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ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒
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ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.42pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全24件 21~24 2/2ページ
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| ラノベの新人賞といえば日本酒で例えるならその年に作られた新酒の利き酒会みたいなもので、そこで一等賞を取った作品ならさぞ旨かろうと酒とラノベに意地汚い親爺としては今年もまたイソイソと頂戴する事に。 物語の方は近未来が舞台。脳医学と電子工学がやたらと発達して、スマホだかパソコンだかを脳に埋め込む様な機械「ユア・フォルマ」を誰もが利用し、その一方で人間そっくりの自律型ロボット「アミクス」が彼らの人権を認める友人派とあくまで道具と見做す機械派の争いを他所に人間に混じって動き回っている、そんな社会。 犯罪捜査の為に個人の記憶や感情を記録したユア・フォルマのデータ内にダイブする事が許された電索官のエチカはある奇妙な事件を追ってサンクトペテルブルクに到着。吹雪の幻覚に取り込まれ実際に低体温症へと陥る被害者の脳にアクセスしようとするエチカだが、周りの評判はすこぶる悪い。 電索官とバディを組む補助官が高過ぎる能力についていけず次から次に病院送りにされるエチカだったが、今度の相方も多分に漏れず卒倒する事に。能力差から来るトラブルだけでなく周りを寄せ付けない性格でパートナーがいなくなりそうになったエチカだが、上官から送られてきた青年・ハロルドはなんとアミクス。ロボットとは思えないぐらいに気さくなハロルドに距離を詰められて戸惑うエチカだったが、人間だろうがアミクスだろうが距離感の無い相手が苦手な事に変わりはなく、嫌々ながら事件の真犯人を追う事に…… スルスルと読めちゃう作品。俗に「良い酒は水に似る」とは言われ喉に引っ掛かる事無くスルスル飲めちゃうが、その意味では本作は間違いなく「悪くない作品」ではある、これは間違いない。だからと言って素直に「名酒」と称賛できるかと言えるとこれがえらく微妙ではある。スルスルと飲めるからと言ってどれだけ飲んでもさっぱり酔いが回ってこないものを「名酒」と呼べるのだろうかという所に疑問が残る。 話の方は「人間味の無い少女」と「妙に人間臭いロボット」という分かり易いほどに対照的な二人がバディを組んで脳に埋め込まれたマシンに奇妙なウイルスを仕込まれてしまう事件の謎を追いかけるというミステリっぽい仕立て。SFという事で敷居が高く感じる人もいるかもしれないが、うなじにコードを突き刺してデータをやり取りしたり、他人の脳の中を覗いたりと90年代から続く「攻〇フォロワー」っぽい世界なので馴染みがある人も多かろうかと(後半に入ると「イ〇センス」を思わせる悪役が出てきたり、意識はしているっぽい) そして人物造形という点でも「馴染んだ感」が非常に強い。主人公のエチカなのだけど、育ちの方が中々に複雑で男やもめみたいな家庭環境で育ったは良いが父親が「子供に愛情を注ぐという事を放棄し、従順な機械である事を求める」……要するに、ゲ〇ドウさんですね。そしてそんな親としての役割を放棄した父の下で愛情レスな育ち方をしたエチカは「弱みを見せられる気安い相手なんか要らない、自分の能力だけで生きてやる」という性格に……うん、まあ何というかすごくア〇カですな。 色々と構成要素に既視感が強い所を強調したので「パクリと批判するんか」と思われてしまうかもしれないが、そうじゃない。本作は「読み易さ」という点に絞ればちょっと新人作家離れしているんである。四章構成からなる作品なんだけど、その構成がなんというかオーソドックスその物。 第一章→主人公と相方の人となり、彼らが活躍する世界のあらまし、主役二人が追う事件の概要という基本情報を読者に伝える 第二章→読者に提示された情報を共有する二人が事件の捜査をすすめつつ、少しずつ関係を強め、それとともにそれぞれのキャラクターが掘り下げられていく 第三章→状況が一気にひっくり返る様な大事件が起きて、それとともにそれまで掘り下げられてきた主役二人のキャラにも別の側面がある事が示される 第四章→二人の関係が落ち着くべき所に落ち着き、最後の試練を乗り越えて読者に伝えたかったテーマの全貌が見える ……つまりこの作品「起承転結」という物語作りの基本中の基本をこれ以上なく忠実に守っているんである。