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殺人鬼
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殺人鬼の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.39pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全18件 1~18 1/1ページ
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この「殺人鬼」は横溝ブームの頃にわりと初期の頃に購入したので40年位前かと、文庫本も保管が悪かった為焼けて読めなくなったので新刊を購入。 | ||||
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本書は表題作の「殺人鬼」をはじめ、「黒蘭姫」「香水心中」「百日紅の下にて」の4篇を収録した横溝正史の中短篇集。すべての作品に名探偵・金田一耕助が登場する。 三角ビルの五階にあるオンボロな金田一耕助探偵事務所が登場する「黒蘭姫」や、めずらしく金田一に殺人事件以外の依頼が寄せられる「香水心中」など、それぞれ見どころの多い作品が揃っているのだが、なかでも白眉なのは「百日紅の下にて」だろう。 ●殺人鬼 「殺人鬼」は昭和22年12月から翌年2月までカストリ雑誌「りべらる」に連載された作品。連続殺人鬼が世間を騒がせていたある夜、探偵小説家の八代竜介は吉祥寺駅から自宅に向かう途中、夜道の一人歩きが怖いと怯える美人に声をかけられる。 彼女の名は賀川加奈子。前夫である亀井淳吉に付きまとわれる毎日を送っていた。加奈子に復縁をせまる淳吉は、黒づくめの服装で義足の音を響かせながら家の周りを歩き回っているという。そんななか、加奈子の駆け落ち相手である賀川達哉が殺される事件が発生。犯人は現場から逃げ出した淳吉だと思われたのだが……。 本作は作家である八代竜介の手記というスタイルを取っており、終戦直後を扱った横溝作品によく登場する義足の男が重要な役割を果たしている。戦災によって身体の一部が傷つき、義足や義眼となった人物はトリックに使いやすかったのだろう。 我らが金田一耕助はしきりにゴミをあさっている不審人物として登場するが、きちんと謎を解明してくれる。ただ、本作においては真犯人が霞むほどの衝撃が最後に待ち受けていた。 <登場人物> 八代竜介 … 探偵小説家。近所に住む賀川加奈子と知り合う。 賀川達哉 … ヤミブローカー。亀井淳吉とはいとこ同士。 賀川梅子 … 達哉の妻。関西では有名な女学校の経営者。 賀川加奈子 … 亀井淳吉の出征中、賀川達哉の内縁の妻となる。 亀井淳吉 … 賀川加奈子の前夫。義眼・義足となった復員兵。 金田一耕助 … 雀の巣の頭にくたびれた着物袴。ご存知名探偵。 ●黒蘭姫 「黒蘭姫」は昭和23年1月から3月まで「読物時事」に連載された作品。東京・銀座にあるエビス屋百貨店の貴金属売り場で万引きが発生。取り押さえようとしたフロア主任・沢井啓吉が刺殺された。 犯人は黒い外套に厚いヴェールを被った「黒蘭姫」と呼ばれる特別な存在で、百貨店内の万引きを黙認されていたことがわかってくる。支配人の糟谷六助が全てを知っているらしい事から解決は容易と思われたが、今度は喫茶室で毒殺された男の死体が発見されてしまう。はたして二つの殺人事件は黒蘭姫の仕業なのだろうか……。 この事件はなんといっても、京橋裏の三角ビル五階にある金田一耕助探偵事務所が登場するのがファンには嬉しいところ。金田一の旧友・風間俊六の二号が経営する割烹旅館「松月」に転がりこむ前、たった三ヶ月間だけ構えていたという探偵事務所である。 「三角ビルの三角であることを身をもって如実に示している」「部屋全体が三角」「まるで表現派のお芝居の舞台装置みたい」「椅子やデスクが三角でないのが不思議なくらい」「この部屋にあるのは、二脚の椅子とデスクがひとつ、ほかに書棚がひとつあるきりである」と書かれていることから、相当みすぼらしく狭かったことがうかがえる。 また、金田一の長年の相棒となる警視庁捜査一課の等々力警部も初めて登場するが、二人の出会いの描写はなく、本作より後の「暗闇の中の猫」で金田一と等々力警部は初めて出会っている。 <登場人物> 新野恭平 … 東京・銀座にあるエビス屋百貨店の社長。 新野珠樹 … 恭平の長女。万引きを繰り返す。通称・黒蘭姫。 糟谷六助 … エビス屋百貨店の支配人。新野珠樹の婚約者。 沢井啓吉 … 貴金属売り場の新しい主任。黒蘭姫に刺殺される。 磯野アキ … 貴金属売り場の古参店員。新野珠樹の同級生。 伏見順子 … 貴金属売り場の店員。 柴崎珠江 … 婦人服売り場の店員。 宮武謹ニ … 一週間ほど前にクビになった沢井啓吉の前任。 綾子 … 喫茶室のウェイトレス。 清子 … 喫茶室のウェイトレス。 等々力警部 … 警視庁捜査一課所属の警部。今回が初登場。 金田一耕助 … 京橋裏の三角ビルに事務所を構える私立探偵。 ●香水心中 「香水心中」は昭和33年11月「オール読物」で発表された作品。有名な化粧品会社の社長・常盤松代から調査の依頼を受けた金田一耕助は、休暇中の等々力警部と同乗し、彼女が別荘を所有する軽井沢へ向かった。 現地に到着してみると、松代は思い違いであったから、このまま手を引いてほしいと告げる。憤慨する金田一に、警察関係者である自分が一緒だったのがいけなかったと謝る等々力警部。 ところが、近くの別荘で心中死体が発見されたことから事態は急変する。女を絞殺してから首を吊ったと思われる男は松代の孫・常盤松樹であり、その遺体はバラの香りに包まれていた……。 本作は「霧の山荘」と同じく軽井沢を舞台にしており、トリックに香水が使われている点が特徴的な作品だ。絶対的な権力を持つ女傑と、それに従わざるをえない3人の孫というシチュエーションは実に横溝正史らしい。相変わらず仲が良い金田一と等々力警部に癒やされるが、事件の真相はあまり後味のよいものではなかった。 <登場人物> 常盤松代 … 化粧品会社「トキワ商会」の女社長。 常盤松蔵 … トキワ商会の創業者。松代の父。 常盤竜吉 … 松代の死別した夫。婿養子。旧姓・上原。 常盤松太郎 … 松代の長男。戦争で死亡。 常盤松次郎 … 松代の次男。戦争で死亡。 常盤松江 … 松代のひとり娘。故人。 常盤松樹 … 松太郎の遺児。香水心中事件の当事者。 常盤松彦 … 松次郎の遺児。亡母はカフェの女給だった。 川崎松子 … 松江の娘。 上原省三 … 竜吉の兄の孫。両親を失い松代に引き取られた。 小林美代子 … 松代の養女。省三のふたいとこ。妊娠している。 青野百合子 … 常盤松樹の愛人。香水心中事件の当事者。 青野太一 … 百合子の夫。ブローカー。 岡田警部補 … 若き捜査主任。金田一の活躍を知っている。 新井刑事 … 警視庁捜査一課所属の刑事。等々力警部の腹心。 等々力警部 … 警視庁捜査一課所属の警部。金田一耕助の相棒。 金田一耕助 … 軽井沢へ等々力警部と二人避暑に出かけた探偵。 ●百日紅の下にて 「百日紅の下にて」は昭和26年1月「改造」に発表された作品。終戦から1年たった昭和21年9月、佐伯一郎は焼け野原となった市ヶ谷にかつての住居を訪れ、焼け残った百日紅の木を眺めていた。 そこへ現れた復員者ふうの若い男。彼はニューギニヤで戦死した友人の川地謙三から、3年前に佐伯の屋敷で起こった事件の謎を解いてくれと頼まれたのだという。最初は渋っていた佐伯だったが、その事件の引き金となった由美という美少女について、ぽつぽつと語り始めたのだった……。 金田一耕助が戦後最初に手掛けた事件は、この「百日紅の下にて」であった。戦友が語った話を元に、過去に起きた悲劇の真相を暴く安楽椅子型の作品で、金田一は復員兵の姿で登場する。 しだいに明らかになる光源氏と紫の上のような異様な関係。誰かが毒を入れたはずなのに、狙った相手に毒が行くとはどうにも思えない状況。それらの真相は金田一耕助の推理により合理的に解明される。 毒殺ミステリとしても素晴らしいが、何よりラストシーンが素晴らしい余韻を残す。金田一ファンならば絶対に読んでおくべき作品。 <登場人物> 佐伯一郎 … 追憶に耽る義足の男。出征前4人に妻の保護を依頼。 佐伯由美 … 自殺した佐伯の若妻。百日紅の花を愛していた。 五味謹之助 … 佐伯の後輩。商社勤務。青酸カリを飲んで死亡。 志賀久平 … 佐伯の同窓。詩人。私立大学の講師。 鬼頭準一 … 佐伯家の元書生。軍需会社に勤務。 川地謙三 … 元不良少年。金田一の戦友。五味殺害の容疑者。 金田一耕助 … 川地謙三の訃報とことづけを伝えにきた復員兵。 | ||||
