青空と逃げる

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評判

青空と逃げるの評価:

3.91/5点 レビュー 43件。 C ランク

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平均点3.91pt

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全45件 41〜45 3/3ページ
No.5
(5pt)

大都会育ちと地方をつなぐ、心温まるロード・ムービー

☆カツオ人間☆@katsuo__2011 のツィートを見て遮二無二購入して読みました。

母親(早苗)と小五の男子(力)の夏休みから翌年の春にかけての逃避行。
高知県四万十市
兵庫県姫路市家島町
大分県別府市
宮城県仙台市
四箇所を巡ります。

僕は高知県在住なもんで、早速四万十川下流に行って、青空と青い四万十川を撮ってきました。

高知県四万十市では、四万十川の伝統的川魚漁「柴づけ漁」をするお兄さんを力くんが手伝う場面から始まります。お母さんは近くの観光客向け食堂でアルバイトです。

家島では、同じく都会から引っ越してきた中学生のお姉さんと島を巡り、
別府では湯治に来ていた老紳士に温泉蒸しをごちそうになり、お母さんは砂湯の砂かけとして働きます。
仙台市では写真館を手伝います。

大都市圏の会社勤めの家に育ち、学校卒業後そのままサラリーマンとして過ごすと、地方の生活というモノが実感として解りません。
例えば自分が会社を辞めて地方で働くとしたらどうなるのか? 特技も無く、手に職も無く、今の月給を維持するにはしがみついても社畜であらねば。と思いがちです。(僕は五年前に高知県に転勤してくるまでは、そんなふうに思っていました。)
この小説を読むと、別に会社を辞めても、それなりに一生を送ることができる、
と言うか、親のように学校を出たが最後、同じ会社にしがみつく生き方と言うのは、選択肢の一つでしか無い。と理解出来ました。

小説自体はノワールの側面があります。それで親子が逃げているわけです。
でも、辻村深月が描く小説は、ハードボイルドではありません。
対極にある家族を大切にする親子を描きます。
行く先々で人情に触れ、助けられ、ハッピーエンド(と言うほどでもないですが)を迎える物語になっています。

青空はどこまでもつながっている。例えば曇り空でも、雲の上には青空が広がっている。

でのテーマ「太陽はどこにあっても明るい。」と共通する、人の世の善意を信じる力を思い出させる小説でした。

分断されつつあるこの世の中をつなぎ止めるのが辻村深月の小説なのだな。と思いました。
青空と逃げる (単行本) Amazon書評・レビュー: 青空と逃げる (単行本)より
4120050610
No.4
(5pt)

大都会育ちと地方をつなぐ、心温まるロード・ムービーではなくロード・小説

あ、辻村深月の小説にてありましたな(^0^;)
母親(早苗)と小五の男子(力)の夏休みから春にかけての逃避行。
高知県四万十市
兵庫県姫路市家島町
大分県別府市
宮城県仙台市
四箇所を巡ります。

僕は高知県の観光にも利用されているキャラクター「カツオ人間」がツィートしているの見て、本書を購入しました。
高知県四万十市では、四万十川の伝統的川魚漁「柴漬け漁」をするお兄さんを力くんが手伝う場面から始まります。お母さんは近くの観光客向け食堂でアルバイトです。
家島では、同じく都会から引っ越してきた中学生のお姉さんと島を巡り、
別府では湯治に来ていたお祖父さんに温泉蒸しをごちそうになり、お母さんは砂湯の砂かけとして働きます。
仙台市では写真館を手伝います。

大都市圏の会社勤めの家に育ち、学校卒業後そのままサラリーマンとして過ごすと、地方の生活というモノが実感として解りません。例えば自分が会社を辞めて地方で働くとしたらどうなるのか? 特技も無く、手に職も無く、今の月給を維持するにはしがみついても社畜であらねば。と思いがちです。(僕は五年前に高知県に転勤してくるまでは、そんなふうに思っていました。)
この小説を読むと、別に会社を辞めても、それなりに一生を送ることができる、
と言うか、親のように学校を出たが最後同じ会社にしがみつく生き方と言うのは、選択肢の一つでしか無い。と理解出来ました。

小説自体はノワールの側面があります。それで親子が逃げているわけです。
でも、辻村深月が描く小説は、ハードボイルドではありません。
対極にある家族を大切にする親子を描きます。
行く先々で人情に触れ、助けられ、ハッピーエンド(と言うほどでもないですが)を迎える物語になっています。

青空はどこまでもつながっている。例えば曇り空でも、雲の上には青空が広がっている。

でのテーマ「太陽はどこにあっても明るい。」と共通する、人の世の善意を信じる力を思い出させる小説でした。
青空と逃げる (単行本) Amazon書評・レビュー: 青空と逃げる (単行本)より
4120050610
No.3
(4pt)

流石辻村さんと感服するばかりです(^-^*)/

深夜の交通事故から幕を開けた、家族の危機。
劇団俳優の夫が、テレビ女優と二人きりのドライブで事故となり、女優は怪我で顔が駄目になり自殺。
雲隠れした夫の代わりに、女優の事務所の裏社会の人たちから追われる母と息子。
押し寄せる悪意と興味本位の追及に日常を奪われた母と息子は、東京から逃げることを決めた――。

以上、そんな内容の辻村さんの最新作品。
追われる二人が逃げる途中で豊かな自然と何人かの人たちの大いなる優しさと交流し、癒され成長していく様には、こちらの心にも温もりが溢れてきましたし、
終盤・辻村ファンとしては思いがけない再会が嬉しく光に感じ、真相からのエンドも見事に感動させられました!

