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イン・ザ・メガチャーチ



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【この小説が収録されている参考書籍】
イン・ザ・メガチャーチ

イン・ザ・メガチャーチの評価: 4.43/5点 レビュー 60件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.43pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全60件 21~40 2/3ページ
No.40:
(5pt)

出てくる大分弁が完璧。

分厚いけれど朝井リョウさんの以前の作品、正欲や生殖記より少し読みやすく感じました。テーマに対応して使われる言葉の関係でしょうか。
面白すぎてちょうど購入時期に行った外国の入国審査待ちの1時間の列でも読みながら並んでました。
今回書店で見かけて、内容は実は調べずに買いました。朝井リョウ作品にハズレなんてなかったし、ちょっと高価だけどまあいっか
と。
私自身は推し活にも芸能関係にもさほど興味がないですが、面白く読めました。
読み終えて付箋がいっぱい。
本好きの知り合いの中学生に貸したところ「めっちゃ面白かったー!!」と喜ばれました。

あと、出てくる大分弁が100点でした。英検1級ならぬ、大分弁1級。朝井さん、仕事がとっても丁寧なんですねー。
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
4296121049
No.39:
(3pt)

頭が昭和な私には なかなか進まない

昭和の私には難しい
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4296121049
No.38:
(4pt)

視野を狭めて、我を忘れて夢中になる「推し活」

小説としては、朝井作品ならではのラストのどんでん返しをちょっと期待してしまっていた分、構成的な驚きは少なめ。

でもそれを補って余りあるほど、ファンダム(推し活)に取り憑かれ、燃やされていく人々の心理描写がリアルです。さらに、ファンダムにおける問題・課題をたくさん提起していて、かみ砕くのが大変でした。

本書は、朝井リョウさんらしい社会観察とエンタメの両面で揺さぶってくる小説であり、自分が何に心を動かされ、何にエネルギーを注いでいるのか、読後に静かに問い直したくなる一冊でした。

<幸せとは「我を忘れて夢中になれるもの」?>
物語の中で何度も語られるのは、「推し活」がどうしてここまで人を惹きつけるのか、という問い。

> 自分の幸せは自分で決める。
> だけど、その言葉を完全に咀嚼できるだけの“幸せ”が何なのかは、誰も教えてくれない。

いくらでも選択肢があって、自己決定や自由が大事だとされている時代ですが、「じゃあ何を幸せと感じるのか」は、結局誰も教えてくれない。

そしてもう一つ、響いた言葉。

> 我を忘れて何かに夢中になっているほうが、楽だからです。
> ずっと我に返ったまま生きるには、この世界は殺伐としすぎていますし、人間の寿命は長すぎますから。

これはまさに、あらゆる「ハマる」ものの本質を突いていることばだと思いました。
恋愛も仕事も趣味も、「没頭できるもの」があるだけで、余計なことを考える必要がなく楽になれる。逆に言えば、「我に返る時間」ほどしんどいものはない。

<視野は狭めるほど、幸福になれる?>
読んでいて意外だったのが、「視野を広げることが良いこと」だと信じていた自分に疑問を突きつけてきたこと。

> 地方の喫茶店で「目の前のお客様に笑顔になってもらえれば」と話す店主の方が、世界を飛び回るスターより人生の真髄を理解しているように見える。
> 広い視野で世界を見渡そうとすればするほど、すべきことがわからなくなり、無力感に襲われる。でも、目の前のことだけに集中していれば、「自分にできること」がはっきりする。

それが、幸福の輪郭をくっきりさせるのかもしれない。

<推し活=陰謀論=信仰=経済?>
本書は、芸能マネジメント会社社員や推し活にハマる女子大生たちの物語に加えて、陰謀論やスピリチュアルにハマる構造も描かれている。
描かれるのは、ほぼ“信仰”とも言えるような熱狂。
ファンダムが団結し、物語を共有し、数字を積み上げ、布教する。
視野を狭めて、我を忘れて夢中になる「推し活が幸せ」なのは本当だと思う。

