(短編集)
黒岩涙香探偵小説選〈1〉
- 探偵小説選 (68)
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2000年頃に黒岩涙香の小説を読もうと思えば、創元推理文庫…“日本探偵小説全集1:黒岩涙香/小酒井不木/甲賀三郎集”…所収、涙香唯一の創作とされる“無惨”の他に入手できるものはなかった。なので、満を持して(?)こうして彼の作品集がハードカヴァーで刊行された意義は大きい。私はなにより“無惨”“幽霊塔”以外の涙香を読めること自体が嬉しかった1人である。 お読みになられれば納得されると思う、涙香の生涯に渡る非常に広汎な仕事のうち、体裁上外国の推理/ミステリの翻案という形で書かれた小説群は、この後に続いた乱歩や正史、夢野久作、小栗虫太郎らの登場によって一気に花開く日本の探偵/推理/ミステリの実質“パイオニア”と云えるものであった。 涙香の短編を今の目で読むと、その内容や“おち”に或る稚拙さを認める方も居るかもしれない。乱歩や久作に至って、ペーソスや籠められた意味/内容はより複雑になり、思想は深められたともいえる。しかしこの作品集を読むと、“乱歩独自のもの”と思われた彼独特の“語り口”は如何に(落語のみならず)涙香から多大な影響を受けているか、を十分に確認できることと思う。 涙香の文章は明治期特有の文語体ゆえ、最初は読みにくく感じられるかもしれないが、そんな事はない。彼の“語り口”の巧さは時を越えて読者を惹き付ける。私たちが乱歩を読んでいて謎解きやトリックの類型に思いを巡らすよりも先ず、何より彼の“文体”に酔わされるのと正に同じ事なのだ。涙香と乱歩は日本語の魔力を掴んでいた。 最初は“歴史の資料”として涙香作品に入られてもよいと思う。しかしここから深入りすれば、生涯に渡って涙香を絶賛した乱歩のように、彼の遺した仕事の大きさを実感できる時がきっと来るはずだ。今後も涙香小説のうち、顧みられない“大作の翻案小説”も刊行して欲しいと切に願っている。 | ||||
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