ブラバン

【この小説が収録されている参考書籍】

【この小説が載っている参考書籍】

評判

ブラバンの評価:

3.62/5点 レビュー 50件。 D ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点3.62pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全60件 21〜40 2/3ページ
No.40
(5pt)

読み手を選ぶ傑作

青春モノではない。どちらかというと中年オジさん奮闘もの(そんなジャンルがあるとして)だ。
いわゆる青春モノと勘違いしてガッカリしちゃったひとは可哀想ですが、そういうウッカリさんたちの低評価レビューは気にしなくていい。
それから登場人物大杉っていう頭のメモリー容量が少し残念な方々の低評価レビューも気にしなくていいだろう。そもそも彼らは本書の対象読者じゃないからだ。
というわけで少くともそれなりに楽しい高校時代の部活動(それは吹奏楽に限定されない)を過ごした40代の中年オジさんで、
いまもそれなりには幸せなんだけど日常にちょっとした物足りなさを何だか感じちゃっている、そして
たくさんの登場人物に惑わされずきちっと小説を読みこなす能力を持った読書家さん、なんて読者には刺さるでしょうなあ。
ブラバン Amazon書評・レビュー: ブラバンより
4862380271
No.39
(5pt)

読み手を選ぶ傑作

青春モノではない。どちらかというと中年オジさん奮闘もの(そんなジャンルがあるとして)だ。
いわゆる青春モノと勘違いしてガッカリしちゃったひとは可哀想ですが、そういうウッカリさんたちの低評価レビューは気にしなくていい。
それから登場人物大杉っていう頭のメモリー容量が少し残念な方々の低評価レビューも気にしなくていいだろう。そもそも彼らは本書の対象読者じゃないからだ。
というわけで少くともそれなりに楽しい高校時代の部活動(それは吹奏楽に限定されない)を過ごした40代の中年オジさんで、
いまもそれなりには幸せなんだけど日常にちょっとした物足りなさを何だか感じちゃっている、そして
たくさんの登場人物に惑わされずきちっと小説を読みこなす能力を持った読書家さん、なんて読者には刺さるでしょうなあ。
ブラバン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ブラバン (新潮文庫)より
410129271X
No.38
(4pt)

津原さんらしい

元ブラスバンド部員が当事の仲間の結婚式で四半世紀後に再結成することになり……というお話。津原さんらしく、かなりほろ苦い。若い人には読ませたくないっていう感想が良く判る。だから、えー、何も話をそこでそう持っていかなくても…… しかし、これはその後のハッピーエンドの予感と解釈してしまいましょう。音楽に限らず、何かクラブに打ち込んでいた人には面白いこと請け合いです
ブラバン Amazon書評・レビュー: ブラバンより
4862380271
No.37
(4pt)

津原さんらしい

元ブラスバンド部員が当事の仲間の結婚式で四半世紀後に再結成することになり……というお話。津原さんらしく、かなりほろ苦い。若い人には読ませたくないっていう感想が良く判る。だから、えー、何も話をそこでそう持っていかなくても…… しかし、これはその後のハッピーエンドの予感と解釈してしまいましょう。音楽に限らず、何かクラブに打ち込んでいた人には面白いこと請け合いです
ブラバン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ブラバン (新潮文庫)より
410129271X
No.36
(5pt)

いわゆる「青春ブラバンもの」とは毛色が違いますね。

40歳を過ぎた主人公が高校時代の吹奏楽部の集まりをきっかけにして
高校時代を振り返る、という内容です。

別に何かがドラマチックに動き出すわけでもなく、
激烈なハッピーエンドが待っているわけでもない。

最初から最後まで、淡々とした口調で語られる物語です。
いわゆる「青春ブラバンもの」とは毛色が違いますね。

最初は「登場人物多過ぎて、よく分からんなぁ」と思っていましたが、
これは何度か読むうちに味が出てきます。

むしろその登場人物の多さが、「高校の吹奏楽部」というものを
分かりやすく表しているのかも知れません。

ボリュームも結構あるので、最後の方になると最初のことを忘れますが、
色々と再発見がありますので、読み直してみるのがいいですね。

あと、この主人公の自嘲的というか、自虐的というか、
そういう「独り言」的な語り口調が、個人的には面白かったです。

学生時代を吹奏楽部で過ごした人も、軽音楽部で過ごした人も、
ただそれらのクラブに入ろうかと悩んで過ごしただけの人も、
きっと興味深く読めるのではないかと思います。
ブラバン Amazon書評・レビュー: ブラバンより
4862380271
No.35
(5pt)

