八日目の蝉

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評判

八日目の蝉の評価:

4.06/5点 レビュー 425件。 A ランク

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平均点4.06pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全556件 481〜500 25/28ページ
No.76
(5pt)

なんといえばよいのか

ページを繰る手がとまりませんでした。この先どうなるんだろうと最後迄。
どう考えたってハッピーエンドはありえない道筋に、どう決着がつくんだろうとどきどきして読みました。
主人公希和子、その不倫相手、その妻。彼らはどうなったって自分で選んだ道だから、どうなったってしかたない。でも、薫は、まさに「なんで私なんだろう」だと思う。自分で選んだわけではないのに、自分は進んで誘拐される道を選んだわけではないのに、なぜ、この状況と。読み手としても理不尽だ、と彼女のおかれた立場に不幸を感じた。
でも、もしかしたらみんな多かれ少なかれ「なんで自分なんだろう」を抱えて生きているのかもしれない。希和子たちだって、好きで選んだわけではない、気づいたらここにいた、という状況だった。
与えられた状況の中で、最後薫が選択した未来は、希和子と薫が望んでいた幸せな未来かもしれない。そう思ったらどうしようもないストーリーの結末に、少し救われた。
面白かったけど、いろいろ考えてしまって、的確にその感想を選べないかんじの本でした。
八日目の蝉 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉 (中公文庫)より
4122054257
No.75
(4pt)

ストーリー自体は良い。

0章・1章は母親視点から、2章は娘視点から書かれている(ただし、部分的に例外はある)。
前半は、緊迫感溢れる逃亡生活を、後半は、逃亡後を描いている。最後まで勢いは止まらない。比較的長い話だったが、一気に読んでしまった。

ただし、気になるのが、裏表紙の紹介文と映画(2011年4月公開)の広報帯(これらの点は、作者の力量とは無関係なので、レビューの星の数に反映はしていない)。
私は、この本を読んで感動した。少し泣いた。けど「クライマックス」で、ではない。
むしろ、こういった話にありがちなラストだと思ったので、ラストで真新しい感動はなかった。
あとは、帯の「優しかったお母さんは、私を誘拐した人でした。」のコピー。もしかしたら、映画の方は、そういう仕立てになっているのかもしれないが、小説を読んだ限りでは、このコピーは合わないように思う。子どもの方に、こんな温くて緩い感覚は感じ取れなかったけどな…。
読んだあとに違和感が残った。

八日目の蝉 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉 (中公文庫)より
4122054257
No.74
(4pt)

哀し話

赤ん坊の笑みは、無条件で人を魅了する。
たとえ自分の子供でなくても、だ。
愛した男性の子供、自分ではなくその男の戸籍上の妻が産んだ子供、
その赤ん坊の微笑みに、3年間の逃亡生活を余儀なくされた女性。
愚かと言えば、全く愚かだ。
自分の人生も、子供の人生も、その両親の人生も、それで大きく狂ってしまう。
ただそれは結果であって、その時の彼女には、他に選択肢がなかったのだろう。
嫉妬、母性、復讐心、そのどれもなく、単に子供を抱きしめたかった。
哀しい話だと思いませんか。
八日目の蝉 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉 (中公文庫)より
4122054257
No.73
(5pt)

目の前にある、あまりにも儚い、幸せ

希和子は、愛した人の、生後6か月の赤ちゃんを連れ去り、
そして逃亡し、自分の娘として育て始める。
彼女の逃亡は、娘が4歳になるまで続き、ある日唐突に終わる。
それが描かれているのが第1章。

第2章では、成長した娘が、過去を受け入れるまでを描く。

読んでいて不安で不安で、切なくさせられるのは第1章だ。
希和子は、いつかこの幸せが、このもろく儚い幸せが壊され、
失われてしまうであろうことを知っており、
どうかこの瞬間が一瞬でも長く続きますようにと、
祈るような思いで日々を暮らす。
誘拐された娘は、理不尽な逃亡生活に付き合わされながらも、
あふれるほどの愛情をいっぱいに受けて、まっすぐに育つ。
その二人の健気な生きざまに、心を震わせずにはいられない。
儚すぎる幸せに、全てを賭けている様が。