そして各章のページ数を調べて驚いた。62頁、68頁、57頁、63頁と測ったかの様に章ごとのページ数を揃えて、その上で各章で抑えるべきポイントを押さえているのである。 これが下手な新人作家だと序盤で世界観をダラダラ語ったり、物語が多く動くまでに平坦かつ散漫な日常パートみたいな読者があくびをし兼ねない無駄尺を費やしてしまい間延びした構成になってしまうのだが、本作にはそれが無い。ちょっとビックリするぐらいにテキパキと物語が進行していく。新人賞漁りをしている方も多いと思うが、これが出来る新人作家がなかなかいないのはよくご存じの方も多いかと。 上で世界観や人物造形に既視感が強い事を指摘させて頂いたが、これもストーリー展開のテンポを殺さない点においては有利に働いている。どうしても馴染みの無い世界観や人物造形に出くわすと「こりゃ一体なんだ?」と理解するのに脳のリソースを食われてしまい話の流れを追う上で負担になったりもするのだけど、敢えてかどうかは知らないが既視感があれども読者が理解するのに負担にならないひな形を用意する事で読者の集中力をストーリーを追う事に全振りできるようになっている。 ことフィクションにおいては新奇性ばかりが尊ばれる風潮があるけれども、ステレオタイプと謗られようが読者が理解するのに苦労させず、注目させたいポイントに引っ張っていくというのも一つの技術という奴ではなかろうか?飲み込もうとする読者の喉につっかえる様な下手なオリジナリティで目を白黒させるぐらいなら既存のパーツを組み合わせるスマートさこそが優先されるべき、という考え方は決して否定されるべきではない。 斯様に本作は最初から最後までストーンと読み通せる。そりゃもう一升瓶を一気飲み出来ちゃうんじゃなかろうかと思う位には喉から胃へとスルスルスルッと抜けていく……が、問題は「酔い」が回ってこない所。読者が「見た事もない衝撃」を受けて頭がボーっとする状態を「酔い」とするならば本作はノンアルコールビール。アルコール分が無いのでスルスルと飲めちゃうけど、舌で「お酒っぽい味」を味わう事はできても脳の方に染みてこない。 分かり易い世界観と馴染みのあるキャラ造形でテキパキ進むストーリーをサクサクと読み進めていく事は出来るが脳をボーっとさせる強烈な「個性」あるいは「作家性」だけが綺麗に抜け落ちている。確かに独りよがりな世界観やついて行けないガタガタ構成なんかは御免被りたいのだけど、ここまで個性という「引っ掛かり」が無い作品では右の耳から入って来て脳に届いた後左の耳からスーッと抜けて行ってしまうのである。 無論これは雑食生活をしている読者の受けた印象であって、例えばライトノベルをはじめアニメや漫画の世界にあまり馴染みの無い小中学生が読むのであれば十分すぎるぐらいに「読み易くて、中身の濃い作品」として酔える部分はあるだろう。カウンターで潰れながら「もう一杯……」と酒場の片隅でグダグダ言っているアル中寸前のオヤジには度数が低かった、ただそれだけだとも言える。 | ||||
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| ※以下の内容には【ネタバレ】が含まれる可能性があります 脳に埋め込む拡張デバイスや,身体にケーブルを接続してメモリを読み取るなど, SFチックなそれらに目新しさはありませんが,その分,わかりやすく練られており, キャラクタについても,お約束的な男女のペアで,スムーズに物語に入っていけます. ただ,このあたりは良くも悪くも無難に見え,『大賞作品』にしては物足りなさも. また,文章も少し詰め込んだ風で,読みにくくはありませんが,やや窮屈に感じます. 物語の方は,過去の痛みや呪縛からの解放と,やはりの終盤には響くものはなく, 事件についても,二人の関係や背景に重きが置かれることはわかっていたとはいえ, 動機が唐突で,トリックや推理で魅せるタイプではないため,こちらも弱く映ります. 巻末には次巻の予告があり,本巻としても始まりの一冊目という位置付けのようで, 次は電索の部分をもっと前に,事件や電索官としての二人の活躍が見たいところです. | ||||
