シンセミア

評判

シンセミアの評価:

3.40/5点 レビュー 67件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点3.40pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全44件 21〜40 2/3ページ
No.24
(5pt)

原題の「sinsemilla」(シンセミーリャ)とは「種子なしマリファナ」の意

大作ということで、出来る限り先入観を避けたく、予備知識には触れずに読み始めたのだが、正直最初はかなり退屈であった。
ところが、登場人物もかなり出揃い、複雑な人間模様などが明らかとなるにつれ、物語が面白くなってきた。特に、中山正の美少女性愛嗜好が記述されたあたり(152頁)から、一気に視線が頁を這うようになってきた。
テーマは共同体の消長ということになるのであろうか、大作の予感を感じつつ、続巻以降の世界に浸るのが楽しみである。
シンセミア〈1〉 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: シンセミア〈1〉 (朝日文庫)より
4022643773
No.23
(5pt)

シム”ダメ人間”

同じ作者の「ピストルズ」を読む前に、以前から評判の高かった本作からということで読んでみました。神町という田舎町を舞台にした群像劇で、登場人物60人以上ほぼ全員がエグい性癖・性格のダメ人間、文庫にして全4巻という長丁場中爽快感なし、にもかかわらず一気に読み終えることができたのは何故かと考えてみるに、この小説はあれですね、今時のゲームと同じなんですよ。分野でいえばGTAとかSaints Rowに代表される”箱庭ゲー”。またはシムズ。限られたフィールドの中で多くのキャラクターが自由に生活しているのを神の視点から観察したり干渉したりするタイプのゲームをプレイするのと同じ感覚で読んでいたような気がします。
で、ゲームに飽きてきたらせっかく育てた町を破壊することに快感を感じるところも同じ。
シンセミア〈1〉 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: シンセミア〈1〉 (朝日文庫)より
4022643773
No.22
(4pt)

イン ザ ミソスープ

阿部文学に初めて接触するにいたり、どうせならばと、これが著者の渾身の力作と思われるものからと、
わかりやすく、分量で選択した『シンセミア』。
俺が東京に上京した頃、彼を筆頭とする若手小説家の一体をくくり、渋谷系文学なんて言われているもんだから、あまのじゃく且つ自称による文学青年気取りの俺としては、なんや文学がやたら軽ーくなってませんかあ?
フン。興味わきませんですわあ、自分っつって、敢えて手に出すにおよぶにいたらなかった。のです。
時が経てば、やはり、消えゆくモノはその姿を薄らげ、残るべきモノがそこに、ある、わけ、ならば、
名をとどめるにいたらなっかった渋谷系諸作家ら数知れず、いまある和重ならばと、我、一読の価値、
勝ち、ありかなと思ふにいたらん。
そう純度抜群のマリファナ<=シンセミア>のごとく、阿部和重の構築する文字が言葉として残り、その世界を表出させる。のか。
と期待しつつ読書すると、いたって普通にすっきりする作品じゃないですか、これ。
きっちり、たくさんの登場人物による物語がベタにすっきり収まった作品。のスタイル。
ひとつの世界を描ききる筆力をもった、もっていた阿部氏に星四つ、いかがでござんしょ。
シンセミア〈1〉 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: シンセミア〈1〉 (朝日文庫)より
4022643773
No.21
(4pt)

面白くなるのは第3巻から

 洪水が起こって、そのせいで死体が見つかってからですね。それから後は、神町の過去や、今までの布石がどんどんまとまって、運命の8月28日、一気に10人も死ぬなだれ込みが起こり、事後経過は終章で説明されて終わり。
 だから、1巻2巻はとりたてて面白いとは思いませんでした。文体工夫を狙っているようではないらしいので、フォークナーや大江健三郎に比すると、その点はやや物足りない。
 汚い話が多いけど、わりとドライな視点から書いているので、そんなに嫌な気分にはなりません(特に純文学に慣れていれば)。文体にドライな態度を貫いたのも、その点ではよかったのかもしれない。
 やっぱり、布石がつながるところに面白さのある小説ですね。あるいはスリリングな感覚という良さもあるだろうし。
 この小説のような終わり方を見るたびに、つくづくブルガーコフを思い出します。
シンセミア〈1〉 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: シンセミア〈1〉 (朝日文庫)より
4022643773
No.20
(4pt)

