鍵のかかった部屋

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評判

鍵のかかった部屋の評価:

4.45/5点 レビュー 29件。 A ランク

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平均点4.45pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全59件 21〜40 2/3ページ
No.39
(5pt)

これを読み終えて自分が年取ったなと思った。

オースターのファンはたくさんいて、オースターの小説にはオースターの小説なりの読み方があるような気がするのだが、なんせ私はオースターを読むのはこれが2冊目で、ぱりぱりの初心者で、三部作の最終話が2冊目なことからも明白なように三部作を最初から読んでもおらず、そんな不埒な読者の言うことなど誰の役にも立たないだろうと承知の上で、思うところを記そうと思う。
読み終わって、というより、終わり頃に近づいて、自分が年をとったなとつくづく思った。もし、あと15年か20年くらい若かったら、言い換えれば、主人公くらいの年齢だったら、こんな風に結末がストンと腑に落ちることはなかったような気がする。読み終わって今頃、暴れたくなっていたと思う。でも多分、ファンショーは主人公のアルター・エゴ(もう1人の自分)なんやろうね。。。だから親友の未亡人に恋をして愛し合って、その子に父親と呼ばせるなんて、フツー道義的にどうよ?って言ってしまいそうになるような関係があたかも必然のように成り立ってゆくのではないか?不思議にいやらしさを感じない。そうこうするうちに、親友と自分との境界線があいまいになってゆく。いやいや、それはたんに私自身が感じたことだ。読むヒトそれぞれの感じ方があって良いと思う。
「鍵のかかった部屋」は、それだけで1つの、簡潔で調和の取れた、小説にはこうあって欲しいと思えるものが全部はいった、小説らしい小説で、読みやすかった。日本語訳も良いと思う。なぜだか無性に小説が読みたいと思っているヒトには本当にお薦めする。そんなに長くないので気軽に読み始められると思う。
鍵のかかった部屋 (新しいアメリカの小説) Amazon書評・レビュー: 鍵のかかった部屋 (新しいアメリカの小説)より
4560044562
No.38
(4pt)

自分の少年時代に向き合うこと

憧れであり、秘密を共有した親友であり、そして忽然と行方をくらましてしまった そんな男が、もう一度自分の人生に現われた 正確には、行方不明者として、 なるほどあの男の妻だろう、という、 でも、すっかり途方にくれた美しい女性を 自分を引き合わせた 彼は、あなたにとって、それでもなおヒーローであり続けるでしょうか ほんとうの謎は、そこじゃないかと思います
鍵のかかった部屋 Amazon書評・レビュー: 鍵のかかった部屋より
4560046468
No.37
(4pt)

自分の少年時代に向き合うこと

憧れであり、秘密を共有した親友であり、そして忽然と行方をくらましてしまった そんな男が、もう一度自分の人生に現われた 正確には、行方不明者として、 なるほどあの男の妻だろう、という、 でも、すっかり途方にくれた美しい女性を 自分を引き合わせた 彼は、あなたにとって、それでもなおヒーローであり続けるでしょうか ほんとうの謎は、そこじゃないかと思います
鍵のかかった部屋 (新しいアメリカの小説) Amazon書評・レビュー: 鍵のかかった部屋 (新しいアメリカの小説)より
4560044562
No.36
(4pt)

自分の少年時代に向き合うこと

憧れであり、秘密を共有した親友であり、そして忽然と行方をくらましてしまった
そんな男が、もう一度自分の人生に現われた

正確には、行方不明者として、
なるほどあの男の妻だろう、という、
でも、すっかり途方にくれた美しい女性を
自分を引き合わせた

彼は、あなたにとって、それでもなおヒーローであり続けるでしょうか

ほんとうの謎は、そこじゃないかと思います
鍵のかかった部屋 (白水Uブックス―海外小説の誘惑) Amazon書評・レビュー: 鍵のかかった部屋 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)より
4560070989
No.35
(5pt)

美人妻の悲喜劇をあなたにも!