いわゆる「青春ブラバンもの」とは毛色が違いますね。

40歳を過ぎた主人公が高校時代の吹奏楽部の集まりをきっかけにして
高校時代を振り返る、という内容です。

別に何かがドラマチックに動き出すわけでもなく、
激烈なハッピーエンドが待っているわけでもない。

最初から最後まで、淡々とした口調で語られる物語です。
いわゆる「青春ブラバンもの」とは毛色が違いますね。

最初は「登場人物多過ぎて、よく分からんなぁ」と思っていましたが、
これは何度か読むうちに味が出てきます。

むしろその登場人物の多さが、「高校の吹奏楽部」というものを
分かりやすく表しているのかも知れません。

ボリュームも結構あるので、最後の方になると最初のことを忘れますが、
色々と再発見がありますので、読み直してみるのがいいですね。

あと、この主人公の自嘲的というか、自虐的というか、
そういう「独り言」的な語り口調が、個人的には面白かったです。

学生時代を吹奏楽部で過ごした人も、軽音楽部で過ごした人も、
ただそれらのクラブに入ろうかと悩んで過ごしただけの人も、
きっと興味深く読めるのではないかと思います。
ブラバン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ブラバン (新潮文庫)より
410129271X
No.34
(4pt)

40代以上の元ブラバン用の本

バスクラのマウスピースの厚みや音、息使い。
携帯もゲームもパソコンもipodもない、学校とブラバンが全てだった当時の高校生には、大変鮮やかな過去を連れてくる気がします。
クラリネットからバスクラになって得意だった(ちょっと勘違いした)自分を振り返っては恥ずかしく思い出す、そんな内容でした。方言も、情景も、出身が似ているためすんなり入り、天才肌の先輩、物事をややこしくする同級生、極端な音楽至上主義、享楽的なその場しのぎ、本当にそんな高校生が集まっていた部室をまざまざと思い出すことができます。
ごちゃごちゃで合奏の時だけ個人が消え、一つの音になる。
自分はなんだったんだろう。どのピースだったんだろう。登場人物でいえば誰なんだろう。成功者もそうでない者もブラバンのメンバーになれば皆同じ。昔のまま。
合奏している時は本当に天にも昇る、最高の時間でした。あの時間があるからこそ生きてこれたのかもしれません。
捨てていった過去を継ぎ合わせて読み、最後の2ページで自分は救われました。出来なかった事をやってくれたようで、やらなかった自分が情けなくせつなくてしょうがない。25年経って楽器は今でも傍に置いてはいますが、吹いてはいません。
かなり読み手を絞るタイプの内容だと思います。若いブラバンメンバーはまだ読まないほうがいいような。
ブラバン Amazon書評・レビュー: ブラバンより
4862380271
No.33
(4pt)

40代以上の元ブラバン用の本

バスクラのマウスピースの厚みや音、息使い。
携帯もゲームもパソコンもipodもない、学校とブラバンが全てだった当時の高校生には、大変鮮やかな過去を連れてくる気がします。
クラリネットからバスクラになって得意だった(ちょっと勘違いした)自分を振り返っては恥ずかしく思い出す、そんな内容でした。方言も、情景も、出身が似ているためすんなり入り、天才肌の先輩、物事をややこしくする同級生、極端な音楽至上主義、享楽的なその場しのぎ、本当にそんな高校生が集まっていた部室をまざまざと思い出すことができます。
ごちゃごちゃで合奏の時だけ個人が消え、一つの音になる。
自分はなんだったんだろう。どのピースだったんだろう。登場人物でいえば誰なんだろう。成功者もそうでない者もブラバンのメンバーになれば皆同じ。昔のまま。
合奏している時は本当に天にも昇る、最高の時間でした。あの時間があるからこそ生きてこれたのかもしれません。
捨てていった過去を継ぎ合わせて読み、最後の2ページで自分は救われました。出来なかった事をやってくれたようで、やらなかった自分が情けなくせつなくてしょうがない。25年経って楽器は今でも傍に置いてはいますが、吹いてはいません。
かなり読み手を絞るタイプの内容だと思います。若いブラバンメンバーはまだ読まないほうがいいような。
ブラバン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ブラバン (新潮文庫)より
410129271X
No.32
(4pt)

