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幻の光



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【この小説が収録されている参考書籍】
幻の光 (新潮文庫)

幻の光の評価: 4.00/5点 レビュー 25件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全25件 1~20 1/2ページ
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No.25:
(3pt)

死と心象風景。

「幻の光」の映画(是枝裕和監督)を観て原作を読んでみようと思った。他に3つの短編を合わせた短編集。濃淡はあれ亡くなった人の記憶を抱えている主人公の心象風景と、それに連動する景色が描かれる。中ではやはり表題作がいいかな。先に映画を観たせいか、能登半島の先の寒村のイメージが湧いてくる。
幻の光 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:幻の光 (新潮文庫)より
4101307016
No.24:
(4pt)

宮本輝の小説は良いね

『幻の光』をはじめとして4つの短編が収録されているが、やはり光るのは表題作である。

大阪の賑わいと奥能登の厳しい自然との対比が鮮烈で、ここに描かれる奥能登の情景は陰鬱である。大阪から奥能登に嫁いでいく主人公の人生の行く末がそこに暗示されている。自殺した先夫が死に向かってとぼとぼと孤独に歩む姿もそうだが、寂しさや「もう後には戻れない」悲壮な覚悟のようなものが全体に滲み出ている。しかし、だからと言って悲惨な物語ではないところが、やはり読んでいて心地よい。

他の3作の中では、『こうもり』で2人の男子高校生が大阪の鶴町にずんずんと進んでいく時の緊張感が大変スリリングであった。
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4101307016
No.23:
(5pt)

作者自身が感傷に浸りながら書いたのではないか。ほのかな甘味を感じる文体、やすらかな読後感。

〇 内容を書き尽くした小説と、あえてすべてを書いていない小説とがある。宮本輝さんの短篇には後者、つまり敢えて書き尽くさずに読者に想像させようという作品が多いように思う。その余白が読み終わった読者の心理に緊張をもたらし、不思議な余韻を生む。

〇 ところが本書に収録された4篇では作者はめずらしく内容を書き尽くしている。そのせいだろう、暗い物語でも読み終わったときには不安も緊張も不均衡も感じることなく、安らかな余韻に浸ることができる。

〇 さらに、4篇とも文章にほのかな甘さがある。自身は感傷に侵されることなく作品に緻密に計算した感傷を仕込むいつもの作者ではなく、自身もいくぶん感傷に浸りながら文章を綴っているような感じがある。それが好ましい。

〇 さらに言えば小説の技法でも、この4篇には共通点があるように思う。それは、ひとつの作品のなかでふたつのサブストーリーを組み合わせて相似形を浮かび上がらせるという技法である。「幻の光」では自殺するつもりで線路上をまっすぐ歩く亡夫、家を出てまっすぐに歩いて行った祖母、小舟で出漁する近所の女とめのが、相互に相似の関係に立つ。「夜桜」では、主人公と別れた夫の相似形として、若いカップルが夜桜見物に泊まりにやってくる。「こうもり」では、高校時代の友人ランドウの姿と、愛人洋子との振る舞いがどこか似た印象を与える。こうした対比は物語の奥行きを生み、読者はそこに何らかの作者の意図を深読みをしたくなる。ちょっと思わせぶりなやり方ではある。
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4101307016
No.22:
(4pt)

読後、心地良い余韻に浸れる四篇

やっぱり表題作になっている「幻の光」がよくできているなと思うけど、計四篇いずれの作品も読後、心地良い余韻に浸れた。ハッピーエンドで終わる、というわけでもないのだけれど、なぜか前を向いて生きていこうという気持ちが湧き起こってくる。恐らくこれは宮本輝の作品に共通する特徴なんだろう。昭和五十年代の作品なのでちょっと古くなってきたかなとは思うけれども、50代のおじさんにとっては懐かしくもあり少し哀しくもある風景が蘇ってきました。
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4101307016
No.21:
(5pt)

小説のなかで人々が生きている

通俗性は低いですが、文学としての描写や心情の表現に感嘆します。
オチや意味を求めて読む小説ではなく、市井の人に焦点を当てて人生をのぞき見して
何かを感じ取り体験する話です。

