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南冥の雫 満州国演義 八
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南冥の雫 満州国演義 八の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全17件 1~17 1/1ページ
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今回も資料を網羅し懸命に執筆しているのは伝わって来ます。ただ、資料の羅列のために、資料の説明をするだけのために登場人物がうごめいていると感じたのは自分だけでしょうか?登場人物同士の会話で大東亜戦争の経過と軍部の内部をただ「説明」させているのです。全然「描写」になっていません。 登場人物同士が会うと何処かの店で何か食う。その品だけは何故か具体的に描写しますし、必ずと言ってよいほど毎回「酒は2合徳利2本で手酌」と決まっています。しかも「舐める」という語を使いまくる。そして燐寸を擦って煙草に火をつけ、煙を吐く。「又か!」と読んでいてうんざりさせられました。週刊誌の連載であるとはいえ、数えてはいませんがこれだけ同じパターンの繰り返しは芸が無いとしか申せません。これが情景背景描写と考えているなら、あまりに安易です。作者も編集者も気付かなかったのでしょうか? だから、兄弟四人にしても、ただ都合よく出て来て、軽いエピソードに巻き込まれる感しかしないのです。女性とのからみでも、四郎と義母の不倫関係もあっさりと自殺で終わる。太郎と愛人も妻が出て来て殺害して、後始末を三郎がして終わり。妻のその後も狂気の場が一度描かれたきり。次郎と関係したインド女性も流れ弾に当たって終了。その次郎にしてもー兄弟の中では最も波乱に富んだ人物だと思われますがーインパール作戦に参加し急にマラリアにかかり、うじにたかられて、結果はあっさりと死亡します。考えてみれば、第一巻でいきなり馬賊の頭領になって登場しますが、どういう経過で馬賊になったのかも説明なく終了です。人間が全然描けていないと感じるのは自分だけでしょうか? それにしてもビルマからインパール作戦の歴史的経過の説明は、何人もの登場人物に同じセリフを繰り返させます。牟田口大将の愚かさと東条英機の器量の無さを。これもただ会話と発言をかりての繰り返しで読んでいていやになりました。著者が何巻かのあとがきで書いていた通り、「小説は歴史の奴隷ではないが、歴史もまた小説の玩具ではない」という言葉が逆にそのまま当てはまると感じるのは自分だけでしょうか?この巻は特に、なんじゃ、これは?と感じてしまいました。最終巻の9巻はどうなるのか?ここまできたら、付き合って読むしかないのですが・・・ | ||||
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適切な値段設定でした。 | ||||
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表紙上部に破れがあり残念でした。 | ||||
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新聞での書評から読み始めたが、当時の満州国を中心とする日本陸軍の暴走ぶりがよくわかる小説、船戸与一さんは原稿用紙7500枚とよく書いてくれました。 | ||||
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船戸の物語には、やはり虚を突かれる。恰も主要人物では無かった如くに「生」を終える。人である以上は人生の内容に関わらず、生きた実績を残して消え去る宿命を負っている、無常観に陥るしか術が無い。引き続き濁流にのみ込まれる如くに最終巻へ。 | ||||
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帯に書かれた、これほど秀逸な煽り文句は、久しく見ていない。 この文句は、ストーリーだけにあらず。俺たちの船戸与一への手向けの花だ。 | ||||
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「左手を眼窩にあてがってみた。ぶよぶよした感触の生物がいくつもそこから這い出してくる。蛆だ。生きたまま蛆にたかられた何人の兵士をこれまで見てきたことだろう」。インパール作戦により、孤高で雄々しい次郎に似合わない死。 | ||||