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が、ともかくよい!これを本のタイトルにすべしという意見に全く同意。 | ||||
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<「黒蘭姫」の感想のみ> Wikipediaでは、「金田一が犯人の自殺を制止した直後に等々力警部が身柄を確保しているので、両者が互いを認識できる距離にいたことは確実である。しかし、それ以上には明確な描写が無いため、両者の面識の有無は判断できない」と記載されている。 しかし明らかに金田一耕助は、犯人の逃走を予見して裏階段で待ち構えていたように描写されているから、「別の階段からあがって来た」(P.124)等々力警部とは、事前の打ち合わせができたうえで、警部は別の階段に待機していたと考えるべきではないだろうか。 そして、この時点で警視庁の警部が一民間人の耕助と打ち合わせていたという不思議は、執筆順で後付けに違いないものの、昭和22年の9月末から10月にかけて、『悪魔が来りて笛を吹く』事件(執筆は昭和26年後半から)があったことを考えれば何の不思議もない。 しかも同事件では、金田一耕助と等々力警部が戦前から関係あったことが記されている。 当然そうなると、「暗闇の中の猫」の記述とは矛盾してしまうわけだが、あちらは金田一耕助が登場していない原型作品を昭和31年に改稿した作品だから、その際のチョンボと考えてスルーした方がよいと個人的には思う。 つまりWikipediaでは本作を昭和21年11月の事件としているが、昭和22年11月だったとすれば、とても納得しやすい。本作の雑誌掲載が昭和23年1月号からだったことを考えれば、店頭に並んだ時期より少し前の設定だと捉えるほうがむしろ自然では? 同書が今手元にないので後日チェックするしかないが、その事件で耕助が美禰子の訪問を受けたのはどこだっただろうか……。 ――ところが、同書をチェックするまでもなくそうは問屋が卸さなかったw 昭和22年3月の事件である『黒猫亭事件』にて、その時点ですでに金田一耕助は三角ビルを離れて、松月に転がり込んでいることが描写されている。雑誌掲載は昭和22年12月号で、本作「黒蘭姫」はその直後、昭和23年1月~3月号の掲載である……。 別雑誌の掲載だし、執筆タイミングがその流れのままなのかは不明だが、その間は短い筈で、矛盾が生じるほど混乱するとは考え難い。 すなわち、この「黒蘭姫」事件は昭和21年11月に決定。 等々力警部とは、戦前すでに知り合って貸しがあったようだし、ギリ納得できる。 耕助が美禰子の訪問を受けたのは、松月の離れに違いない。(後日確認予定) いやぁスッキリ。 ――そして昭和24年5月号から雑誌連載された『死仮面』事件では、昭和23年9月と書かれた男の手記を読んだ金田一耕助が、その半月後に三角ビルで捜査依頼を受けるのである……。 ちなみに、それは『八つ墓村』事件が解決した後であることも明記されていて、もーどーしよーもないww "松月の離れ"は金田一耕助の所在として有名なのだが、居候のことでもあるし、『黒猫亭事件』後も三角ビルと行ったり来たりを繰り返していたと考えることも可能かw 三角ビルの事務所に寝泊りは辛そうだし、「蝙蝠と蛞蝓」の下宿は捜査に関わる一時的なものなので、一時期は松月の離れから三角ビルに通っていたとか? 芦辺拓あたりがオマージュ作品でうまくフォローしてくれてないかな……。 ところで、作品自体の感想も書いておくと、――直前の「殺人鬼」もそうだけれど――コネコネクチャクチャ度が上がってきた気配がする。耕助が依頼を受けて、現場に到着してから犯人の目星をつけるのがいくらなんでも早過ぎないか? もちろん頁数の都合というメタは抜きで。 ま、コロンボとかもそうかww ついでながら、宝石の万引き&見とがめられて店員刺殺のプロットは、ほとんどそのまま後の「霧の中の女」に再利用されている。 たしかその犯人は検挙されなかった。 まさか、黒蘭姫がやらかしたのではww | ||||