でも、夢を見続けるには“燃料”が必要で、それが経済や資産である以上、どこかで終わりが来てしまう。
夢が醒めるのは、社会に迷惑をかけたときか、自分の資産が尽きたとき。
じゃあもし、我を忘れて夢中になれる何かが、醒めない・持続可能な仕組みで存在してくれたら…?
それは一つの「幸せのかたち」かもしれない。
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
4296121049
No.37:
(4pt)

私たちは、日本という巨大なメガチャーチの中にいる。

朝井リョウは、現在流行している若手作家の一人である。時流の流行語を巧みに用いて物語を構成している。文章は洗練されているが、私にとっては知らない単語が多い。

 本書は、INFP(内向型・直観型・感情型・知覚型)の武藤澄香と、レコード会社の経理部に勤める父親の久保田慶彦が語る形で展開される。久保田慶彦は47歳であり、離婚した妻の娘である澄香とは、毎月一度ネットを介して会話を交わしている。しかし、話題はあまり多くなく、澄香は留学を希望している。

 久保田は「これまでのことよりも、これからやらなかったことのほうに還るのかもしれない」と考え、仕事ばかりに専念して家族を顧みなかったことを反省している。その結果、離婚に至ったのだった。若い頃の久保田は脚本家を目指しており、レコード会社に入社後は新人歌手のプロモーションのシナリオを制作したこともあった。

 本書のテーマは、ファンダムマーケティングである。 ファンダムとは、「fan(ファン)」と「dom(領域・勢力範囲)」を合成した造語であり、特定のブランドやアーティスト、アイドル、作品などに深い愛情と情熱を注ぐ熱狂的なファン集団やコミュニティを指す。熱意が高い少人数のファンダムを対象とし、久保田は視野狭窄を極めた最強のファンダムを築き上げようとする。

 推しのマーケティング手法は非常に有効である。推し活は、経済を動かし始めており、若者を中心に日々を楽しくしている。推し活によって、観賞用、保存用、布教用の三種類を最低でも購入し、その結果、家族で聖地巡礼を行うなど、経済的な効果も大きい。

 プロデューサーは、「推し活は趣味というよりも福祉に近い存在ではないか」と述べている。Z世代にとって、誰を推しているのかということはアイデンティティの一部となっており、推し活は心のオアシスや生活の癒し、誰かを応援する喜びとなっている。

 国見プロデューサーは、「結局皆、信じるものが欲しいのだと思う。特に、この社会で生きづらさを感じ、自分は不当に扱われていると感じる者ほど」と語る。そして、「本質的でないものこそ、熱量の高い布教が必要になる」とも述べる。

「神のいないこの国で人を操る最善の手法は物語だ」と国見は言う。これは本書の重要なキイテーマである。

 また、「おかしいと思わないか? 真面目に働き、残業もして、特別な贅沢もせず、ただ生きているだけなのに生活がギリギリだなんて。そんな状態で国は成り立たないだろう。税金と物価だけが上がり続け、平均年収は横ばい。生きているうちに年金を受け取れるかもわからない。それなのに政府は海外に金をばら撒き続けている。一方で、日本人は何も言わない。気づかず、目覚めることもなく。自己責任という言葉に呑まれ、自分は努力不足だから仕方ないと反省している者ばかりだ。すべては日本の弱体化計画のせいだ」と、告発の声が上がる。

 その後、澄香はファンダム戦略に巻き込まれていく。信じるものは救われるのだ。非常に示唆に富む展開であり、父親の久保田は澄香に対し、送金を続ける。

 また、老人が孤独である一方、女性たちが友人と賑やかに談笑している描写は、「男には友達がなく、雑談する能力も乏しい」との指摘がもっともだと感じさせる。本書を読みながら、日本という巨大なメガチャーチに包み込まれていることに気づき、それは非常に良い発見であった。
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No.36:
(4pt)

朝井節炸裂

朝井さんの作品を読むと、
あなたはこの事象についてここまで考えたことがありますか?という感じで、考えたことがない事を突きつけられる気持ちになるのですが、今作もまさにそのような作品だと思いました。

