電索官エチカと女王の三つ子: ユア・フォルマII
- 三つ子 (7)
※タグの編集はログイン後行えます
※以下のグループに登録されています。
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点0.00pt |
電索官エチカと女王の三つ子: ユア・フォルマIIの総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
現在レビューがありません
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
前巻ですらそこそこだった内容がさらに陳腐に。 電撃大賞受賞作ということもあり我慢して今作も読んだが、今になって後悔している。 文体は高いレベルで完成されている。だが私は国語の教科書を読みたいのではない。 本当に問題はそこに尽きる。 テンプレとプロットを駆使したお話に、独自性の欠片もない切り貼りされた世界観、これは『物語』などではない。 正直な話、これよりも面白い物語は幾らでもある。その中から優先してこれを読むのは時間とお金が有り余っていない限りオススメできない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ユア・フォルマの開発元であるリグシティ社の相談役イライアス・テイラーが逮捕され、 エチカに向け発砲した、彼の秘書をしていたRFモデルのアミクスでハロルドの『兄』 であるスティーブはロンドン・キングスクロスにあるノウエ・ロボティクスの本社に 回収され精密検査を受ける一方、『弟』であるハロルドもまた、同社に属する 産みの親であり、一般モデルの性能を凌駕するRFモデルのRFモデルのソースコードを 書いたレクシーのもとで検査を受けていた。一方、『末弟』であるマーヴィンは 行方不明のままであった。 そして春。ICPOに復帰したエチカは電子犯罪捜査局の本部がある仏リヨンから ハロルドが属する露サンクトペテルブルクへと異動となり、ハロルドのかつての パートナーであり、殉職したソゾン刑事の妻・ダリヤとも近しい関係を築いていた。 ところがハロルドがノウエ・ロボティクスのRFモデル担当者だけを狙った傷害事件の 被疑者としてロンドン警視庁(メトロポリタンポリス)の本部である ニュー・スコットランドヤードへ任意同行を求められてしまい、アミクスの記録が 改竄可能であることからアリバイが認められず、潔白を証明するには『悪魔の証明』が 必要な状態になってしまう。そんな中、ハロルドとどもにロンドンまで帯同していた ダリヤが何者かに襲われ、重体となってしまう――が序盤のストーリー。 ロンドン警視庁が三体しか存在しないRFモデルのアミクスのうち、兄・スティーブは検査中、 末弟・マーヴィンが行方不明というそれだけでハロルドを拘束するのは無理があるが、 ロンドン警視庁、ICPO、電子犯罪捜査局、ノウエ・ロボティクスとの協議でエチカが 啖呵を切ったことにより処分保留となり、暫定的にエチカとハロルドが捜査できるという くだりで描かれるイングランド人の気質やケンブリッジ大学に関する記述、 マーヴィンの『死体』が見つかった場所にロンドンよりもテムズ川の下流にある ケント州グレーブスエンドを選んだこと、ノウエ・ロボティクスの元社員で ケンブリッジ時代のレクシーの同窓でエチカを拐かしたエイダン・ファーマンが 英国では一般的な車種であるフォード・フォーカスでコッツウォルズのバイブリー (原結衣『きんいろモザイク』(芳文社)を知る人はニヤリとするかも知れない)へ逃げ込む くだりから、前巻のサンクトペテルブルク以上にロンドンおよびイングランド南部に関する 描写の解像度が高く、作者は長期間グレーター・ロンドンまたはその近郊に居住していた 経験があるものと推察できる。 また、スポイルすることになるので詳細は言及しないが、本巻では事実をすべて明らかに することを最適解とせず、多少の事実を捻じ曲げても自身が望む結果へと導くエチカの 姿に賛否両方の意見があると思うが、この選択が次巻以降においてボディーブローのように 徐々にエチカや登場人物たちにきいてくるのだろう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