失踪した幼友達の美人妻から「主人を探して!」って請われた「僕」。これを断らない手はないってんで、当然「僕」はこの依頼を受ける。あわよくばこの美人妻をモノにすることができるやも知れぬ。実際のところ、モノにしてしまい、結婚もした。さらにさらに、この失踪した友人のいまだに若々しくて魅力的な母親とも仲良くなり、2回もいたしてしてしまった。

 冗談はさておき、ニューヨーク三部作の最終巻である本書は、過去の2作品と同様のテーマを扱っていることには違いない。つまり、訳者あとがきで柴田元幸が述べているように、「誰かを見張っている人物が、自分こそ誰かに見張られているのではないかという思いに襲われる」、あるいは「僕がファンショーを追いかけるプロセスは、ある意味で僕がファンショーになってゆくプロセスでもある」ということなのだ。

 オースターの巧みなストーリー・テリングでついつい引き込まれて読んでしまうが、「僕」がソフィーと暮らし始め、ついには結婚までした後のいろんなファンショー追っかけエピソードは、どうでもいいんじゃないか。
 最終章までずるずると面白く読ませる手順は「さすが!」だが、最期の最期、コロンブス・スクウェアのシーンだけで話を終えることもできるし、読者も納得する・・・・・。
鍵のかかった部屋 (白水Uブックス―海外小説の誘惑) Amazon書評・レビュー: 鍵のかかった部屋 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)より
4560070989
No.34
(5pt)

美人妻の悲喜劇をあなたにも!

失踪した幼友達の美人妻から「主人を探して!」って請われた「僕」。これを断らない手はないってんで、当然「僕」はこの依頼を受ける。あわよくばこの美人妻をモノにすることができるやも知れぬ。実際のところ、モノにしてしまい、結婚もした。さらにさらに、この失踪した友人のいまだに若々しくて魅力的な母親とも仲良くなり、2回もいたしてしてしまった。

 冗談はさておき、ニューヨーク三部作の最終巻である本書は、過去の2作品と同様のテーマを扱っていることには違いない。つまり、訳者あとがきで柴田元幸が述べているように、「誰かを見張っている人物が、自分こそ誰かに見張られているのではないかという思いに襲われる」、あるいは「僕がファンショーを追いかけるプロセスは、ある意味で僕がファンショーになってゆくプロセスでもある」ということなのだ。

 オースターの巧みなストーリー・テリングでついつい引き込まれて読んでしまうが、「僕」がソフィーと暮らし始め、ついには結婚までした後のいろんなファンショー追っかけエピソードは、どうでもいいんじゃないか。
 最終章までずるずると面白く読ませる手順は「さすが!」だが、最期の最期、コロンブス・スクウェアのシーンだけで話を終えることもできるし、読者も納得する・・・・・。
鍵のかかった部屋 Amazon書評・レビュー: 鍵のかかった部屋より
4560046468
No.33
(5pt)

美人妻の悲喜劇をあなたにも!

失踪した幼友達の美人妻から「主人を探して!」って請われた「僕」。これを断らない手はないってんで、当然「僕」はこの依頼を受ける。あわよくばこの美人妻をモノにすることができるやも知れぬ。実際のところ、モノにしてしまい、結婚もした。さらにさらに、この失踪した友人のいまだに若々しくて魅力的な母親とも仲良くなり、2回もいたしてしてしまった。

 冗談はさておき、ニューヨーク三部作の最終巻である本書は、過去の2作品と同様のテーマを扱っていることには違いない。つまり、訳者あとがきで柴田元幸が述べているように、「誰かを見張っている人物が、自分こそ誰かに見張られているのではないかという思いに襲われる」、あるいは「僕がファンショーを追いかけるプロセスは、ある意味で僕がファンショーになってゆくプロセスでもある」ということなのだ。

 オースターの巧みなストーリー・テリングでついつい引き込まれて読んでしまうが、「僕」がソフィーと暮らし始め、ついには結婚までした後のいろんなファンショー追っかけエピソードは、どうでもいいんじゃないか。
 最終章までずるずると面白く読ませる手順は「さすが!」だが、最期の最期、コロンブス・スクウェアのシーンだけで話を終えることもできるし、読者も納得する・・・・・。
鍵のかかった部屋 (新しいアメリカの小説) Amazon書評・レビュー: 鍵のかかった部屋 (新しいアメリカの小説)より
4560044562
No.32
(5pt)