自分にも推しといわれるような芸能人がいますが、接し方を再考しようと決意しました。
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No.35:
(5pt)

わたしたちの「弱さ」を照らす、静かな「物語」

キリスト教会の牧師として、まずこの『イン・ザ・メガチャーチ』というタイトルに強く惹かれ、本書を手に取りました。というのも、現実のアメリカのメガチャーチにおいては、伝えているメッセージの内容がどうであれ、その数を追い求めるマーケティング手法そのものへの疑問があり、その批判は(牧師である)わたし自身も真摯に受け止める必要があると思っているからです。
この小説が描き出すのは、まさにそうした「物語マーケティング」が蔓延る現代に生きる人々の魂の渇望と、その切実な「弱さ」であると思いました。
主人公の一人、久保田は私と年齢も近く、彼が抱える家族との「人間関係の空虚さ」には、深く共感するものがありました 。彼は「必要とされることの喜び」を渇望し 、やがて人々の心を熱狂させる「物語」を仕掛ける側へと足を踏み入れます。
しかし、本書は彼のことを一方的に「支配する側」として断罪しません。むしろ、彼自身もまた「誰かとつながるために」、「物語」を必要としている一人の弱い人間として描かれています 。
私たちは皆、多かれ少なかれ「物語」に自分自身を重ね、そこに生きる意味や喜びを見出そうとする存在です。この小説は、その「物語」なしでは生きることの困難さを、登場人物たちの姿を通して静かに描き出します。
久保田の娘である大学生の澄香(すみか)は 、「INFP」という繊細な気質ゆえに 、「『わたし』とか『自分』に疲れたの、もう。うんざりなの、この自分で生きていくことが。」と、深刻な自己嫌悪の中にいました 。そんな彼女が、自分と同じ気質を持つと公言するアイドル「道哉(みちや)」 に出会った時 、その物語は彼女にとって唯一の「救い」となります。
「わかる、わかるよ。全部の気持ちが、わたしには手に取るようにして分かる」「わたしも同じだから」 。
彼女が道哉の物語に没入していく姿は、他者から見れば「視野狭窄」かもしれません。しかし、彼女にとっては、それこそが「わたし自身の物語をもっと理解することにも繋がる」という切実な希望なのです 。
また、熱心なファンだった絢子(あやこ)は、推しを失い、まるで「朝日も昇らない、波も起きない、夕日も落ちない。ただそこにある、膨大で遙かな時間という名の海原」に独り取り残されたような絶望を味わいます 。彼女にとって、かつてのファン仲間との時間は「そういう時間のおかげで、これまで生きてこられた」と断言できるほど、かけがえのないものでした 。
その彼女が、やがて陰謀論という新たな「物語」に傾倒していく様は 、その「面倒くさい」 現実と孤独に耐えられない、人間のどうしようもない「弱さ」の表れとも言えるでしょう 。
作中には「それは多分、我を忘れて何かに夢中になっているほうが、楽だからです」という印象的な言葉が出てきます 。
仕掛ける側の久保田も、救いを求める澄香も、居場所を失った絢子も、立場は違えど、皆「結局皆、信じるものが欲しい」という共通の渇望を抱えています 。
この小説は、彼らの「弱さ」を告発しません。むしろ、そうした「物語」への渇望なしでは立ち行かない現代人の姿を、深い憐れみをもって照らし出すのです。
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
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No.34:
(5pt)

物語に飲み込まれる、その快楽と危うさ

『イン・ザ・メガチャーチ』は、“推し活”と“物語”を軸に、現代の熱狂と信仰、依存と主体性の境界線を鋭く抉る長編です。舞台となるファンダム経済では、ファン・運営・かつての信者といった三者の視点が交錯し、物語を操る側と、物語に操られる側の距離が曖昧になっていきます。  

とりわけ印象的なのは、「物語に没入するとは視野を狭めることでもある」という主張が、物語そのものの構造とキャラクターたちの心理に刻まれている点。単なるファンダム論や文化批評に終わらず、人が何を信じ、どう揺らぎ、どう抗おうとするかを内側から描く物語です。

読後には、私たちはいつのまにか“誰かの物語”の中を歩いていて、それが正義でも狂気でもあるという思いが胸に残ります。

現代社会のすぐ裏側にあるリアルを独特の切り口で描き、正しさや普通とされるものの価値観を揺さぶる、最近の朝井リョウさんの作品が好きな方にはぜひお勧めしたい一冊です。
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
4296121049
No.33:
(4pt)

推し活にのめり込む前に必読!

