何者
評判
何者の評価:
3.95/5点 レビュー 390件。 C ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全548件 501〜520 26/28ページ
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ルームシェアをきっかけに知りあった学生達の、
シューカツを通した友人関係や自己像の設定に四苦八苦する物語。
本書のコアは、タイトルの「何者」というとおり、設定した自己像との剥離や他者からの承認にある。
元々劇団サークルで脚本を書いていた拓人、留学から帰ってきた瑞月、海外ボランティアやインターンに熱心に参加した理香、バンドのボーカルの光太郎、読書家で就活に興味を示さない隆良を軸に話は進んでいく。
物語の中心に置かれるのは、就活での合否そのものの葛藤ではなく、就活の渦の中で巻き起こる人間関係だ。
例えば主人公の拓人は、ルームメイトの光太郎が使っていたPC画面に成績証明書映っていることから、光太郎が最終面接に進んでいることを推察する。拓人は成績証明書の画面を見た瞬間、手が止まってしまう。
理香は、自己アピールのためにインターンやボランティアなどの経歴をこれでもかと載せた名刺を作成する。主人公の拓人はそれを「イタイ」と思いながらも口には決して出さない。
というような調子で、まさに現代のほとんどの大学生、特にそれも就職活動に熱心な層が陥りそうな「シューカツレース」の様子が描かれている。
そこにあるのは、就職という言葉が本来表すはずの職業や業界への現実的な理解、職業能力の開発といったとこからかけ離れた「シューカツ」だ。
昨年それを経験した自分としては、彼らの視野の狭さや思考の浅はかさがなんとも開けたくないアルバムをのぞかれているような気味の悪さを感じてしまう。
レビュータイトルの全人格評価の話だが、登場人物がシューカツに必死になるのはどこの企業に内定をもらえるか、面接を突破できるかがまるで「潜在能力」の証明のように感じられるからだろう。企業に内定して初めて、「何物」かになれる。自己実現できると思いこむ。
個々にそのような意図はないにしても、企業が紹介するデキる若手社員、新卒求人の広告業者、内定までのテクニックを喧伝する出版社や著者、学生内定者アドバイザー、キャリアコンサルタントと呼ばれる就活業者、あまりにも労働社会に無知な就活生、さまざまなアクターが自己実現レースとしてのシューカツの舞台を作り上げていく。
シューカツ市場の舞台では、有名企業の内定者はヒエラルキーのトップに立ち、潜在能力「A」の扱いを受ける。なんとも不毛なレースが行われている。
就活生がかわいそうだから新卒採用は廃止しろ!などと浅はかな批判はしないが、これが現実の一端であることを多くの世代の人に知っていただきたいとは思うところである