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コタロウ さんのレビュー一覧
コタロウさんのページへ書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点8.18pt |
レビュー数11件
全11件 1~11 1/1ページ
※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
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高校時代の友人がキリスト教の学校に通っていました。
朝の学校内での掃除時間、教会内の掃除担当になっていた友人はキリスト像を 綺麗にするため雑巾で像をふいていました。 しかしその雑巾でふくという行為をシスターに見咎められ、友人は停学になってしまいました。 真面目に良かれと思ってやった事なのに処分を受けた友人は当時この件に納得できなかったそうです。 「ラットマン」を読んで友人が経験したこの停学の件を思い出しました。 こちらが持つ掃除に対する固定観念と宗教系学校ならではの規則、縛りによる認識の違いに、この話を聞いた当時は 大笑いしつつも釈然としないものが自分の中に残ったものでした。 個人レベルでの先入観、思い込みは程度の差はあれど時に悲劇(喜劇)を生むのだと改めて思いました。 内容やニュアンスなど全然違いますが、なぜか読了してこの昔話を思い出してしまいました~ 肝心の小説自体は、どんでん返しが自分好みでとても素晴らしい作品でした! |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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しばらく読書から離れていたので久々の読了です!
至る所に作者のミステリ愛が溢れており大いに堪能させて頂きました。 1、2などの章仕立てではなく幕間の見出しで今後の展開が示唆されるという、非常に読み手を くすぐる構成で面白いです。 トリック自体は地味な印象で派手さは無いのですが、キャラクター個々が立っており飽きずに 読み進める事が出来ました。(特にワトソン役はボヤキ節も秀逸でポイント高いです。) クライマックスのどんでん返しは「なぁに~!」と一瞬呆気にとられますが、見事な伏線が 前半に張られていた事に気づき降参。本当にフェアに展開されているので作者の力量に舌を巻きます。 この作品に限っては映像化も出来るのではないかと思うのですがどうでしょうか? とにかく作者のミステリ愛が心地よく、こちらも嬉しくなってしまう一作でした~ |
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本屋にて即購入。
御手洗潔シリーズを手に取るつもりが、ゆるいキャラクターのジャケ(失礼!)に引き寄せられました。 前から気になっていた作品ではあったのですが、最近復刊したのか本屋さんでも大きくコーナーを設けてありました。 約二百数十ページの短い小説で、集中して読めば3時間ぐらいであっという間に読めてしまう本作。 宗教団体の後継者問題とその教団が流布する経典の謎に怪しい3人組が巻き込まれていく様をテンポよく描いており ページを捲る手を止められませんでした。 細かな伏線を回収するクライマックスのまとめ方は無難な展開と言えるかもしれませんが、ラストで明かされる大仕掛けは それら全てを吹き飛ばす程のインパクトを持っています。 こういう仕掛け大好きです! あまり書くとネタばれになってしまうのですが、倉阪鬼一郎氏のある作品はこのネタを更に発展させたものなんですね。 やっぱり読書はやめられないです。 |
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読み終わりました!
皆さん指摘されている通り、冒頭を読むのは一苦労でした。(「魍魎の匣」の中盤のうんちくに比べたらまだ読み進めやすかったですが) 御手洗の「電話帳~」の件が過ぎると一気にテンポアップ。島田荘司ワールドを堪能しました。 現在進行形の事件ではなく、発生して40年経過した迷宮入り事件を解決するというお話は最近あまりお目にかかって無く新鮮。 40年間、日本中が頭を悩ませても解けなかった謎を1週間で解決するため奔走する御手洗、石岡コンビには 読む側も燃えますね。 一つ一つの状況の解釈の仕方も2人の会話からいろんなパターンが挙げられており、なかなかにリアルで作者の力量に 感動すら覚えます。 丁寧なラストの犯人側からの説明でパズルのピースが全て埋まった瞬間、ミステリって素敵だな、と素直に思いました。 国内作家、海外作家を交互に読むようにしているのですが、浮気してもう1作品、御手洗シリーズを読みたいと思います。 それだけ魅力のある作品だったという事ですね(笑) |
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冒頭の一文から作品世界に引き込まれます。
古典ですが古さを感じさせない展開、タイムリミット系の走りだという事ですが 今読んでも面白い! 妻殺しの容疑をかけられた夫。妻が殺害された時間にバーで初対面の女と過ごして いたと主張するものの、その女が見つからない。女と過ごしたバー、レストラン、劇場に 警察と赴き女の存在を立証しようとするが、誰もそんな女は見ていないと証言する。 結果アリバイを証明できず裁判で有罪になり死刑を待つ身となる夫。 死刑執行前に夫を救うべく親友の一人が女を探し奔走する。 果たして幻の女は見つかるのか?・・・というお話。 正直クライマックスは油断してました。 読んでいる間は、女が見つかるのかに焦点がいってしまっており、まさかの どんでん返しにはビックリ。勘の良い方は分かるでしょうが自分はまだまだです。 訳者の力も大きいでしょうがエスプリの効いた文章も味わい深く 良い読書時間を過ごさせてもらいました~ |
