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望みの評価:
3.78/5点 レビュー 99件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全33件 21〜33 2/2ページ
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望みの評価:
3.78/5点 レビュー 99件。 B ランク
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
ミステリ好きの私としては、ミステリ要素は、少なめか、とは最初から感じていました。
映画の公式サイトでは、「愛する息子は、殺人犯か、被害者か。それとも──」とありますが、いわゆるミステリの中核となる「謎」としては、この部分くらいしかないからです。
このため、この小説は、人間の心理描写に重きを置いた、いわば、人間の心情の複雑さを明らかにしていく物語か、と思い読み始めたわけです。
ストーリー的には、石川一家が舞台。父・一登は、建築デザイナー。母・喜代美は、作家の原稿などの校正の仕事を在宅ワークで行っている。子どもは、高校生の息子・規士と中学生の娘・雅。
ある日、規士が、家を出たまま連絡が取れなくなる。
そんな中、一家の住む市内で、車のトランクからある少年の遺体が発見される。遺体には、刺し傷や暴行の跡があり、複数の人物が現場を立ち去るところが目撃されていた。
被害者の交友関係を洗っていくと、三人の高校生が行方不明になっており、そのうちの一人が、規士だった…。
そこで、冒頭の「息子は殺人犯か、被害者か」という究極の選択に、石川家の父・母・娘が苦悩するという展開になると言うわけ。
規士は、他の少年とともに、リンチし、殺害した犯人なのか、それとも、既に殺されてしまっているのか、と。
最初は、なるほど、ミステリとしては面白い設定だな、と思っていました。
でも、読み進めてみると、登場人物の行動が、何だか不自然なのですよね。
両親と娘が「規士が犯人では?」と考えてしまう理由としては、かねてから、無断外泊を繰返しており、「あざ」を作って帰ってきたこともあったこと。事件の直前に、ナイフを購入していることが両親に見つかり、注意されたことなどが挙げられます。
【「あざ」の理由をなぜ突き詰めない?】
自分の高校生の子どもが、無断外泊を繰返し、ある日、「あざ」を作って帰ってきたら?
私なら、まず、「誰からそんな暴力を受けたのか」を問いただしますね。
それが、本作品の両親は、「いじめ」の可能性もあるだろうに、「喧嘩でもしたのか」と考えるのみ。
規士が真実を話さないと、それで、諦めてしまう。
「無断外泊」という非行の兆候があり、「あざ」まで作っているのだから、たちの悪い友達と付き合っている可能性大でしょう。
普通、親なら、子どもから「非行」の芽を摘み取り、良くない友達であれば、交際を禁じるものではないですか?
【交友関係を探るのが、遅すぎないか?】
結局、トランクの遺体が発見され、この事件に、規士が関わっているらしいことが分かって、初めて、両親は、「交友関係」を調べ始めるのですが、遅すぎです。
「非行」の兆候があったのだから、その時点で、どんな友人と付き合っているのか調べるのが、親の責任ではないかと思いますね。
この展開で、残念ながら、私は、この物語の両親、一登と喜代美への感情移入は出来なくなりました。
【なぜ子どもを信用しないのか?】
先述のとおり、「無断外泊」や「あざ」、「ナイフ」の件で、「もしかして、規士が犯人では?」と考える両親。でも、横暴な振る舞いや、「酒」や「煙草」に手を出したりといったものは見受けられなかったという記述があります。
しかも、期士が生まれた時から、ずっと自分たちが育ててきた子どもですよ。
悪い友人の影響で、以前と性格が変わってきて、簡単に人を殺めるような、犯罪行為に抵抗のない人間に変貌していたなら、すぐに気づくと思いますがね。
そうしたことがないから、物語の始めの方では、規士は殺人に手を染める子どもではない、と両親とも断言しているわけでしょう?
ところが、警察の捜査や、マスコミからの取材やネットの記事から、「もしかして…」と思ってしまうのは、自分たちの躾に自信がないのでしょうかね。
現実世界では、親が、こんなに簡単に自分の子どもへの信頼を失うものとは思いたくないです。
【犯人だったらを想定して思い悩むか?】
もし、規士が犯人だったら、私が進学しようとしている高校に落ちてしまうかも、という娘・雅の悩み。これは、まだ子どもだから許せます。
でも、一登の、仕事も来なくなるうえ、被害者に賠償しなくてはならなくなる、どうしようという悩み。
まあ、頭の片隅に置いておいてもよいかもしれないですが、行方が分からず、生死も分からない段階なら、私なら、ひたすら息子の生還を祈るばかりで、そんな先の心配などしていられないですね。
自分の子どもの安否を気遣う人間の心理としては、不自然に思えます。
【究極の二者択一ではないよ】
なぜ、生きている=犯人。死亡している=被害者。このふたつなのでしょうか?
例えば、悪い友人二人が、被害者の友人をリンチして死亡させてしまう。その場にいた規士は、手を下さず見ているだけだったが、「お前も同罪だ。俺たちについてこい」と強要され、三人で逃亡している可能性も考えられますよね。
上述のとおり、子どもを信頼する親なら、「犯人ではないが、生きている」パターンを考えるのではないでしょうか。可能性は薄くても、そうした考えにすがりつくものではないかな。
一登も、喜代美も、そのような考えは持っていないようで、これも私には、不自然に思われました。
ミステリ要素は少なくても、冒頭のとおり、人間の心情の複雑さを明らかにする物語なら、満足できたのですが、私には、心理描写の粗さが目立ってしまい、残念作品となってしまいました。
私の読書体験では、世評と自分の評価が乖離した珍しい作品でした。