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図書館で借りて読みましたが、もう一度読みたくなり文庫がでたので、購入しました。日中戦争、太平洋戦争の勃発から終戦までを興味深く読むことができました。 | ||||
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いちばん船戸小説の主人公らしい「無国籍」「無頼」「柳絮」たる次男が無残に戦病死してしまう展開に驚愕させられた。満州馬賊という「職業」をむしろ楽しんでいた彼は時代の流れに取り残され、暗殺者、私兵、軍隊訓練者などを金のために何にでも手を染めてしまい、最期は囚人部隊を率いて敗走中に戦病死。四兄弟のなかではもっともハッキリとしたキャラクターだけにかなり感情移入していたが、最終巻を待たずにあえなく亡くなってしまった。 長男も「幼いころから積み上げてきた倫理観ががらがらと崩れてしまう」破滅的状況に追い込まれ、三男は「じぶんと長らく行動をともにする連中はかならず死んでしまう」運命を呪い、四男もあいかわらずさまざまな組織の人間から利用されまくるだけの立場を嘆く。 ついに残りは1巻。「結末」も薄々予想されるだけにはたして読み続けるべきか、いったん休むのか思案の為所となった。 | ||||
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船戸与一氏の雄渾極まりないこの作品も本作を含めてあと二冊。正直、本作の迫力に頭が痺れて(というか麻痺してしまい)、他の書物は一切読めない状態がこの一箇月の間続いています。歴史とフィクションの絶妙なシンクロナイゼーション、そして、所謂「大きな歴史」(国家レベル、組織レベルのマクロな話)と「小さな歴史」(国籍・人種を問わず、個人レベル、家族レベルのミクロな話)の見事な混淆(融合)から評者が感じたのは、「結局、歴史とはこういうことだ」という思いですね。あと一冊、心して読みたい。 「役職が増えるってことは責任の所在が不明確になることだからな。戦況が悪化した場合は責任のなすり合いが起こる可能性も出て来る」(38頁) 「敷島太郎は丁路看の背なかを撫でまわしながらその口を吸いつづけた。こうやって肌を合わすのは久しぶりだが、営みは一度だけで、そのあと股間は力を持とうとはしなかった」(90頁)。 「一説は四方諒二大佐の脅迫だよ。中野正剛には達彦と泰雄というふたりの息子がいる。そのふたりをたとえば東部ニューギニアのような赴けば十中八、九死ぬという戦線に兵士として送り込まれたくなかったら、釈放後に出頭して素直に自供しろとね ・・・ 倒閣運動に高松宮宣仁親王が興味を持ったことは事実だ。調査が進んでそれが判明したとき、皇室に多大な迷惑がかかる。天皇親政論者でもある中野正剛にはそのことが耐えられなかった。それが自殺の理由だとも考えられる」(405~6頁) 「牟田口はいわば小型東条英機と言ってもいい。やたらと精神論を振りまわすだけで、近代戦の何たるかがわかっていない。盧溝橋事件やマレー進攻の際の自慢話に終始し、じぶんには天佑神助があると法螺を吹く。反対意見には耳も貸さず、理を唱えようとする参謀はすぐに更迭してしまう」(473頁)。 「死体になるとすぐに蛆が湧き、皮膚や肉や内臓を食い尽くすんで、きれいな白骨になる。兵士はそれを虫葬と呼んでました」(490頁)。 それにしても、歴史とフィクションの混交という意味では、叙述の形式としては百田尚樹氏の『永遠の0』も本作品と同じような感じですね。なお、佐々木讓氏の解説ですが、ややネタバレの観があります。読むなら、作品の読了後にすべきでしょう。 | ||||
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4兄弟の中でも、特に,興味深く感じていた、次男が、もう登場しなくなるのは、残念。いよいよ最終巻が楽しみだ。 | ||||
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満州国はおろか中国も超えた戦火は太平洋に。緒戦の相次ぐ「大戦果」はドーリトッル空襲とミッドウェー海戦の敗北で後が続かない。太郎は妻桂子が愛人を殺害しかつ精神に異常を来す。彼の過ちと罪は兄弟にも暗い影を落とす。次郎はスマトラ、ジャワ、マレー、ビルマに向かい囚人部隊を率いてインパール作戦に参戦。三郎は少佐に昇進し関東軍機動第二連隊を率い気球による挺身侵入などの特殊任務につく。四郎は愛人と離別し関東軍の嘱託に転じる。二重三重の秘密のベールを覆われ「切っても切れない縁」のある特務中佐間垣徳蔵は歴史の解説者として同盟通信の香月信彦とともに本編でも「活躍」する。最終頁はインパールの「白骨街道」脇で次郎の「視界から何もかも消え」るシーン。兄弟四人が揃うことはもはやありえない。 叙述された史実を書き出せばきりがなくまた虚構の人物像も「悪人」も含めて様々である。 軍事史上の誤りは一点だけ指摘しておく。P296 に登場の九三式双発軽爆撃機の性能を「重量2800KG、7.7ミリ機銃2丁、爆弾400KG、航続距離3000KM、時速283KM」と記載しているが、これは九三双軽(キ-2)ではなく昭和⒒年に朝日新聞社が三菱に発注した発展型で非武装の鵬型長距離連絡機の性能である。出典は『日本航空機総集 三菱編』出版協同社、1966年。 | ||||