自分だけが主役ではなく、周りの人間も自分のストーリーを持って生きていると描かれています。
悩んで辛い思いをし、考えているのは自分だけではなく、
身近に生きる人それぞれに、口や態度にも出さない苦悩や葛藤がある。
他人にも愛する人にも吐き出せない心の澱が積もりに積もったふとした瞬間、
誰に告げることも誰を思うでもなくただ死のうと思う。そういった死が描かれていた。

何の前触れもなく突然会社にこなくなった誰かのように、あっけなく死んでしまいます。
ドラマチックな死や大袈裟な自殺などは描かれていません、身近にある不意な死です。
悲しみと寂寥感は周囲に生きる人々に残り続けます。
一つ一つの話しは短いですが、心に残る力強い映像がとても多い作品でした。
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4101307016
No.20:
(2pt)

情景が浮かんでくる宮本作品の原点?

四編とも情景、におい、温度まで感じられるような宮本作品の原点となる作品だと思います。ただ、何を読み取ったらよいのか自分には力不足で分かりませんでした。
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4101307016
No.19:
(1pt)

きっと、わたしは凡人なんだな・・・

絶賛されている方々は豊かな芸術的な感性とそして、卓越とした読解力をお持ちなのだと思います。

わたくしみたいな凡人には深みがありすぎて、退屈さを感じました。確かに表現力は豊かかもしれませんが起承転結が少なく、ほとんどの物語はっきりとした結末がありません・・・それが良いところなのでしょうが・・・

宮本さんは主人公の心理描写を書くことがお上手なのでしょうね。
すばらしいと思います。はい、とっても素晴らしい・・・

しかし、自分としては面白さを感じませんでしたので・・・★1つです。
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4101307016
No.18:
(5pt)

短編4つ

短編4つ入っています。
20代の初期に読んでいたようです。
まったく覚えていませんでした。
初めて読むのと変わらず読めました。
人の心をえぐるようなエピソードを次から次へと、よく考えるなぁ、と思います。
宮本さん、すごいです。
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4101307016
No.17:
(3pt)

短編はね

宮本先生の良さはやっぱ小説が一番かな。一字の密度濃すぎると、ついていけないかも。
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4101307016
No.16:
(4pt)

気楽に読んで、新しい発見をした。

短編集は、あまり読まないが、
気楽に読んで、また新しい発見をしたようにも思える。

あんたが突然線路のうえを歩いているうちに、
列車にひかれてしまった。
自殺だった。
あんたがなぜ死んだのかよくわからない。
まだ子供も小さいのに。
そのことを引きずって生きてきた。
奥能登の曽々木というところに再婚にいった。
海の描写がうまくできている。

(再読)
幻の光

奥能登の海で 海を見ながら
自殺した 前夫のことを思い出している。
25歳という 若さで 自死を選んだ夫。
なぜ 死んだのだろう という問いかけが 巻き起こってくる。
海は きらきらと輝いているときもあり、
うねりのある くらい海にも変身する。
独り言のような物語。

自分の中の心象風景が 宮本輝のタッチで
うまく描き出される。

夜桜

高級住宅街の一つの家には 大きな桜がさいている。
そこから、神戸の海も見ることが出来る。
別れて住んでいる 綾子は 子供がいたが
交通事故でなくしてしまった。
そんな彼女のもとに 青年が来て。

こうもり

高校時代の ランドウという男の思い出。
洋子と京都の詩仙堂にいく。
脈絡のない物語。

寝台車

一緒に乗った老人が すすり泣いていた。
そこから ぷかりと浮かぶ カツノリ君と
おじいさんの医者を思い出した。
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4101307016
No.15:
(5pt)

その光はこの世のものかあの世のものか

日に照らされたさざ波の光、夜のレールの彼方に見えた光。人間の精が無くなった
時に見える光はこの世のものかあの世のものか。
愛する妻子を残して突然自殺した夫。残された妻は理由が分からず苦しみを抱え
て生きていきます。優しい相手と再婚しても、新しい土地へ移住してもその苦しみは
癒えることがありません。
人間は精がなくなると死にたくなるもの。無理をして買ったのに盗まれた自転車、
チョンマゲを結ったままの元相撲取り、そしてお金持ちにはなれない今の暮らし。
これらが自殺した夫の精を奪っていったのだろうと感じました。
人間の生と死という重いテーマで暗い雰囲気が漂う中に見えた光は希望の象徴の
ようにも思えました。
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4101307016
No.14:
(5pt)

