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ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒



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【この小説が収録されている参考書籍】
ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒 (電撃文庫)

ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒の評価: 4.33/5点 レビュー 21件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.33pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全21件 1~20 1/2ページ
12>>
No.21:
(5pt)

面白い

最初は文章が古風、お硬い感じでちょっときついかもと思ったけど読み進めていく内に手が止まらなくなっていった
エチカとハロルドの行動原理や思考は共感しやすく深みがありフィクションなのに生きてる人間のように錯覚した
全体的に「嘘くささ」を抑える事に成功した作品だと思った
これが大賞受賞作なのは納得
ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒 (電撃文庫)Amazon書評・レビュー:ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒 (電撃文庫)より
4049136864
No.20:
(5pt)

アニメ化するらしい

かの電撃の大賞受賞作とのことで読む前にそこそこハードルが上がっていたが、最後まで面白く読めて大変満足。新人らしからぬ文章力と話のまとめ方、伏線の扱い方には素直に脱帽するし、キャラもそれぞれ魅力的。上司も相棒も他の脇役も良い感じだ。もちろん主人公も可愛らしい。強いていうなら悪役にもうちょっと魅力?というか、悪に陥るだけの説得力が欲しかったかな。尺的に難しいかもしれないが。
ともかくアニメ化するらしいのでこれからに期待。しっかりとした演出で作り込んで欲しいな。パンデミック以後のサイバーパンク的な世界観が魅力的で映像化が楽しみだ。
ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒 (電撃文庫)Amazon書評・レビュー:ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒 (電撃文庫)より
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No.19:
(5pt)

★5

⅕ぐらい読んでこれは大賞受賞作だと確信しました。2巻買います
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4049136864
No.18:
(5pt)

世界観もキャラクターもユニークで魅力的。SFとミステリが楽しめるお得な1冊。

しっかりしたサイバーな世界観で、キャラクターも魅力的で、SFファンにもSF初心者にも勧めてみたい作品です。
また、SFだけを期待して読んだら、ミステリ要素もがっつりあって、しかも読者に対してフェアなところが素晴らしく、一粒で二度おいしい1冊でした。
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No.17:
(4pt)

んぅ……

良くも悪くも、一般文芸って感じ。
よく言えば、人を選ばない。
悪く言えば、飛び抜けた長所がない。
……みたいな。

毒にも薬にもならない感じがする。
ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒 (電撃文庫)Amazon書評・レビュー:ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒 (電撃文庫)より
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No.16:
(2pt)

これは本当に電撃大賞受賞作品なのか?

第27回電撃文庫大賞《大賞》受賞作品という一点で購入。
電撃文庫の新人賞ならば品質は保証されているだろうと期待していたのが不味かった。
物語はサクサクと進み文章もスラスラと読める。
他のレビュアーさんも書かれているように洋書の翻訳物のような印象を受けた。
作者の文章力・構成力には多少なりとも光るものがあることは認める。
しかしだ。読後感が絶妙に悪い。
一言で表すなら『どこかで読んだことがある物語をもう一度読み返した』とでも言うべきか。
キャラクターに関する事柄がどれもテンプレなのである。エチカ(主人公)の過去にしろ、ハロルド(相棒)の過去にしろ、それこそ人形劇を観ているような印象を覚えた。まるで感情移入できないのである。
その上、世界観にどっぷりと浸ることができなかったことも大きな減点材料だ。
悪く言えば、よくあるラノベでオリジナリティーはゼロに近い。
良く言っても、なろう系を読むよりはマシと言ったところか。
正直なところ、この本に値段相応の価値があるとは私には思えない。
読者に示唆を与えることはなく、新鮮な感動を届けることもない。
電撃文庫の新人賞、その大賞といえばハイレベルな作品が多いが、今年は外れ年と言ったところだろう。
しかしどんなに有名なワインの産地でも不作の年はあるもので、それがないというのは逆に不自然ですらある。
ある意味で真っ当な新人賞であると言えなくもない。
お酒で例えている方がいらっしゃったので私もそれに倣わせてもらったが、読み終わった後、読者の記憶に残らないものを佳作とは言い難く、私のように期待に胸を膨らませて読むのはオススメできない。
あえて総評するならば、空港のロビーで飛行機を待つ時間潰しに流し読みする程度ならば、辛うじて許せなくもないレベルの内容だ。
それ以上の『物語』を求めるならば購入を控える方が無難だろう。
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No.15:
(5pt)