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横溝正史というひとは、長編の構想力もたいしたものだが短編、中編の切れのよさもあり、器用な作家といえる。 古典ミステリ作家で長編も短編もレベルが高いといえば、ディクスン・カー、エラリー・クイーン、アガサ・クリスティなどいる。 だだ、これらの作家と比べても横溝正史の器用さは際立っている。 名探偵物という枠に縛られた小説スタイルにも関わらず、演出方法が作品ごとに工夫がみられる。 この短編集には収録されていないが、失踪した人物がいた直前までいたはずの場所に発見される「鴉の死骸」といった怪奇趣味的な謎が論理的に解決される『鴉』、打って変わって諧謔趣味的な語り手が語る下宿屋の住居人への人間観察とその下宿屋で起きた殺人事件の顛末を描く全体的に不思議なユーモアが漂う『蝙蝠と蛞蝓』、手紙や新聞記事の積み重ねで事件を描く『車井戸はなぜ軋る』、歌舞伎の舞台上上映中に起きた事件を追う『幽霊座』、冒頭で探偵小説のトリック談義をYセンセーと金田一耕助の間にさせた上で、小説で展開させる事件ではその談義を超えるトリックを提示する『黒猫亭事件』などなど、扱う舞台設定、トリックをのアイディア、小説の表現方法など作品ごとに工夫が見られる。 変わらない舞台設定、変わらない小説の表現方法で書き続けたドイルのシャーロック・ホームズ物もいいが、横溝正史という人のこの果敢な挑戦精神は驚嘆しかない。 しかも、名探偵物という枠が決まったスタイルでこれを書いたのだから、いったいこのひとの才能はどうなっているのかと思ってしまう。 もっとも、横溝正史には『靨』、『カメレオン』、「消すな蝋燭』といった名探偵が出てこない傑作パズラーもあるので、それゆえに名探偵物であるこうした作品で自在な挑戦を試みているのが驚きを感じえない。 横溝正史=おどろおどろしい作品 と思っている人は、ぜひこうした作品を読んでもらいたい。 自身の横溝正史感が実に狭かったことに気づくことだろう。 この短編集には納らている作品もそれぞれ工夫がされていて興味深い。 表題作の『殺人鬼』 世の中には警察に捕まって裁判にかけられるような人物だけでなく、幾人もの人物を殺害しているのもかかわらず捕まっていない「殺人鬼」がいるのではないか?と探偵小説家の一人称の語りから始まる物語。 最終的に金田一耕助によって暴かれる殺人事件の真相も捻りがきいているが、この小説を探偵小説家の一人称で描いている部分が実に巧い。 横溝正史というひとが、探偵小説のトリックもさながら小説という形態の演出効果に気を配っている作家であったことがわかる一遍である。 『黒蘭姫』 この中では比較的ライトな作品。 都内の高級デパートで営業中の起きた事件を金田一耕助が解決する事件。 都会的な作品でエラリー・クイーンの「・・・・冒険」、『・・・新冒険」収めれていても不思議でないどころか、ハメットの『名無しオプシリーズ』のいちエピソードといわれても違和感がない。 横溝正史=おどろおどろしい とか エログロ とかいった印象を持った人が呼んだら「あれ?横溝正史なの?」と思うのでは? 『百日紅の下にて』 回想の殺人を扱っており、名作と名高い一品。 やや、楽屋落ち的なラストであるがそれが横溝正史ファンならば「そうきたかぁ」という感じで印象に残る。 もっともなにかとラストシーンばかりが取りざさされる作品であるが、なにも毒殺ミステリとして非常によくできている。 不可能状況がものの考えた方を少し変えるだけで氷解してく手際は素晴らしい。 また、源氏物語のあるエピソードがうまく絡めてあってその辺も面白い作品。 贔屓目にみても「傑作短編』といって問題ない作品であろう。 『香水心中』 個人的には名作と名高い『百日紅の木にて』よりも好きな作品。 この作品を褒める人ががあまりいないことに「違和感」すら感じる。 都会や小規模な身内間で起きた事件を扱った他の3編と違って、長編の岡山物などで扱っている資産家一族内で起きる殺人を扱っている。 話を含ませて長編にしても良かったのではと思わせる作品。 この作品の美点は、都筑道夫のいうモダーン・ディティクティブストーリーの格好のサンプルになっている点。 しかも、巧みなのが正面切って「これが謎です」と言わないので、気づかない読者なら読み終えるまで横溝正史の策略に気づかない。 