往復書簡
評判
往復書簡の評価:
3.61/5点 レビュー 110件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全66件 21〜40 2/4ページ
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往復書簡の評価:
3.61/5点 レビュー 110件。 B ランク
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それから、裏表紙に連作集と書いてあったので、収録されている作品群はてっきり関連があると思ってしまいました。なので、共通の登場人物はいないか、このまったく違う話がどこで前の作品とつながるのだろう?とドキドキしながら読んだのですが、結局、3作目の最後にちらりと2作目の人物が登場するくらい。最後まで読み終わって、これが3つの独立した作品を集めた短編集だったと気がつきました。読む間中、3作品の関連に注意がいってしまったので、これは大きなマイナスです。短編集と書いてほしかったと思ってしまいました。
どれも幼い頃に起きた事件が、同級生たちの将来に尾を引く話です。最初の「十年後の卒業文集」では、交換される手紙の内容がどんどんと悪意に満ちたものになっていくのが気持ち悪くてぞくぞくしました。ずっと心の中に抱え込んでいた恨み、嫉妬、疑惑がどんどん表に出てくる。人間とはみんな自分の主観で、自分中心にしか考えられない生き物なんだな、と。それは人によく思われたいとか、みっともないことをしたくないとか、コンプレックスに基づいているものもあるし、自分より美しかったり恵まれていると思われる人への嫉妬、落ちてしまえばいいという意地悪な気持ちから出ていることもありますが、そんなものがむき出しになったお話だと思います。が、ラストはそれほど劇的なものではなく、ちょっと気が抜けてしまいました。
次は「二十年後の宿題」。児童が川でおぼれてそれを助けに行った教諭の夫が死亡するという事件がありました。数十年後、今は病床にある当時の教諭が児童たちを心配して、親しい自分の教え子に、当時の子たちが今どうしているのか、幸せでいるのか、調べて教えてくれないかとたのむことから始まります。彼は順番にみんなに会っていくのだけれど、たいしてダメージを受けていない子もいれば、事件が起こったのは自分のせいだといまだに自分を責め、ゆがんでしまった子もいました。そして最後、実は彼自身もその中のひとりに関係があったことがわかり・・・というオチです。
最後の「十五年後の補習」は、海外青年協力隊の青年とその恋人が文通する手紙の形式。2人は中学の同級生。やはり過去の事件が暗い影を落としています。仲が悪かった男子生徒2人。1人が一方的にいじめられているように見えるけれど、実はそちらが知能犯というべき意地の悪い子で、それが原因でいじめられるようになった、そしていつもケンカを止めていたのは主人公の女性。ある日、呼び出されていった倉庫に閉じ込められ、火事が発生、いじめっ子は焼死し、放火したと思われるいじめられっ子は学校の屋上から投身自殺するという陰惨な事件。これにはかなり裏があって、ショックでその部分の記憶を失っていた女性が出来事を思い出すにつれ、本当は何があったのかが明らかになっていきます。
最後の締めくくり「一年後の連絡網」で、ちらりと2作目の登場人物の消息がわかったりします。ミステリ仕立てでどれもかなり暗い話ですが、希望が持てる終わり方でラストは明るい、だから後味が悪くないのだと思います。それからこれは、吉原小百合主演の映画「北のカナリアたち」の原作なんだそうですね。知らなかったです。映画も見てみようかと思いました。