20代前半の男だけどすごく楽しめた

多分作者は女性だと思います。
結論から言うとすごく面白かったです。『姫騎士』『声優ラジオ』も面白かったですが、あの二つは星4ですがこちらは星5です。86以来の良作です。
世界観がけっこう作り込まれていました。
AI、SNS、ARなどタイムリーなテーマや題材を多数扱ってます。
アクションシーンとかはほとんどありませんが、それでもおもしろかったです。86みたいなアクション作品とは違った面白さがあります。
文章はとても読みやすかったです。
女主人公の相棒がイケメンイギリス系アンドロイドなのは「ああ、作者の趣味なんだな笑笑」って思いました。素直でよろしい!と思いました。ぼくはどちらかというと主人公の女の子に惹かれました。人から心を閉ざしているけどやっぱり人(あるいは人みたいなモノ)のぬくもりを求めているところとか、父親との関係性とか、相棒のイケメンアンドロイドにいろいろいわれてあたふたあわわわ!するところとかがかわいかったです。
イラストもとても綺麗です。イラストレーターを褒めている人があまりいないので、僕が褒めておきます。とっても綺麗ですよ!
舞台が北欧とかロシアということもあり、また雪が重要なモチーフであることから、sfでありながらとても幻想的な作品でした。
プレイしたことないですけど「デトロイト・ビカム・ヒューマン」とか、「Vivy」の序盤や「ビートレス」を思い出しました。あと記憶を遡るという意味で「コーヒーが冷めないうちに」も思い出しました。
電撃お得意の「ズガガガガガガ! ドッカーン! バキンバキン! ドーン! バババババ!」みたいな戦闘シーンは一切ありません。カーチェイスとかホールドアップとかはありますが、アクションに頼らないでこれだけ面白いsfを書けたのには本当に感心します。
あと、なにより、心理描写がとても丁寧でした。
2巻、3巻も暇な時に知り合いから借りて読むかもしれません。
とにかく、とても面白かったです。アニメ化してほしいです。
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No.14:
(5pt)

挿絵のQRコードを読み込んでください

挿絵のQRコードをアプリで読み込んでみてください。きっと面白いメッセージがみれますよ。
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No.13:
(5pt)

米露仏諾を股に掛けたオーバーテクノロジーの世界観における事件ものかと思いきや――が描かれる第1巻

1992年冬に起きた脳炎を起こす感染症のパンデミックをきっかけに脳内を治療する
医療デバイスが開発され、やがてそれは脳内に埋め込むことができるウェアラブル・
デバイスである『ユア・フォルマ』へと進化し、広告付きという条件ながら安価となり、
多くの人々の脳に埋め込まれるようになった。
時は流れ2023年。ICPOの日本人電索官エチカ・ヒエダはワシントンD.C.、パリ
そしてサンクトペテルブルクで立て続けに起きた新種のウイルスへの感染を
調査していたが、自身の能力の高さとユア・フォルマへの高い適合により何人もの
相棒に過度な負荷を与え、病院送りにするだけで何の成果も得ることができずにいた。
いつものように相棒を病院送りにし、サンクトペテルブルクに降り立ったエチカのもとに
アミクスと呼ばれる人型ロボットであるハロルド・ルークラフトだった。
アミクスに対しあまり良い感情を抱いていないエチカは何人もの相棒を病院送りに
したという過去の経緯から渋々ハロルドとの調査を受け入れ、12人の入院患者そして
ハロルドとケーブルで接続し、ユア・フォルマを介し患者たちの記憶を探ると、
感染源がこの場にはいないノルウェー人のクラーラ・リーであることそして
ハロルドの身体(機体?)には一切の異常が見られなかった。彼女が原因とは思えない
一方、不審な動きがあったことからエチカとハロルドは陸路でフィンランドを経由し、
クラーラがシェアカーを返却したノルウェー・カウトケイノへと向かう――が
序盤のあらすじ。