電撃大賞受賞作の第一弾を読破して、待ち焦がれていた、第二弾の発売。読み始めたら、止まらなくなるので、たっぷり時間を作ってから、ページをめくるのをおすすめします。読後の余韻が…。たまらないです…。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
①②巻、一気に読みました。面白かった! ①の読み始めは設定をイメージしたり世界観になじむのにちょっとかかりましたが。慣れてしまえばすいすい読める。 ハロルドの性格がなかなかステキ(笑)。 (多分きっと)男心にグッとくるセリフでハロルドをフリーズさせるエチカは、無自覚でたどたどしい感じがカワイイ。 ところで「きみの思考に入り込めたらいいのに」はエチカの、「あなたに潜れたらどんなにいいか」がハロルドのセリフです。逆じゃないんですよ? 人間とアミクスの価値観の違い。近くにいてもどうしようもなく遠い2人が、そこをどう越えていくのか。互いへの感情がこれ以上まだ変わっていくのかに興味津々。 イラストも良い! エチカもハロルドも、文章のイメージにこれ以上ないくらいピッタリ合ってる。この絵で想像してみるアレコレのシーンにニヤついてしまいます。ハロルドかっこいいな(笑)! 他には、レクシー博士がすごく好きでした。人間性を歪めるまでの天才に心酔してしまいそう。 新しい物語の始まりが嬉しい。早く③を読みたくて今からソワソワ。楽しみに待ってますね♪ | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
一巻が気に入っていたので続きが本当に楽しみでした。もっとライトノベルでキャラよりによせて来るかと思っていたけど、 相変わらず海外のミステリーぽさがある作風で、やや地味で盛り上がりに弱いので、人の好み別れそう。 古典SFや聖書あたりの絡む比喩表現があり、丁寧に作られていて興味深かった。 最初の方で語られた言葉が後半でリンクしている使い方がされているので、丁寧に読んで見つけて欲しいです。 前回のラストでおきた事件、ハロルドたちのシリーズの正常性が疑われ、運用問題の査問が開かれた今回。 一方で、謎の襲撃事件もおこり、前回では謎だったハロルドの弟の3人目のアミクスの行方が追いかけ、事件の謎に迫るという話でした。 ミステリーとして電索などを使いながら追いかける話としては前回のほうが面白く、今回はどちらかというと、エチカの作られた者のアミクスであるハロルドに対してどう向き合うかという心情や、アミクスとは何か?といった古典SFのほうがメインといった感じでした。 あと私の解釈になりますが、レクシー博士の想いが隠されたメインではないかと思いました。 まずアミクスたちを、「中国語の部屋」で作中たとえていますが、これはミステリーのノックスの十戒と絡めて考えると面白いです。 ノックスの十戒では「特殊な方法で捜査してはならない」とありますが、電索で事件をのぞく、この作品はそれを最初から破っています。そこでもうひとつの十戒「中国人をだしてはならない」(普通の人より圧倒的に優れた能力をもちながら、普通とは(当時の欧米人からみたら)違うモラルの持ち主をだしてはならない)です。 作中で、アミクスは「中国人に思えるが、本当はそうでない」例えで、「人間と同じように考えたりするように見えるが、本当はそうでない」と説明されています。 ノックスの十戒とあわされば、つまり「人間とほぼ同じアミクスは存在してはならない」という比喩にとれます。 ところが、ホームズかと思わせる能力をもち、人と異なる感性のハロルドはまさにこの「中国人」であり、「人間とほぼ同じ存在」と暗に示しています。 次に、ハロルドたちの開発者であるレクシー博士の家政アミクスの名前がリブ(肋骨)とつけられていましたが、これはおそらく、 聖書の最初の人のアダム(土、人間全般もさす)の肋骨からイブ(最初の女、アダムを誘惑した者)が作られたことに由来するからでしょうか。 アミクスが人間を模して作られたものということに由来するのでしょう。 もうひとつレクシー博士が堕落した原因がアミクス研究にあったことの伏線かもしれません。 