出口のない海

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出口のない海の評価:

4.22/5点 レビュー 120件。 B ランク

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平均点4.22pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全199件 121〜140 7/10ページ
No.79
(5pt)

特攻で死ぬということ

人間魚雷特攻という石垣の一つになることを運命付けられた若者の葛藤が物語の主題です。

死を目前にした時の心の動きはひとりひとり違うのでしょう。
結局人間は死ぬまで自分自身であり続ける。
と同時に、人間という「関係」を離れて人間が存在することはない。
特攻という「人柱」の一つになる時でさえ、色や形は他と同じということはありえない。

生まれ持った素養、環境、人からの影響、様々な要因が各々の境地へ至る。
生まれた時から人並みの資質を持ち、周囲から外れることなく育った者は人並みに苦しみ、人並みに覚悟し、人並みに死んでいく。
生きる素質に優れ、感受性の豊かな並木は人並み以上に悩み、苦しみ、傷つき、それでもなお生を掘り下げ生を愛す。

並木は紆余曲折の末、美奈子に宛てた手紙の心境に至る。その答えに是も否もないが、自分は共感した。
出口のない海 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 出口のない海 (講談社文庫)より
4062754622
No.78
(5pt)

特攻で死ぬということ

人間魚雷特攻という石垣の一つになることを運命付けられた若者の葛藤が物語の主題です。

死を目前にした時の心の動きはひとりひとり違うのでしょう。
結局人間は死ぬまで自分自身であり続ける。
と同時に、人間という「関係」を離れて人間が存在することはない。
特攻という「人柱」の一つになる時でさえ、色や形は他と同じということはありえない。

生まれ持った素養、環境、人からの影響、様々な要因が各々の境地へ至る。
生まれた時から人並みの資質を持ち、周囲から外れることなく育った者は人並みに苦しみ、人並みに覚悟し、人並みに死んでいく。
生きる素質に優れ、感受性の豊かな並木は人並み以上に悩み、苦しみ、傷つき、それでもなお生を掘り下げ生を愛す。

並木は紆余曲折の末、美奈子に宛てた手紙の心境に至る。その答えに是も否もないが、自分は共感した。
出口のない海 Amazon書評・レビュー: 出口のない海より
4062124793
No.77
(5pt)

人間兵器 「 回天 」

熱い男達の集団を書かせると横山秀夫は本当にうまい。

有名な神風特攻隊が零戦であれば、海では公にはあまり知られていないかも知れませんが、人間魚雷特攻の回天が存在する。爆弾をつけた、小さな潜水艦みたいなものに乗り込み、相手の船に体当たりするわけである。

戦争小説なんだから本当は暗い世界なんだけど自分自身が人間魚雷「回転」に乗っている気がしてしまう。

これはお国のため戦争、誰のための戦争なのか・・・・?

当時、戦争に巻き込まれた人々の運命。翻弄されていく何かを丁寧に書き込んで行っています。

人間魚雷に乗る主人公は最後どうなるのか?人間魚雷に乗り込んで発進すれば行き着く果ては必ず「死」である。神風特攻隊は一人で体当たりしていくが、人間魚雷は潜水艦から発進するので仲間たちがそれを見送ることになる。あいつは見事に相手に一撃くらわせたという事になるが、それは同時に自分の死でもあるのだ。

主人公は死ぬのか生き残るのか?仲間たちは・・・。ぜひご一読ください。おすすめの一冊!!
出口のない海 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 出口のない海 (講談社文庫)より
4062754622
No.76
(5pt)

人間兵器 「 回天 」

熱い男達の集団を書かせると横山秀夫は本当にうまい。

有名な神風特攻隊が零戦であれば、海では公にはあまり知られていないかも知れませんが、人間魚雷特攻の回天が存在する。爆弾をつけた、小さな潜水艦みたいなものに乗り込み、相手の船に体当たりするわけである。

戦争小説なんだから本当は暗い世界なんだけど自分自身が人間魚雷「回転」に乗っている気がしてしまう。

これはお国のため戦争、誰のための戦争なのか・・・・?