ここは若干ネタバレになるのだが、資産家一族が経営している企業業態が「謎」が「謎」だと読者に気づかせない効果を上げている。 もし、事件の舞台になる資産家一族の企業業態が「あれ」でなければ読者も気づくだろうが、横溝正史が設定したことが「謎」が「謎」であることを読者に気づかせない効果をあげている。 誠に巧みだとしか言いようがない。 しかも、この作品は再読した時に冒頭のシーンが全く違う印象を読者に与える万華鏡のような作品であること。 似たような作品にブランドの『疑惑の霧』があるが、長編である『疑惑の霧』より短編である『香水心中』のほうがより効果的に読者を驚かせる。 もっとも作中で犯人が使う犯行隠蔽のトリック自体は、使い古されたものでしかない。 ひっとしたら、トリック、トリックと大騒ぎするミステリファンはこのあたりでこの作品の評価が低いのかも知れない。 しかし、使い古されたトリックをここまで巧みに使った横溝正史という人の小説家としての力量こそを評価すべきで、メイントリック自体は使い古されたものでも細かい状況設定で巧みな効果を上げている。 個人的に傑作と言ってもなんら問題ないがない作品である。 | ||||
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金田一シリーズ。 少々グロい部分もありますが、面白かったです。 | ||||
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この横溝正史という作家の書くものの大半が女性の不道徳さや、隙あらば人妻でも毒牙にかける、というような内容が非常に多い。 どうしてなのか、とても気になる。 時代のせいなのか、そういう作風が受けるからなのか。 これはビンとこない。 やはり本人の内面に関係しているのではないだろうか。 心理面というか精神構造というか。 女性に対する何かがあったように思える。 興味深い作家であるし、作品だ。 | ||||
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短編集です。戦後の殺伐とした世の中の雰囲気なども楽しめる一冊。表題作は、ドラマでもやっていましたね。 | ||||
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「百日紅の下にて」を再読するために購入。最後に獄門島へ向かうくだりでジーンとくる。 文庫本も持ってます。でもkindle版もほしかった。 | ||||
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横溝正史の「殺人鬼」「黒蘭姫」「香水心中」「百日紅の下にて」を所収した短編集。 横溝ファンに極めて人気の高い短編「百日紅の下にて」が収められている。 それだけで横溝ファンにとって必読の一冊と言って良い。 ただし、横溝ファンでない、煩型(うるさがた)の短編マニアはケチをつける人もいるかもしれませんが、、、、 | ||||
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もはや古典の域に達する横溝正史とはいえ、心無いレビューが多いです。 ミステリーなのですから、ネタバラシはいけないと思います。 私が予備知識無きに「百日紅の下にて」を読んだ時の感動はかなり心地よいものでした。 「源氏物語」的な構想も旧横溝ワールドの耽美さを感じさせ、それと戦後の焼け跡の描写が重なって見事な一品です。 氏の短編中では一番の傑作なのではありますまいか。 表題作の「殺人鬼」は横溝正史が戦後本格推理小説を立て続けに発表していた時期の作品です。 とはいえトリック小説というよりも、氏の語り口のうまさで見せてしまった作品です。 この小説の中に描かれている題材の一つ一つが後にさまざまの作品に生かされていますので、苗床みたいな作品だったと言えるかもしれません。 | ||||
