あなたをつくります(あなたを合成します)
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初版刊行(参考)
種別
長編
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あらすじ
評判
あなたをつくります(あなたを合成します)の評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 - ランク
あなたをつくります(あなたを合成します)の総合評価:
8.00/10点 レビュー 4件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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最初はいつものディックらしいストーリーである。落ち目の電子オルガンメーカーが起死回生の製品として製作した「シミュラクラ(模造人間)」。これを主人公(わたし)は反感を覚えながらもアメリカ一の実業家に売り込もうとするが・・・みたいな出だし。
ディックにはめずらしく一人称の主人公、しかもこの「わたし」は少しナーバスで偏屈なところがあり、それを隠そうともしない。なんだかそう好かれそうにもないこの「わたし」を、ディックにしては非常に珍しく一人称で語り続けるその理由は、後半、「わたし」が同僚の娘で精神分裂病で入院歴を持つ黒髪の少女プリスに出会ったところから分かりはじめる。
他人の心に共感できず、試したり利用してばかりのやっせっぽっちのプリスに、罵倒され、時には誘惑?され(それすらもどういう思いからのことか「わたし」には到底理解できない)、翻弄されつづける「わたし」。後半は遂にシミュラクラに心から共感し、ますます自分も人間もわからなくなっていく「わたし」。そしてプリスのあまりにも絶望的な拒絶と、激しい妄想に溺れていく「わたし」。その「わたし」の心がこわれていく様は、共感とか感情移入というより、自分も心を失ってしまいそうなくらいの素晴らしい描写だった。
ある時期のディックらしく、プロットは混線し伏線は忘れられ、混迷を深めていくのだが、この破綻ぶりが、これは黒髪のヒロインに出会った「わたし」と、書き手であるディック、そして読んでいて涙を貯めたくなる読者、3者の混乱と悲しみそのものを表してしているかのようで、かえって情動的な作品になっている。ちょうど、人と話しているときに、悲しい思い出に触れてしまい、そっちに話がどんどん進んでいってしまったときのようだ。
やるせない悲しい読後感は忘れられない。ぜひ買って、何度か読む愛読書の一つに加えて下さい。