ブラバン経験者は一読を。

「高校時代のブラバンメンバーが25年の時を経て再結成する」

吹奏楽に青春を捧げた人なら、この設定を聞いただけでも
ワクワク、ウズウズしてしまうだろう。私もその一人です。

あの頃と同じメンバーでもう一度音を奏でたい、
そう思い描いたことのある元吹奏楽部員は少なくないはずです。
けれど、主に楽器や場所の問題から
スポーツのようには簡単に再開できないのが吹奏楽。
そんな我々の夢を叶えてしまうとは・・・。

もしかしたら、自分たちにも出来るかもしれない!?
いや、それが無理だとしても・・・
吹奏楽ってやっぱり最高だな、やってて良かったなと
あの頃の自分たちと重ね合わせ色々思い出してしまいました。

登場人物が多過ぎたり、方言が読みづらかったり
文章の好き嫌いは多少出てくるとは思いますが、
総合的にみて私はとても楽しめました。
ブラバン経験者にもう一度夢を与えてくれる、そんな1冊です。
ブラバン Amazon書評・レビュー: ブラバンより
4862380271
No.31
(4pt)

ブラバン経験者は一読を。

「高校時代のブラバンメンバーが25年の時を経て再結成する」

吹奏楽に青春を捧げた人なら、この設定を聞いただけでも
ワクワク、ウズウズしてしまうだろう。私もその一人です。

あの頃と同じメンバーでもう一度音を奏でたい、
そう思い描いたことのある元吹奏楽部員は少なくないはずです。
けれど、主に楽器や場所の問題から
スポーツのようには簡単に再開できないのが吹奏楽。
そんな我々の夢を叶えてしまうとは・・・。

もしかしたら、自分たちにも出来るかもしれない!?
いや、それが無理だとしても・・・
吹奏楽ってやっぱり最高だな、やってて良かったなと
あの頃の自分たちと重ね合わせ色々思い出してしまいました。

登場人物が多過ぎたり、方言が読みづらかったり
文章の好き嫌いは多少出てくるとは思いますが、
総合的にみて私はとても楽しめました。
ブラバン経験者にもう一度夢を与えてくれる、そんな1冊です。
ブラバン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ブラバン (新潮文庫)より
410129271X
No.30
(5pt)

「失われた20年」という日本の停滞が色濃い…といえばちょっと大げさだろうか

映画「スウィングガールズ」や「ブラス」のようなノリのいい青春物語と思ったが、全く違った。部員の遅い結婚式で演奏しようと再結成されようとする高校時代の吹奏楽部。80年の時代と25年経った現在とをフラッシュバックさせるちょっとほろ苦くもある青春グラフィティ。

作者自身、広島の高校のブラスバンドで弦バスをやっていたそうだ。その自分を投影したと思われる主人公片平が語り部となり、部員の当時と今の姿がカットバックする。作者のその思い入れと今昔の対比のなかに隠された25年の挫折にシュンとなる。いわゆる「失われた20年」という日本の停滞が色濃い…といえばちょっと大げさだろうか。

純化された素描であって、しかも、現実の場面が鮮やか。挿絵は漫画家の福山庸治。そのイラストが見事で、線描と淡い水彩でしかもリアルなのはデッサン力のたまもの。それがとてもこの小説に似合っている。

懇切な「登場人物表」がついている。これには最初はちょっと苦笑したが、読み始めるとこれが必須のものになった。総勢34名の部員と登場人物が多いのと、25年をタイムスリップしながら頻繁に往き来する、「掛ける2」の70人の人物像をつかむのはたいへん。

