幻想と死の信越本線
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日本のトラベル・ミステリーの第一人者として御年87歳のご高齢を感じさせずに今も尚精力的に執筆を続ける西村京太郎氏の推理作法のテクニックを存分に味わえる四編が収録された好短編集です。本書は1992年の刊行から20年後の2012年に二度目の文庫化された作品集ですが(ちなみに私の持っている本はイラストもこれとは異なりますね)、微塵も古さを感じさせずに今読んでも十分に楽しめますし、短編小説ですので幾分あっさりとしてはいますが、展開と勝負のつくのが早くとにかくサクサクと読めますし、全てが一筋縄では行かない捻りの効いた意外性に満ちておりましてどなたも期待通りの読書の喜びを得られる事だろうと思いますね。ベテラン十津川警部の犯罪者心理を読み解きどんな難事件も必ずや解決へと導く手腕は心憎い程のお見事さで、彼をまんまと騙して出し抜き逃げ切るのはもはや不可能事と言ってよいだろうなと思いますよね。 『阿蘇で死んだ刑事』南阿蘇鉄道のレールバスが突然爆発し運転手と乗客の八人が犠牲者となる凄惨な大事件が起きた。やがて死者の中に迷宮事件を追っていたらしい現職刑事がいた事が判明して十津川警部と亀井刑事が急遽出張って来るのだった。種明かしされてみると直ちに納得できますが、刑事が何故犯人を追って下車しなかったか?の謎の答は意表を突いて鮮やかでしたね。まあ誠に不運な(刑事にとっての)タイミングの偶然はあまりに出来過ぎなのが気にはなりますがでも犯罪の全貌は論理的に巧く考えられていると思いますし、終盤での十津川警部が頭脳だけでない体当たりの活躍を見せるサスペンスに満ちたシーンにも大満足でしたね。『北の果ての殺意』北海道東部の根室本線で謎の横転事故が2ヶ月続けて起きしかも2度目には遂に死者一名が出てしまうのだった。奇妙な犯罪の意図がさっぱり掴めず五里霧中で幻惑される読み心地が抜群でしたね。それにしてもこんなに目立つ手段で真の目的を隠して犯行を行う犯人の大胆不敵さに驚かされますね。一旦は犯人の目星がついて後は時間の問題だなと思わせておいての逆転の展開がお見事でしたね。『南紀 夏の終わりの殺人』元刑事で今は私立探偵の橋本が今回依頼されたのは南紀白浜に旅行に出掛けたまま帰って来ない妹の行方を調べて欲しいという失踪事件だったが・・・・。東京で起きた別件の殺人事件を追う十津川警部と橋本の調査が思わぬ交差を見せるのですが、流石に現役警部の方に一日の長があっておいそれと騙されはしない全てを疑って掛かる鋭い推理力の差を感じさせてくれますね。最後の犯人の告白には普通人が殺人者に転げ落ちる心理のタガが外れる瞬間が吐露されていて迫真的でしたね。『幻想と死の信越本線』十津川警部は11年前に行方不明になった姉が殺されたと信じる若い女性の訪問を受け調査を頼まれるのだが、やがてその手掛かりと思われる旅館焼失事件のエッセイを書いた旅行作家が毒殺されてしまうのだった。本書の表題作で私はこのタイトルはややオーバー過ぎるかなとも思えますが、魅力的で読者を惹きつける効果はありますね。実際は鉄道が関係する部分もごく僅かなのですが、そこは著者の看板の舞台ですから止むを得ないでしょうね。中々に入り組んだ複雑な事件のからくりで最後のどんでん返しにも大満足でしたね。まあ過去の未解決事件に再び注目を集める事で寝た子を起こす事となったのがそもそもの失敗とは言えますが、どんなに昔の出来事であれ悪事は何時までも平穏に眠っておらず結局は露見してしまうという教訓なのでしょうね。 | ||||
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放火の話を昔の話として書いた作家。 そのときに死んだ女性が姉ではないかとの問い合わせ。 なんとなく,結末が見えていたのが難点だ。 あまのじゃくの十津川警部の物語で,素直にその通りになる確率は2割未満かも。となれば,死んだ女性は姉ではない確率の方が高いと見るのが,十津川警部愛好家かも。 | ||||
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