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横溝正史の作品の有名作をほとんど読み終わった後、行き着いた。 傑作といわれる作品から読んでいくわけだから、どうしても読み進めるにしたがって質が低下してくる。そして長編で読む作品がなくなった時、短編に入って行った。 できの悪い長編よりも、短編の方がおもしろい。特に「百日紅の下にて」は傑作。何年かに一度読み直すんだけど、ストーリーを忘れていて、その都度、「やられた~」。 長編って一度読んでしまうと忘れるのって不可能だけど、短編って、けっこうストーリーを忘れちゃう。犯人すら忘れてしまうことが多くて、何年に一回か読み直すたびに楽しめる。 「百日紅の下にて」はラスト数行の余韻もいい。「悪魔の手毬唄」の余韻と双璧。 | ||||
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◆「百日紅の下にて」 義足の佐伯一郎のもとに、彼の友人で、すでに死亡した 川地謙三の戦友と名乗る、復員者ふうの男が訪れる。 その男は川地から、ある事件の謎を解くよう頼まれていたという。 その事件とは、佐伯が自分の妻にするため、少女の頃から育てた 由美が動機不明な自殺を遂げた後、その一周忌の夜に起きた、 彼女の讃美者の一人だった五味謹之助の服毒死のことである。 その場には、五人の人間がいたのだが、佐伯が用意した グラスのうち、毒が検出されたのは五味のグラスだけだった。 最後にグラスを取ったのは、佐伯だったため、彼には、 特定の相手に毒を盛ることは、不可能だったはずだ。 のちに、川地が青酸カリを所持し、自分のグラスと五味のグラスを すり替えていたことが明らかになるのだが、川地にアリバイがある 事件前の時間帯に五味が犬を毒殺していたことが判明したため、 警察は五味が服毒自殺を図ったと結論づける。 しかし……。 基本的に、二人の人物の会話だけで進行する本作は、とりわけ、 〈復員者ふうの男)の机上推理の鮮やかさが際立っています。 また、忌まわしい妄執によって引き起こされた事件ではありますが、 犯人が持つ、そんな負の感情と表裏一体な深い情愛は報われるという、 運命の皮肉が描かれており、味わい深い人間ドラマにもなっています。 | ||||
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◆「百日紅の下にて」 義足の佐伯一郎のもとに、彼の友人で、すでに死亡した 川地謙三の戦友と名乗る、復員者ふうの男が訪れる。 その男は川地から、ある事件の謎を解くよう頼まれていたという。 その事件とは、佐伯が自分の妻にするため、少女の頃から育てた 由美が動機不明な自殺を遂げた後、その一周忌の夜に起きた、 彼女の讃美者の一人だった五味謹之助の服毒死のことである。 その場には、五人の人間がいたのだが、佐伯が用意した グラスのうち、毒が検出されたのは五味のグラスだけだった。 最後にグラスを取ったのは、佐伯だったため、彼には、 特定の相手に毒を盛ることは、不可能だったはずだ。 のちに、川地が青酸カリを所持し、自分のグラスと五味のグラスを すり替えていたことが明らかになるのだが、川地にアリバイがある 事件前の時間帯に五味が犬を毒殺していたことが判明したため、 警察は五味が服毒自殺を図ったと結論づける。 しかし……。 基本的に、二人の人物の会話だけで進行する本作は、とりわけ、 〈復員者ふうの男)の机上推理の鮮やかさが際立っています。 また、忌まわしい妄執によって引き起こされた事件ではありますが、 犯人が持つ、そんな負の感情と表裏一体な深い情愛は報われるという、 運命の皮肉が描かれており、味わい深い人間ドラマにもなっています。 | ||||
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◆「百日紅の下にて」 義足の佐伯一郎のもとに、彼の友人で、すでに死亡した 川地謙三の戦友と名乗る、復員者ふうの男が訪れる。 その男は川地から、ある事件の謎を解くよう頼まれていたという。 その事件とは、佐伯が自分の妻にするため、少女の頃から育てた 由美が動機不明な自殺を遂げた後、その一周忌の夜に起きた、 彼女の讃美者の一人だった五味謹之助の服毒死のことである。 その場には、五人の人間がいたのだが、佐伯が用意した グラスのうち、毒が検出されたのは五味のグラスだけだった。 最後にグラスを取ったのは、佐伯だったため、彼には、 特定の相手に毒を盛ることは、不可能だったはずだ。 のちに、川地が青酸カリを所持し、自分のグラスと五味のグラスを すり替えていたことが明らかになるのだが、川地にアリバイがある 事件前の時間帯に五味が犬を毒殺していたことが判明したため、 警察は五味が服毒自殺を図ったと結論づける。 しかし……。 基本的に、二人の人物の会話だけで進行する本作は、とりわけ、 〈復員者ふうの男)の机上推理の鮮やかさが際立っています。 また、忌まわしい妄執によって引き起こされた事件ではありますが、 犯人が持つ、そんな負の感情と表裏一体な深い情愛は報われるという、 運命の皮肉が描かれており、味わい深い人間ドラマにもなっています。 | ||||