とても面白かった。

そう思うのは、自分自身が高校でオーケストラに属していたこと、30年、40年という時の隔たりの哀切を痛いように感じる年頃になったからだろうか。
ブラバン Amazon書評・レビュー: ブラバンより
4862380271
No.29
(5pt)

「失われた20年」という日本の停滞が色濃い…といえばちょっと大げさだろうか

映画「スウィングガールズ」や「ブラス」のようなノリのいい青春物語と思ったが、全く違った。部員の遅い結婚式で演奏しようと再結成されようとする高校時代の吹奏楽部。80年の時代と25年経った現在とをフラッシュバックさせるちょっとほろ苦くもある青春グラフィティ。

作者自身、広島の高校のブラスバンドで弦バスをやっていたそうだ。その自分を投影したと思われる主人公片平が語り部となり、部員の当時と今の姿がカットバックする。作者のその思い入れと今昔の対比のなかに隠された25年の挫折にシュンとなる。いわゆる「失われた20年」という日本の停滞が色濃い…といえばちょっと大げさだろうか。

純化された素描であって、しかも、現実の場面が鮮やか。挿絵は漫画家の福山庸治。そのイラストが見事で、線描と淡い水彩でしかもリアルなのはデッサン力のたまもの。それがとてもこの小説に似合っている。

懇切な「登場人物表」がついている。これには最初はちょっと苦笑したが、読み始めるとこれが必須のものになった。総勢34名の部員と登場人物が多いのと、25年をタイムスリップしながら頻繁に往き来する、「掛ける2」の70人の人物像をつかむのはたいへん。

とても面白かった。

そう思うのは、自分自身が高校でオーケストラに属していたこと、30年、40年という時の隔たりの哀切を痛いように感じる年頃になったからだろうか。
ブラバン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ブラバン (新潮文庫)より
410129271X
No.28
(4pt)

美しく見える過去と、人それぞれの現実

旧吹奏楽部メンバーの25年ぶりのバンド再結成を巡り、
高校時代の回想と25年後の現在と行き来しながら、物語は進む。

25年という歳月の間に、メンバーそれぞれにいろいろな現実があり、
高校時代という美しく見える過去に対する思い入れがあればあるほど、
そのギャップが切なさを作り出す。
非常にドラマティックなことが発生せず、最後も綺麗にわかりやすく終わらないことも、それでも人生は続いて行くということを描いているようにも思える。

ただ、登場人物も多いにも関わらず、時代が行き交うので、登場人物紹介を何度も読んだし、物語としても雑然とした印象は拭えない。
現実ってそういうものだと言われればその通りなのだが、基本的に

・登場人物と同世代で、描き出される現実に共感できる人
・吹奏楽経験者
・80年前後の音楽に造詣が深い人

であれば物語を楽しめると思う。
ブラバン Amazon書評・レビュー: ブラバンより
4862380271
No.27
(4pt)

美しく見える過去と、人それぞれの現実

旧吹奏楽部メンバーの25年ぶりのバンド再結成を巡り、
高校時代の回想と25年後の現在と行き来しながら、物語は進む。

25年という歳月の間に、メンバーそれぞれにいろいろな現実があり、
高校時代という美しく見える過去に対する思い入れがあればあるほど、
そのギャップが切なさを作り出す。
非常にドラマティックなことが発生せず、最後も綺麗にわかりやすく終わらないことも、それでも人生は続いて行くということを描いているようにも思える。

ただ、登場人物も多いにも関わらず、時代が行き交うので、登場人物紹介を何度も読んだし、物語としても雑然とした印象は拭えない。
現実ってそういうものだと言われればその通りなのだが、基本的に

・登場人物と同世代で、描き出される現実に共感できる人
・吹奏楽経験者
・80年前後の音楽に造詣が深い人

であれば物語を楽しめると思う。
ブラバン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ブラバン (新潮文庫)より
410129271X
No.26
(4pt)