八日目の蝉 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉 (中公文庫)より
4122054257
No.72
(5pt)

ラストシーンに特に感動

1章の希和子が薫を連れての逃避行も、母の子(実の子ではないわけですが)に対する愛情が
よく描かれてよかったですが、
2章の最後の10数頁で、恵理菜(かつての薫)がお腹の中に赤ん坊を身籠った状態で、
幼い頃を過ごした小豆島に向かう途中、彼女の心の中で大きな変化が生じる場面、
それにラストで、出所した希和子が、岡山港で恵理菜とニアミスするシーンに特に感動しました。

女性の子供に対する愛情は、こんなに大きく深いものなのでしょうか。
女性が子供を身ごもり、生み、育てるという行為は、こんなにも尊いもので、
こんなにも女性を強くするものなのでしょうか。

たいへん感動的な物語でした。
八日目の蝉 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉 (中公文庫)より
4122054257
No.71
(5pt)

素晴らしい!

角田光世氏の名前も前からしっていが、これが2冊目の読書となった。まず抜群に面白い。ネタばれになるため細か内容は割愛するが、特に第一章を描く緊張感をもった文章が素晴らしい。奪い、逃げ行く過程がスリリングで「すごいストーリーテラーだなあ」と感心しながら小説の中にぐんぐん引き込まれ、時間を忘れた。僕はつまらない小説を読むとストレスのため頭痛がする癖があるのだが(笑)痛みのいの字も感じさせないほどの一気読みだった。
ただ、純文学か中間小説なのかの微妙な域にある作品だが、これだけ完成度が高ければそんな事はどうでもいいと思わされた。本書の前「三面小説」を読み、その個性のない文体と手垢のついたモチーフに残念な感想をもったが、この作品を読んでそんな思いも吹き飛んだ。〜この5年程あまり本を読まず仕事にかまけていたが、そうした間にも素晴らしい作品がたくさん生まれ良い小説家が育っている。角田氏の小説は二本目であるため、残された本を読みあさるのが楽しみだ。
八日目の蝉 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉 (中公文庫)より
4122054257
No.70
(5pt)

直木賞作家・角田光代の “泣ける”感動作

もとは’05年11月から’06年7月まで「読売新聞」夕刊に連載された、直木賞作家・角田光代の“泣ける”感動作。’06年に創設された「中央公論文芸賞」の’07年第2回の受賞作。檀れい、北乃きい出演によりNHKでドラマ化され、’10年4・5月に放映された。そのDVDも発売されている。また’11年4月には永作博美、井上真央出演で映画化、29日からGW全国ロードショーもされる。不倫相手の乳幼児を誘拐し、3年半も逃亡生活を続けた野々宮希和子。彼女により薫と呼ばれて暮らし、希和子逮捕と共に本当の親元へ帰され、今は大学生となった秋山恵理菜。しかし恵理菜もまた妻子ある男の子供を身ごもる。 希和子と薫の逃亡生活を三人称で1章、2章では一人称で主に恵理菜のことを描きながらも希和子事件の実際のあらましにも触れている。この小説からは、このふたりの“母性愛の強さ”を感じないではいられなかった。世間一般には「犯罪」として、また「愚かな女」として「間違ったこと」をしたシチュエーションだろうけれども、すべてを捨ててもただひとつの大切なものを守りたいという思いが行間から切々とうかがわれるからである。 新聞連載小説でありながらこれほど魂が揺さぶられる物語を読んだのは、吉田修一の『悪人』以来であった。 とりわけ、ラスト数ページの希和子の描写が、ここまで読んできた者のこころをしっかりと捉えており、言葉ではいえないほどの余韻を残している。
八日目の蝉 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉 (中公文庫)より
4122054257
No.69
(5pt)