いまの推し活ブームにおけるオタクの葛藤などの内面が生々しいまでに描かれていて、相変わらず嫌なところ突いてくる作家さんだなあと笑
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
4296121049
No.32:
(5pt)

国見のスピンオフ書いてください 読みたい

国見の過去やここに至るまでにどんなことがあって今こうなのかがものすごく気になったので、朝井さんがもしその気になったら国見の過去を激しく読みたいですので書いてください。。

国見は心の語りの章がなくて、発言メインだったので。あと仕事用の国見の顔しか知れてない!仕事じゃない時の国見はどんなことを思ったり感じたり考えたりしてるの?
最後少しだけちらっとこう感じてたんだ、と思う部分もあったけど、もっと詳しく国見のことが知りたい。

個人的にはこの「みんな、自分を余らせたくない。だから使い切らせてあげてる」というのがすごく良かった。
多くの人が感じている心を、初めて見る表現でしかも難関な言葉を使わずともすごく的確に表現していたから。

みんな、この膨大な時間やエネルギーやお金を注ぎ込む先を求めてるっていうの、本当にそう。最近は目に見える分かりやすい評価やステータスがかっこいいというより、「変な方向性でも人生を面白がって楽しみまくってる人が勝ち」みたいなのあるし。

ふっと、「今日何しよう」みたいな時間や、それが続くのって辛いですもんね。私もそう。。
毎週末「今週何しよ。。」ってなるのつらいもん。かといってさ、「経験のための経験」しにいっても、興味湧くかなと思っても全然興味なくてただ歩き疲れて消耗して終わったり。それこそ物語みたいに何か運命的な人との出会いや気づきとの出会いって、そんなない。
なんか今日つまんなかったなー別に心動くことなかったなーって帰る日全然ある。

だからアラサーあたりでふと「“次”どうしよう」って虚しくなったり焦ったりみんなと同じ流れに乗ったりはたまた大転換したりする人多いのかも。
人生に退屈したからとか他のみんなこれを人生の大イベントとしてやってるしって理由でじゃあ自分も、っていうのも違うだろとは思うが、自分で自分を何かでエンターテインさせ続けないとずーっと同じなのよね。
退屈と繰り返しにはみんな耐えられない。何かを始めれば、次々やること発生するから考えなくて良くてある意味気持ち的に楽なんだよなぁ

だから趣味でも仕事でも子供を育てることでも何らかのコミュニティや活動にのめり込むことでも、何か自分を全部使い切る、これに全て捧げてる、これをしてる自分は幸せだ、って気持ちと時間と熱量注ぐことのできる宗教を人は欲しがってる。
何かにハマって自分を自分で狂わせ続けないと正気に戻っちゃうから。。

最後の終わりめちゃくちゃ良かったよ

物語の中で個人的にどうなんだろうと思うのは、青木の言ってた今のネット使ってる世代は基本男嫌いみたいなのは、個人的には全然逆に思えた。主語雑だけど女性って男性嫌いどころかめちゃくちゃ大好きな人多くない。。?
どれだけ「自分男嫌い男いらない」みたいに突っ張ってたり、男性から受けた嫌な経験や記憶があったとしても、それでも現実の女性ってどこまでも男性を好きになるし好きになったら1番大切にするし良くも悪くも自ら望んで相手のこと優先するし、男性との関わりや繋がりを諦めないし求めてるし、道具として利用できるという意味ではなく「人として」男性を尊重したり尊敬したり、愛そう、愛したい、みたいな人の方が圧倒的に多いと思うというか、個人的観測だと全然そういう人の方が多いなって感じる。
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No.31:
(2pt)

ストーリーが消化不良

人はみんな何らかの物語を信じていたい、みたいな手垢のついた話を、今日の推し活ブームに適用したのが本作。
物語の力を力説する割には、小説の物語自体が消化不良。一番の波乱が来る、その手前で話が終わってしまう。
続きが気になる方は映画でどうぞ、みたいなマーケティングの手法なのだろうか?