現在からみる過去と、過去からみる現在

はやらないバーを経営している他片は、
高校時代に所属していた吹奏楽部の同級生・皆元が亡くなったことを知る。
同時期、彼らは、元部員・桜井の要望で、
彼女の結婚式のため、25年ぶりに再集結し演奏を披露することになる。
25年ぶりに会う仲間たち、そしてその消息を聞きながら
他平は1980年の、高校時代を回想する。

高校時代からの25年。
同じ時をすごし、同じものに熱狂し、自分たちの未来に漠然とした夢を抱いていた彼らが
25年ぶりに出会って、たぶん当時の彼らは想像もしなかっただろうお互いの現在を知る。
この、高校時代から25年という年月が鍵なのか、
語り手である他片の性格なのか、
彼らの現状が厳しいものであれ、穏やかなものであれ
そこには深い感情の移入はなく、たんたんと語られています。
自分と相手を比べて、卑下するでも見下すでもなく、ただ受け止める他片は
けれど当時は知らなかった現実も知り、ほんの少し変化する。
それだけといえばそれだけのお話で、
でも何か印象的なお話でした。

クリアな表面部分と、淡々とした印象、まだ自分は知らない「未来」の苦みというのが
このお話を読んだ印象なのですが
むかし、著者の少女向け小説を読んだ時も、同じような感想を抱いていました。
謎めいた印象が強くて、他の作家さんのお話に比べ、熱狂はしなかったのに
印象深くて、折々に本から学んだ「未来」の苦みを思い出しては怖くなっていました。
今現在は、この『ブラバン』は自分にとってはまだまだ未知の「未来」のお話なのですが
また折々に思いだすことになるような気がします。
ブラバン Amazon書評・レビュー: ブラバンより
4862380271
No.25
(4pt)

現在からみる過去と、過去からみる現在

はやらないバーを経営している他片は、
高校時代に所属していた吹奏楽部の同級生・皆元が亡くなったことを知る。
同時期、彼らは、元部員・桜井の要望で、
彼女の結婚式のため、25年ぶりに再集結し演奏を披露することになる。
25年ぶりに会う仲間たち、そしてその消息を聞きながら
他平は1980年の、高校時代を回想する。

高校時代からの25年。
同じ時をすごし、同じものに熱狂し、自分たちの未来に漠然とした夢を抱いていた彼らが
25年ぶりに出会って、たぶん当時の彼らは想像もしなかっただろうお互いの現在を知る。
この、高校時代から25年という年月が鍵なのか、
語り手である他片の性格なのか、
彼らの現状が厳しいものであれ、穏やかなものであれ
そこには深い感情の移入はなく、たんたんと語られています。
自分と相手を比べて、卑下するでも見下すでもなく、ただ受け止める他片は
けれど当時は知らなかった現実も知り、ほんの少し変化する。
それだけといえばそれだけのお話で、
でも何か印象的なお話でした。

クリアな表面部分と、淡々とした印象、まだ自分は知らない「未来」の苦みというのが
このお話を読んだ印象なのですが
むかし、著者の少女向け小説を読んだ時も、同じような感想を抱いていました。
謎めいた印象が強くて、他の作家さんのお話に比べ、熱狂はしなかったのに
印象深くて、折々に本から学んだ「未来」の苦みを思い出しては怖くなっていました。
今現在は、この『ブラバン』は自分にとってはまだまだ未知の「未来」のお話なのですが
また折々に思いだすことになるような気がします。
ブラバン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ブラバン (新潮文庫)より
410129271X
No.24
(4pt)

過去の自分と出会う本

場末のバーに落ち着いた主人公が、吹奏楽部時代の仲間に声をかけられ、
それをきっかけとして過去を振り返りつつ、現在を見つめる物語です。

本書の素晴らしいところは、上記の設定を最大限に生かしているところです。
歳をとった主人公の視点から描写された高校生像は、
同じく歳をとった私が高校時代を振り返る時の実感に一致しました。