ただ、真相で明かされる対処に関しては別のベストな方法があったと思いつつ、そうすると○○が成り立たないので……むぅ(>_<)と思う部分と、

後は去年末から明かされてたタイトルがイマイチだなという思いは読後に尚更増しました。
発売前、タイトルと少しの概要から連想したのは『DV被害から逃げる母と子供』であり、違うイメージを抱きやすいのはマイナスだなと感じるし、
作品を統括するタイトルとしては、明日への逃亡や青空への逃亡みたいな方向性の方が良かったのでは?と思いつつ、
ただ、自然と生きる人たちとの交流にスポットライトを浴びせる内容としては、『青空と』という使い方は分かるし、心に『うん?どんな作品?』と興味を抱かせたり引っ掛かりを与えるという意味では良いタイトルだけど、
同時読みした御子柴シリーズのタイトルが秀逸過ぎるが故に、勿体無いなぁと感じた部分でした。

終盤と真相が過去作の素晴らしさに比べると、鮮やかに欠ける点があったので、
今作の前に読んだ『スロウハイツの神様』は超えられませんでしたが、
それでもきちんと感動を与えてくれて、面白く読ませてくれた点は流石辻村さんと感服するばかりです(^-^*)/

ちなみに今回、人生で最大の読書記念を最高に楽しく迎えるために、初の複数同時読みを試みまして、とても楽しい経験でした!
青空と逃げる (単行本) Amazon書評・レビュー: 青空と逃げる (単行本)より
4120050610
No.2
(4pt)

辻村深月版「八日目の蝉」?

ここまでの評価で、「お父さんの逃げた理由が分からない」とのコメントが見られたので、一言。

この作品では、俳優(お父さん)が女優と同乗していた車で深夜、事故に遭い、不倫報道がなされる中、女優が自殺、俳優の方は行方をくらます。マスコミなどが俳優の家(アパートなんだって…)を取り囲む中、女優の所属プロ(暴力団との繋がりありと暗喩)が俳優の行方を追い、俳優の家族(母子。この2人が主人公)が逃げる、とのストーリーになっています。

で、「お父さんの逃げた理由」ですが、文面で書かれていなければ、読み取る事が出来ないのでしょうか? 最後の方で書かれている「お父さんの怪我が、いつの時点での怪我なのか」を思い出せば、そこからの理由は書いてあります。ここで、今までのストーリーの解釈(作者が誘導していた推論)は、反転するのです。が、この部分は、文面で再度なぞられていない。だから、読み取れないというのでは、あまりにお粗末。

辻村 深月さんの「冷たい校舎のときは止まる」などで見られたような、読者に繰り返し語っていたことが、落語のオチのようなもので終わってしまうのとは異なり、きちんと論理が紡がれているのは評価できます。でも、最後のどんでん返しの論理は、あくまで作者が一生懸命に考えて、隠したものであり、お母さんが見つけた心の中が語られていない。そこら辺の、読者に対するサービスは、連載から刊行まで時間があっただけに、惜しいところ。ここを精密に描くと、「スロウハイツの神様」の最後の方の謎解きのような面白さが出て来たかも知れないとも思います。

この連載終了から刊行までの時間は、出版元を読売新聞社にするか、中央公論社にするか、の綱引きだったのでしょうか? それとも、作者の刊行を1年に1冊ベースにするための、時間調整?(笑)

逃避行として、そのときの心の交流が描かれていることで、辻村深月版の「八日目の蝉」(この作品自体は、角田光代・作)なのかな、とも思いました。やくざ(と明確には書かれていませんが)から追われる、この状況ならば、切羽詰まった不安があるはずなのに、この心の交流があるが故に、そんなに暗い感じを受けることもない。辻村深月の作品のなかで最も透明な印象を受ける「島とぼくらと」と同じ匂いを感じもしました。これは、短い期間ながら島が途中に挟まることと、谷川ヨシノという登場人物が両作品を繋いでいるからの勝手な印象でしょうか?

私には、「八日目の蝉」と、宮部みゆきさんの言う「情報の開示」を特に意識しながら、辻村深月さんが挑んだ実験作のように思えました。

最初の方は、読み難い感じを受けるかも知れませんが、作品のリズムに乗ってしまえば、いつもの辻村作品と変わりなく、すらすらと読めます。私は、中断をはさみながらも、数時間で読了しました。
青空と逃げる (単行本) Amazon書評・レビュー: 青空と逃げる (単行本)より
4120050610
No.1
(5pt)

逃亡記ではなく逃避行ものでいいかなと…

ある種の逃避行ものとでも言うのでしょうか。この先がどうなるのかと思いつつ読みました。小五といえば10歳くらいでしょう。この男の子と母親との逃げるというか生活の場を求めての物語に感銘しました。父親の為したことから母と子どもが転々とする情景は巧く描かれていると思いつつ頁を捲りました。高知県の四万十から兵庫県淡路島の家入へと。何処でも皆が温かく接してくれることに読んでて爽快感を覚えました。更には中一(12歳くらい)の女子生徒の淡い恋ともつかない描写。そういうのもあるかもなーと思いつつ。そうして別府の鉄輪温泉から仙台へと…。終章では北海道へ。北海道というと札幌かと思いきやオホーツク海側の町へ。偶然にも私の故郷のすぐ近くでした。とても周りの人の心遣いを心優しく描いています。母の知る由もなく父と小五の子どもがずっと連絡を取っていたというオチ…。なかなか読み応えがありました。
青空と逃げる (単行本) Amazon書評・レビュー: 青空と逃げる (単行本)より
4120050610