大切な人を突然失った時、残された人はどうなってしまうのか、後悔であったり虚無であったり。それを訥々と、ゆみ子が語る姿が物悲しい。

昭和五十二年「泥の河」で太宰賞を受賞し、翌五十三年一月に「蛍川」で芥川賞を受賞、同年八月に「幻の光」が発表された。宮本氏初期の作品。夫の死の喪失感から、残された者が死という深淵な、人として避けてはとおれない事を改めて考えさせられる、かと言って酷く惨めなものに描かれているのではなく、むしろ美しく現在もしっかり生きてゆく様が見えて良かった。他の三篇も「夜桜」の修一「こうもり」のランドウ「寝台車」のカツノリと共に亡くなっており、四作品とも喪失による虚無的な心情を描いており、充実した一冊です。
「幻の光」
ゆみ子は七年前に夫を亡くした。夫は電車の線路の進行方向に向かって歩き背中から轢かれて死んだ。結婚して初めての子が生まれてから、わずか三か月目だった。数年後、奥能登の曾々木という海辺の町の関口民雄の家に嫁ぐ事になる。そこの家の二階の窓際に座り込んで、亡き前夫に向かって独り言を話すのが何よりも気持ちの良いものとなってゆく。何故、自殺してしまったのか、理由も分からず悔しくて苦悩する胸の内がとても良く表れている。
「夜桜」
長い恋愛期間を経て結婚した綾子と裕三は、わずか三年程の結婚生活を送っただけで、裕三の不貞が原因で離婚してしまった。息子の修一を亡くし五十才になった綾子は、阪急電車の御影駅近くの閑静な住宅街に暮らしていたが、息子を亡くし屋敷が広く寂しさもあって、下宿人を住まわせようと思った。表れたのは電気店の青年だったが、家賃も高いので一晩だけでも泊まりたいと言う。結婚生活を振り返り、あの時こうすれば良かったとか悩む綾子と、高級住宅に一晩だけ泊まり、未来の幸せを願う青年カップルが対照的に描かれている。
「こうもり」
耕助は欄堂の死を大阪駅で知った。高校の時ランドウは喧嘩が強く素行に問題が有りいつもマークされていた。ランドウから一枚の可愛い娘の写真を見せられ、この娘に逢いに行くから一緒に来てくれと誘われた事があった。現在、妻も子もある耕助は、これから洋子と京都へ向かうところで裸身が頭に浮かんでいた。それは大人の計算された行動だったが、当時高校生のランドウには全くそれが無く、ただひたすらに求める姿と対比されている。
「寝台車」
私は東京在住だが、新入社員の頃に勤めた会社の本社が山口県のある市にあったので、東京発18:〇〇の「あさかぜ」によく乗った。寝台車は独特の雰囲気が有り、時間の流れがゆっくりで、ローカル線の踏切の音にも哀愁が有った。のんびりした時間の中で酒を飲み、一人でいろんな事を考えられる、良い時間を与えてくれた。本編とは関係無い事だけど、そんな懐かしい気分を思い起こさせてくれるような作品でした。

以上四篇共に、死による喪失の後に人がどうなるのかを考えられている様だが、実際、宮本氏はこの後「錦繍」「青が散る」「優駿」「流転の海」他でも多く人を亡くし、死後残された人たちの苦悩や哀しみを多く書いている。大学生の時に父親を亡くした宮本氏ならではの感性によるものだと思う。
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4101307016
No.13:
(5pt)

余韻が残る

この作品で、著者の文庫本すべて、感読、その中でもこの作品も宮本輝らしさが、十二分に出て、短編ながら読み応え有り。
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4101307016
No.12:
(3pt)