個人的にはこれがベスト。

著者の小説は『アメリカの夜』以来ずっと読み続けてきている。
正直な感想は、そんなにすごいのか、ということだった。
阿部の作風は「知的武装したスラップスティック」とも
呼べるものだ。だがこの「知的武装」のほうが、ハスミとか
批評空間あたりを意識しているのがみえみえで、たとえば
「ABC戦争」で「エクリチュール」なんて言葉が出てくると、
もういけない、ということになる。
本作にもあざといガジェットは色々とある。
パン、小麦粉、麻薬、米国、占領軍の話は
興味深いが、別にこの小説で読まなくても
いいように思う。
だが、地方の陰湿な利益共同体が、一部の人物の
「退屈」と「倦怠」から崩壊していく様を
ドタバタとして描き切る著者の筆力が勝り、
読者としては飽きずに最後まで読める。
阿部には、もうオシャレなんてせずに、この路線で
どんどん書いてもらいたい。
シンセミア〈1〉 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: シンセミア〈1〉 (朝日文庫)より
4022643773
No.19
(5pt)

人で町を描く

人物を描く小説は多いけれど、一人一人の人間で町を描き出し、その町に生きる
人を再びクローズアップさせている。
町の歴史と登場人物が持つ性格・位置付けが重層的に織りこまれ、作品に緊張感
を与えていて長い作品なのに読む側を飽きさせない。
難しいことは考えずに、おもしろい。壮大な構想に、筆力が追いついている。
いろいろな角度で読むことが出来るだろうけれど、傑作だと思う。
シンセミア〈1〉 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: シンセミア〈1〉 (朝日文庫)より
4022643773
No.18
(4pt)

混沌

 登場人物たちは皆いかれた人ばかり.まともな人なんて 出てはこない.そんな人達の織り成す物語なのだから当然のように混沌を極めている.最後まで読んでみた所で得られる読後感は「一体何だったんだ?」といった様なもの.
 こんな話なのに読ませる力は持っていた.一例を挙げるならば,いかれた人達に時折使われる難解な用語.著者が作為的に用いているのは明らかで,違和感や嫌悪感と同時になんとも言えないリアリティを感じさせてくれた.この本の登場人物達は皆いかれているかも知れないが,実際の現実世界は案外似通った物なのかも知れない.
シンセミア〈1〉 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: シンセミア〈1〉 (朝日文庫)より
4022643773
No.17
(4pt)

気色悪いのに読み通してしまった

世間の評価が高いのに知人で推奨する人がいない不思議な本ゆえ文庫化を待っておりました。一気に読んじゃったけど正直、面白くない。感情移入できる人物ゼロ。胸糞悪いエピソード満載。なのに放り出す気にならず一気読み。
いかにもありそうな裏歴史という風情のせい?エセ・ドキュメンタリー的な手腕ってこと?
議員に何か頼む人がホントにいるなんて信じらんない都会の浮動票にはまったく実感がない。ゆえに興味深い「地方のボスと取り巻き、その反乱」という構図が、実は面白かったのかな。なんだかだまされたよう気もします。
とりあえず、知らぬは仏の少女の体内に宿る命に救いが見えた気はするんですが。
これが文学として評価されるとは、マジヤバイぞ日本の今。
いえ、社会の話です。文学畑の話じゃなくて。
シンセミア〈4〉 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: シンセミア〈4〉 (朝日文庫)より
4022643803
No.16
(4pt)

ミニマルでかつ壮大

ようやく文庫になったよ。全四冊。ジャック・レヴィと、マイケル・エメリックの解説と、年表と、人物相関図がついてお得です。

山形県に実在する「神町」を舞台として、黒幕パン屋、悪徳市議、ロリコン警官、やくざ、のぞき屋サークルの面々・・・が複雑に絡み合い、物語が進行する。出来事の連なりは重層的で、歴史的重みがあり、人物の相関は複雑である。その点、フォークナーのヨクナパトーファ物語と似ていると言えなくもない(というか、wikipediaによるとこの作品はよく大江健三郎とか中上健次とかの作品と比較されるらしいが、この二人がフォークナーから大きな影響を受けている)。一点、ぜんぜん違うのは、なんだか登場人物がみな低俗で軽薄なことである。かつわがまま。のぞきなんていうのは、最も低俗で軽薄でわがままな犯罪の部類に入ると思うが、この町を背後で動かしているのはのぞき屋サークルである。この点、「神町」は救いがなく、癒しようがない。そういえば、のぞきを取り締まる側―――町の守護者たるべき警官も軽薄で変態である。例えば:

<中山正は思いきり肛門の臭いを嗅いだ―――見ること以上に時間を掛けて、ゆっくりと何度も何度も鼻から臭気を吸い込んだ。少女の汚れた肛門の臭い―――中山正はこれを世界中の何よりも愛していた。少女の肛門が放つ悪臭だけが、彼の心を癒してくれた。>

阿部和重は、くそまじめな文章に時折こういうおげれつな部分を挿入して、登場人物を軽薄で低俗に見せ、物語に矮小化しようとしている。けど、これを読んで「なんだよロリコンのエロ小説かよ、けっ」って思う人は多分あまりいないはずだし、21世紀に生きるぼくらとしては、そんな「悪臭だけが」癒しであるようなげんなりするような世界がなんだか現実ではないかと思えてしまうかもしれない。現実のパロディのようでいて、圧倒的な現実感があって、ミニマルでかつ壮大な、不思議な傑作である。
シンセミア〈4〉 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: シンセミア〈4〉 (朝日文庫)より
4022643803
No.15
(4pt)

見ることの変奏

渡部直己『不敬文学論序説』の文庫本にだけ付いている補説で、妙に評価が高いので文庫化を気に読んでみました。渡部氏は作中の田宮家と天皇家の系図的相関関係を元に、この本を「不敬」な天皇小説として評価しているらしい。なるほど、『ニッポニア・ニッポン』も書いていた。
たしかにここにはスガ秀実氏いうところの「偽史的想像力」たっぷりだし、戦後日本の権力のありさまが批判的に描かれてもいる。しかし強調されているのは、その『視覚』的な側面。「見る−見られる」という弁証法的関係に留まらず、監視、盗撮、幻覚、現実から目を逸らすこと、見たくないものが見えること、映像にだけ欲情すること、などなどといった「見ることの変奏」が奏でられている。それは、耳や鼻はともかく目だけは失いたくない、という拷問される者に象徴的に描かれるが、登場人物は全員、いわば『視覚』的な人間で、おどろくほど見ることにこだわっているのだ。
これは天皇制なんていう、もう抜け殻でしかないことよりもずっと重要な、「見ないという選択肢がない」という現代的な権力の問題だと思いますが、いかに?
シンセミア〈1〉 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: シンセミア〈1〉 (朝日文庫)より
4022643773
No.14
(5pt)

性悪説

一度たがが外れてしまった悪意の侵攻を見事に描いている。

小さな村社会の中で起こっていること事態が現実性を深めているのかもしれない。

この小説は阿部公房的な閉塞世界を描くことが目的ではなく、

むしろ現実社会の中での人間の悪意を描くことが目的なのだと思う。

そういう意味では、神町を神秘的なものではなく、

どこにでもありうる一つの小さな町に見せる工夫が、

もう少しあっても良いのかと個人的には思う。

人間が2人以上集まると生きるためには必要のない感情が生まれる。
シンセミア(下) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: シンセミア(下) (講談社文庫)より
4062775492
No.13
(5pt)

性悪説

一度たがが外れてしまった悪意の侵攻を見事に描いている。
小さな村社会の中で起こっていること事態が現実性を深めているのかもしれない。
この小説は阿部公房的な閉塞世界を描くことが目的ではなく、
むしろ現実社会の中での人間の悪意を描くことが目的なのだと思う。
そういう意味では、神町を神秘的なものではなく、
どこにでもありうる一つの小さな町に見せる工夫が、
もう少しあっても良いのかと個人的には思う。
人間が2人以上集まると生きるためには必要のない感情が生まれる。
シンセミア(下) Amazon書評・レビュー: シンセミア(下)より
4022578718
No.12
(5pt)

この作品

ややこぎれいにまとめてしまった感じはあるものの、暴走する狂気の連鎖がすさまじい。人間の悪意というのはやっぱりときとして、反吐がでるほどに醜悪で、醜悪な人間ばかりを配置したこの作品も、どこか危なく、ある意味で、ぎりぎりの均衡を保った爆弾みたいな感じだ。