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| なんていうかタイムリーな時代背景です。 あるウイルス蔓延後の世界ですが何となく今の科学が発達していけば十分あり得る世界だと思いました。 主人公のエチカは天才電索官ということで、心には深い傷があってアミクス(アンドロイド)を好きになれません。 そんな電索官の少女エチカの相棒になったのはアンドロイドのハロルド。この二人がある事件を追っていく探偵風物語。(って副題そのままやんけ!) 二人の天才って書いたのはそれぞれの天才性の方向が違い互いに補える関係にあるからです。 相棒のハロルドって文中にも話が出ますが如何にもシャーロックホームズ。観察だけでその人の問題を見て来たように言い当てる。エチカが人の頭に入って記憶をたどる特殊技能者としての天才だとしたらハロルドはいわゆる天才型名探偵と言える。 その上でこれも文中に出ますがアミクスの人間への身体的、精神的近さはA.アシモフの「ロボットシリーズ」や「ファウンデーションシリーズ」でお馴染みのR.ダニール・オリヴォーを彷彿とさせる。人と区別が付かないアンドロイド。 きっと作者の方も私同様に推理小説やSF好きとしての道を歩んだのかも知れません。 それにロシアを中心とした異国情緒。いい雰囲気が出てました。。 サンクトペテルブルクには行った事ありませんが、かって行ったロシアのある町を思い出しました。 心理描写も描かれて電撃文庫大賞らしい完成度の非常に高い良作です。 でも人を選ぶかも知れませんね。ちょっと大人の雰囲気過ぎる気がします。 | ||||
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| 個々で見れば変わったものは薄いものの、「記憶を覗く技術」や「脳にチップを埋め込んだ近未来」「犯罪を追うバディな捜査官」「ロシア(外国)を舞台にした異国情緒」など、高いレベルでまとまっています。 必ずしも今の流行とあっているわけではないので、売れるか売れないかはわかりませんが、海外の雰囲気のいいライトミステリーぽさもあっていい感じです。あとがきの業務連絡なの?と思わせるような素っ気な感じも悪くないと思います。 去年もでしたが、必ずしもも流行や受けだけを狙っているわけでない新人賞のレベルの高さはなんだかんだで電撃だと思わせてくれます。 脳に埋め込んだ機械ユア・フォルマ(チップ)が悪質なウイルスにより命に関わる幻覚を見せられる犯罪がおき、天才だが問題のある主人公が、有能だが癖のあるアンドロイドと犯罪を追いかけるという話です。 今回は物語の始まりということで、顔見せのような側面が強く、登場キャラの掘り下げはあまりされていませんが、個性的なキャラたちのようなので、そこをもう少し掘り下げても面白くなりそうだと思われます。 主人公たちの立場が特殊な捜査官で、刑事物のような側面もあり、そこが海外ドラマぽさもあり、いい感じです。 今回の犯罪に関しては事件解決しますが、犯罪を追いかける物語をまだまだみたいところです。 わりとどうでもいいことですが、主人公が電子タバコを吸っているシーンとか好きでした。 電子タバコてのが少し近未来ですが、ハードボイルドな刑事物なら、やっぱタバコは必須アイテムというか、あったほうが「らしい」ので、雰囲気でて好きです。 追加 「春は夜桜、夏には星、秋には満月、冬には雪、それだけで酒は美味い。それでも不味いんなら、それは自分自身の何かが病んでる証拠だ」とは某師匠の言葉ですが、良質の酒を飲みながら酔えないのは、それを楽しめるだけの心の余裕がないからではないかと思えたり。 私もどうしても本を読みたくなくなって、別のことすることありますし、読書するときは休みで体力ある時じゃないということありますし。 「酒にむかいてはまさに歌うべし」とあるように、楽しもうという心地が重要で、義務感とか楽しめる心の余裕がないなら、それから離れてみるのもいいかと。 また私もやはり新人に独自性を期待してしまいますが、それは数をこなしていくなかで弱い刺激に満足できなくなり、強い刺激を欲しがるという感覚の鈍化ではないかという気も。それって美味ではなく珍味をありがたがるようなものです。 知識や経験による分析に頼りだすと感覚や感性が鈍りがちで、自分の感覚を若々しく保つ時間や努力も必要になります。 すぐわかると思って書いていなかったことですが、「アミクス」はラテン語で「友」を意味します。 スペインで友人を「アミーゴ」とか、フランス語で愛しい人や親友を「アミ」といったりするところからすぐ連想すると思っていたのですが、この作品でロボットではなく、アミクスの名称は、人間の友とかそういう意味でしょう。 現実でもペットロボットで人間の慰めにしたりするのがあるので、そういうとこからでしょうか。 SFだと、ロボットにこういう人間に近しい存在のような名称を与える作品はいくつかあったはずです。 | ||||
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