永劫回帰
評判
永劫回帰の評価:
4.00/5点 レビュー 2件。 - ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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永劫回帰の評価:
4.00/5点 レビュー 2件。 - ランク
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そういう先入観を持って読み始めた本作ですが、主人公の紹介の部分に驚愕しました。主人公は宇宙船型の超大型コンピュータにサポートされるスーパー・サイボーグですが、彼がそのような存在になった経緯が凄い。科学の頂点に立つ哲学集団に育てられた青年が地獄の業火に焼かれて超人として生まれ変わるのですが、その時のトラウマを解消するためには未来を変えるしかありません。冒頭部分の安っぽいモダン・スペース・オペラのイメージはひっくり返されてしまいました。
しかし、そこから先、ストーリーが動き出してからがもうひとつ。主人公は未来を変えるために動き回るのですが、その冒険がわかりにくい。何人かの脇役や敵役、時間の中で光を屈折させる時間石や放浪惑星、先史文明など魅力的なガジェット、イベントがおしげもなく投入されますが、本筋に関係するのはごく一部で、多くは使い捨てにされた感じ。対立組織とその教義もわかりにくい。
クライマックスは、それまでに広げられた設定が一点に集束するように急展開します。最初読み終えたときは意味がつかめず、何だこれは、竜頭蛇尾じゃないかと思ったのですが、読み直して見ると、中盤に書かれているいくつかの伏線に対応して解釈できるように書かれていることに気が付きました。
巻末の中井紀夫氏の解説には力が入っています。“宇宙にはがまんならん”という情念で書かれた小説であるという意見はわかり易い。
本文中に、ある集団の“勝利などだれが望むか”という標語が登場しますが、これってパンク的な反抗精神ですね。
なお、永劫回帰という概念はニーチェが『ツァラトゥストラはこう語った』で提唱したものだそうで、なるほど宇宙の宿命に挑戦する超人というテーマはそこから引っ張ってきたものかと納得。
一度起こった出来事は永遠に繰り返されるという宇宙を提示しておきながら、その宇宙が、一個人の苦痛か快楽によってつくり直されるという展開は、はっきり言ってバカSFとしか言いようがないですが、これこそがベイリーですね。