べたのだなあ)と思い、「玉野五十鈴の誉れ」を読んで「漢籍についてよくこんなに調べたなあ」と思い、「儚い羊たちの晩餐」を読んで「料理と料理に関するミステリを読みこんだのだなあ」と思う。いずれも数十ページの短篇小説にかける調査量ではなく、「ハイカロリー」で「タイパがすこぶる悪い」はずだ。しかし米澤穂信は手を抜かない。
「真面目だな」と思うのは調査だけではない。この連作短篇集は「良家」「旧家」「富豪」「子女」「使用人」「座敷牢」など、現在の日本ではもはや存在が消えかけている身分や場所、モチーフを扱っている。そしてそのことに愚直なほどこだわっている。これによって「この短篇集がとことん虚構であり、徹頭徹尾作り事であることを示している。また、全て独白体で書かれているためいわゆる「信頼のおけない語り手」ばかりであることもこだわりだ。
さらに「真面目だ」と思うのは、この短篇集が全体的に、過去の小説群に則って書かれている点。過去作のオマージュになっている場合もあれば、タイトルがパロディになっている場合も、小説の題名がトリックのヒントそのものになっている場合もある。過去のミステリ作品のみに立脚しているのではなく、ロード・ダンセイニ「二壜のソース」」スタンリイ・エリン「特別料理」など〈奇妙な味〉としてくくられる作家への言及も多く、キングの『ミザリー』を底本にしている一篇もあり、結末がブラックに感じる短篇ばかりであることもやはりこだわりなのだろう。
正直ミステリとしては心理や展開、結末が強引であり、ある2つの短篇の「最後の一行」に声を上げて笑ってしまったくらい。だが上記の真面目さによる世界観の構築力がすごい。「努力賞」をあげたい短編集。あと読後、「これはきっと再読するな」と感じさせる一冊だった。ぼくにとっては珍しい。