当時、戦争に巻き込まれた人々の運命。翻弄されていく何かを丁寧に書き込んで行っています。

人間魚雷に乗る主人公は最後どうなるのか?人間魚雷に乗り込んで発進すれば行き着く果ては必ず「死」である。神風特攻隊は一人で体当たりしていくが、人間魚雷は潜水艦から発進するので仲間たちがそれを見送ることになる。あいつは見事に相手に一撃くらわせたという事になるが、それは同時に自分の死でもあるのだ。

主人公は死ぬのか生き残るのか?仲間たちは・・・。ぜひご一読ください。おすすめの一冊!!
出口のない海 Amazon書評・レビュー: 出口のない海より
4062124793
No.75
(5pt)

特殊兵器、人間魚雷 「 回天 」

熱い男達の集団を書かせると横山秀夫は本当にうまい。

有名な神風特攻隊が零戦であれば、海では公にはあまり知られていないかも知れませんが、人間魚雷特攻の回天が存在する。

戦争小説なんだから本当は暗い世界なんだけど自分が人間魚雷「回転」に乗っている気がしてしまう。

お国のため戦争、誰のための戦争?戦争に巻き込まれた人々が当時の運命に翻弄されていく何かを丁寧に書き込んで行っています。

人間魚雷に乗る主人公は最後どうなるのか?人間魚雷に乗り込んで発進すれば行き着く果ては必ず「死」である。神風特攻隊は一人で体当たりしていくが、人間魚雷は潜水艦から発進するので仲間たちがそれを見送ることになる。あいつは見事に相手に一撃くらわせたという事になるが、それは同時に自分の死でもあるのだ。

死ぬのか生き残るのか?仲間たちは・・・。ぜひご一読ください。おすすめの一冊!!
出口のない海 Amazon書評・レビュー: 出口のない海より
4062124793
No.74
(5pt)

特殊兵器、人間魚雷 「 回天 」

熱い男達の集団を書かせると横山秀夫は本当にうまい。

有名な神風特攻隊が零戦であれば、海では公にはあまり知られていないかも知れませんが、人間魚雷特攻の回天が存在する。

戦争小説なんだから本当は暗い世界なんだけど自分が人間魚雷「回転」に乗っている気がしてしまう。

お国のため戦争、誰のための戦争?戦争に巻き込まれた人々が当時の運命に翻弄されていく何かを丁寧に書き込んで行っています。

人間魚雷に乗る主人公は最後どうなるのか?人間魚雷に乗り込んで発進すれば行き着く果ては必ず「死」である。神風特攻隊は一人で体当たりしていくが、人間魚雷は潜水艦から発進するので仲間たちがそれを見送ることになる。あいつは見事に相手に一撃くらわせたという事になるが、それは同時に自分の死でもあるのだ。

死ぬのか生き残るのか?仲間たちは・・・。ぜひご一読ください。おすすめの一冊!!
出口のない海 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 出口のない海 (講談社文庫)より
4062754622
No.73
(5pt)

彼らに出口を

8月の暑い一日、山口県の大津島にある「回天特攻基地」の記念館を訪ね、感動的な資料を心ゆくまで観て、感じて、泣いて帰りました。横山秀夫著「出口のない海」を読み、この本のモデルとなった島を訪ねたくて、しかも、巡礼の旅に出るような思いをもっての出発でした。横山秀夫の小説は、記録資料から史実を正確に読み取って書かれたことがよく分り、小説の中の人物一人一人が、大津島の基地に蘇ってきました。戦時中に生きて、回天を知っている世代には、胸を抉られるほどの辛い感動を与えられますし、戦争を知らない世代の人たちには、自分と同じ日本人が、このような体験をして生き、死んでいったのかと、平和な現在に生きる意味を見出すことでしょう。全ての日本人の必見の一冊です。
出口のない海 Amazon書評・レビュー: 出口のない海より
4062124793
No.72
(5pt)

彼らに出口を

8月の暑い一日、山口県の大津島にある「回天特攻基地」の記念館を訪ね、感動的な資料を心ゆくまで観て、感じて、泣いて帰りました。横山秀夫著「出口のない海」を読み、この本のモデルとなった島を訪ねたくて、しかも、巡礼の旅に出るような思いをもっての出発でした。横山秀夫の小説は、記録資料から史実を正確に読み取って書かれたことがよく分り、小説の中の人物一人一人が、大津島の基地に蘇ってきました。戦時中に生きて、回天を知っている世代には、胸を抉られるほどの辛い感動を与えられますし、戦争を知らない世代の人たちには、自分と同じ日本人が、このような体験をして生き、死んでいったのかと、平和な現在に生きる意味を見出すことでしょう。全ての日本人の必見の一冊です。
出口のない海 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 出口のない海 (講談社文庫)より
4062754622
No.71
(5pt)