 しかし、「グランド・フィナーレ」でも思ったが、終わりかたがあいかわらず不気味。グランドフィナーレも、そのタイトルとは裏腹に本当の終わりはこのあとにくるから、ある意味じゃ終わらないんだけれど、

シンセミアも終わりはない。たぶん、べつの作品で語られるんだろうけれど、神町をテーマにした一連の作品群、ますます興味深い。
シンセミア(下) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: シンセミア(下) (講談社文庫)より
4062775492
No.11
(5pt)

この作品

 ややこぎれいにまとめてしまった感じはあるものの、暴走する狂気の連鎖がすさまじい。人間の悪意というのはやっぱりときとして、反吐がでるほどに醜悪で、醜悪な人間ばかりを配置したこの作品も、どこか危なく、ある意味で、ぎりぎりの均衡を保った爆弾みたいな感じだ。
 しかし、「グランド・フィナーレ」でも思ったが、終わりかたがあいかわらず不気味。グランドフィナーレも、そのタイトルとは裏腹に本当の終わりはこのあとにくるから、ある意味じゃ終わらないんだけれど、
シンセミアも終わりはない。たぶん、べつの作品で語られるんだろうけれど、神町をテーマにした一連の作品群、ますます興味深い。
シンセミア(下) Amazon書評・レビュー: シンセミア(下)より
4022578718
No.10
(5pt)

高橋源一郎いわく

ここ十年の日本の文学の中でも最高傑作である、らしい。もっとも、阿部和重に言わせれば、高橋源一郎の「日本文学盛衰史」が最高傑作、ならしいけれど。

 無冠の帝王と言われた阿部和重がえがいた1600枚。しかも、このシンセミアでさえ、三部作のうちのひとつでしかない、という。

 内容的には、一見したエンタメでありながらも、純文学としての節度を保っている。強固な文体とゴシック体の文字で表せる凶悪な心理描写、80人以上の登場人物、おまけに、まともな人間はいない。ロリコン、盗撮サークルなどなど、本当にいい人が全然いない。ドラッグと暴力とセックスにまみれた小さな街の中で繰り広げられる群像劇、上巻しか読んでいないけれど、きっちり話はまとまるらしい。

 読もう。
シンセミア(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: シンセミア(上) (講談社文庫)より
4062775484
No.9
(5pt)

高橋源一郎いわく

 ここ十年の日本の文学の中でも最高傑作である、らしい。もっとも、阿部和重に言わせれば、高橋源一郎の「日本文学盛衰史」が最高傑作、ならしいけれど。
 無冠の帝王と言われた阿部和重がえがいた1600枚。しかも、このシンセミアでさえ、三部作のうちのひとつでしかない、という。
 内容的には、一見したエンタメでありながらも、純文学としての節度を保っている。強固な文体とゴシック体の文字で表せる凶悪な心理描写、80人以上の登場人物、おまけに、まともな人間はいない。ロリコン、盗撮サークルなどなど、本当にいい人が全然いない。ドラッグと暴力とセックスにまみれた小さな街の中で繰り広げられる群像劇、上巻しか読んでいないけれど、きっちり話はまとまるらしい。
 読もう。
シンセミア(上) Amazon書評・レビュー: シンセミア(上)より
402257870X
No.8
(5pt)

阿部和重の美少女教育

「ニッポニア・ニッポン」、「シンセミア」、「グランド・フィナーレ」と、つづけてみてくると、阿部和重のロリータ・コンプレックスがジグザグにスパークしていくことに気づく。ふりかえれば、「インディヴィジュアル・プロジェクション」ですでに、仕事場にときどき遊びにくるモギリのオバハンの娘の小悪魔ぶりが顔をのぞかせていた。ぼくは個人的に彼の趣味判断に賛成だが(*)、その政治的選択をつかみあぐねている。あんまりアモラルだから。とはいえ、ただのロリコンになりはてて破滅するには早すぎる。それならば阿部は、一体ぜんたい、何をたくらんでいるのか?
なんとか閃いた!今後、阿部和重は、彼なりのやり方で「美少女教育」にむかうのかもしれない、と。「文学の終焉」を嘆いてみせる猿芝居をここで上演する教養も神経もないし要らないが、それにしたって嫁入り前のだいじなだいじな女の子たちの読み物にはほんとうにろくなものがないではないか。「細雪」のようなものは現在絶無。ただし今後どうかわらんぜ。この推論があたっていれば、次回作は、お嬢様学校のノーブルな娘さんたちが教師にバレないようにはにかみながら回し読みする啓蒙小説でなければつじつまが合わないことになる。
阿部和重に、オルタナティヴな「恋愛レボリューション21」(モーニング娘。)が描けるだろうか。「つんく党独裁」を阻止できるだろうか。(*)「Berryz工房」の握手会行っちゃった!イェーイ。(土産=マンガ本=「らんま1/212」)
シンセミア(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: シンセミア(上) (講談社文庫)より
4062775484
No.7
(5pt)

