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百年の轍
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百年の轍の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.93pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全14件 1~14 1/1ページ
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最近、書店に行く機会がなかった私が、とある機会で手にすることが出来た奇跡的な小説。 登場人物のキャラクターにも親しみ・愛着をとても感じ、作品の時代背景、舞台、テーマも新鮮で著者が書きたかったことが 読み進めていくうちにひしひしと伝わってくる。 いつしか物語に溶け込んでいく自分がいた。 作品の中の登場人物、矢島泰介を見ると今から10年以上前に亡くなった祖父を思い出す。そしてその子孫が私自身と重なり物語がメタファーのように『林業』という題材を通して作品の醍醐味を私に語りかけてくる。 戦後に生まれ比較的裕福な時代・環境で育った私は、作中の過酷な戦争を生き逃れた矢島泰介と岩城智也が作り出した『物語』に魅了される。 読後も『記憶』として読者の私の頭に鮮明に残り続け、受け継がれていく。 そして『百年の轍』はぜひ私が現在、最も老若男女にレコメンドしたい作品である。 辞書・予備知識がなくても楽しめる読みやすさと登場人物の豊かでバラエティーに富んだ愛着感、そして各チャプターごとに舞台や時代・世代が 見事に移り変わる技巧・趣向が凝らされていて、読んでいて飽くことがない。 そして本を購入した時に疑問にあったタイトルの『百年の轍』の意味を理解した時鳥肌が立ち感動を覚えた。 ノンフィクション小説であるこの『百年の轍』の世界もリアリティがある。 九州に行った際にはぜひ『日田』に立ち寄りたいと思う。 私は開放隅角緑内障という不治で末期の眼病患者です。 世の中には私のような目の病気や障害を持った人だけではなく例え本を手にしても読むことが出来ない方も多くいる。 失明する前にこの本を読むことが出来たことが幸いだったことを最後に訴えたかった。 再度『百年の轍』を読み返すことが出来るよう願ってやまない。 | ||||
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ネタバレになるので詳しくは書けませんが、後半になればなるほど驚きの展開になります。小説を読む機会が少ないのですが本当に面白い。 | ||||
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百年の轍を読んで。 怖いからと毛嫌いしていた推理小説を生まれて初めて読んでみた。 織江耕太郎著「百年の轍」夢中になって時を忘れた。 大正末期に生まれた三人の男、二人は生涯の親友となる。 日中戦争、太平洋戦争の、苦難の日々から敗戦。占領軍が駐留軍となって残り、経済成長期。大分の杉林に危機が迫る。 かつて政府は、杉檜の植林を奨励して、雑木林をどんどん切り拓いて杉林に変えさせておきながら、海外の安い材木を輸入する法案を作って、自国の林業を疲弊させた。それを阻止しようと、あがく林業の人たち。政治家は彼らの窮状に見向きもしない。その混乱の中で一人の大正生まれが突然消息を断つ。 その真相を、幼馴染の男の、息子は知る由もなかったが、その妻は後に知ることとなり・・・孫とその妻が謎解きに奔走して解明する。 ひ孫もまた謎にぶつかるが・・・ 善人ばかりのような中に、時代の波を狡賢く乱暴に泳いだ男が消えた謎。 時代に振り回されながら誠実に生き抜いた二人の男の固い友情。子、孫、曽孫それぞれの生き様。 冷静で賢い妻たちの物語でもある。 読み応えのある本でした。 以上百年のうちの90年を生きてきた婆の感想です。 [追記] 百年の轍を読んで甦る思い。 あの頃、赤みを帯びたラワンの材木をよく目にした。こんな目の粗い板、何に使うのかなと思ったら、全く見かけなくなった。今は合板の材料になっているらしい。 国策と言うものの陰には振り回されて衰退してしまう業界がある。 炭鉱は閉山して、失業者が溢れた。 林業も採算が取れなくなって山は荒れ、台風毎に倒木が電線を切り、道を塞ぐ。 新型コロナの国難では、飲食業界や、音楽演劇の世界など広範囲にわたって、パートアルバイトにも失業が及び、ホームレスが増え、自殺者が増えている。 政府は国民を守れないらしい。 戦争中、国は国民を守らないものだと肝に銘じたけれど、未だに庶民の悲鳴は、政治家の耳には半分も届いていない気がする.政治家はコロナに罹ってもすぐ入院できるが、庶民は自宅療養中に孤独死している。 自助、共助、公序の順だと言うから恐ろしい。自助ができなくなったら・・・・・悲惨だ。 国とは所詮そんなものだと、思いたくなることが恐ろしい。 熱かった60年70年安保の頃の熱気は今はない。大丈夫かな?日本。 | ||||