さざ波の光

主人公のゆみ子は少女時代に祖母が失踪、そして今度は、夫が自殺するという二つの死から逃れられないでいた。「なんで出て行ってしもたんやろ」「何で自殺なんかしたんやろ」繰り返される問い。その悔恨が、ゆみ子の心を大きく占める。再婚しても、心の中で亡き夫に話しかけるゆみ子の寂しさ、切なさがじーんとくる。ラストの静寂で温かい空気の中に「それでも私は生きていく」と言っているゆみ子を感じた。
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4101307016
No.11:
(3pt)

逝ってしまうより、逝かれる方がつらい・・・

「あの人はなぜ、私をおいて自ら命を絶ったのだろう?」
死んでしまった元の夫に、心の中で語りかけるゆみ子。それは再婚を
してからもやめられなかった・・・。幸せになりたいと思いながらも、
過去にとらわれ続ける女性を描いた表題作を含む4編を収録。

この作品の中で一番印象に残ったのは表題作である「幻の光」だ。
突然自ら命を絶ってしまった夫。その理由が見つからず、常に、
とまどい、寂しさ、そして取り残されてしまったような孤独感を
抱えているゆみ子。「なぜ死んだのか?」ではなく「なぜ生きられ
なかったのか?」、その理由が分かったときは、人としての寂しさや
切なさを感じた。逝ってしまう者よりも、残された者の方がつらい
ときもある。どの話もあまり明るさは感じられない。読後、心に
重りを抱え込んでしまったような感じが残った。
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4101307016
No.10:
(3pt)

不条理な死と向き合う本

死には、歳を取って皆に看取られて行く(いわゆる歳の順の)死と、突然消えていく死の2種類がある。

本書では、突然消えてしまう死が含まれてる短編小説を4作収録している。

突然の死で、取り残された人間の悲しい現実、悲しい思いを綴っている。
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4101307016
No.9:
(5pt)

ゆっくり染み渡ってくるような喜怒哀楽。いいっすわぁー。

心の奥に染み渡ってくるような喜怒哀楽を味わうことができた。物語の中で主人公とともに悲しんだり怒ったりしているのだが、一番最後にすぅーっと。まるで朝を迎えるかのように晴れやかになる。

そんな まーーーったりとした心を手に入れることのできるとてもいい一品。
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4101307016
No.8:
(5pt)

死に魅入られて

宮本輝のマスターピースの一作である。

 話自体は大した話ではない。主人公の夫は 主人公と子供を残して 突然自殺してしまう。主人公はぼう然とした日々を大阪ですごす。やがてやってくる新しい再婚の相手は 能登半島の男やもめである。主人公は嫁いで行く。日本海の荒れた海を見ながら 主人公は しかし相変わらずぼう然としている。

 全編を「死」が覆っている。日本海の荒涼とした風景に宮本は「死」を混ぜ合わせて なんとも表現できないような風景画を描き出している。生きる力を喪うことに魅かれつつある主人公を脇から支える女漁師等のたくましい女性像もたくみに描かれている。読んでいて最後に見えて来る明るさは 「錦繍」にも共通するかと思う。

 地味な話ながら熱狂的なファンがいると聞く。そうだろうなと思う。「死」に見入られながらも引き返してきた人には特に魅力的な一作なのではないかと思う次第。
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No.7:
(5pt)

残された者

こんなに寂しいのに、こんなに懐かしいのは何故だろう。自分と幼い子供を残して自殺してしまった夫にとつとつと思い出やら今のことやらを語り続ける。残された者の哀しさだろうか。話したい、愛したい、見つめていたい相手が今はいない。どうして、どうして?と問い詰めたいのに。断ち切れない思い。もうこの世にいない人に話しかけずにはいられない寂しさ。心が届かない哀しさ。それは再び嫁いだ日本海の暗い海にも似ている。深く、暗く、永久に打ち寄せる波、波、波・・・。
心が千切れるほど哀しい本なのに、手放せない。
幻の光 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:幻の光 (新潮文庫)より
4101307016
No.6:
(5pt)

寂しさの中に美しさが。

全体を通して薄くもやのかかったような
寂しさと懐かしさが漂っています。
その中で海がきらきらと光っている様の描写が
特に際立っていて印象的でした。
幻の光 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:幻の光 (新潮文庫)より
4101307016

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