現実的な作品

第2回中央公論文芸賞受賞作。本作を原作として、NHKでドラマ化もされ、2011年4月には映画公開予定。不倫の果てに結ばれなかった男の子どもを誘拐した女の逃走劇を描く第1部と、成長したその子どもが自身の妊娠を機に、暗い過去と現実に悩みながらも、未来へ希望を持って羽ばたこうとする第2部で構成されている。子どもを誘拐された家族は両親の不倫が原因とマスコミによって暴露され、事件後も世間の目を逃げるように生活し、崩壊していく。「こんなはずではなかった」として人生や自身を受け入れられずに生きるこの家族の姿に、妙な共感をおぼえるのは、「こんなはずではなかった」的な悩みから派生する事件などを現在多く目にするからだろうか。ただ、そこから這い上がろうとする主人公の姿は、教科書通りのものではなく、悩みながらもとにかく一歩を踏み出した感じであり、何だかこちらも現実的で共感できる。この現実的であり、嘘っぽくない希望性がこの小説を素晴らしいものにしていると感じた。
八日目の蝉 (中公文庫) Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉 (中公文庫)より
4122054257
No.68
(5pt)

「家族」とは・・・、「生きる」とは・・・

不倫の末の6か月の子どもの誘拐から、3年半に渡る逃走劇。 希和子の行為は犯罪でありながら、読み進むにつれて無事に逃げることを望んでしまうのは何故でしょうか。 その逃亡は、戸籍もなく育児手帳も健康保険もないものです。 その綱渡りの逃亡劇に「母親」を感じてしまいます。 自分の産んだ子でなくとも、自分の愛した男の子であることで、十二分な愛情を注ぎます。 それは、彼女が子どもから奪ってしまったものを、償ってやるための様でもあります。 これでも一つの小説なのですが、そこから更に本筋に入って行きます。 後半は、この誘拐された子ども恵理菜(薫)の物語です。 4歳で大きな生活環境の変化に遭遇した彼女の心の痛みを中心に、エンジェルホームで出会った千草の助けを借りながら、そこから回復して行く姿を描いています。 自らを「八日目の蝉」と位置づけ、あってはならない存在として生きてきた恵理菜が、「八日目の蝉」だからこそ見られる人生を生きようとします。 「家族」とは何なのか? 「生きる」意味は? いろんな事を考えさせてくれる作品でした。
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.67
(5pt)

感じ方が合っているかはわかりませんが、、、

私は当然、男なので子供を産む事は出来ない。これは女性だけの特権である。この8日目の蝉という作品は知人から借りたものだが、私は最近では滅多に小説を読む事は無い。つい先日”悪人”を読んだばかりだが、それは本当に数年ぶりの事だ。いつもは電車という自分だけの閉鎖された時間の中で読むのだが、今日は自室という閉鎖された自分だけの空間でツイッターからの干渉から逃れるように集中して読みあさった。一言で言えば、親の存在とは先天的なものなのか後天的なものなのかといえば、後天的なものなのだろう。家族とは何か、絆とは何かそう言ったものが伝わってくるようであった。またここではカルト集団のような組織が出てくるが、相互扶助の精神の行き過ぎと、幼児誘拐事件の犯人の逃亡劇というコントラストが平和とスリルを交互に織り交ぜるあたりに技術の奥深さを感じる。この小説は2部構成になっていて、誘拐から逮捕までの母親の物語と、その誘拐された子が大人になって子供を授かり、生き別れたフェリー乗り場で育った場所へ戻っていく話になり、最後に二人はもう一度だけすれ違う。話の途中、蝉は7年土に居て、7日しか生きられないが、8日目まで生き残った蝉は何を見つめるのだろうかという部分がある。題名通りの8日目なのだが、本来存在しないはずの未来を見る事が出来たとき、そこには何が映っていたのかは解らないが、きっとそれは明るい未来だろうと理解する薫と、薫を失い絶望を背負いながらも、どこかで薫に会えるだろうと思う京子は、やはり血はつながっていなくても母子なのだ。近年、親が子供を育てられず、無惨にも死に至らしめる話がある中、ママゴトだった子育てが、誰にでも周りのサポートと経験を経る事で、きちんと行える事、そして、そこには血のつながりは関係のない事(言いたい事では無いにしろ)が書かれている。京子の行った事は決して褒められる事ではないし、犯罪だ。だがしかし、親で居る事、愛情を注ぐ事には何も変わらないのである。私たちは失った何かをもう一度、取り戻すべきなのではないだろうか?
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.66
(5pt)