では、その実感とはどういうものか。
それはつまり「ほろ苦くも燦然と輝く青春時代」。これに尽きます。

異論はあると思いますが、歳をとってから若い頃の事を思い出すと、
当時はどんなに平凡な出来事であったとしても、
それらは全て美しい思い出や、悔恨の思いなど、強い印象の出来事に昇華します。
平凡な日々など存在しなかったように思えます。
そういった思いを、現在と上手く対比しつつ描いているので、
浮き足立つようなこそばゆい青春物語ではなく、
ほろ苦くも燦然と輝く青春時代を実感させてくれているのです。

そんな実感を覚えるのは、ひょっとしたら、
当時の平凡な日常だけを忘れてしまい、
強く印象に残ったことだけを都合よく覚えているから、だけなのかもしれません。
だからこそ、いつだって過去は印象的で、遠い物語となっている。
しかし現在という現実は、過去と強くつながっている。
本書はその事を読者に強く感じさせます。

読み進めているうちに、自分も過去の自分と対峙するような気分になりました。
社会人になり、高校時代が遠い昔に感じられる大人たちにお勧めします。
ブラバン Amazon書評・レビュー: ブラバンより
4862380271
No.23
(4pt)

過去の自分と出会う本

場末のバーに落ち着いた主人公が、吹奏楽部時代の仲間に声をかけられ、
それをきっかけとして過去を振り返りつつ、現在を見つめる物語です。

本書の素晴らしいところは、上記の設定を最大限に生かしているところです。
歳をとった主人公の視点から描写された高校生像は、
同じく歳をとった私が高校時代を振り返る時の実感に一致しました。

では、その実感とはどういうものか。
それはつまり「ほろ苦くも燦然と輝く青春時代」。これに尽きます。

異論はあると思いますが、歳をとってから若い頃の事を思い出すと、
当時はどんなに平凡な出来事であったとしても、
それらは全て美しい思い出や、悔恨の思いなど、強い印象の出来事に昇華します。
平凡な日々など存在しなかったように思えます。
そういった思いを、現在と上手く対比しつつ描いているので、
浮き足立つようなこそばゆい青春物語ではなく、
ほろ苦くも燦然と輝く青春時代を実感させてくれているのです。

そんな実感を覚えるのは、ひょっとしたら、
当時の平凡な日常だけを忘れてしまい、
強く印象に残ったことだけを都合よく覚えているから、だけなのかもしれません。
だからこそ、いつだって過去は印象的で、遠い物語となっている。
しかし現在という現実は、過去と強くつながっている。
本書はその事を読者に強く感じさせます。

読み進めているうちに、自分も過去の自分と対峙するような気分になりました。
社会人になり、高校時代が遠い昔に感じられる大人たちにお勧めします。
ブラバン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ブラバン (新潮文庫)より
410129271X
No.22
(5pt)

確かにあった、今は遠い日々

ハルモニアが美しい滅びに至る音楽小説なら、こちらは苦い喪失を経て再生に至る音楽小説だ。
 
語り手の他片(たいら)は赤字続きのバーを営む中年男性。
そんな彼のもとへある日一人の女性がたずねて来る。
「披露宴で皆で集まって吹奏楽を演奏してほしい」と依頼したのは高校吹奏楽部の元メンバー、桜井。
桜井の一言がきっかけとなり、他片は今は散り散りとなった吹奏楽部のメンバーに再結成を呼びかけるが……

物語は語り手・他片の回想に沿ってすすむ。
吹奏楽部のメンバーはいずれも個性的。
登場人物はのべ数十人。吹奏楽部は大所帯、楽器の数だけ個性がある。
音楽小説であり青春小説であり八十年代ーグロリアス・エイティーの風俗小説である。
中年の他片が吹奏楽部で活動した過去を振り返る形で綴られる物語は、青春真っ只中の輝かしい黄金の光ではなく、ランプシェードで絞ったようなくすんだ黄金の輝きに満ちている。
それは夕暮れが訪れる寸前の、溶けて消えそうな黄金の空に似ている。
桜井と組んでかつての部員の足跡をたどるうちに、他片はさまざまな人生の変遷を知る。
変わった友人がいれば変わらない友人もいる、成功した友人がいれば破滅した友人もいる、そして死んだ友人も……
現在と過去が交錯するごと陰影は際立ち、部員たちのそれからの人生が浮き彫りになる。