ハロルドが「リブなんて名前にゾッとする」というのも、表面的にはネーミングセンスを否定しているようにみえて、 「エチカや人類を誘惑し、破滅においやる者になるのは嫌だ」という将来的なありかたの否定のように感じました。 作中でも言われていますが、人造生物の作品は最後に人に反乱をおこし、人を滅亡させるパターンも多いですから、そういうことを否定したのかもしれません。 また人を殺そうとしたスティーブなど、カインとアベルに似せているのかもしれません。 他にハロルドたちの生みの親であるレクシー博士は作中で 「思い通りにならない存在は必要だ。昔はそういう友人がいた」と話しています。 後半他にもありますが、ただの忠告に見えて、ハロルドやエチカとリンクしているというか、もう1人のエチカとしてダブらせているのではないかと思われます。 完全に同じではないでしょうが、主人公として語られているエチカの心情で、「語られない」レクシー博士の心情の代弁をしているのではないかと推測しました。 このように、作中でレクシー博士と、その親友であったファーマン博士の関係と似た表現が多いです。 ハロルドの回想で、弟であるマーヴィンが嬉しそうに花びらを散らしているとありますが、これは花びらを頭にかぶっていた若いレクシー博士と、ファーマン博士の仲が良かった幸福な会話のシーンと繋がっているのでしょう。 何の不安もなく、幸福な楽園時代だったと。 この時二人がいたのが〈林檎の樹〉で、一般的なイメージで、アダムとイブが楽園追放のきっかけになった樹の下です。 この樹の〈禁断の知恵の実〉を食べたことで、楽園から追放され、半端なかじりかただったために、人は善悪をうまくとらえられなくなったとされるものせす。 二人の夢だった新しいアミクスという「禁断の知恵」をかじった結果、倫理に不透明さが出て、幸福を二人は失ったということを示しているのでしょうか。 後半で、エチカがこの〈林檎の樹〉の表示を見ても、無視していくので、楽園に拘っていた博士たちのありかたを過去として、前に進んでいるということを示しているのかもしれません。このあたり作中でも名前の出ていた、チャペックの「R.U.R」が下地にありあそうです。 また記憶では、この直前にマーヴィンは生き物を強く掴んで殺してしまっていますが、これは力の加減がわからない=人との接し方に問題がある存在ということで、おそらくレクシー博士、そしてかってのエチカと被せているのでしょう。 最初のシーンでハロルドは「人間がまぶたを閉じている姿は好きでない」とあり、 終盤でエチカは「まぶたがあるから、人はみたくないもの遮る。しかし耳はふさげない」とあり、 レクシー博士は「ずっと瞳を閉じている」と類似した異なる表現が用いられています。 これを読むと、ハロルドは「人が真実から直面から逃げる姿が好きじゃない(自分という存在の真実を受け止めて欲しい)」 博士は「真実を隠し、自分の真実をにも直面せず、にげている」ことをさし、その直前がエチカの目と耳の表現のため、 そこからエチカが読者の語る(読者が『聞く』)言葉に、博士の(完全に同一ではないが)真実や心情が含まれていると思われます。 レクシー博士にとって、自分に踏み込んできたファーマン博士を本当に大事に思っていたのと、その「子ども」であるハロルドたちの愛情というか執着は真実をだったんだろうと伺えます。 そうであれば、レクシー博士は理解できないマッドサイエンティストではなく、「人間らしい」存在であったということなのでしょう。 理解が及ばないような相手やロボットでも、「人間らしさ」があるのではないか?と考えさせれます。 今回読んでいてふと思い出したのですが、人間とロボットの恋の物語としては、 ニトロプラスの出したゲーム『“Helli,world"』や伊藤ヒロさんがシナリオを担当した「R.U.R.U.R.U」なども興味深く面白いので、このての話が好きな人は楽しめるかもしれません。この作品読んでいてまたプレイしたくなりました。 この物語を読むときに、色々考えることを増やすことができるかもしれません。 アニメなお店の特典SSは封印される前のスティーブ視点の、スティーブとレクシー博士の会話。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 5件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|