今年最大の感動

最近極度の不眠症の為、この本を少し読んでぐっすり寝るつもりでした。
ところが、最後まで読まずに寝ることはできず、また読み終えた後も
本書のいろんな情景が頭の中を巡り、一睡も出来ませんでした。
私は高松に住んでいた時に、小豆島によく行っていたので
情景を描きながら読むことができました。
どこにでもある田舎町なのですが、夕暮れに染まる造成されていない自然の景色に
心打たれたことを思い出します。
優しい母親とそんな環境で育った薫は、一生忘れることができない大切な記憶として
残ってしまったのだと何となくわかります。
希和子は、不幸な境遇ながらも幸せだった期間は、残りの人生と引き換えにしてでも
意味のあるものだったのでは無いかというのもなんとなく理解はできます。
私も7年前に2歳だった息子と離婚によって別れ、未だに会えずにいますが子供を育てた
苦労や成長の実感はかけがえのない思い出でとして今でも宝物です。
ただ、物心がつく前に人生を翻弄された子供にとってはどうなのでしょうか。
事件さえなければ苦しまなくて済んだのに、楽しかった思い出を封印しなくてはならないのか
といった葛藤は一生続くのではないでしょうか。
最後に自分の過去を受け入れ新しい生命と共に強く生きて行こうとする恵理菜の姿に
ホッとし、できれば希和子と感動の再会をして欲しいと
思ってしまいましたが、そこは余韻として残しておくのですね。
今年最大の感動と過度の不眠でくらくらです。
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.65
(5pt)

泣けて泣けて止まらない

胸がキュンとする
最初の数ページの展開からもうすぐに
泣けて泣けて泣けてしょうがない
フェリー乗り場でのシーン
さあ、はやく、はやく走って、後ろを振り返らないで!
そう、つい叫んでいる自分がいました
角田光代の企みは
ここに見事成功しました
また、感動をまっています
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.64
(5pt)

直木賞作家・角田光代の “泣ける”感動作

もとは’05年11月から’06年7月まで「読売新聞」夕刊に連載された、直木賞作家・角田光代の“泣ける”感動作。檀れい、北乃きい出演によりNHKでドラマ化され、’10年春放映された。
ドラマを観て感動した妻が「BOOK OFF」で見つけた原作の単行本を私も手にしたわけである。
不倫相手の乳幼児を誘拐し、3年半も逃亡生活を続けた野々宮希和子。彼女により薫と呼ばれて暮らし、希和子逮捕と共に本当の親元へ帰され、今は大学生となった秋山恵理菜。しかし恵理菜もまた妻子ある男の子供を身ごもる。
希和子と薫の逃亡生活を三人称で1章、2章では一人称で主に恵理菜のことを描きながらも希和子事件の実際のあらましにも触れている。この小説からは、このふたりの“母性愛の強さ”を感じないではいられなかった。世間一般には「犯罪」として、また「愚かな女」として「間違ったこと」をしたシチュエーションだろうけれども、すべてを捨ててもただひとつの大切なものを守りたいという思いが行間から切々とうかがわれるからである。新聞連載小説でありながらこれほど魂が揺さぶられる物語を読んだのは、吉田修一の『悪人』以来であった。
とりわけ、ラスト数ページの希和子の描写が、ここまで読んできた者のこころをしっかりと捉えており、言葉ではいえないほどの余韻を残している。
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.63
(4pt)

前半の緊迫感が最後まで続けば.....