空港から市内へ移動する中、ハロルドが初対面のエチカに対し慇懃な態度を取ったり、
あえて自身が新しい相棒であることを明かさず、自身の身体的特徴を伝えるという
回りくどいやり方を取ったり、機内で観た映画を言い当てられるという
シャーロック・ホームズばりのプロファイリングをしたりするという描写を
入れることで、ハロルド自身はアイロニックな意図など一切無く自身の有能さを
エチカに伝えようとする一方、生身の人間だったら喧嘩を吹っ掛けられていると
思われてもおかしくないが、アミクス(人型ロボット)ゆえに怒るに怒れないという
やり場のないエチカの苛立ちを表現することが分かると同時に本作もご多分に漏れず、
高性能なアンドロイドが出てくる作品において発達障害者の言動を参考にしている
ことが推察できる。(具体的に電撃文庫の他作品でいえばミサキナギ『リベリオ・マキナ』
あたりが挙げられるだろう)
また、ハロルドのアミクス(人型ロボット)とは思えぬ、紳士然と飄々とした、
悪く言えば人を食ったような態度や言動そして他のアミクスを凌駕する性能が
一体何を意味するのか、ユア・フォルマを開発したシリコンバレーの
企業・リグシティと、リグシティ本社を初めて訪れたエチカとの間に一体何の因縁が
あるのか、そして電索に応じた社員たちが退職したクリフ・ソークに嫌悪感を
抱きながらも退職の際は惜別の念を抱いたのかという謎を自然にそれとなく呈示し、
終盤においても二転三転するストーリーと断片的に描かれていた『年下の姉』の
存在を匂わせつつ、最後に明らかになる父親との確執を越えたエチカの過去を
織り込むことで読者を飽きさせない工夫がなされているのが分かるとともに、
初めはオーバーテクノロジーの世界観における事件を解決するバディものの
ストーリーと思いきや、エチカとハロルドの過去をえぐるストーリーへと
昇華させているのはただただ素晴らしく、不足しているものも無ければ過多に
なっているものも無い。第27回電撃小説大賞の大賞受賞作になって然るべき作品で
あると素直に納得できた。
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No.12:
(4pt)

ハヤカワJAでないの?……という機憶を呑みこむ

ときどき電撃文庫はジャンルを破る。
今回はSFを血肉と育った人が書いた、普通であれば同様に育った同志(アミクス)間で流通していくであったろう作品。
それを電撃的メディアミックスの回線に最初から載せてみるとどうなるのか。それは正しく実験だ。
両者とも妥協すべきではない。作者には遠慮なく作品を通した手加減なしの探究をするべきだ。そして電撃文庫にはそうした探究を広い回路に開く賭けを壮大に続けてほしい。
ある意味で、かならずしも同じ方向を向いていないであろう作者と回路が出会ってしまった。その絡み合いが二巻でどう転がっていくのか。物語自体に対しても、それを流通させる回路に対しても、興味が尽きない。
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No.11:
(5pt)

オモロイ

結論から申すとむっちゃオモロイ
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No.10:
(5pt)

文章としてちょっと読みにくいけど面白かった

本のレビューは難しいよねネタバレしそう。面白かったとだけ。
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No.9:
(5pt)