もうひとつの特攻隊

太平洋戦争の史実には興味があるが、小説はどうしても
登場人物の感情が入るから好きではなかった。
しかし、本書には涙なくしては読めなかった。

ストーリーは、学生野球で名を馳せた主人公が、
学徒出陣で出兵することになり、最終的に
海の特攻隊「回天」での出撃を命じられるまでの
軍隊生活の話である。
戦争への矛盾、恋愛、仲間、様々な感情を抱えながら、
必死に現実と向き合っていく登場人物達に心が痛む。

戦争小説にありがちな、召集・出兵への悲劇を殊更強調して
戦争に召集する側の罪に触れず、死のみを美化するような
ことはなく、死が約束された「回天」の乗組員として
徐々に自らの死に折り合いを見つけていこうとする
主人公に涙せずにはいられなかった。

あくまで小説だが、あの戦争とはなんだったのか?
なぜ戦わないといけなかったのか?改めて考えさせられた。

この本が好きな人は、阿川弘之著「雲の墓標」もお薦めします。
出口のない海 Amazon書評・レビュー: 出口のない海より
4062124793
No.70
(5pt)

もうひとつの特攻隊

太平洋戦争の史実には興味があるが、小説はどうしても
登場人物の感情が入るから好きではなかった。
しかし、本書には涙なくしては読めなかった。

ストーリーは、学生野球で名を馳せた主人公が、
学徒出陣で出兵することになり、最終的に
海の特攻隊「回天」での出撃を命じられるまでの
軍隊生活の話である。
戦争への矛盾、恋愛、仲間、様々な感情を抱えながら、
必死に現実と向き合っていく登場人物達に心が痛む。

戦争小説にありがちな、召集・出兵への悲劇を殊更強調して
戦争に召集する側の罪に触れず、死のみを美化するような
ことはなく、死が約束された「回天」の乗組員として
徐々に自らの死に折り合いを見つけていこうとする
主人公に涙せずにはいられなかった。

あくまで小説だが、あの戦争とはなんだったのか?
なぜ戦わないといけなかったのか?改めて考えさせられた。

この本が好きな人は、阿川弘之著「雲の墓標」もお薦めします。
出口のない海 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 出口のない海 (講談社文庫)より
4062754622
No.69
(5pt)

心に残る。考えさせられる。

太平洋戦争時の人間魚雷「回天」に乗り込む主人公を描く。

野球に没頭していた主人公の一面を絡めて、不本意ながら野球や学業をあきらめて、
戦地に赴かなければならなかった時代を描く。
冷静な視点で淡々と書かれたストーリーが、より切なく感じさせる。
ひとつの小説として、強く心に残るものがある。

描かれたエピソードはフィクションだが、戦争時にこのような事が実際にあったことを忘れずに
考え続けていかなければならないだろう。


出口のない海 Amazon書評・レビュー: 出口のない海より
4062124793
No.68
(5pt)

心に残る。考えさせられる。

太平洋戦争時の人間魚雷「回天」に乗り込む主人公を描く。

野球に没頭していた主人公の一面を絡めて、不本意ながら野球や学業をあきらめて、
戦地に赴かなければならなかった時代を描く。
冷静な視点で淡々と書かれたストーリーが、より切なく感じさせる。
ひとつの小説として、強く心に残るものがある。

描かれたエピソードはフィクションだが、戦争時にこのような事が実際にあったことを忘れずに
考え続けていかなければならないだろう。


出口のない海 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 出口のない海 (講談社文庫)より
4062754622
No.67
(4pt)

やるせなさが残る読後感

特攻を舞台にした作品はかなり有ります。
この作品は、直球でそれを描かずに「野球」という要素を持ち込み、それを通じて人間を描くという手法で成功しています。
登場人物は20歳そこそこの若者で、みな死ぬことだけを考えて生きていて、それに疑問を感じていません。
それを、決して国のために死ねない特攻兵器への思いを描写することで、とても強烈なメッセージを残しています。「国のために死なせてくれ」という気持ちがいかに反戦になっているかという逆説を、書ききっています。
とても重い作品でしたが、傑作であることは間違いありません。
出口のない海 Amazon書評・レビュー: 出口のない海より
4062124793
No.66
(4pt)