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大河作品も残すところ2巻となった。 本巻は大東亜戦争の栄光から破綻までが描かれる。 すでに個人の活躍は影を潜め、四兄弟をはじめ、登場人物の名セリフも活劇もない。 わずか一巻で、実にあっけなく、国家は敗北の道をたどり、重要な登場人物が退場する。 聞けば船戸与一は四人兄弟の次男。 本人はインタヴューで否定しているが、本作品の「次郎」にはつい、氏の姿を重ねてしまう。 「冒険小説」を追った者と「冒険」を追った者。 後者はわからないが、前者にはその末期に充足感があったことを祈りたい。 解説は佐々木譲。 史実をベースにした作品を書いても、率直に言って船戸作品とは方向が違う。 それがかえって、興味深い視点の解説となっていた。 | ||||
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タイトルは「満州国演義」なのだが、第一巻から通しても肝心の満州国の機構や内部事情にはあまり触れられていないな。溥儀や満州人高官の名前なんか滅多に出ない。いくら日本の傀儡国家とはいえ、甘粕や関東軍、憲兵隊だけが満州国じゃないだろうに。いっそのこと「大東亜戦争演義」とか「愚劣な関東軍ならびに憲兵隊演義」に改題した方がいいのじゃないか。その方が内容に合っている。 なによりも、たかが卑しい憲兵風情にこだわりすぎているし、関東軍使用の車両の製造元や型番など、本筋に無関係な些細なことにも妙なこだわりがある。 そんなことより、船戸はもっと文章や言葉にこだわるべきだ。船戸のどの本もそうなのだが、「すさまじい」と「どういう意味です、それ?」が滅多やたらと出てくるし、あいかわらず文章も下手だ。作家のくせに類語辞典も持っていないのかと聞きたい。すさまじく語彙の貧弱な作家だ。 | ||||
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ドーリットル爆撃隊による東京初空襲からインパール作戦までの皇国の凋落を描きます。 皇国が抱えていた様々な矛盾や先送りにしていた問題がここに来て顕在化し、破局に向 けて物語は加速します。皇国も皇軍もなくなりましたがこの辺りは現代社会にも通じる ものがあるように思います。 また登場人物にも振幅がつけられており、群雄劇に深みが加わります。 皇国のために背負った業の数だけ皺を刻んでいる。得体の知れない冷徹な特務中佐間垣 が落ち着きをなくしたり、軍で干されてくさったりします。対照的に柳絮のように生き たいと願っていた敷島次郎ははからずも非正規戦部隊を率いて皇軍とインパール戦に参 加します。闊達な青年将校だった敷島三郎は兄のスキャンダルもみ消しや親しい仲間を 喪うことで世の中に倦みはじめると。 今回あまり出番がなかった敷島四郎が活躍するであろう次巻(最終巻)が待ち遠しい。 | ||||
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長く次巻を待っていました。 繋がりが大切と思い、7巻の後半を読み、8巻をよみました。 話題の場所が転戦(?)し記憶を呼び戻すのに苦労しましたが、面白かった。 | ||||
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読んでいてこちらまでむせてしまいそうなたばこ、たばこ、ちょつとひどすぎます。8巻で終わりとおもつていたら9巻までだそうで、最後はすつきりした空気のなかで読ませてください。ずいぶんながい小説なので作者もおつかれでしょう、今までのような覇気がなくなつたきがします。大東亜戦争にくわわつた者として初めから身の引き締まる思いで読みました。負け戦で終わるにしてもあのころを懐かしく思われるよう完結させてください。尚身体のために煙草は控えめに。 | ||||
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