本作は読売新聞の夕刊に連載されていたものだが、連載終了後の紙上インタビューで角田氏はこう述べている。「私はロクでもない男を愛人にする女、その愛人の幼児を誘拐する女の心理を理解出来ない」。気負いのない清々しい発言だと思った。読者が本作の世界を、作者と同一のスタートラインに立って読める所以である。
インタビュー通り、ヒロインの"心の闇"(何てあやふやな言葉)を暴き出そうとの驕慢な姿勢はない。むしろ、作者はヒロインと行動・思考回路を共にしているかの様である。紙オムツ、ミルク、風呂入れ、離乳食など、子供を持った人なら誰でも経験する瑣事を丹念に描く一方、ヒロインの狂気を自然な形で映し出す。ヒロインが「...私には分からない」と呟く時、作者の胸中も同様だったのではないか。ヒロインが時折垣間見せる狂気を除けば、あたかも日常を描いているかのような筆致なので、読む側と作品との間に距離感が無い。一方、作品が醸し出す狂気が次第に堆積して行き、息苦しさが増す。
宗教団体の部分はやや疑問。世間から隔絶された世界が必要だったのだろうが、物語が別の方向へ行きそうで、この部分で気が逸れた。続く小豆島での生活が本作のハイライトであり、牧歌的日常の中に潜む静かな狂気と危機感を描いて圧巻だと思ったが...。続く薫の章は必要だったのであろうか ? 「誘拐が子供に与える影響の深さ」、「実子が戻った事に依る家庭の崩壊(元から崩壊していたが)」、「誘拐犯の子が選択する、犯人と似て非なる前向きな人生」と言ったありきたりの内容が書かれているだけ。本作を通して、「家族のあり方」や「人生の意義」を問い掛けると言う趣向は分かるとしても、前半と比べ平凡に堕する感は否めない。常に前向きな姿勢を見せる作者らしい結末とも言えるが、本作の場合、"終らせ方"に何か一工夫あっても良かったのではないか。
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.62
(5pt)

ふたつよいことさてないものよ

「自分の環境は、選べるものと選べないものがある」そういう当たり前のことを再確認させてくれた作品でした。
設定が奇抜で感情移入出来ないかと思って読んでいましたが、徐々に2人の主人公に引き込まれていきました。
hopelessなようでhopefulな作品。
自己の現状に疑問を感じている人に、過去への諦め・許容と未来への希望を感じさせてくれると思います。
角田作品は他に「対岸の彼女」や「空中庭園」を読んで私の好みではなかったですが、この作品は一味違うと感じました。
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.61
(4pt)

エンジェルホーム

ドラマを途中まで見てから本を購入して、一気に読んだ。
エンジェルホームは、最初は「なにそれ」と思ったけれど、読み進むうちに、社会で居場所のなくなった女性の精神的よりどころになる場所として結構現実的に必要なのかも、と思えるようになった。女性は男性と違って社会的地位がまだ低いから・・・。
もしかして、本当にエンジェルホームみたいな施設があるのかもしれない、とも思った。需要はあるはずだから。
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.60
(4pt)

母とは

女の核心部分をついてくるような小説だ。
角田さんのつむぐ言葉は、平易で、シンプルでいて、女の心をすっと突く。
痛い部分をまさぐられるのに、決して責められているわけじゃない。
いいんだよ、と許され、なぐさめられている感じがする。
女の、あっちへこっちへたゆたう不安や、分かっていても流されてしまう弱さを、
これほどまでに精緻に、そのありのままに、書いている小説があろうか。
女の、男性に対する女としての部分。
子に対する母としての部分。
友人に対する部分。
多面体の女が、この小説には裸にされている。
とくに、子供に対する母親の感情。
その描写はすさまじい。
子供を持ったことのない私でさえ、鳥肌がたつくらいの、ぴしゃりとはまる表現。
母親のシンプルな愛。
涙が出てしまう。
とても弱いのに、とても強い。
とても賢いのに、とても愚か。
そんな、いとしい女たちの、等身大の小説が、ここにある。
おもしろかったです。
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.59
(4pt)

