怪盗インビジブル
- 七不思議 (45)
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1つ1つの事件の解決は、無理矢理な展開ではなくてきれいなオチがついていてよかった。最後の章も美しいラストだった。 | ||||
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「一番大事なものは、ケンの胸の中に残っていた、心だ。 ラケットを盗まれたことで、自分の一番大事な気持ちに、ケンは気づくことができた。卓球への情熱とか、そういうもの。最後までやり遂げたいと思う気持ち。ラケットがなくなっても、その気持ちは持っていかれなかった」(233頁) 良い本を読みました。 盗むことは悪いことですが、それによって思わぬ素晴らしい気づきを人の心にもたらしてくれることもあります。 例えば、「友達泥棒」(54頁)たちは、実際に自分の友達を盗んだわけではありませんでした。 自分が勝手に友達を盗まれた、と思い込んでいたのです。そのことに、優しい友情に気づかせてくれたのです。 この本は読者に、目に見えないこころの存在や一番大事にしている気持ちに気づかせてくれます。 この本の書名『怪盗インビジブル』を見ると、「怪盗ルパン」を思い出しました。 「怪盗ルパン」(122頁)という本なら、学級文庫にも並んでいそうで、みんなが知っている本です。 「インビジブル」って人の名前? 「インビジブル」とは、「目に見えない」の意味だとか。初耳(目?)です。 目に見えないものをどうやって盗むのでしょう? 職人技は、昔から「目で盗め」(45頁)とは言いますが… 『怪盗インビジブル』は、不思議で奇妙な書名です。 パイナポーとかアポーとかの発音に慣れた読者としては、 「インビジブル」より〈インヴィジボー〉と表記したほうが、ピコ自然な発音に近いような気がしました。 「小林さんは、妙に舌を巻きながら、『インヴィジボゥ、メェン』と答えた」(222頁) それそれ、そのハチュオンです。 この本には、ある中学校で起きた盗難事件が4件、描かれています。 「CASE1」から「CASE4」までの事件についての「事件簿」になっています。サスペンス小説です。 「CASE1」は、卓球のラケットの盗難のお話しです。 ラケットのゴムを貼り替えるだけで、持ち味が変わる場合がある、と元国体選手の伴田先生。 「こういうのは、目で盗め」(45頁)と思うタイプの古い人間だ、と自分で言ってます。 目で盗め、か。なんか「落ち」が付いたようで、落ち着きました。 「CASE2」は、「友達泥棒」(54頁)のお話し。 iPhoneを持っていないので、「小学校の頃からの親友」(53頁)を泥棒されたと思い込んで悩む中一の少女。 「大事なものを盗んでいく目に見えない怪盗なんて、やっぱり存在するとは思えない」(90頁) ところで、横道にそれますが、各「CASE」の後の「intermedio」って何でしょう? 「幕間劇」と言って、学校の中を舞台としたオペラのようなものらしい。 最後の「CASE0」の「intermedio」は、映画の最後のシーンのようで、決まっています。心に残りました。 「にしても、絵がヘタクソだなあいつは」(239頁) 平吉(モン吉さん)最後のセリフ。 「あいつ」って、乱暴な言い方ですが、皆藤(かいとう)くんのことですよ。 初代怪盗(かいとう)インビジブルだった、皆藤マサハルくん。 あれー、あれから四十年後には「校長の皆藤真治(かいとうまさはる)」(43頁)先生。 「CASE3」は、結婚か、仕事かを選びかねてぐずぐずしている女教師のお話し。 「ぐずぐずすることは、時間を盗む泥棒である」(104頁) 「どうして、わざわざ目の前にある美しいものを踏みつけるのか。見えないのか、見ないふりをしているのか」(109頁) 「怪盗インビジブルは、サプライズの空気の中から、今日子の涙を盗み取っていった」(132頁) 読者としては感動して、思わず素直に泣いてしまいましたよ。 「CASE4」は、… と書きかけたまま、この本の表紙の装画(旭ハジメ)をあらためてながめています。 真ん中の女の子の手から黄色い(オレンジ色の)付箋紙が何枚も何枚も飛び出しています。 女の子が手に持っている付箋紙には「ネコの絵」が小さく見えます。 宙を舞う付箋紙にも、五、六枚に「下手くそ」でかわいいネコの絵が描かれています。 その女の子の背中を見ている男子ふたり。 「細身だが筋肉質で背の高いダイスケ」(6頁)と「ぽっちゃり系で背が低く、見た目は幼い」ケンのようです。 この表紙の装画は、親切すぎるかも。表紙を見ただけで、本の中身が想像(創造)できそう。 付箋紙に混じって、レポート用紙も二枚飛んでいるんですもの。 左上の黒い陰の中には、廊下に怪しげな人影が見えます。咥え煙草の小林平吉か… たぶん「人気(ひとけ)のない理科室」(213頁)の前なのでしょう。 手からは、白いけむりのようなものも小さく見えます。「お手製の発煙筒」(214頁)からのけむりのようです。 「神出鬼没の平吉を、当時の米軍兵士たちは、腹立たしさとほんの少しの敬意をこめて、『The Phantom Thief(怪盗)』だとか、『Invisible Man(透明人間)』というあだ名で呼んでいたようだ」(215頁) 最後の「CASE0」は、少し異質な物語で、四十年「前」の怪盗インビジブルのお話し。 「初代・怪盗インビジブルがネコのイラストに込めた思いは忘れ去られ、犯行声明は『黄色の付箋紙』になり、『一番大事なものだけは盗まない怪盗』は『人の一番大事なものを盗む泥棒』になってしまった」(232頁) あー、おもしろかった。 | ||||
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5つの短編がおさめられています。 1~3話までは、怪盗インビジブルによる盗難を、単なる道具立てにした、学園ストーリーです。 文部科学省推薦、夏休み読書感想文課題指定図書、といったおもむきの、毒のない健全な小説でした。 もちろん、それはそれでかまわないのですが。 ところが4話になって、急に暗いイヤな話になります。 そして、5話にいたっては、突然過去に話がとび、元祖怪盗インビジブルの物語となります。義賊的な活躍を描いたつもりかもしれませんが、あまり爽快感はありません。 おまけに、ある人物が現在はもう死んでいる、というくだりがあります。 え、どうして死んだことにする必要があるの? とおどろきました。 そこでふと思ったのですが、もしかすると、この著者は、自分が作ったキャラクタに愛情を持っていないのではないでしょうか。 そう考えると、各キャラクタが妙に温かみの無いことが、納得いくのです。 もちろん、実際は違うのかもしれませんが、私にはそう感じられた、ということです。 | ||||
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