絶望ノート
評判
絶望ノートの評価:
3.47/5点 レビュー 45件。 B ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全36件 21〜36 2/2ページ
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絶望ノートの評価:
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つまり、文字は、ナンビクワラ族のあいだに出現したわけなのだ。ただ、人が想像し得たかもしれないように苦労して習った挙句に、ではなかった。文字というものの実体は不明なままに、その象徴性が借用されたのだ。しかもそれは、知的な目的のためというより、社会学的な目的のためにであった。知ることや記録することや理解することが問題だったのではなく、或る個人――というより、或る役割――のもつ特権や権威を、他の者の犠牲において増大させることが求められていたのだ。まだ石器時代にある一人のインディオが、理解のためのこの偉大な手段は、それを理解していなくても他の目的に少なくとも役には立て得るということを感じ取ったのである。(レヴィ=ストロース『悲しき熱帯II』中公クラシックスp200-1)
文字は単なる記録の手段ではなく、人を動かす権力なのである、とレヴィ=ストロースは言う。文字は、それが文字であることにおいて、その真実性を宣言する。発音される「音そのもの」よりも、文字こそを人は信頼する。
『絶望ノート』はそうした文字の「力」を発想の根底に措いた傑作である。中条省平の解説にも述べられている通り、確かに『葉桜の季節に君を想うということ』には及ばないかもしれない。しかし、もしも歌野が『葉桜…』を書かなかったならば、本書は彼の代表作にもなり得ただろう。とすれば、歌野晶午が『葉桜…』を書いたことは、歌野にとっての不幸であり、同時に幸福でもあるのだ。