やるせなさが残る読後感

特攻を舞台にした作品はかなり有ります。
この作品は、直球でそれを描かずに「野球」という要素を持ち込み、それを通じて人間を描くという手法で成功しています。
登場人物は20歳そこそこの若者で、みな死ぬことだけを考えて生きていて、それに疑問を感じていません。
それを、決して国のために死ねない特攻兵器への思いを描写することで、とても強烈なメッセージを残しています。「国のために死なせてくれ」という気持ちがいかに反戦になっているかという逆説を、書ききっています。
とても重い作品でしたが、傑作であることは間違いありません。
出口のない海 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 出口のない海 (講談社文庫)より
4062754622
No.65
(5pt)

とても切なくて

大地震で原発の冷却業務に挑むレスキュー隊の姿を見て、「お国のために」ということで敵陣に突っ込んでいった特攻隊のことを思い出した
そういえば、、横山秀夫の作品にも特攻隊の記事があったなと思い、再び人間魚雷「回天」の話を読み返した
ただ、ただ切なくて、泪なくしては読めない
横山秀夫といえば、刑事物が多いが、それ以外にも非常にいい本を沢山出している
心理描写を書かせたら右に出る者はそういないかも
出口のない海 Amazon書評・レビュー: 出口のない海より
4062124793
No.64
(5pt)

とても切なくて

大地震で原発の冷却業務に挑むレスキュー隊の姿を見て、「お国のために」ということで敵陣に突っ込んでいった特攻隊のことを思い出した
そういえば、、横山秀夫の作品にも特攻隊の記事があったなと思い、再び人間魚雷「回天」の話を読み返した
ただ、ただ切なくて、泪なくしては読めない
横山秀夫といえば、刑事物が多いが、それ以外にも非常にいい本を沢山出している
心理描写を書かせたら右に出る者はそういないかも
出口のない海 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 出口のない海 (講談社文庫)より
4062754622
No.63
(5pt)

高揚と落胆の間の往復

出撃を控えた特攻隊員の心情は、端的にいえばこのように表現できるのではないでしょうか。国を守るために一命をささげるという高揚感と、ふと我に返ったときに「前途ある若い自分がなぜここで…」という落胆と。
 特攻兵器の中でも、暗い海中で狭い魚雷の中に絶望的な逼塞状態となる「回天」。それに搭乗する人間の心理状態はどのようなものか。作者はそこに、甲子園の優勝投手という主人公を設定しました。選手として致命的な肘の故障にもめげずに魔球を開発するという夢を抱く明朗快活な主人公。人間はいつだって夢を見ることができるという信念を持っています。
 私はふと、ヴィクトール・E・フランクルの「夜と霧」を思い起こしました。どのような限界状況に置かれても、人は豊かな想像力を働かせて、夢を見ることができることを示してくれたように思います。

 トップアスリートと戦争ということでは、西竹一大佐という、これ以上はないようなドラマチックな実在のヒーローがいます。そんな中で、読者を引き付けるようなストーリー展開を生み出すのに苦労したことでしょう。しかし、期待を裏切らない秀逸な出来上がりのように思います。
 同じように特攻隊員を扱った「永遠の0(ゼロ)」では最後にがっかりさせられましたが、本書ではそのようなこともありませんでした。「現在」は最小限に抑えられています。
出口のない海 Amazon書評・レビュー: 出口のない海より
4062124793
No.62
(5pt)

高揚と落胆の間の往復

出撃を控えた特攻隊員の心情は、端的にいえばこのように表現できるのではないでしょうか。国を守るために一命をささげるという高揚感と、ふと我に返ったときに「前途ある若い自分がなぜここで…」という落胆と。
 特攻兵器の中でも、暗い海中で狭い魚雷の中に絶望的な逼塞状態となる「回天」。それに搭乗する人間の心理状態はどのようなものか。作者はそこに、甲子園の優勝投手という主人公を設定しました。選手として致命的な肘の故障にもめげずに魔球を開発するという夢を抱く明朗快活な主人公。人間はいつだって夢を見ることができるという信念を持っています。
 私はふと、ヴィクトール・E・フランクルの「夜と霧」を思い起こしました。どのような限界状況に置かれても、人は豊かな想像力を働かせて、夢を見ることができることを示してくれたように思います。

