猛き箱舟
評判
猛き箱舟の評価:
4.65/5点 レビュー 55件。 S ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全97件 61〜80 4/5ページ
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猛き箱舟の評価:
4.65/5点 レビュー 55件。 S ランク
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一級品の男になるため、香坂正次は、灰色熊の異名をとる隠岐浩蔵を訪ねる。隠岐は、海外の組織犯罪から日本企業を守るため、非合法活動をおこなう傭兵たちのリーダであった。渋る隠岐であったが、香坂は、執拗なアプローチの末、マグレブでのミッションに参加することを許される。そのミッションとは、マグレブの利権渦巻くグ・エンザ鉱山を確保し、国益を守ることだった。香坂と、隠岐の要請に応じて参集した傭兵たちは、西サハラで作戦行動を開始する。やがて、砂塵の中からポリサリオ解放戦線の武装戦闘集団が姿をあらわす ・・・
船戸与一さんの冒険小説は、スケールがでかすぎて日本には収まりきらない。本作品も、ほぼマグレブ=北西アフリカ諸国が舞台となっている。モロッコ、アルジェリアの情勢や、ポリサリオ解放戦線の活動を背景に取り入れているのが面白い。それぞれの思惑が錯綜する中、熱砂で繰り広げられる緊迫した戦闘は、映画を見ているように臨場感がたっぷりだ。
登場人物たちのクセの強さも船戸さんの持ち味が良く出ている。「こんな人いない」というぐらい強烈な個性の持ち主がどんどん登場するのだ。彼らがどのように絡み合っていくのかがひとつの見所になっている。ただ、主人公の香坂は『山猫の夏』の山猫のような神秘的なカリスマ性を持っていないので、比較してしまうと魅力に欠けているように思える。
ストーリーは、作戦行動で、隠岐に囮として見捨てられた香坂の復讐劇に展開していく。ポリサリオ解放戦線の収容所の脱出行から、仲間だった傭兵たちに命を狙われていく香坂。ピンチ、またピンチの連続。先が見通せない香坂の未熟さが苛立たしさをつのらせる。だが、隠岐の執念深い裏切りと、ポリサリオ解放戦線の女性兵士との悲恋を経て、香坂は幽鬼の如き存在へ変貌する。そして舞台は日本へ ・・・ と続く。
舞台が日本に移るとスケールが急に小さくなったように感じてしまう。ラストの舞台に日本を選んだのは、西サハラが雄大だっただけに残念ではある。