吹奏楽部時代は先輩や友達との馬鹿騒ぎ中心でユーモラスなエピソードが多いが、現実はそうも行かない。
二十数年の歳月は人を変える。変わらないものもある。
幸せになったヤツもいれば不幸せになったヤツもいる。再結成は困難を極める。
それでも他片と桜井の熱心な勧誘にこたえ、一人また一人とかつてのメンバーが集まり始めるのだが……

音楽はひとを幸せにするばかりじゃない、音楽のせいで不幸になる人間だって確実にいる。
音楽を極めんと志すものこそ、狭き門にはじかれぼろぼろになっていく。
だけど人は音楽を愛する。音楽に情熱を捧げる。それが素晴らしいものだと信じてやまない。
音楽に命をやどすのも意味を与えるのも、人だ。究極的に人でしか有り得ない。
音楽は時としてローマ法王の説教より胸を打つ。

演奏シーンの一体感、上手い音楽と気持ちいい音楽の違いなど、示唆に富んだ考察に目からぽろぽろ鱗おちまくりでした。私が吹奏楽部だったらもっと共感できたんだろうなあ……。
ブラバン Amazon書評・レビュー: ブラバンより
4862380271
No.21
(5pt)

確かにあった、今は遠い日々

ハルモニアが美しい滅びに至る音楽小説なら、こちらは苦い喪失を経て再生に至る音楽小説だ。
 
語り手の他片(たいら)は赤字続きのバーを営む中年男性。
そんな彼のもとへある日一人の女性がたずねて来る。
「披露宴で皆で集まって吹奏楽を演奏してほしい」と依頼したのは高校吹奏楽部の元メンバー、桜井。
桜井の一言がきっかけとなり、他片は今は散り散りとなった吹奏楽部のメンバーに再結成を呼びかけるが……

物語は語り手・他片の回想に沿ってすすむ。
吹奏楽部のメンバーはいずれも個性的。
登場人物はのべ数十人。吹奏楽部は大所帯、楽器の数だけ個性がある。
音楽小説であり青春小説であり八十年代ーグロリアス・エイティーの風俗小説である。
中年の他片が吹奏楽部で活動した過去を振り返る形で綴られる物語は、青春真っ只中の輝かしい黄金の光ではなく、ランプシェードで絞ったようなくすんだ黄金の輝きに満ちている。
それは夕暮れが訪れる寸前の、溶けて消えそうな黄金の空に似ている。
桜井と組んでかつての部員の足跡をたどるうちに、他片はさまざまな人生の変遷を知る。
変わった友人がいれば変わらない友人もいる、成功した友人がいれば破滅した友人もいる、そして死んだ友人も……
現在と過去が交錯するごと陰影は際立ち、部員たちのそれからの人生が浮き彫りになる。

吹奏楽部時代は先輩や友達との馬鹿騒ぎ中心でユーモラスなエピソードが多いが、現実はそうも行かない。
二十数年の歳月は人を変える。変わらないものもある。
幸せになったヤツもいれば不幸せになったヤツもいる。再結成は困難を極める。
それでも他片と桜井の熱心な勧誘にこたえ、一人また一人とかつてのメンバーが集まり始めるのだが……

音楽はひとを幸せにするばかりじゃない、音楽のせいで不幸になる人間だって確実にいる。
音楽を極めんと志すものこそ、狭き門にはじかれぼろぼろになっていく。
だけど人は音楽を愛する。音楽に情熱を捧げる。それが素晴らしいものだと信じてやまない。
音楽に命をやどすのも意味を与えるのも、人だ。究極的に人でしか有り得ない。
音楽は時としてローマ法王の説教より胸を打つ。

演奏シーンの一体感、上手い音楽と気持ちいい音楽の違いなど、示唆に富んだ考察に目からぽろぽろ鱗おちまくりでした。私が吹奏楽部だったらもっと共感できたんだろうなあ……。
ブラバン (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: ブラバン (新潮文庫)より
410129271X