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今年の初読書 杉林に浮かぶ中秋の名月が美しい 以下本文より抜粋 ……………………………… 先人は『文明の前には森林があり、文明の後には砂漠が残る』という 言葉を残している。我々日本人も長い歴史の中で森や木のおかげで 豊かな生活や産業文化を築いてきた。 化石燃料と違って、木は切っては植え、と繰り返すことができる、 枯渇しない資源である。 植林の歴史が昔からあるのは中欧と日本ぐらいだと言われている。 さらに著者は、4月に施行される「森林経営管理法」が、 百年単位の産業と言われる林業を、行政が長期的ビジョンで練った法律か 否かを問う場面をさらりと描いている。 私の居住地岐阜もまた、山の国である 他人事と読まずして過ごすことが憚られ、読み進める時は コロナ禍に身を置いていることもすっかり忘れ、 ありがたき時間を過ごした。 | ||||
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これから読むところです。 | ||||
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織江耕太郎の新作「百年の轍」を読む。 テーマは100年にわたるある家族の歴史だけれどもその歴史に戦争、政治、林業などの歴史が絡んで物語は時代を超えて複雑化する。 これらのテーマが並走しているところが面白いのだが、特に戦争の描き方に惹かれた。市井の人たちがどう戦争に向き合ったか、その悲劇的な戦争の傷跡は今日も続き、それを政治はついに補うことができなかったばかりでなく、今日ますます無力化している状況を先取りしているように思う。 読後にコロナ禍の現状も含めた様々な問題への思考を強く促すところは社会派ミステリーの枠を超えていると思う。 | ||||
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織江耕太郎さんの新作「百年の轍」を読みました。大変な傑作で感想をどのように書くべきか悩んでしまったほどです。 でもともかく思いついたまま書きます。 まず、全体の構成がいい。100年3家族4世代が抱え込んできた問題は、プロローグの伏線「不憫なのは小都の息子祐一です」というくだりから始まる。そしてその「不憫」な祐一を巡ってそれがなぜかという疑問を説くところから本編は始まる。そして時代は遡りその父親と友人との戦地での話。戦後始めた日田の林業、国産材を守る会の運動をしながら、製材所をやっていく二人に、もう一人県会議員の学校時代の友人(というよりワル)が加わり、人間関係は複雑になっていく。その後は3代目を中心とした周辺の人間模様が描かれ、最終章で一気にたたみ込むようにアクセルがかかる。その章設定、テンポ設定もいい。 エピローグはプロローグの続きで、4世代目の登場。プロローグで濡れて読めなかった手紙の文字が読め、「不憫な祐一」の孫がことの全貌を知ることになる。でも残念ながらそこに関わってきた最後の生き証人が1週間前に亡くなり、100年間で3家族の物語は永久に閉じられる・・・ 何と言っても周りの人たちの優しさが心に沁みる。それぞれがいろいろな形で祐一と息子の健介、さらには父親の泰介を守って来た。 また百年という長さは、人間のリアルな記憶の歴史としての長さを表しているのだろう。 それに対抗するように「月」がこの一連の出来事をいつも見ていて、それが変わらないものの象徴となっている。 最後の最後に知った驚くべき事件の真相は、ネタバレになるのでここでは控えておく。是非本を買ってお読みになって下さい。 その社会派ミステリーとして祐一の出自がストーリーの中心なのだが、戦争と高度成長期(資本主義の台頭→最近では新自由主義、具体的にには種苗法など、最初に出てくる都市計画道路も)に市井の人が巻き込まれることによって、人間性が歪められていくことが背景にあるテーマだと思う。 そういう意味で読み終わった時に思い出したのはハンナ・アーレントの「イェルサレムのアイヒマン」。アイヒマンはだれでもなりうる普通の人だったというアーレントの論文は賛否両論議論を呼んだ。 林業は私の仕事(建築の設計)とも近い関係にあるのだが、私は低層の住宅、個人のホールなどはなるべく木造で作ることにしていて、それはコストの問題も大きいけれど、住み心地、室内音響、耐震性などにおいていいと思っているから。 また私がかつて使ってきた工務店は神社仏閣を得意として来た伝統工法ができる工務店だったけど棟梁が亡くなり閉める事に、今頼んでいるところは製材所でもあり、国産の木材しか使わない数少ない工務店であることを付け加えておきます。 | ||||