正統派SFの系譜

他のレビュアーも仰っていましたが、物語としての完成度が高く、読みやすいSF作品。

物語の作りとしては敵対する二者がパートナーとして犯罪に立ち向かうというオーソドックスなもの。人とアンドロイド(作中での呼称は違いますが)のやりとり、時には駆け引きの中に一筋縄ではいかないドラマがあり、その描き方や盛り上がり方は見事でした。
個人的には「戦闘妖精雪風」「PSYCHO-PASS」「リンボ ザ・キング」、伊藤計劃作品あたりの近未来的なSFを感じるような、正統派SFの遺伝子をもった作品だと思いました。
アンドロイド(ヒューマノイドのほうが正確かな?)の人間っぽさと、時折見せる冷たい合理性の表現が優れていて、これこれ、コレがたまんねぇんだよなぁーーーと感動。
読後感も爽やか。ラノベを久しく読んでなかったのですが、イラストと作品のバランスもよく、非常に満足できた一冊でした。
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No.8:
(3pt)

【秀作:次巻こそ期待】

既存のサイバーパンクのガジェットを若年層向けに再料理した秀作。
電撃大賞を取るだけあり、新人ながら文章は読みやすい。お話もテンポよく進み、作者が物語の構造を真摯に勉強していることがよくわかると思いました。
物語の主軸は「人間:エチカ」と「アミクス(ロボット):ハロルド」の二人で、それ以外は物語を進める進行補佐以上のキャラ性を感じ取れなかったのがやや残念。
現時点だと一番面白く描写できている人物はハロルドだけに見える。機械でありながらエチカ以上のコミュ力と情熱を持ち、しかし同時に機械としての冷徹さも併せ持っている。
一方のエチカは情報処理の天才ではあるが、今回はあくまでハロルドに救われることで成長するヒロインという域を出ていなかったように見える。作中屈指の電脳捜査官という設定ではあるのだが、比較対象がいないせいでいまいちどのくらい凄いのかピンとこなかった。相棒がエチカの処理速度に付いていけないことを見せるよりも、一般的なダイバーを出してエチカとの比較を描写した方が分かりやすく異才を魅せることができたのではないか。
次巻ではエチカの才能がよりわかりやすく理解できる展開を期待したいと思う。

今回は世界観と主役二人の人物紹介に特化していたので、他のレビュア-様にも似た意見がある通り、今後は丁寧なだけではない外連味がぜひ欲しい。
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No.7:
(5pt)

タイトルの意味

読み終えて、タイトルに納得です
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No.6:
(3pt)

薄味のバランス栄養食みたいな作品

※軽いネタバレ注意

総評としてはレビュータイトルが全て。人間みたいな機械と機械になれと命じられてきた人間が事件を通して絆を深め、最後にはほんのり恋愛感情の芽生えのようなものを匂わせて終わる、手堅くまとまった印象の話。
電撃文庫よりはメディアワークスで出した方が作風的には読者層が広がりそうだしそっちのほうが良かったのでは?とちょっと思わなくもない。

ハヤカワSFとか、ゲームのDetroit: Become Humanなんかが好きな人にはまさにドンピシャで好きな世界観だと思うけど、キャラや世界観の掘り下げ、ストーリーは前述したそれらに比べて正直かなり薄味。薄味なだけで決しては下手ではなく、むしろ上手にまとまってはいるんだけど、突出したものがない。でもラノベとしては突出したものがないというのはかなり致命的な気もする。

「この作家ならではの武器」、言い換えれば「自分はこれが好きなんだ!これを表現したいから自分はこの作品を書いたんだ!」みたいな情熱や作者の萌え・燃えがあんまり見えてこない。作家インタビューも見て、作者はSFが好きなんだなあ、とは思ったけど、じゃあSFのどんなところが好きなんだろう?作り込まれた世界観か、SFという虚構を通して現実にも問いを投げかけてくるような作品が好きなのか、人間と機械の関係性を掘り下げた作品が好きなのか。そういうところが作者自身の作品から見えてこない。そこが突出したものがないと感じてしまう一番の原因かと思う。
読書量が多い人ほどこの作品に対して同じことを思ってしまう率が高いんじゃないか。新人の作品としてはレベルが高いのは間違いないんだけど、新人作家に期待されているものって個人的には技巧より前述したような「この作家ならではの武器」だと思うので、このままいくと次々出てくる作家の中で埋もれてしまいそうな感じはする。
読者が読みたいものって話の構成や文章が上手なだけの作品じゃなくて、多少粗削りでも少々の矛盾や破綻があったとしても、読書中に感情を動かしてくれる作品、読後に何かを残す作品だと個人的には思うので。