 トップアスリートと戦争ということでは、西竹一大佐という、これ以上はないようなドラマチックな実在のヒーローがいます。そんな中で、読者を引き付けるようなストーリー展開を生み出すのに苦労したことでしょう。しかし、期待を裏切らない秀逸な出来上がりのように思います。
 同じように特攻隊員を扱った「永遠の0(ゼロ)」では最後にがっかりさせられましたが、本書ではそのようなこともありませんでした。「現在」は最小限に抑えられています。
出口のない海 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 出口のない海 (講談社文庫)より
4062754622
No.61
(2pt)

リアリティなし! といって奇想天外でもない・・・

自分が歳くった証拠でしょうか。ちっとも現実感を持って読めませんでした。スポーツジャーナリズムの手法を使った文体はさっぱりして読みやすく情報量も多大ですが、内容としては戦時中にタイムスリップした現代人の青春小説といったもの。もっとも引っかかったのは、野球というスポーツが「戦前は」ここで描写されたように自由で気楽な雰囲気の中で行われるものだったのかどうかという点です。今でこそ長髪が許されますが、わが家の近所の中学生なんか「戦後幾久しい」今でもまだ全員坊主で上級生にしごかれているというのに腑に落ちません。個人的にも運動部での経験のほうが軍隊のイメージと重なる部分があるせいか、あざやかな青春時代の象徴として野球を、その対極として軍隊を置かれても、ピンときませんでした。東京中が焼け野原なのに赤いボレロを着て喫茶店をやっているマスターとか、現代の女の子みたいに思ったことを全部口にできる恋人とか、ライトノベル的な状況設定のまま、「生きるとはなにか?」と問われてもポカンとしてしまいます。学徒出陣で命を失った美大生の作品を「無言館」で眺めると、「本当に描きたかったんだろうなあ」という思いがひしひしと伝わって、残されたもの以上にその人生を思い描いてしまいますが、こちらの小説ではこんなにページを使って雄弁に語られているにもかかわらず、実にさわやかで陰りのない青年の横顔が残るだけなのです。確かに「泣きたい、泣きたい」と思って読めば泣ける小説ではありますが、この作品がそれだけのために書いたというふうにもまた読めません。「自分との戦い」がどう結末を迎えるのかという哲学的命題に立ち向かっているのだなと思いました。だとしたら、むしろ戦時下という歴史的な設定の方が読む人を混乱させているのではないでしょうか。エンターティメントとして「泣く」趣味のない人、著者の哲学的命題に興味を持てない人にとっては入り込めないお話です。
出口のない海 Amazon書評・レビュー: 出口のない海より
4062124793
No.60
(2pt)

リアリティなし! といって奇想天外でもない・・・

自分が歳くった証拠でしょうか。ちっとも現実感を持って読めませんでした。スポーツジャーナリズムの手法を使った文体はさっぱりして読みやすく情報量も多大ですが、内容としては戦時中にタイムスリップした現代人の青春小説といったもの。もっとも引っかかったのは、野球というスポーツが「戦前は」ここで描写されたように自由で気楽な雰囲気の中で行われるものだったのかどうかという点です。今でこそ長髪が許されますが、わが家の近所の中学生なんか「戦後幾久しい」今でもまだ全員坊主で上級生にしごかれているというのに腑に落ちません。個人的にも運動部での経験のほうが軍隊のイメージと重なる部分があるせいか、あざやかな青春時代の象徴として野球を、その対極として軍隊を置かれても、ピンときませんでした。東京中が焼け野原なのに赤いボレロを着て喫茶店をやっているマスターとか、現代の女の子みたいに思ったことを全部口にできる恋人とか、ライトノベル的な状況設定のまま、「生きるとはなにか?」と問われてもポカンとしてしまいます。学徒出陣で命を失った美大生の作品を「無言館」で眺めると、「本当に描きたかったんだろうなあ」という思いがひしひしと伝わって、残されたもの以上にその人生を思い描いてしまいますが、こちらの小説ではこんなにページを使って雄弁に語られているにもかかわらず、実にさわやかで陰りのない青年の横顔が残るだけなのです。確かに「泣きたい、泣きたい」と思って読めば泣ける小説ではありますが、この作品がそれだけのために書いたというふうにもまた読めません。「自分との戦い」がどう結末を迎えるのかという哲学的命題に立ち向かっているのだなと思いました。だとしたら、むしろ戦時下という歴史的な設定の方が読む人を混乱させているのではないでしょうか。エンターティメントとして「泣く」趣味のない人、著者の哲学的命題に興味を持てない人にとっては入り込めないお話です。
出口のない海 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 出口のない海 (講談社文庫)より
4062754622