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読み進むにつれて 戦中、戦後そして高度経済成長期の林業の衰退を背景に、時代を跨いで複雑に絡んでいる 人に言えぬ人間関係が見えてきます。 その度に登場人物が醸し出す心の内が苦しくもあり、切なくもあり、、、。 織江さんの作品は、全て網羅していますが、毎回、憂いを含んだ会話の言いまわしや、巧みな文章表現に気持ちを持って行かれてしまう。 やがて、その光景が頭の中で現実となって、今回もまた、気づけば私も登場人物のひとりとなっておりました。 読了 | ||||
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後半引き込まれ、一気に読みました。 智也が佐伯に送った文章に思わず涙。 人は螺旋のように絡み合いながら命を繋いで行くんですね。 時代が悪を作る、ほんとにそう思います。今、とにかく悲惨な事件が多い。でも加害者も生まれた時は可愛い赤ん坊…どうしてそんな酷い人になったのか・・・いつも胸が痛みます。悪の鬼塚、没落したかのようにみえたものが、没落ではなく再生し、新しい生き方をする孫やその後の人達。希望が持てる展開に、やっぱり生まれながらに人はいい人なんだと思いました。憎くて捨てたい鬼塚の遺骨。血は消せないし、脈々と繋がっていた…青いペンダントに心が癒される、作者の優しさを感じました。いい本だった! | ||||
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家族や恋人を大切に懸命に生きつつも、戦争や利権の大波に翻弄され、どうしようもないところまで追い詰められ・・・反撃。 親のこともよく知らず、まして祖父祖母となれば霧の中。引っ掛かる謎を解いていくうちに、霧の中から現れる誤解や隠し事のどんでん返しが意表をつく。 読後、いつまでも余韻が残る面白い小説でした。 | ||||
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戦争を知らない世代の私たちが自分の先祖が何を思い、どう生きてきたのかを知ろうとすることの大切さが表れていました。塹壕で見たことのほとんどを語らずして亡くなっていった多くの人たち、私の祖父の姿もこの作品の中に見つけたような気がしました。 また、復興のために国が何をやってきたかを正面から描いたところも流石です。 若い人たちへ伝え続けていきたい作品。 | ||||
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「とてもいい本です。登場人物それぞれの気持ちを丁書に書いています。切ないくらいに。」 | ||||
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特定の主人公が無く、百年の時の流れの、その時その時の時代自体が主人公のような書き方には 感服した。最初 登場人物のリストを見たとき「これは 名前を覚えないと、ストーリーが掴めない 難しい小説かな?」と思ったが、読み進めると、そんな懸念も何処へやら、ストーリーに引っ張られて読み進めてしまった。 林業に関する象徴的な言葉がちりばめられている、それはページを追うごとに時代の変化にも変わらない根本的な命題を示し続けている。 健介が母から受け取った資料の冒頭に、先人は「文明の前には森林があり、 文明の後には砂漠が残る……枯渇しない資源である。植林の歴史が昔からあるのは中欧と日本くらいだと言われている。」という命題とも言えるくだりが、朝鮮戦争特需の恩恵、拡大造林政策、、、という社会的側面につながり、後段では、朝鮮戦争では 日本が戦禍を被ることなく、特需景気で高度成長へ向かい、その裏では林業の衰退のイメージを一貫して読者に持たせ続ける。 百年と言う時間の流れの人間模様に織り交ぜながら、林業にまつわる悲喜こもごもを感じさせるプロットには、今までの君の小説にない自然な情景を私に感じさせる強さがある。 そして、終盤にきて健介が 黄昏時のゴールデン街で、昔の事? と自問自答し、「昔」はいつのことを指しているのか。いつの、何を知りたいのか。それさえも判然としない。というくだりでは、人生の下り坂に足を踏み入れた男の、悲哀でもない、現実が濃く映し出されているような気がした。 兎に角、読みやすかった。プロットの力強さが、各章毎に何か分からないがリズムを感じさせてくれた。 知り合いにも広めようと思う。 | ||||
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日中戦争から太平洋戦争 様々な物を失い 故郷の杉林産業を守るため全てを賭ける男 消えた議員 戦争に翻弄された女 その子ども達 孫達 百年先まで決まってしまっていたのか 轍は政治か血の流れか 時を超えたサスペンスはページをめくる楽しさであっと言う前に読み終えてしまいました。 | ||||
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