涼宮ハルヒの消失
評判
涼宮ハルヒの消失の評価:
4.87/5点 レビュー 125件。 S ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全126件 21〜40 2/7ページ
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涼宮ハルヒの消失の評価:
4.87/5点 レビュー 125件。 S ランク
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中でも「消失」は、それが全面に押し出された作品である。前作まで、語り部であるキョン含め読者が見ていた「世界」は一変する。理由は単純なものであり、その世界の特徴という既存事実の「情報」が書き換えられた為である。人間の目の前に起こることを人間は様々な媒体を用いて認識する。その媒体こそが「情報」であり、読者にとっては、その媒体は小説の中に書かれる記号である。
そしてキョンにとっては、「自分の席の後ろには自分が所属するSOS団の団長たる涼宮ハルヒがいて、そのSOS団には未来人の朝比奈みくる、超能力者の古泉一樹、宇宙人の長門有希がいる。」という、その事実の存在自体が情報媒体なのである。それはキョンに限ったことでなく、涼宮ハルヒにも朝比奈みくるにも古泉一樹にも長門有希にも同じ事が言える。
しかし、今作品では、それらの情報は全て書き換えられる。「涼宮ハルヒの消失」とは、キョン及び読者の中での涼宮ハルヒ、またそれを取り巻く人物の情報が全て消失するということであるのだ。
情報媒体が変化すれば、認識する情報も変化する。それが既存事実の情報にもなりうる。
情報を書き換えるというのは、涼宮ハルヒシリーズを読む上で知らなければならない。「溜息」では猫が喋り、鳩が真っ白になり、秋に桜が咲く。「エンドレスエイト」では八月の終わりが永遠に続く。「分裂」と「驚愕」では二つの世界が同時進行していき、その中で涼宮ハルヒの分身のような人物も現れる。全て既存の事実となった情報である。その情報が書き換えられた時、世界の存在は如何ようにも変わる。
私達は情報の中で生きているのだ。記号を情報として認識し、それがその時間軸における既存の事実となる。それを私達は「真実」と呼んでいるに過ぎない。その盲点を物語の中で突くというのは、これは現代文学に於いて、最も生産的で前衛的な実験ではないか。読者が認識する物語の世界というものは、実は不安定な存在だということを告発しているである。安部公房はNHKの取材に、「人間とは無限の情報」と言っていたが、その情報をありのままに書く文学の時代は終わった。
改めて思う。これのどこがライトノベルか、作者である谷川流も、ライトノベルという定義自体に疑問示していることがインタビューでもよくわかる。私が思うに、ライトノベルと文学の違いは、ライトノベルは単純なことをさも大仰に、難しく書くのに対し、文学作品は、人間には難解であることを、よりわかりやすく明瞭に書くものだと思う。となると、「涼宮ハルヒの消失」は、文学以外の何物でもないと思う。