廃院のミカエル

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廃院のミカエルの評価:

2.84/5点 レビュー 19件。 D ランク

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平均点2.84pt

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全32件 21〜32 2/2ページ
No.12
(4pt)

多義的世界をパラレルに描写する篠田の長編

小説すばる連載の篠田節子の長編小説である『廃院のミカエル』は、『死都』に続いてギリシア・宗教を題材にしている。『死都』では、音楽が題材であったが、今回は絵画だ。『贋作師』、『神鳥』と同様に、廃院の入り口に漆喰によって塗り込められた宗教絵画が物語り上、重要な役割を果たしている。また、もう一枚の絵、タイトルにもなった大天使ミカエル像は対悪魔戦争の表象である。

それぞれの目的を持ってギリシア・アルバニア国境の小さな村を訪れる日本人3人が、怪奇な現象に見舞われる。この村の廃院を舞台に起こる宗教的な幻覚・異変の描写はサイコ・ホラーを得意とする篠田の独壇場だ。アイヌ宗教と和人宗教の精神的確執を幻想世界上で活き活きと描いた『聖域』以来の迫真性だ。

この小説でも、科学的現実解析と精神世界の表像をパラレルに描いており、事実性をどちらかに限定し他方を否定するという方法をとっていない。例えれば、「ゆうれい」と「柳の枝」をどちらも真実性を持って描き込むところが篠田作品の魅力だ。われわれの前に現出する世界は、実は多義的であり、多様な解釈が可能である。またこのアンビバレンスを抱え込むことが人間と計算機の違いである。科学と宗教の両者が共に価値を持つこの小説は、現代社会の縮図でもある。

ただし、科学的現実解析ではやや勇み足が見受けられた。篠田は、クリプトコッカス・ガッティによる感染症に着目したと思われるが、同じ真菌でもクリプトコッカスは酵母様真菌であり主に出芽によって増殖し、黒カビなど多細胞の糸状菌類のように胞子嚢や菌糸を形成しない。また、クリプトコッカスは鳥類の体内では増殖しない。ウイルス感染と異なり、真菌による感染症は人から人に伝染しないことも付記しておく。
廃院のミカエル (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: 廃院のミカエル (集英社文庫)より
4087451321
No.11
(4pt)

ホラーを背景にした人生のやり直しのテーマ

私は篠田節子の宗教的なテーマを持つホラーを高く評価している。聖域や神鳥などはその白眉である。ただ、これらの作品はあまりに深刻で、万人向けのものとは言えない。
篠田節子はまた、女たちのジハードのような、社会的に追い込まれた女性の逆襲劇においても良い作品を残している。
廃院のミカエルは得意な2つのジャンルを合わせた、ホラーを背景にした人生のやり直し物語である。どちらか一方を求める人から見ると物足りないかもしれないが、十分に楽しめた。
廃院のミカエル (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: 廃院のミカエル (集英社文庫)より
4087451321
No.10
(1pt)

「で?」っていう読後感

正直つまらなかったです。

廃墟になった修道院、見たこともない蜂蜜、隠されたイコン、壁に描かれた天使、不思議な野良犬等々…
魅力的なピースが散りばめられ、散らばったまま終わった感じです。
登場人物はあくまで物語を進めるための記号で、御都合主義の小道具といった感じでした。
ラスト、何か手応えを感じている様子の主人公に突っ込まずには居られない気持ちになりました。

ノリと雰囲気で、ふわっと楽しめれば良いと思います。
廃院のミカエル (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: 廃院のミカエル (集英社文庫)より
4087451321
No.9
(4pt)

一気読み(怖かった)

<あらすじ>幻の蜂蜜を求めてギリシアの山奥へ向かった美貴たちは、不気味な廃院に迷い込む。その直後から、美貴たちやその周囲にまで、怪異な事件が度重なってしまう。現地の人間は悪魔の仕業だと言うが、果たして本当に悪魔の仕業なのか。かつて廃院に何が起こったのか。美貴たちは真相に迫っていく。

前半から中盤にかけての、廃村や廃院の描写が生々しく、実に不気味で恐ろしかった。
この筆力はさすがの一言。
「神鳥(イビス)」のようなホラーものなのか、サスペンスものなのかラストまでわからず、一気に読み進んだ。
ラストは作者ならではの重厚なテーマが横たわっており、深い読後感に浸れるとともに、登場人物たちの過去や、それぞれの弱さと強さに胸を打たれた。

やはりこの方は、宗教ものを書かせたら天下一品ですね。
廃院のミカエル (集英社文庫) Amazon書評・レビュー: 廃院のミカエル (集英社文庫)より
4087451321
No.8
(5pt)

ギリシャに興味がないと面白くないかも。

ギリシャもの。
小説すばるに2008/10から2009/8に連載したもの。
平安女学院 横川典古「ヘシュカズムとその美術についての覚書」「キリスト変容図とヘシュカズムの思想」の2論文を参考にしたとのこと。

蜂蜜と芸術を求めて彷徨う。
宗教と病気とが交錯する。
ギリシャに興味がないと面白くないかも。
廃院のミカエル Amazon書評・レビュー: 廃院のミカエルより
4087713784
No.7
(1pt)

地味すぎる

この作者の作品を【死都】に続いて読んだんですが、淡々と言うか地味と言うか何時盛り上がるのかと思っている内に終わってしまいました。多分一番ハラハラ・ドキドキするであろうラスト近くの夜の修道院に行く場面でも全く怖くも面白くも無かったです。この作者のファンの方はそこが良いのかも知れませんが、私には飛び立って低空飛行のまま目的地に着いてしまった感じです。主人公の女性も厚かましくて無神経でどうも好きになれません。結局【死都】と同じような話でした。この作者の作品はもう読まないと思います。
廃院のミカエル Amazon書評・レビュー: 廃院のミカエルより
4087713784
No.6
(1pt)

