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休日の断崖



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休日の断崖の評価: 5.00/5点 レビュー 1件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点5.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(5pt)

順風満帆の営業部長の謎の死?取引がらみ?女がらみ?はてさて家族関係?黒岩重吾氏の本格

営業マンから行動力と先見性で取締役に上り詰めた十川隆三は、年下ながらも気骨があり一代で建設業界で有名となる新聞社を築き上げた川草茂ると心を許しあう友人であった。

十川はその会社をさらなる発展へと導いた買収先の会社へ専務として栄転となりその夜も川草と大阪の法善寺横町で酒を酌み交わしていた。

そして翌日社の人間、十川を顧客にもつ証券会社社員、そして贔屓にしていたクラブ赤烏帽子のホステスたちに見送られながら十川は東京行きの列車「出雲」に乗って新天地へ...のはずが、なんと翌日十川は死体となって和歌の浦(関空の20キロ南あたりの名所)の断崖の下で発見される。

黒岩重吾の「背徳のメス」の前に書かれた長編推理小説。背徳のメスが病院という特殊な舞台で狭い人間関係のなかのストーリーであったのに対して、こちらの作品は、サラリーマンにとってはなじみのある世界で、組織の上下関係、取引先同士の関係、そして新聞社とのつながりというビジネスのしがらみと、夜の女達との関係の両方の面をうまくバランスさせて物語が構築されている。

短編集だととてもあっさりしているものもある重吾氏だけれど、この長編は本格派でミステリーの定義もしっかりされているし、犯人探しもあの手この手を尽くして情報が得られ仕事がらみか女がらみか、はたまた家族がらみか見当もつかない状態から少しずつ外堀が埋められていくようで読んでいて飽きさせない。

重吾氏お得意の西成飛田の風俗店(アルバイトサロン等)も登場するし、いろいろな世界が垣間見れておもしろい。

短編集で見せる文学的要素、愛情の深さといった面ではまだ浅さは見せるものの、重吾ファンとしてかなりオススメできる作品です。個人的には背徳のメスよりも面白いと思った。
休日の断崖 (角川文庫 緑 268-2)Amazon書評・レビュー:休日の断崖 (角川文庫 緑 268-2)より
4041268028

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