阿部和重の美少女教育

「ニッポニア・ニッポン」、「シンセミア」、「グランド・フィナーレ」と、つづけてみてくると、阿部和重のロリータ・コンプレックスがジグザグにスパークしていくことに気づく。ふりかえれば、「インディヴィジュアル・プロジェクション」ですでに、仕事場にときどき遊びにくるモギリのオバハンの娘の小悪魔ぶりが顔をのぞかせていた。ぼくは個人的に彼の趣味判断に賛成だが(*)、その政治的選択をつかみあぐねている。あんまりアモラルだから。とはいえ、ただのロリコンになりはてて破滅するには早すぎる。それならば阿部は、一体ぜんたい、何をたくらんでいるのか?なんとか閃いた!今後、阿部和重は、彼なりのやり方で「美少女教育」にむかうのかもしれない、と。「文学の終焉」を嘆いてみせる猿芝居をここで上演する教養も神経もないし要らないが、それにしたって嫁入り前のだいじなだいじな女の子たちの読み物にはほんとうにろくなものがないではないか。「細雪」のようなものは現在絶無。ただし今後どうかわらんぜ。この推論があたっていれば、次回作は、お嬢様学校のノーブルな娘さんたちが教師にバレないようにはにかみながら回し読みする啓蒙小説でなければつじつまが合わないことになる。阿部和重に、オルタナティヴな「恋愛レボリューション21」(モーニング娘。)が描けるだろうか。「つんく党独裁」を阻止できるだろうか。(*)「Berryz工房」の握手会行っちゃった!イェーイ。(土産=マンガ本=「らんま1/2⑫」)
シンセミア(上) Amazon書評・レビュー: シンセミア(上)より
402257870X
No.6
(5pt)

意地悪な作家

阿部和重について個人的に思うことは、いつも内面にふつふつと何かがに沸き立つ感覚と、演劇的ともいえる客観的な自意識との不可思議なバランスである。「シンセミア」も長編で多くの登場人物が、街を襲う洪水をクライマックスに巻き込まれていくが、映画のような複雑なストーリーの組み合わせをわくわくしながら読むことができた。だが、読者としてはそれぞれの人物に共感はあまり出来ないのだ。それはあえてそのように作者に仕組まれているように、読者はそれを遠くから眺めているような感覚が残る。登場人物の思いはそれぞれすれ違っていて、神町がすべてに影響する閉塞感と、入り組んでやり場のなくなった悪意とが入り混じっている。その違和感は大きなドラマツルギーとしてして、読む人間からも消化不良のように沸いてくる。阿部和重はその意味で素晴らしく意地悪な作家だ。
シンセミア(上) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: シンセミア(上) (講談社文庫)より
4062775484
No.5
(5pt)

意地悪な作家

阿部和重について個人的に思うことは、いつも内面にふつふつと何かがに沸き立つ感覚と、演劇的ともいえる客観的な自意識との不可思議なバランスである。「シンセミア」も長編で多くの登場人物が、街を襲う洪水をクライマックスに巻き込まれていくが、映画のような複雑なストーリーの組み合わせをわくわくしながら読むことができた。だが、読者としてはそれぞれの人物に共感はあまり出来ないのだ。それはあえてそのように作者に仕組まれているように、読者はそれを遠くから眺めているような感覚が残る。登場人物の思いはそれぞれすれ違っていて、神町がすべてに影響する閉塞感と、入り組んでやり場のなくなった悪意とが入り混じっている。その違和感は大きなドラマツルギーとしてして、読む人間からも消化不良のように沸いてくる。阿部和重はその意味で素晴らしく意地悪な作家だ。
シンセミア(上) Amazon書評・レビュー: シンセミア(上)より
402257870X