(短編集)
日曜日と九つの短篇(棚の隅)
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題名通り、10の短編(掌編と言っても良い)を収録した短編集。私は作者のデビュー当時(「変調二人羽織」)からのファンで、「白と黒」、「陰と陽」とを一瞬の内に反転させてしまう作者の"騙しの手腕"の虜となって来た。その意味において、作者の最高傑作は短編集「夜よ鼠たちのために」(こんな事が可能かと呆然とする程の傑作揃い)だと思う。ところが、本作は作者にしては珍しい作風の作品だと思う。ミステリでもなく、(男女の関係こそ出ては来るものの)恋愛小説でもなく、読者に温もり・癒しを与える短編集である。 冒頭の「日曜日」に、観覧車のシーンが出て来る事もあって、私は荻原浩氏「月の上の観覧車」を思い浮かべた。傷を背負った男女の交錯を描き、優しく見守ると共に、見据えるべき将来をそれとなく示唆するというハート・ウォーミングな短編揃いである。その中で、<桔梗の花>をモチーフとし、<花葬>シリーズを想起させる「母の手紙」は、本作中ではミステリ的趣向を凝らした異色作(佳作)であるが、作者のファンにとっては既視感が強く、「レジェンド」に採られる程の傑作とは思えなかった。むしろ、上述した「日曜日」の方が本作の意匠を良く反映していて印象に残った。 「幸福を追求する生き方」が、必ずしも「幸せ」をもたらさない、という含蓄のある人生観が全編を通底している様な気がした。作者の熟練した小説技巧が味わえる秀作だと思う。なお、本作は絶版の様で、中古本しか手に入らないのは誠に惜しい。出版社の再考をお願いしたい。 | ||||
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当初は表紙はきれいだけど本体のヤケがひどくて 読みたくなかった。 けど。パラパラとめくっているうち面白そう。 昨日今日で読んでしまいました。 「日曜日と九つの短篇」とあるように全部で10篇の短編。 女心を描くのがほんとに上手というか。このガサツな ガサツゆえによりいっそう感じてしまうのか 連城三紀彦36歳のときの作品というから恐れ入ります。 日常を丁寧にていねいに描いていて。つい見落としてしまうような 小さなちいさな事柄でも連城三紀彦の手にかかると そこに優しい光りが当てられ。でもカンカン照りではなくて 夕陽のような。翳りのような。ほっとするような。 やすらぎすら感じます。そこに猛毒があっても。その毒すら魅力的。 「母の手紙」が一番すごいです。伏線が張られていて最後まで 惹きつけられて読みました。 解説によると映像化されたらしい。どういうシナリオだったのか 興味津々。それと表紙の絵は萩原健一というからびっくり。 中古ではなくて新刊のほうがよかった。 そうおもうばかり。 | ||||
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大杉漣の主演で今年映画が公開された「棚の隅」が入っている短編集です。 この本に所収された十編の短編は、「棚の隅」に忘れ去られたような人たちの、忘れ去っていたが、でも心の隅にくすぶっていた過去の恋心を思い起こさせる作品です。その形態は様々ですが、悔いの残る終わり方をした恋ばかりです。決して、その忘れていた恋が、改めて成就するという結末にはなっていません。というか、そこまで書かれてはいません。でも、そこには一つの決着があり、過去の恋は何らかの決着を見ます。 その過去の恋を思い出し、切なさを募らせる人々の心は、読む側の心をも何となくセンチメンタルにしてくれます。 どこにでもいるような登場人物たちの切ない心は、それ故にリアルな「心」として伝わってきます。 映画「棚の隅」は、原作にこうした十編全部の雰囲気を取り込んだ作品になっています。 | ||||
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