「鍵のかかった部屋」

「自己」の中における「他者」の発見、「他者」を通した「自己」の発見はありふれたテーマであり、多くの作家がこのテーマのもと作品を生み出してきた。オースターもその大勢の中の一人に過ぎないのだが、発見に至る叙述は読者の期待、そして作者の企図をも超えて読み応えがある。人物造形のうまさとストーリテリングは作家として初期の段階においても特異なものがある。
 「鍵のかかった部屋」こそ、他者の象徴であり、自己へと通じる道であるが、凡百の啓蒙書を読むより、この一冊を読めば自己と他者に関する認識は深まる。「鍵のかかった部屋」は抽象的な他者の象徴として機能しているだけではなく、実在感、いや、異物感さえ感じさせる。すべてはオースターの叙述と柴田氏の翻訳のなせる業である。翻訳でこのような優れた本を読むことができるのは幸いである。
鍵のかかった部屋 (白水Uブックス―海外小説の誘惑) Amazon書評・レビュー: 鍵のかかった部屋 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)より
4560070989
No.31
(5pt)

「鍵のかかった部屋」

「自己」の中における「他者」の発見、「他者」を通した「自己」の発見はありふれたテーマであり、多くの作家がこのテーマのもと作品を生み出してきた。オースターもその大勢の中の一人に過ぎないのだが、発見に至る叙述は読者の期待、そして作者の企図をも超えて読み応えがある。人物造形のうまさとストーリテリングは作家として初期の段階においても特異なものがある。
 「鍵のかかった部屋」こそ、他者の象徴であり、自己へと通じる道であるが、凡百の啓蒙書を読むより、この一冊を読めば自己と他者に関する認識は深まる。「鍵のかかった部屋」は抽象的な他者の象徴として機能しているだけではなく、実在感、いや、異物感さえ感じさせる。すべてはオースターの叙述と柴田氏の翻訳のなせる業である。翻訳でこのような優れた本を読むことができるのは幸いである。
鍵のかかった部屋 Amazon書評・レビュー: 鍵のかかった部屋より
4560046468
No.30
(5pt)

「鍵のかかった部屋」

「自己」の中における「他者」の発見、「他者」を通した「自己」の発見はありふれたテーマであり、多くの作家がこのテーマのもと作品を生み出してきた。オースターもその大勢の中の一人に過ぎないのだが、発見に至る叙述は読者の期待、そして作者の企図をも超えて読み応えがある。人物造形のうまさとストーリテリングは作家として初期の段階においても特異なものがある。
 「鍵のかかった部屋」こそ、他者の象徴であり、自己へと通じる道であるが、凡百の啓蒙書を読むより、この一冊を読めば自己と他者に関する認識は深まる。「鍵のかかった部屋」は抽象的な他者の象徴として機能しているだけではなく、実在感、いや、異物感さえ感じさせる。すべてはオースターの叙述と柴田氏の翻訳のなせる業である。翻訳でこのような優れた本を読むことができるのは幸いである。
鍵のかかった部屋 (新しいアメリカの小説) Amazon書評・レビュー: 鍵のかかった部屋 (新しいアメリカの小説)より
4560044562
No.29
(5pt)

小説表現におけるミニマリズム

「言葉というものを大切に思うこと。書かれたものに自分を賭けてみること。そうしたことが他の要素を圧倒するのであり、それに較べれば、自分の人生などごくささいなものに思えてくるのだ。」(本書50ページ)

 言語表現に対するこのような愛情の下で、この小説のストーリーでは、批評家の主人公(読み手)が幼馴染の天才小説家(書き手)に殺意を抱きつつアイデンティファイしていく。両者ともに家族や生活を削ぎ落とし、自己自身のアイデンティティや存在さえも消し去りながら、「書くこと」「読むこと」に一体化しようとする。特に両者が狂気スレスレまでいって対話する後半は読み応えがあるが、同じようなテーマで語り手が消え去った「シティ・オブ・グラス」と対照的に、この小説では現実=こちら側の世界に主人公がギリギリのところで引っかかっているところが面白い。その点で、この小説のラストにほのかな「希望」を読み出す読者もいるだろう。(訳者もその一人。)

 「書くこと」に自己言及した小説を書いた作家は沢山いるが、不可能だと知りつつ「書くこと」と「読むこと」、それ自体を掴もうとしてミニマリズムを展開したこの作品は、奇跡的なことにストーリーに厭きがこないどころか、ミステリー仕立てで面白い。文句なしに初期オースターの傑作として文学史に残る作品でしょう。これからも、何度か繰り返し読みたいと思います。
鍵のかかった部屋 (白水Uブックス―海外小説の誘惑) Amazon書評・レビュー: 鍵のかかった部屋 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)より
4560070989
No.28
(5pt)