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肌に合う、合わないという感覚を普段の日常生活で感じる事はあまりないと思うのですが、この作品を読んでいる間は
その感覚がしきりに纏わりついて離れませんでした。 社会から隔絶された空間で起こる殺人事件、密室のトリックなど王道の展開を、機械的(というか機械)な人工物でコーティングした 作風で新鮮かつ異色な1本。 短い文章その物が全て記号や数字に見えてくる感覚。自分には合いませんでしたが、そういう感覚を味あわせて くれたという点では希少な作品と言えます。 でもやっぱりコンクリートよりは木が好きです! |
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約700頁にもわたる大作。間延びする事もなくあっという間に読めてします作者の筆致は見事です。
記号的な単発文章ではなく、その場所の雰囲気、人物の心象が頭に自然と入ってくる文章はやはり魅力の一つ。 綾辻さんの他の館シリーズとはまたひと味違う幻想・耽美的な世界観が作品全体を包み込んでいます。 館で起こる現象に明確な答えを提示していない点は好き嫌いが分かれそうですが幻想ミステリとして俯瞰すれば納得。 合間に交わされる「犯罪の本質」「探偵は秩序回復の道具」などの小ネタも面白い。 突き詰めれば人はなぜこの手のミステリ、物語を欲するのかにまで考えが及びそうです。 犯人の動機は若干あれですが、現実にもこういうマイノリティ思考な方はいそうな気が・・・ お外大嫌い、閉じ込められてナンボ、執事・メイドさんカモン!な方にはおすすめです~(褒め言葉です) |
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あれは私が社会人になり一人暮らしを始めたばかりの頃だったと思います。
夜10時頃、携帯に母から電話が。 週末の実家での親戚の集まりの件や最近どうかなどの内容でした。 翌日の仕事の件で頭が一杯だった私は、母の話にもどこか上の空で適当な相槌を返しておりました。 そろそろ電話を切る口実を見出そうとした頃、母の声が興奮を帯びたものに変わりました。 「そうそう、この前ね島田先生とカラオケに行って来たのよぉ」 母ご贔屓のミステリ作家、島田荘司のファンクラブの集いの後、ご本人とカラオケに繰り出したとの内容でした。 「歌がプロ並みに上手くて感動したわよ~」 そう興奮気味に話す母と、早く電話を切りたい私の温度差は激しく、その話に対する当時の私の返事は 「あ、そう」 という素っ気ないものになってしまいました。 さて「斜め屋敷の犯罪」です。 本格ミステリとしての舞台装置、キャラクター、トリック等まさに島田荘司というエッセンスが凝縮された作品でした。 後半に登場する御手洗潔の描写も面白く、総体的に島田荘司という作家を理解するうえでも重要な1本ではないかと思われます。 今、あの時と同じ内容の会話を母としていたらこう云うでしょう。 「母ちゃん、ズルい。うらやましいな!!」 と。 |
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このサイトに来るまでは全く知らなかった作家(すいません)、三津田信三氏の逸品!
古来の因習に縛られた村で起こる首切り殺人をどんでん返しの連続で圧倒的に描き切った本作、まさかのクリスマスイブに読了。 なので印象に残りまくりです。改めて再読しましたが日本特有のじめじめとした土着ホラーサスペンス、この質感が好きな方には たまらない作品だと思います。 首無し屍体に関する講義はもちろん、登場人物の行動、言動の伏線回収も抜かりなしで完成度が非常に高いです。 またクライマックスで展開する読者を翻弄するどんでん返しの連続では一種の高揚感さえ感じる事が出来ます。 現実ではありえない世界観を存分に味わう事が出来る本作は、匣の中の娘のごとくいつまでも愛でたい作品となりました(笑) 最後に、登場場面は少ない探偵役の刀城言耶。彼の列車を追いかけるシーン。素敵すぎます! |
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ミステリに興味が無い方でも、タイトルだけは何かしら一度は耳にした事があるのではないか、という本作。
恥ずかしながら本日初めて読了しました!有名すぎて今までなぜかスルーしていたのですがついに手に取りました。 使い古された言い方ですが本当に時代を越えて語り継がれる名作でした。このオチを知らずに今まで読書生活していたのが (奇蹟的に出来ていたのが)幸いしたのか、まっさらな気持ちで新鮮な感動を味わう事が出来ました。 中盤はひたすら事情聴取が続くのですがまったく飽きる事なく、あっという間にクライマックスへ。 細かな台詞の伏線回収も素晴らしく、特に女優の下りでは鳥肌が・・・二つの解決法とそれを包括する動機背景では涙が・・・ 今更ですがクリスティは凄いですね!次は何を読んだらいいのか悩みます。 |
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最近書店での露出が多く、また文庫帯の大袈裟な煽り文句に乗せられ購入しました。
決してアッと驚く結末では無かったけれども、時代背景や連作ひとつひとつの話は魅力的で引き込まれました。 読了して残るのはトリック云々ではなく、時代に抗い生きる人々の姿と、現代と過去の対比で浮彫になる苦悩とそこからの決別。 世界観含めミステリとしても正統派で良い読後感に包まれました。 個人的なお気に入りに。 |
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