全体的にちょっと辛口になってしまったけど、他の受賞作とも読み比べして、この方が技術的な面では今の時点では周囲より頭一つ分抜けているのは間違いないし、個人的には大賞に相応しい作品だと思う。
今まで自分が述べてきたこの作品に対する不満って、要は「こんなにレベル高い作品が書ける作家だからこそ出てくる不満」なんですよね。
男性向けや女性向けといった枠にとらわれない作風は大きな強みだと思う。同じ電撃作家だと有川浩作品やキノの旅みたいに読者の性別を選ばない作品は単純に購買層が広がるし、将来的には一般向けでも活躍できそうな雰囲気はある。
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4049136864
No.5:
(5pt)

おもろそう

まだ絵しか見てないけどめっちゃヒロインかわいいしおもろそうですね
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4049136864
No.4:
(3pt)

「良い酒は水に似る」とは言うけれど……美味しくてスルスル飲めるけど酔えないモノを「名酒」と称すべきか?

ラノベの新人賞といえば日本酒で例えるならその年に作られた新酒の利き酒会みたいなもので、そこで一等賞を取った作品ならさぞ旨かろうと酒とラノベに意地汚い親爺としては今年もまたイソイソと頂戴する事に。

物語の方は近未来が舞台。脳医学と電子工学がやたらと発達して、スマホだかパソコンだかを脳に埋め込む様な機械「ユア・フォルマ」を誰もが利用し、その一方で人間そっくりの自律型ロボット「アミクス」が彼らの人権を認める友人派とあくまで道具と見做す機械派の争いを他所に人間に混じって動き回っている、そんな社会。

犯罪捜査の為に個人の記憶や感情を記録したユア・フォルマのデータ内にダイブする事が許された電索官のエチカはある奇妙な事件を追ってサンクトペテルブルクに到着。吹雪の幻覚に取り込まれ実際に低体温症へと陥る被害者の脳にアクセスしようとするエチカだが、周りの評判はすこぶる悪い。

電索官とバディを組む補助官が高過ぎる能力についていけず次から次に病院送りにされるエチカだったが、今度の相方も多分に漏れず卒倒する事に。能力差から来るトラブルだけでなく周りを寄せ付けない性格でパートナーがいなくなりそうになったエチカだが、上官から送られてきた青年・ハロルドはなんとアミクス。ロボットとは思えないぐらいに気さくなハロルドに距離を詰められて戸惑うエチカだったが、人間だろうがアミクスだろうが距離感の無い相手が苦手な事に変わりはなく、嫌々ながら事件の真犯人を追う事に……

スルスルと読めちゃう作品。俗に「良い酒は水に似る」とは言われ喉に引っ掛かる事無くスルスル飲めちゃうが、その意味では本作は間違いなく「悪くない作品」ではある、これは間違いない。だからと言って素直に「名酒」と称賛できるかと言えるとこれがえらく微妙ではある。スルスルと飲めるからと言ってどれだけ飲んでもさっぱり酔いが回ってこないものを「名酒」と呼べるのだろうかという所に疑問が残る。