小説表現におけるミニマリズム

「言葉というものを大切に思うこと。書かれたものに自分を賭けてみること。そうしたことが他の要素を圧倒するのであり、それに較べれば、自分の人生などごくささいなものに思えてくるのだ。」(本書50ページ)

 言語表現に対するこのような愛情の下で、この小説のストーリーでは、批評家の主人公(読み手)が幼馴染の天才小説家(書き手)に殺意を抱きつつアイデンティファイしていく。両者ともに家族や生活を削ぎ落とし、自己自身のアイデンティティや存在さえも消し去りながら、「書くこと」「読むこと」に一体化しようとする。特に両者が狂気スレスレまでいって対話する後半は読み応えがあるが、同じようなテーマで語り手が消え去った「シティ・オブ・グラス」と対照的に、この小説では現実=こちら側の世界に主人公がギリギリのところで引っかかっているところが面白い。その点で、この小説のラストにほのかな「希望」を読み出す読者もいるだろう。(訳者もその一人。)

 「書くこと」に自己言及した小説を書いた作家は沢山いるが、不可能だと知りつつ「書くこと」と「読むこと」、それ自体を掴もうとしてミニマリズムを展開したこの作品は、奇跡的なことにストーリーに厭きがこないどころか、ミステリー仕立てで面白い。文句なしに初期オースターの傑作として文学史に残る作品でしょう。これからも、何度か繰り返し読みたいと思います。
鍵のかかった部屋 Amazon書評・レビュー: 鍵のかかった部屋より
4560046468
No.27
(5pt)

小説表現におけるミニマリズム

「言葉というものを大切に思うこと。書かれたものに自分を賭けてみること。そうしたことが他の要素を圧倒するのであり、それに較べれば、自分の人生などごくささいなものに思えてくるのだ。」(本書50ページ)

 言語表現に対するこのような愛情の下で、この小説のストーリーでは、批評家の主人公(読み手)が幼馴染の天才小説家(書き手)に殺意を抱きつつアイデンティファイしていく。両者ともに家族や生活を削ぎ落とし、自己自身のアイデンティティや存在さえも消し去りながら、「書くこと」「読むこと」に一体化しようとする。特に両者が狂気スレスレまでいって対話する後半は読み応えがあるが、同じようなテーマで語り手が消え去った「シティ・オブ・グラス」と対照的に、この小説では現実=こちら側の世界に主人公がギリギリのところで引っかかっているところが面白い。その点で、この小説のラストにほのかな「希望」を読み出す読者もいるだろう。(訳者もその一人。)

 「書くこと」に自己言及した小説を書いた作家は沢山いるが、不可能だと知りつつ「書くこと」と「読むこと」、それ自体を掴もうとしてミニマリズムを展開したこの作品は、奇跡的なことにストーリーに厭きがこないどころか、ミステリー仕立てで面白い。文句なしに初期オースターの傑作として文学史に残る作品でしょう。これからも、何度か繰り返し読みたいと思います。
鍵のかかった部屋 (新しいアメリカの小説) Amazon書評・レビュー: 鍵のかかった部屋 (新しいアメリカの小説)より
4560044562
No.26
(5pt)

ただカフカ的なだけじゃない

「ファンショー」を「フィクション」に読み替えて、
オースターがフィクションの創作に関して何かを掴むまでのプロセスの
最終段階の物語としても読めます。特に後半、特に第8節の途中以降は
著者が書く際、「フィクションは……」などと書いて後から
「フィクション」を「ファンショー」に一括変換
したのでは?と思うぐらい(笑)そのように読むと
いろいろおもしろいことを言っているので是非試してみてください。
鍵のかかった部屋 (白水Uブックス―海外小説の誘惑) Amazon書評・レビュー: 鍵のかかった部屋 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)より
4560070989
No.25
(5pt)

ただカフカ的なだけじゃない

「ファンショー」を「フィクション」に読み替えて、 オースターがフィクションの創作に関して何かを掴むまでのプロセスの 最終段階の物語としても読めます。 特に後半、特に第8節の途中以降は 著者が書く際、「フィクションは……」などと書いて後から 「フィクション」を「ファンショー」に一括変換 したのでは?と思うぐらい(笑)そのように読むと いろいろおもしろいことを言っているので是非試してみてください。
鍵のかかった部屋 Amazon書評・レビュー: 鍵のかかった部屋より
4560046468
No.24
(5pt)