あと、推し活経済のリアルを描くという触れ込みだが、メガチャーチで牧師を演じるアイドルが受けていたプレッシャー(一人は自死している)がほとんど描かれていなかったのは、本作の大きな欠落だったように思う。他の作品(『武道館』)で描いたから本作では繰り返さないということなのだろうか?

いずれにせよ、自分は物足りなさを感じる作品だった。
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
4296121049
No.30:
(5pt)

距離感を間違えると

ファンビジネスのムーブメントを作る人と、その物語に飲み込まれていく人達の、距離感を間違えると極端な行動に向かうというありそうな話
俳優やアイドルを応援することで自分も幸せになるけれど、そこには金銭的な搾取があり、それを搾取だと思わせないふんわりとしたベール
何をすれば幸せなのかという答えが多岐にわたっている現代では、逆に模索してしまう
推しを失って陰謀論にのめり込む、推しを世に出そうとして無理しすぎる、完全な依存
孤独を埋めるために推し仲間でつるむことも楽しいけれど、人間関係もほどほど客観性を持っていたい
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
4296121049
No.29:
(5pt)

物語に飲み込まれない人生を

読み進めるほど苦しくなりため息が出る。言葉にすれば「それ全部あなたの物語ですよね?」と言われそうで恐ろしい。理想の物語を手放せた時、大事な何かを手に入れられるのかもしれない。
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
4296121049
No.28:
(5pt)

全部私だった笑

推し活と言われるものを始めて3年、どうしてこんな事にになってしまうのか自分でも分からずモヤモヤしてましたが、3人とも全員自分すぎてほぼ解決笑。
こうしてレビュー書いてる事も含めて納得しかないです。
観に行く覚悟がいるけれと、絶対映画化してほしい。
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
4296121049
No.27:
(5pt)

静かな熱に、いつのまにか飲み込まれていた

読みはじめたときは、ちょっと冷たい小説だなと思いました。
誰かが泣いたり叫んだりするわけでもなく、どの場面も淡々としていて、感情の波がほとんど見えない。まるで、遠くから人の群れを観察しているような距離感がある。でもその静けさが、次第に不思議な熱を帯びていくんです。
登場人物たちはそれぞれ、自分の信じるものを探している。視野を狭めれば安心できるけど、世界は見えなくなる。視野を広げれば冷静でいられるけど、何が楽しいのかわからなくなる。
そのどちらにも肩入れせず、ただ並べて見せる朝井リョウの筆がすごく誠実で、どこか痛々しくもあります。
読んでいるうちに、ふと考えてしまいました。「自分は何を信じて生きているんだろう」と。 この作品は答えをくれないけれど、その“答えのなさ”にこそ人間らしさがあるように思う。 
完璧じゃないまま信じようとすることの、あのもどかしさみたいなものが、ページの奥からじわじわと伝わってくる。
読後に残るのは、感動というより余韻。
静かに火がついたみたいな、深くて長い熱。 読み終えても、まだこの世界のことを考えています。
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
4296121049
No.26:
(5pt)

人は何によって心を囚われるのか、現代社会の実態に鋭く切り込んでいる!