生々しい人間描写

 人間って完璧になりたいけれどなれない苦しい存在なんだなーって思ったのが読んだ後の感想でした。
希和子も不倫相手の男もその妻も・・。でも、与えられた「役割」をこなさなくちゃいけなくて、でも上手く出来なくて。。本人だけでなく子どもも周りも苦しい。。そんな描写がリアルすぎて、涙が出ました。
 どんな役割だって、与えられて上手く出来るときもあるし、出来ない時もある。当たり前の事なのに、成功例ばかりを見ちゃっているから出来ない自分にびっくりしたり、失望したりすることが多いです。で、出来ない自分に折り合いをつけていくのがまた難しいのだと思います。。
 希和子は犯罪を犯して、与えられた自分でなく「なりたい自分」になれたのだと思います。だから、過酷な状況でも薫にとっては、最上の母親であったし、二人共幸せだったのだと思います。本当は捕まって欲しくなかった。したたかに、戸籍を誤魔化して、島の男性と結婚して欲しかったです。。
 
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.58
(4pt)

とても好きですが、ちょっと逃げた印象を受けます・・

以前から読みたいと思っていましたが、NHKのドラマをちらっと見たのがきっかけで
1Q84を読み終えたタイミングで購入しました。
私自身が2歳の男の子の父親であることもあって、とても感情移入してしまいました。
けっこうウルっと来る部分が多く、電車で読んでいる時など、ヤバかったです。
(「幼児誘拐など何があっても許されない!」という気持ちに蓋をする努力は必要でしたが。。)
全体的に、意図的か分かりませんが、描写が少しずつ足りない為、脳内補完が必要な
シーンが多く、しかしそのおかげで逆に、感情移入が深まった要素はあるように思います。
火事のくだりなどは、あえて(?)踏み込まれていないことで、色々な解釈が可能ですし、
うまいんじゃないでしょうか。
ですが、ラストについては、、、
嫌いではないのですが、この部分だけは、もう少しはっきりした結論が欲しかったなと、個人的には思います。
多くの人がレビューで言われてるように、私も「涙の再会」のようなラストは陳腐だな、とは
思いながら読んではいましたが、
しかしやはり、何らかの形で再会を果たしたところを、読者に想像させるだけでなく、
書き手の言葉で見せて欲しかったなぁ、、、と。
この手の作品で、ある程度以上はっきりした結論を出した場合、多かれ少なかれ賛否が
別れるだろうと思われますが、それを避ける為でしょうか(?)万人から否定されようのない、
抽象的なラストで、きれいにまとめてしまったなぁ、という印象を受けます。
ここは、逃げずに、勝負して欲しかったですね。。。個人的には。。
実際、勝負した場合、相当な確率で陳腐になり、そうしたことで安っぽくなった小説というのも
良く見ますので、現状がベストなのかもしれないですが。。。
しかしやはり、最後に号泣したかったなぁという欲求不満が残ったのも、個人的には事実ですね。。
でも、良い本だと思います。
他人には薦めたいです。
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165
No.57
(5pt)

他の著作も読みたくなります

 大人になった恵理菜は、希和子を「あの人」と呼んでいる。また、小さいころの恵理菜も、希和子に対して普通の家族以上の感情は持っていないように思えた。テレビドラマでは親子両思いで幸せの象徴のように描かれている小豆島時代も、原作ではそれほどではないように見えた。希和子の香に対する感情は片思いだったのだろうか?
 他の登場人物の中には(例えば、恵理菜の両親)、非常に動物的あるいは自分本位なものに描かれている人がいる。もし仮にそんな登場人物像に、著者の他人像が込められているとすれば、著者自身が人間不信なゆえに、そのような人物像を描いたのかもしれないと思ってしまう。太宰治の「人間失格」を思わせるような文章や場面がいくつもある。希和子は著者の偶像なのかもしれない。
 ストーリーはシンプルで、淡々と展開される場面も多いが、時折差し込まれる文章や情景に胸がしめつけられる。この本を読んだだけでは、著者が人間をどのようにみているのか分からない。不信なのか、本当は愛すべき存在だと考えているのか。他の著作も読みたい。
八日目の蝉 Amazon書評・レビュー: 八日目の蝉より
4120038165