ただカフカ的なだけじゃない

「ファンショー」を「フィクション」に読み替えて、 オースターがフィクションの創作に関して何かを掴むまでのプロセスの 最終段階の物語としても読めます。 特に後半、特に第8節の途中以降は 著者が書く際、「フィクションは……」などと書いて後から 「フィクション」を「ファンショー」に一括変換 したのでは?と思うぐらい(笑)そのように読むと いろいろおもしろいことを言っているので是非試してみてください。
鍵のかかった部屋 (新しいアメリカの小説) Amazon書評・レビュー: 鍵のかかった部屋 (新しいアメリカの小説)より
4560044562
No.23
(5pt)

人間の危さや脆さを描く傑作

本書はThe New York Trilogyの最終話だ。

この3部作は何れもある人物に関わる謎を探ることを目的とする推理小説のような体裁を取っているが、読み進めるにつれて実は謎を追い求める主人公の内面の変化がテーマになっていることに気がつく。

主人公は最初は職務としてターゲットとなる人物を尾行したり、過去を調べたりするのだが、次第にターゲットと自己との境目が曖昧になり、謎を探る行為は職務ではなくそれ自体が自己の存在意義と化していく。

外面からは安定しているように見える人間の心に潜む危さや脆さが見事に描き出されており、楽しく読める作品ではない。だが最近のポール・オースターの円熟した作品とは異なる実験的な要素がちりばめられた初期の傑作だと思う。
鍵のかかった部屋 Amazon書評・レビュー: 鍵のかかった部屋より
4560046468
No.22
(5pt)

人間の危さや脆さを描く傑作

本書はThe New York Trilogyの最終話だ。

この3部作は何れもある人物に関わる謎を探ることを目的とする推理小説のような体裁を取っているが、読み進めるにつれて実は謎を追い求める主人公の内面の変化がテーマになっていることに気がつく。

主人公は最初は職務としてターゲットとなる人物を尾行したり、過去を調べたりするのだが、次第にターゲットと自己との境目が曖昧になり、謎を探る行為は職務ではなくそれ自体が自己の存在意義と化していく。

外面からは安定しているように見える人間の心に潜む危さや脆さが見事に描き出されており、楽しく読める作品ではない。だが最近のポール・オースターの円熟した作品とは異なる実験的な要素がちりばめられた初期の傑作だと思う。
鍵のかかった部屋 (新しいアメリカの小説) Amazon書評・レビュー: 鍵のかかった部屋 (新しいアメリカの小説)より
4560044562
No.21
(5pt)

人間の危さや脆さを描く傑作

本書はThe New York Trilogyの最終話だ。

この3部作は何れもある人物に関わる謎を探ることを目的とする推理小説のような体裁を取っているが、読み進めるにつれて実は謎を追い求める主人公の内面の変化がテーマになっていることに気がつく。

主人公は最初は職務としてターゲットとなる人物を尾行したり、過去を調べたりするのだが、次第にターゲットと自己との境目が曖昧になり、謎を探る行為は職務ではなくそれ自体が自己の存在意義と化していく。

外面からは安定しているように見える人間の心に潜む危さや脆さが見事に描き出されており、楽しく読める作品ではない。だが最近のポール・オースターの円熟した作品とは異なる実験的な要素がちりばめられた初期の傑作だと思う。
鍵のかかった部屋 (白水Uブックス―海外小説の誘惑) Amazon書評・レビュー: 鍵のかかった部屋 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)より
4560070989
No.20
(5pt)

ああ

村上春樹と対をなす作家、と思うのは自分だけだろうか。

 ニューヨーク三部作の最後、鍵のかかった部屋。独立して読めるものの、前の二作を読んでから読んだほうがいいのかな、と少し思った。

 探偵小説の技法を使い、世界、あるいは個人の謎を解くことをやってきたオースター。前の二作よりもサスペンスフルな展開はやや抑えられている、といった印象はあるものの、徹底したシンプルで静かな描写でぐいぐい読ませいく。

 かなりの絶望を味合わされた二作と比べ、ほんのりとした希望があるのも特徴。自分の頭の中にある鍵のかかった部屋にいる人物、自分でありどこまでも他者である彼からの呪縛から逃れられず、翻弄していく「僕」、言い表すことのできない悲しみに包まれるその世界観が魅力。

 オースターは間違いなくアメリカ文学史にその名を残す作家だ。
鍵のかかった部屋 (新しいアメリカの小説) Amazon書評・レビュー: 鍵のかかった部屋 (新しいアメリカの小説)より
4560044562