書店に平積みされていた本書の帯のキャッチに興味を覚えた。「神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ」一体何だろうと思った。

 一昨年4月から昨年6月まで日経新聞の夕刊で連載された作品。作者は『何者』で直木賞を受賞している。

 登場人物はレコード会社に勤務する40代のビジネスマン窪田慶彦と留学生や帰国子女が多く,在学中に海外留学することが義務付けられている女子大学生武藤澄香。

 父母は離婚して主人公は母親と地方都市で暮らしているが、授業料を父親が支払っているので、かろうじて時折義務的に交信している関係性。

 作者は、多くの孤独で弱い大衆が、企業や宗教団体、あるいは政党によって知らず知らずの内に、心理的に支配されゆく様を克明に描いている。

 仕事人間として生きてきた父親が勤務先のレコード会社で売り出しを図っている若者から「仕事を離れて世間話をする友だちがいるのか」と訊かれて答えに窮するシーンは身につまされた。

 娘の澄香は、環境問題や世界情勢を話題にする学友には馴染めないが、コンビニの仕事の先輩のユリさんといるとホッとする。

 ユリさんを作者は「その根底にあるのは、きっとどんな環境が変わったとしても、そのたび適応しながら乗りこなせるだろうという、生き物としての強さとしなやかさだ」と表現している。

 一流私大でバイリンギアル、バイカルチャーでグローバル市民を目指す澄香は、SNSや企業による情報攻撃の虜になっていくが、時給社員のユリちゃんの存在と生き方を示すことで、作者は人間の幸福の尺度を示しているような気がした。

 30代後半の作家は鋭い目線と洞察力で現代社会に翻弄される人々を主人公にしながら、その行間に、作者の人間観、社会観、幸福観を潜ませていく。

 団塊世代の読者としては、著者の社会の捉え方から、改めて、宗教、政治、芸能分野で起きている目に見えない力の人々の統制の実態を垣間見ることができた。

 In the Mega Churchというタイトルが意味深である。各章が登場人物の個人名なのが斬新に思えた。
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
4296121049
No.25:
(5pt)

朝井リョウさんの作品の中でも

「正欲」を読んで気に入った方は、こちらも楽しく読めると思います。
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
4296121049
No.24:
(5pt)

3つの視点より、今の世の渇きを語っている。

INFP型の生きづらい世の中こそ、”物語”をつくり、信じるものが欲しい。
メガチャーチの布教ごとく、情報交換で助け合うコミュニティ。
熱意を注ぎ充足するファンダム。
視野が定まるとメンタルも安全に。
”あなたには友達がいますか”と問いかけるとき。
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
4296121049
No.23:
(5pt)

現代を刻み込んだ一冊

面白さが異常でした。視野という点で、ファンと裏方と陰謀論がこう交わるとは。現代、世間に普通にいる人々を、こうやって小説として残してくれてありがたい。
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
4296121049
No.22:
(5pt)

山手線の広告を見て

山手線の広告からきました。
自分にとって、今後の人生を変える一冊になったと思います。

解像度高く、現代の推し活、SNSの風刺が描かれており
若者の方が自分ごととして、この本を読めると感じます。

視野を狭めて没頭した先の幸福と恐ろしさ
みんな何かに熱中したい、没頭したい。
他人の目を恐れ、やらない理由を探す
熱中できていないからこそ、俯瞰できている気分になり嘲笑う。ただどこかでそれを羨ましいと思っている自分がいる

没頭できなかった人生の先に見えた僅かな光にしがみ付き、それが間違っていると分かっていてもしがみ付くしかない。
他にしがみ付けるものが無いから。

何もしないままでも生きていけるこの世の中で、しなかったことがいつか自分に帰ってくる。

このままでは自分も同じ道を辿ることが容易に想像できてしまった。
まだ間に合うかな。
イン・ザ・メガチャーチAmazon書評・レビュー:イン・ザ・メガチャーチより
4296121049
No.21:
(4pt)

現代に対する皮肉がすごい

朝井リョウ節が炸裂した作品だった。今この時代に読むことに意味がある小説だと感じた。推し文化やオンライン共同体、匿名性と承認欲求といったモチーフは、まさに現代を生きる自分たちの鏡のようで、数年後に読み返せばきっとまた全然違う意味を帯びるはず。

個を取り戻すはずの叫びが、共同体の中で匿名化され、家族にすら届かない皮肉が、この小説の怖さであり、同時に時代を鋭く切り取る視点だと感じた。
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4296121049

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