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◆「百日紅の下にて」 義足の佐伯一郎のもとに、彼の友人で、すでに死亡した 川地謙三の戦友と名乗る、復員者ふうの男が訪れる。 その男は川地から、ある事件の謎を解くよう頼まれていたという。 その事件とは、佐伯が自分の妻にするため、少女の頃から育てた 由美が動機不明な自殺を遂げた後、その一周忌の夜に起きた、 彼女の讃美者の一人だった五味謹之助の服毒死のことである。 その場には、五人の人間がいたのだが、佐伯が用意した グラスのうち、毒が検出されたのは五味のグラスだけだった。 最後にグラスを取ったのは、佐伯だったため、彼には、 特定の相手に毒を盛ることは、不可能だったはずだ。 のちに、川地が青酸カリを所持し、自分のグラスと五味のグラスを すり替えていたことが明らかになるのだが、川地にアリバイがある 事件前の時間帯に五味が犬を毒殺していたことが判明したため、 警察は五味が服毒自殺を図ったと結論づける。 しかし……。 基本的に、二人の人物の会話だけで進行する本作は、とりわけ、 〈復員者ふうの男)の机上推理の鮮やかさが際立っています。 また、忌まわしい妄執によって引き起こされた事件ではありますが、 犯人が持つ、そんな負の感情と表裏一体な深い情愛は報われるという、 運命の皮肉が描かれており、味わい深い人間ドラマにもなっています。 | ||||
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「殺人鬼」「黒蘭姫」「香水心中」「百日紅の下にて」の4つの短編が収められている。 初期の作品ばかりで、金田一の姿が一定していない。 「殺人鬼」は、ひねりがある。結末の意外な展開も面白い。なかなか手の込んだ良作であろう。 「黒蘭姫」は、話の作り方が上手い。 「百日紅の下にて」は復員してきた金田一の姿が描かれている。戦地で、話を聞いただけで事件を解決してしまうという名探偵ぶり。 水準作の揃った一冊と思う。 | ||||
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昭和20年代に発表された、初期の金田一耕助の探偵譚が収められた短編集。収録作は「殺人鬼(S22)」「黒蘭姫(S23)」「香水心中(S33)」「百日紅の下にて(S26)」の4編だが「百日紅の下にて」が素晴らしい。著者自選のベストテンにこの作品が挙げられていたのを何かで読んだことがある。 この「百日紅の下にて」は、執筆されたのは後だが「獄門島」のプロローグ的な作品であり、金田一耕助が終戦後ニューギニアから復員して最初に解決した事件にあたる。事件簿でいえば「本陣殺人事件」の次である。 “復員福姿”の耕助は、亡き戦友から託された使命を果たすため、東京の焦土を見下ろす坂の上に位置する百日紅の咲く廃墟へ、ある男に会いに行く。登場人物はこの二人だけであり、殆ど二人の淡々とした会話だけで物語が進んでいく非常に地味な作品である。男は耕助が最後まで耕助がどんな人物か知らないままである。耕助も尋ねられるまで名を名乗らない。使命を果たした耕助が夕暮れの中、もう一人の親友鬼頭千万太との約束のため獄門島を目指し坂を下っていく場面で物語は終わる。 磯川警部も等々力警部も登場しない。終戦直後のある日の昼下がりから夕方迄の短い時間の事件を巡るやり取りを描いたに過ぎない地味な作品である。 しかし、人懐っこいが孤独な影のある金田一耕助の魅力が凝縮されている作品だ。この一作だけでこの短編集の評価は★5つ! | ||||
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