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廃墟ホテル



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【この小説が収録されている参考書籍】
廃墟ホテル (ランダムハウス講談社文庫)

廃墟ホテルの評価: 3.67/5点 レビュー 6件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.67pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(5pt)

廃墟ホテルの暗闇を歩く

ゴーストタウンに聳え立つ7階建てのマヤ文明に残るピラミッドを模したホテル。最上階に住んでいた創業者はエキセントリックな人物で、いろいろ怪しい趣向をホテル内に張り巡らせていた。新聞記者と都市探検隊の一行はヘッドライトと懐中電灯を頼りに建物内を探索する。表紙のおどろおどろしいタッチを見るにつけ、行く手には何かとんでもないことが起こるに違いないと期待してしまう。登場人物たちには申し訳ないが期待は裏切られなかった。スピーディに展開していくのでサクサク読める。序盤に奇形のネズミが登場するので「そっち方面」に話を持っていくのかなあと思っていたら、サスペンス色がどんどん濃くなっていく。終盤の畳み掛ける展開はアクション要素満載でスリリングだ。そういえばビデオゲームでも「零」とか「弟切草」とか「バイオハザード」など廃墟を巡るものは面白かったことを思い出す。
廃墟ホテル (ランダムハウス講談社文庫)Amazon書評・レビュー:廃墟ホテル (ランダムハウス講談社文庫)より
4270100222
No.2:
(5pt)

モダンホラーの修羅場で原点回帰を果たした「ランボー」

昨年あたりから日本で再評価されはじめた、デビッド・マレルの新作。都市探検者と自称する、廃墟好きの一行が遭遇する恐怖の一夜を描いた意欲作である。2006年という現在において「モダン」なホラーであると同時に、極A級のAFでもあるのであったよ。

舞台となるホテルは唯の廃墟ではない。血友病の故、生涯引き篭もって暮らした大富豪が、夢見ながら実現できなかった海外への憧れと歪なエキゾチズムをアステカのピラミッドを模した超高級ホテルへと結実させた。20世紀初頭の出来事だ。

そして彼は、自分のホテルのペントハウスに引き篭もりつつ、ホテル内に設えた全客室に通じる秘密通路から宿泊客の生活を覗き見る。そして、60〜70年代の動乱の時代を経て、近代アメリカ社会を看取るかのように、オーナーは自殺していたのだった。

営業を停止してもなお、管財法人によって取り潰されるでもなく手を入れられるでもなく、野ざらしにされたまま今日に至る「廃墟ホテル」。その中には、ホテル内に取り残されたまま、三十年に及ぶ近親交配の末奇形化した猫や鼠が巣食っている。

物語前半で語られる廃墟ホテルの描写は、21世紀の幽霊屋敷を連想させるおぞましさに満ちている。そして、廃墟の闇を闊歩する恐怖の正体とは。。。。 いやもう、この「恐怖の正体」というのがね、アイデア、構成ともに「やられた!」という嬉しい裏切りがザクザクと心地よい。いや、ホラーだから心地悪いと言うべきだな。

主人公のキャラクター造詣は、悪く言えば「ランボー」から一歩も出ていないとも言える。だが、フィクションにおけるヒーローの資質は、過去を乗り越え現在と対峙する克己の強さにこそあるわけで、そういう意味では、マレルの手法もテーマ性もなんら間違っているわけではない。

恐怖に曝される一瞬一秒の刹那を「今」と呼び、「今」を生きる事に全力を傾ける主人公の姿は、ビターだけれども熱い感動を呼ぶのだ。
廃墟ホテル (ランダムハウス講談社文庫)Amazon書評・レビュー:廃墟ホテル (ランダムハウス講談社文庫)より
4270100222
No.1:
(4pt)

意外な展開の連続で

バレンジャーは、クリーパーズ(都市探検者)の探検に同行する。クリーパーズとは、打ち捨てられた病院、軍事施設、劇場や地下トンネルなどを探検する者たちで、世界の多くの都市にグループがあるのだという。多くはもちろん違法行為だ。

今回、バレンジャーとともに探検に向かう一行は、大学の歴史学教授と学生3人だ。彼らの目的地は閉鎖されて久しいとある高級ホテル。彼らの目的は、純粋に葬り去られるこの建物の奇怪な過去と不気味な雰囲気を楽しむ冒険だったのか?畸形のネズミ、5本足のネコが駆け巡る廃墟ホテルには、彼らの想像をはるかに超えた忌まわしい過去と現在があったのだ。

と書くと、ホラーみたい。デヴィッド・マレルは「ランボー」シリーズの作家として有名だが、私にとっては、マレルは「トーテム」や「Black Evening(苦悩のオレンジ、狂気のブルー)」などの、上質のホラー作家のイメージが強い。てっきりこの作品も「ホラー」かと思った。

しかし、びっくりするような展開が待ち受けていた。だが、それではこの作品がホラーと遠い作品かというとそうでもないとも思う。彼らの体験する廃墟ホテルでの一夜の出来事には、やはりある種のホラー小説を読み終えたような戦慄と悲しさをおぼえたからだ。

なんだかとっても得した気分になった作品でした。
廃墟ホテル (ランダムハウス講談社文庫)Amazon書評・レビュー:廃墟ホテル (ランダムハウス講談社文庫)より
4270100222

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