登場人物に魅力がない

人のいない修道院という個人的好みで
これはかなり面白そうだし怖いんじゃないだろうか
という期待を寄せすぎていたことを差し引いても
登場人物に魅力のかけらもない

主役がもっとも最悪だ
自分より清い人間と接すれば
真面目な人間は時として冷酷だの心の中で罵倒し
自分より正しくないと感じる人間に接すれば
身勝手だの罵倒する
そのくせ自分は客観的で正論を述べているという女の
一人称で語られている

話もけして怖くはないしスピード感もない
しかしそれ以上にこの女が腹立たしい

もっと全然面白くないと思って読んだのであればマシだったのだろうか

この作者の本を読むことは二度とあるまい
廃院のミカエル Amazon書評・レビュー: 廃院のミカエルより
4087713784
No.5
(1pt)

ギリシャのミステリー

ツマラナイですね

篠田節子ファンとしては どなたか書いていた、ノリで読むしかない


テーマが 馴染みないので ツマラナイのかは 定かでない
廃院のミカエル Amazon書評・レビュー: 廃院のミカエルより
4087713784
No.4
(4pt)

多義的世界をパラレルに描写する篠田の長編

小説すばる連載の篠田節子の長編小説である『廃院のミカエル』は、『死都』に続いてギリシア・宗教を題材にしている。『死都』では、音楽が題材であったが、今回は絵画だ。『贋作師』、『神鳥』と同様に、廃院の入り口に漆喰によって塗り込められた宗教絵画が物語り上、重要な役割を果たしている。また、もう一枚の絵、タイトルにもなった大天使ミカエル像は対悪魔戦争の表象である。

それぞれの目的を持ってギリシア・アルバニア国境の小さな村を訪れる日本人3人が、怪奇な現象に見舞われる。この村の廃院を舞台に起こる宗教的な幻覚・異変の描写はサイコ・ホラーを得意とする篠田の独壇場だ。アイヌ宗教と和人宗教の精神的確執を幻想世界上で活き活きと描いた『聖域』以来の迫真性だ。

この小説でも、科学的現実解析と精神世界の表像をパラレルに描いており、事実性をどちらかに限定し他方を否定するという方法をとっていない。例えれば、「ゆうれい」と「柳の枝」をどちらも真実性を持って描き込むところが篠田作品の魅力だ。われわれの前に現出する世界は、実は多義的であり、多様な解釈が可能である。またこのアンビバレンスを抱え込むことが人間と計算機の違いである。科学と宗教の両者が共に価値を持つこの小説は、現代社会の縮図でもある。

ただし、科学的現実解析ではやや勇み足が見受けられた。篠田は、クリプトコッカス・ガッティによる感染症に着目したと思われるが、同じ真菌でもクリプトコッカスは酵母様真菌であり主に出芽によって増殖し、黒カビなど多細胞の糸状菌類のように胞子嚢や菌糸を形成しない。また、クリプトコッカスは鳥類の体内では増殖しない。ウイルス感染と異なり、真菌による感染症は人から人に伝染しないことも付記しておく。
廃院のミカエル Amazon書評・レビュー: 廃院のミカエルより
4087713784
No.3
(4pt)

ホラーを背景にした人生のやり直しのテーマ

私は篠田節子の宗教的なテーマを持つホラーを高く評価している。聖域や神鳥などはその白眉である。ただ、これらの作品はあまりに深刻で、万人向けのものとは言えない。
篠田節子はまた、女たちのジハードのような、社会的に追い込まれた女性の逆襲劇においても良い作品を残している。
廃院のミカエルは得意な2つのジャンルを合わせた、ホラーを背景にした人生のやり直し物語である。どちらか一方を求める人から見ると物足りないかもしれないが、十分に楽しめた。
廃院のミカエル Amazon書評・レビュー: 廃院のミカエルより
4087713784
No.2
(1pt)

「で?」っていう読後感

正直つまらなかったです。 廃墟になった修道院、見たこともない蜂蜜、隠されたイコン、壁に描かれた天使、不思議な野良犬等々…魅力的なピースが散りばめられ、散らばったまま終わった感じです。登場人物はあくまで物語を進めるための記号で、御都合主義の小道具といった感じでした。ラスト、何か手応えを感じている様子の主人公に突っ込まずには居られない気持ちになりました。ノリと雰囲気で、ふわっと楽しめれば良いと思います。
廃院のミカエル Amazon書評・レビュー: 廃院のミカエルより
4087713784
No.1
(4pt)

一気読み(怖かった)

<あらすじ>幻の蜂蜜を求めてギリシアの山奥へ向かった美貴たちは、不気味な廃院に迷い込む。その直後から、美貴たちやその周囲にまで、怪異な事件が度重なってしまう。現地の人間は悪魔の仕業だと言うが、果たして本当に悪魔の仕業なのか。かつて廃院に何が起こったのか。美貴たちは真相に迫っていく。前半から中盤にかけての、廃村や廃院の描写が生々しく、実に不気味で恐ろしかった。この筆力はさすがの一言。「神鳥(イビス)」のようなホラーものなのか、サスペンスものなのかラストまでわからず、一気に読み進んだ。ラストは作者ならではの重厚なテーマが横たわっており、深い読後感に浸れるとともに、登場人物たちの過去や、それぞれの弱さと強さに胸を打たれた。やはりこの方は、宗教ものを書かせたら天下一品ですね。
廃院のミカエル Amazon書評・レビュー: 廃院のミカエルより
4087713784