話の方は「人間味の無い少女」と「妙に人間臭いロボット」という分かり易いほどに対照的な二人がバディを組んで脳に埋め込まれたマシンに奇妙なウイルスを仕込まれてしまう事件の謎を追いかけるというミステリっぽい仕立て。SFという事で敷居が高く感じる人もいるかもしれないが、うなじにコードを突き刺してデータをやり取りしたり、他人の脳の中を覗いたりと90年代から続く「攻〇フォロワー」っぽい世界なので馴染みがある人も多かろうかと(後半に入ると「イ〇センス」を思わせる悪役が出てきたり、意識はしているっぽい)

そして人物造形という点でも「馴染んだ感」が非常に強い。主人公のエチカなのだけど、育ちの方が中々に複雑で男やもめみたいな家庭環境で育ったは良いが父親が「子供に愛情を注ぐという事を放棄し、従順な機械である事を求める」……要するに、ゲ〇ドウさんですね。そしてそんな親としての役割を放棄した父の下で愛情レスな育ち方をしたエチカは「弱みを見せられる気安い相手なんか要らない、自分の能力だけで生きてやる」という性格に……うん、まあ何というかすごくア〇カですな。

色々と構成要素に既視感が強い所を強調したので「パクリと批判するんか」と思われてしまうかもしれないが、そうじゃない。本作は「読み易さ」という点に絞ればちょっと新人作家離れしているんである。四章構成からなる作品なんだけど、その構成がなんというかオーソドックスその物。

第一章→主人公と相方の人となり、彼らが活躍する世界のあらまし、主役二人が追う事件の概要という基本情報を読者に伝える
第二章→読者に提示された情報を共有する二人が事件の捜査をすすめつつ、少しずつ関係を強め、それとともにそれぞれのキャラクターが掘り下げられていく
第三章→状況が一気にひっくり返る様な大事件が起きて、それとともにそれまで掘り下げられてきた主役二人のキャラにも別の側面がある事が示される
第四章→二人の関係が落ち着くべき所に落ち着き、最後の試練を乗り越えて読者に伝えたかったテーマの全貌が見える

……つまりこの作品「起承転結」という物語作りの基本中の基本をこれ以上なく忠実に守っているんである。そして各章のページ数を調べて驚いた。62頁、68頁、57頁、63頁と測ったかの様に章ごとのページ数を揃えて、その上で各章で抑えるべきポイントを押さえているのである。

これが下手な新人作家だと序盤で世界観をダラダラ語ったり、物語が多く動くまでに平坦かつ散漫な日常パートみたいな読者があくびをし兼ねない無駄尺を費やしてしまい間延びした構成になってしまうのだが、本作にはそれが無い。ちょっとビックリするぐらいにテキパキと物語が進行していく。新人賞漁りをしている方も多いと思うが、これが出来る新人作家がなかなかいないのはよくご存じの方も多いかと。

上で世界観や人物造形に既視感が強い事を指摘させて頂いたが、これもストーリー展開のテンポを殺さない点においては有利に働いている。どうしても馴染みの無い世界観や人物造形に出くわすと「こりゃ一体なんだ?」と理解するのに脳のリソースを食われてしまい話の流れを追う上で負担になったりもするのだけど、敢えてかどうかは知らないが既視感があれども読者が理解するのに負担にならないひな形を用意する事で読者の集中力をストーリーを追う事に全振りできるようになっている。

ことフィクションにおいては新奇性ばかりが尊ばれる風潮があるけれども、ステレオタイプと謗られようが読者が理解するのに苦労させず、注目させたいポイントに引っ張っていくというのも一つの技術という奴ではなかろうか?飲み込もうとする読者の喉につっかえる様な下手なオリジナリティで目を白黒させるぐらいなら既存のパーツを組み合わせるスマートさこそが優先されるべき、という考え方は決して否定されるべきではない。

斯様に本作は最初から最後までストーンと読み通せる。そりゃもう一升瓶を一気飲み出来ちゃうんじゃなかろうかと思う位には喉から胃へとスルスルスルッと抜けていく……が、問題は「酔い」が回ってこない所。読者が「見た事もない衝撃」を受けて頭がボーっとする状態を「酔い」とするならば本作はノンアルコールビール。アルコール分が無いのでスルスルと飲めちゃうけど、舌で「お酒っぽい味」を味わう事はできても脳の方に染みてこない。

