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(短編集)

魔法使いと刑事たちの夏



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【この小説が収録されている参考書籍】
魔法使いと刑事たちの夏
魔法使いと刑事たちの夏 (文春文庫)

魔法使いと刑事たちの夏の評価: 3.46/5点 レビュー 13件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.46pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(3pt)

本作に魅力を感じるかどうかは主人公たちへの思い入れ次第

短編集「魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?」の続編に相当する内容です。70ページ程度の倒叙ミステリが4編で構成されているという点も、前短編集と同一です。3人の主要登場人物も健在です。主人公で探偵役の八王子市警察若手刑事・小山田聡介、魔法使いマリィ、39歳独身のお色気女警部・椿木綾乃です。今までメイドとしてあちこちの家を転々としていたマリィは、小山田家のメイドとして住み込みで働くことになります。但し、聡介とマリィの距離感は、外観上大した変化は見られません。マリィの魔法も、探偵役の聡介が、倒叙ミステリを読んでいる読者と同じ地点にすぐに立てるようにするために利用されており、この点でも前作の手法をそのまま踏襲しています。

本短編集に魅力を感じるかどうかは、主要登場人物たちへの思い入れの程度次第と言ってよいかもしれません。主人公たちの行動様式だけではなく、文体や構成も、前作をほぼ踏襲しているため、主要登場人物や彼らの関係への思い入れが強ければ、本短編集も楽しく安心して読み進めることができるでしょう。一方、登場人物への思い入れがそれほどでもなければ、本短編集を読み終わるころには、同じようなパターンの連続に飽き飽きしてくるかもしれません。よく構成・演出されているとは言え、仕込まれているネタ自体もそう大したものではないため、本短編集を読み終えるころには、最初の作品の印象がほとんど残っていないということもありそうです。

欲を言えば、もう少し、主要登場人物たちにシリーズを牽引するだけの魅力があってもいい気がします。本作品に限らず、本著者の作中人物には、小説というよりも、コントか落語に登場する人物に近い印象があります。登場人物は感情移入の対象というよりも、むしろ一歩引いたところから眺める笑いの対象であり、作品を読んだ後も、湿った感情を後に引くことなく、すぐに忘れてしまえます。もし聡介とマリィがもう少し感情移入のしやすい登場人物で、2人の関係の進展が気になるような描き方でもしてあれば、シリーズを牽引する力を持てたかもしれません。ただそうなると、娯楽に徹したユーモア・ミステリ作品としてのバランスが崩れるかもしれず、難しいところです。
魔法使いと刑事たちの夏Amazon書評・レビュー:魔法使いと刑事たちの夏より
4163900942

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