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(短編集)
寒灯
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寒灯の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.07pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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貫多による、繰り返す不条理な怒りと言葉の暴力、そして、本当の暴力。 耐える恋人、秋恵さん。この構図がありながら、展開も想像が着くのに 何故か読んでしまう! そして、やっぱりなあ~、んんんんと言いながら、読んでしまう。 不思議な中毒性のある作風で、「暴力変態版の寅さん」という 感じです。今回は、「腐泥の果実」では、冷え行く貫多と秋恵の感じ が読み取れます。 | ||||
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最後に収録されている「腐泥の果実」。秋恵と別れるきっかけになったエピソードだが、 どうも貫多の演出が過剰なような。いくら「我が儘に出来ている」とは言っても流石にこれは ないだろう、と。・・・別に常識に照らしてとかではなく、西村氏の小説を殆ど読んでいる ファンとしての感想。これだから私小説は難しい、ということなのかもしれないが。 その他の作品はそこそこ楽しめたので無類の貫多好きとしては賞味期限切れはまだ先と思いたい。 | ||||
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秋恵もの、短編4篇を収録。表題作「寒灯」は、確か芥川賞受賞後第一作として発表されたものだと 記憶しています。 私小説作家西村氏の真骨頂は秋恵シリーズにあり、という意見もあるようですが 私は十代、二十代の貫多を描いた短編や、風俗嬢の登場するものの方がずっと好きです。 というのもこの秋恵もの、最初は笑って読んでいたのですが、ふたりの生活の実態が分かってくるにつれ、 だんだん笑えなくなっちゃったんですよ。 以下に述べることは、本作には描かれていないこともあるのですが、 秋恵さん、奴隷以下ですね。だって、奴隷は少なくとも衣食住をご主人様に保証されているでしょう? 秋恵さんは基本的な生活費を稼ぐこと、生活のための雑事(家事のことです)、2人分すべてやらされ、その上連れ合いの趣味(当時は食べていけないんだから趣味ですよね)を手伝わされ、ドメスティックバイオレンスを振るわれ、おまけに2人の生活を始めるための資金だって、秋恵側から出ている。ひどい搾取ですよ、これ。虐待もいいとこ。もしこれがアメリカで、秋恵が訴えるべきところに訴えたら、貫多は間違いなく手に縄がかけられますよね。1年も持ったなんて、秋恵さん、よく耐えた、偉い! 実家へ逃げ帰る道まで閉ざされたら、あとは他の男に頼る以外、ないじゃないですか。貫多自身が彼女の進む道筋をつけたようなもんでしょ。ざまーみろってんだ。 貫多は他人を骨の髄までしゃぶるように利用しつくす、まさに悪漢ですね。しおらしく反省してみせるところがあっても、ひどく情緒的な反省ばかりで、自分の本当の悪辣ぶりを自覚しているとはとても思えない。いつまでも秋恵との生活を忘れられないのも、初めて素人の女性が自分を好きになってくれてといっしょに生活できた、なんて甘い感想は本当は嘘。楽してたんですよ、楽を。あんな楽ちんな生活、後にも先にも初めてだったから、執着してるんでしょう。この悪党! あー、すっきりした。小説の主人公にこんな悪態ついたの、 この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 上 (100周年書き下ろし) 以来だわ。あの時は辛辣すぎてレビュー公開を拒否されたけど。でも、これはOKだよね。だって、小説の登場人物だもの、貫多って。でしょ? 作者は長編に挑んでいるらしい。期待してます。だってファンですもの。 | ||||
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合いからず、理不尽で露悪的な魅力に満ちた作品となっていると思う。ただ、初期の様な、ドギマギさせられような破滅を楽しむ怖ろしさはなく、同じ主題を繰り返すことによる深みもない。言わば、今はその過程にいるのかもしれない。「腐泥の果実」にはその予感を感じさせれるものはあった。 | ||||
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