風の海 迷宮の岸 十二国記
評判
風の海 迷宮の岸 十二国記の評価:
4.17/5点 レビュー 54件。 B ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全55件 41〜55 3/3ページ
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風の海 迷宮の岸 十二国記の評価:
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したがって完全な異邦人ではないため、(異邦人がこの世界に場所を得てゆく話は後の巻となります)違和感から既視感へ、納得へ、という肯定のプロセスが取られていきます。
十二国の不思議なしくみを麒麟とともに体験してゆく物語として、前半の蓬山の描写は中国の神仙物語の桃源郷を思わせる美しさ、神秘性があり、それらの原典を重ねるようにして楽しめます。そして、そこで麒麟である自分にだんだん目覚めていこうとする少年、泰麒の繊細な心の動きは、新しい世界に適応してゆこうとする少年のみずみずしさとともに、「こうあるべき麒麟」との齟齬に悩む、これも現代のティーンの成長に伴う悩みとして、ひじょうに心に響きます。
そして後半の「王選び」のドラマティックな盛り上がりはこの作者ならではかと思います。架空の創造世界であるのに、その世界ならではの法則やきまりやありかたが、ものすごくリアルに立ち上がってきて、主人公らをからめとる。人物のリアルさ、存在感だけでなく、その世界自体が生きていて存在感がある。その躍動感です。
泰麒が王を選ぶさいに、「王気」「天啓」をとらえられなくて悩むあたりは、おそらく初恋や、このひと?という恋愛の機微にも通じるものがありますし、しかも一国の王なので、偉大な人物を選ばねばならないというプレッシャーもあります。王たる器とは何か、についても、作者はいろいろと含蓄深い言葉を李斎を通じて語らせています。「尋常の覇気ではない」「人柄がよければそれでよいというものではない。優しすぎる王は国を迷わせるし、おくゆかしい王は国を乱れさせる」。幼い泰麒にはよくわからないのですが、ひたすら畏怖を感じてすくみ・・・これらの感情はおそらく「神」的なものに対する作者の解釈でもあるのでしょう。
最後のドラマティックな一波乱もふくめ、おさまりのよい一冊です。中国の神話や古代王朝への言及、また古典的な言葉遣い、さまざまな知識を含め、作者のふところの深さに支えられた作品として、よくあるRPG的なファンタジーとは一線を画する重さがあります。この重さ特に、天帝の天勅などをふくめての神話的予定調和設定と、民の実情との微妙な乖離感(麒麟の選んだ王なのに叛乱が起きる、など)も、後の巻への伏線になってゆきます。
第一巻に続いて、十二国の世界の躍動感に浸ることのできる素晴らしい物語です。