聖なる比率
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待ち遠しかったニック・コスタシリーズの第三弾。 20年ぶりの大雪に閉ざされたローマで、彼が恋に落ちる相手は、彼と同じぐらい恋愛に不器用な、(仕事でもまるで駄目な!)チャーミングな女性である。 失敗続きの彼女が、ニックを誘惑しようとして失敗して、「男ひとりも捕まえられないなんて」とガックリするくだりは最高である。 そうした細部のチャーミングさと、ローマの歴史、舞台をフルにいかした重厚な舞台設定を背景に、陰惨な殺人事件を、「聖なる比率」(セイクリッド・カット)の言葉に収斂させてゆくヒューソンの筆致は見事である。 全編にわたってページを繰るのももどかしいほど。 雪に閉ざされたローマの街を、ニックとともに凍えながら歩き、13才のクルド人のスリの少女とともに、暗い街をひた走る。 顔に見合わず子煩悩な同僚刑事ペローニの悩み、上司のファルコーネの孤独感もいい。 被害者も、ヒューソンの筆によって、つかの間、生の輝きを放つのである。 事件のテーマは、戦争によって破壊された人間の痛みと狂気だが、作者が描きだすのは残酷さだけではない。心を病んだ少女に、無骨な男たちがみせる優しさは何度も読み返したくなる。 前作を知らなくても楽しめる作品となっているが、一作目、二作目も傑作である。 前作と比較すれば、ニックは新米刑事ではなくなり、すこしタフになり、前作のような脱線行為は少なくなっている。その分、脇を固める警察署の面々が、ぐっと存在感を増した。 凶悪な面構えの相棒ペローニの優しさ、次になにをやらかすかわからない病理学者のクレージーテレサ、伊達男で孤独な一面を合わせ持つ上司ファルコーネ。 ニックのファンより、ファルコーネ派の女性ファンのほうが多いかもしれない。 次作が待ち遠しいシリーズである。 | ||||
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