聖なる比率

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長編
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あらすじ

2008年10月10日 聖なる比率 上 (ランダムハウス講談社文庫 ヒ1-7)

クリスマスの5日前。ローマはいつにない大雪に見舞われていた。そんななか、閉館後のパンテオンに侵入者がいるとの通報を受けたローマ市警刑事ニック・コスタは、相棒のペローニとともに現場へ向かう。どうせ行き場をなくしたホームレスに違いない…。だが、天窓から雪舞い降りる幻想的な神殿で彼らを待ち受けていたのは、背中に不可解な紋様が刻まれた女性の全裸死体だった―。熱血新米刑事コスタシリーズ、第3弾。(「BOOK」データベースより)

評判

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No.1
(4pt)

抜群のキャラクター造形と謎

待ち遠しかったニック・コスタシリーズの第三弾。

20年ぶりの大雪に閉ざされたローマで、彼が恋に落ちる相手は、彼と同じぐらい恋愛に不器用な、(仕事でもまるで駄目な!)チャーミングな女性である。
失敗続きの彼女が、ニックを誘惑しようとして失敗して、「男ひとりも捕まえられないなんて」とガックリするくだりは最高である。

そうした細部のチャーミングさと、ローマの歴史、舞台をフルにいかした重厚な舞台設定を背景に、陰惨な殺人事件を、「聖なる比率」(セイクリッド・カット)の言葉に収斂させてゆくヒューソンの筆致は見事である。

全編にわたってページを繰るのももどかしいほど。
雪に閉ざされたローマの街を、ニックとともに凍えながら歩き、13才のクルド人のスリの少女とともに、暗い街をひた走る。
顔に見合わず子煩悩な同僚刑事ペローニの悩み、上司のファルコーネの孤独感もいい。
被害者も、ヒューソンの筆によって、つかの間、生の輝きを放つのである。

事件のテーマは、戦争によって破壊された人間の痛みと狂気だが、作者が描きだすのは残酷さだけではない。心を病んだ少女に、無骨な男たちがみせる優しさは何度も読み返したくなる。
前作を知らなくても楽しめる作品となっているが、一作目、二作目も傑作である。

前作と比較すれば、ニックは新米刑事ではなくなり、すこしタフになり、前作のような脱線行為は少なくなっている。その分、脇を固める警察署の面々が、ぐっと存在感を増した。
凶悪な面構えの相棒ペローニの優しさ、次になにをやらかすかわからない病理学者のクレージーテレサ、伊達男で孤独な一面を合わせ持つ上司ファルコーネ。
ニックのファンより、ファルコーネ派の女性ファンのほうが多いかもしれない。
次作が待ち遠しいシリーズである。
聖なる比率 上 (ランダムハウス講談社文庫 ヒ1-7) Amazon書評・レビュー: 聖なる比率 上 (ランダムハウス講談社文庫 ヒ1-7)より
4270102381

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