龍くんは美味しく食べる: 名古屋駅西 喫茶ユトリロ2
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面白かったです。いろんな人間にふれ、龍はこれから成長していくんでしょうね。 名古屋のいろんな店が知ることができるのは、うれしいですね。 | ||||
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DAGANE!というウェブ雑誌の「名古屋飯再発見」という記事のモデルにスカウトされた鏡味龍が、編集者の平野里央と取材でいろいろなものを食べまわるうちに、その人柄のよさ、お節介さでトラブルを解決していく。ところが、編集者の里央がなかなか難しい性格で、どうも過去に何かをかかえているようで…。龍も医学部で学ぶことに迷いが出てきて…。太田忠司、うーんなかなか上手いなあ、読ませるよなあ。ほっこり温かい話だが、龍君、いい子過ぎかなあ。 | ||||
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読んでいて 楽しくなりました。 懐かしい名古屋弁も出ていて、楽しくなりました。 | ||||
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昭和24年に創業し、今も昭和のたたずまいを残す喫茶ユトリロは、絶品とされる玉子サンドのモーニングを出すのが自慢。それを目当てに、名古屋駅前商店街に暮らす常連客が大勢集います。店主の孫息子・鏡味龍(とおる)は東京出身で今は名古屋大学医学部の2年生。彼が名古屋のソウルフードにまつわる日常の謎を解き明かしていく連作ミステリー短編集で、『 名古屋駅西 喫茶ユトリロ 』に続く第2弾です。舞台設定は2017年秋から2018年5月ごろにかけてです。 今回彼はウェブマガジン「DAGANE!」の編集部員・平野里央にスカウトされて、名古屋めしを食すモデルに抜擢されます。龍が毎回口にする名古屋めしにまつわる謎が展開するという仕掛けです。 ◆「きしめんと誰にでもある逆むけのこと」 :うどん店「つぼうち屋」は2011年に火事で焼け、店主夫婦のうち妻の房子が焼け死んでいる。しかし火事の前日に房子が茹で上がったばかりのきしめんを勝手口のゴミ箱に大量に捨てる姿が目撃されていた。房子はなぜそんなことをしていたのか。そしてそれが火事の原因と何か関係があるのか…。 名古屋のきしめんの汁には、たまり醤油ベースの赤と白醤油ベースの白の2種類があるといった蘊蓄話が差し挟まれながら、「つぼうち屋」の秘密がやがて明かされていきます。そこには老いにまつわる悲しい事実と夫婦の秘められた愛情が存在していたことがわかり、真相にたどりついた後、しんみりとさせられました。 なお、平野里央が務めるウェブマガジンの名が、「である」を意味する名古屋ことば「だがね」からきていることを説明したくだりで里央が「わたしも使っているひとを見たことがないんで、ちょっと古い言葉だと思います」(21頁)と龍に告げているのを読んで私は軽くショックを受け、苦笑してしまいました。名古屋出身で現在50代の私は子ども時代に「だがね」という言葉を日々ごく当たり前に使っていましたが、今の若い人はもう使わないということでしょうか。 ◆「雑煮と言葉にしなかったこと」 :ウェブマガジン「DAGANE!」の名古屋めし再発見シリーズ第2弾のテーマは名古屋の雑煮。餅は切り餅、焼かずにそのまま煮込む。汁は鰹だしに醤油で味付けし、具は青菜だけ。かつては餅菜が食材に使われたこともあったが最近はもっぱら小松菜が代用されるという。いたってシンプルなつくりの名古屋雑煮を京都のそれと食べ比べる企画を里央が考え付く。そして編集部員の橋本輝男の妻・百合江が京都出身と聞きつけ彼女に京都雑煮を作ってもらうのだが、輝男がいつもの雑煮と味が違うと言い始める…。 確かに名古屋雑煮はこの小説で描かれるとおりですが、他地域の雑煮を知らない私はそれが日本の中でもいたってシンプルな造りであることを今回初めて知った次第です。 百合江の雑煮の味が「いつもと違う」のは、橋本夫婦のちょっとした行き違いのせい。決して大きな謎と呼ぶほどのものではありませんが、夫婦の機微みたいなものが見えてくる、なかなか楽しい掌編でした。 ◆「おこしもんと壊れてしまった思い出のこと」 :名古屋めし再発見シリーズ第3弾のテーマはおこしもん。米粉をお湯で練って木型に詰めて形を取り、それを蒸したもの。その古い木型を所有しているという老婆・牛田カツ子のもとへ取材に出かけるが、息子の恒雄は愛想がなく、その木型に触れてはならない、写真を撮るだけと言う。言いつけ通りに写真を撮って帰った龍と里央は、後日牛田家から木型を盗んだだろうと嫌疑をかけられてしまう…。 おこしもん、初めて耳にしました。食べたことがある記憶がありません。ですがうちの母は知っていました。 さて、木型窃盗事件は、家族のちょっと行き過ぎた思いやりの果てに引き起こされたものだと判明していきます。どうやらこの短編集は家族の間の<思いやり>と<対話のむずかしさ>がないまぜになった結果生まれる謎を描いていることに、このあたりで私は気づきました。 ◆「生せんべいと道の途中で迷うこと」 :名古屋めし再発見シリーズ第4弾のテーマは生せんべい。愛知県半田市の総本家田中屋が製造している和菓子。これも私は聞いたことがありませんでしたが、うちの母は、「知っているけど、これって愛知県のものなの?」と、小説の中で喫茶ユトリロの常連客・栄一と同じ反応をしていました。名古屋の人はこれが全国規模のお菓子なんだと勝手に思い込んでいるようです。 さて今回解き明かされるのは、子供の頃の栄一に母親が生せんべいを焼いて食べさせようとした理由です。そもそも火を加えて食べるものではありませんから、それを見た父と母とが喧嘩になってしまいますが、あれは一体なんだったのだろうと栄一はずっと疑問に思っていたというのです。 龍の推理で栄一に対する母の愛情が明らかになっていきます。これもまたどこの家庭にでも起こりそうな、慈しみの物語でした。 ◆「ひつまぶしと正しく生きていくということ」 :里央が突然「DAGANE!」を辞職して行方をくらましてしまう。そしてひとつ前の「生せんべい」編で龍に近づいてきた奇妙な男が龍にある依頼をする…。 ひつまぶしは名古屋のうな重。里央はうなぎが絶滅危惧種になっているのに、なぜそんなものを名古屋めし再発見でとりあげるのかと強く反発していました。うなぎの命をめぐる問題が、医学生である龍の揺れる心に重なる話です。 さらに物語には里央自身の親子関係が絡まってきて、ここでもまたひとつの家族の<思いやり>と<対話のむずかしさ>が描かれます。 そして最後に里央を見つける過程で、正編『 名古屋駅西 喫茶ユトリロ 』の主要人物が満を持して登場し、大活躍するあたりは、なんとも粋な感じがしました。 . | ||||
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