分かり易い世界観と馴染みのあるキャラ造形でテキパキ進むストーリーをサクサクと読み進めていく事は出来るが脳をボーっとさせる強烈な「個性」あるいは「作家性」だけが綺麗に抜け落ちている。確かに独りよがりな世界観やついて行けないガタガタ構成なんかは御免被りたいのだけど、ここまで個性という「引っ掛かり」が無い作品では右の耳から入って来て脳に届いた後左の耳からスーッと抜けて行ってしまうのである。

無論これは雑食生活をしている読者の受けた印象であって、例えばライトノベルをはじめアニメや漫画の世界にあまり馴染みの無い小中学生が読むのであれば十分すぎるぐらいに「読み易くて、中身の濃い作品」として酔える部分はあるだろう。カウンターで潰れながら「もう一杯……」と酒場の片隅でグダグダ言っているアル中寸前のオヤジには度数が低かった、ただそれだけだとも言える。
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4049136864
No.3:
(3pt)

『大賞作品』としてはやや物足りず

※以下の内容には【ネタバレ】が含まれる可能性があります

脳に埋め込む拡張デバイスや,身体にケーブルを接続してメモリを読み取るなど,
SFチックなそれらに目新しさはありませんが,その分,わかりやすく練られており,
キャラクタについても,お約束的な男女のペアで,スムーズに物語に入っていけます.

ただ,このあたりは良くも悪くも無難に見え,『大賞作品』にしては物足りなさも.
また,文章も少し詰め込んだ風で,読みにくくはありませんが,やや窮屈に感じます.

物語の方は,過去の痛みや呪縛からの解放と,やはりの終盤には響くものはなく,
事件についても,二人の関係や背景に重きが置かれることはわかっていたとはいえ,
動機が唐突で,トリックや推理で魅せるタイプではないため,こちらも弱く映ります.

巻末には次巻の予告があり,本巻としても始まりの一冊目という位置付けのようで,
次は電索の部分をもっと前に,事件や電索官としての二人の活躍が見たいところです.
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4049136864
No.2:
(5pt)

パンデミック後の近未来+二人の天才捜査官+異国情緒あふれる探偵物 完成度の高い良作。大人の雰囲気過ぎるかも

なんていうかタイムリーな時代背景です。
あるウイルス蔓延後の世界ですが何となく今の科学が発達していけば十分あり得る世界だと思いました。
主人公のエチカは天才電索官ということで、心には深い傷があってアミクス(アンドロイド)を好きになれません。
そんな電索官の少女エチカの相棒になったのはアンドロイドのハロルド。この二人がある事件を追っていく探偵風物語。(って副題そのままやんけ!)
二人の天才って書いたのはそれぞれの天才性の方向が違い互いに補える関係にあるからです。
相棒のハロルドって文中にも話が出ますが如何にもシャーロックホームズ。観察だけでその人の問題を見て来たように言い当てる。エチカが人の頭に入って記憶をたどる特殊技能者としての天才だとしたらハロルドはいわゆる天才型名探偵と言える。
その上でこれも文中に出ますがアミクスの人間への身体的、精神的近さはA.アシモフの「ロボットシリーズ」や「ファウンデーションシリーズ」でお馴染みのR.ダニール・オリヴォーを彷彿とさせる。人と区別が付かないアンドロイド。
きっと作者の方も私同様に推理小説やSF好きとしての道を歩んだのかも知れません。

それにロシアを中心とした異国情緒。いい雰囲気が出てました。。
サンクトペテルブルクには行った事ありませんが、かって行ったロシアのある町を思い出しました。
心理描写も描かれて電撃文庫大賞らしい完成度の非常に高い良作です。
でも人を選ぶかも知れませんね。ちょっと大人の雰囲気過ぎる気がします。
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