植物の「声」を聞く機械を発明した男が耳にしたものは? 小説自動作製機は何を成し遂げるのか? 教養ある男が企んだ甘美な復讐のお味は? 短篇の名手が、人生という道路に、時にぽっかりと口を開ける非日常という落とし穴を描いて見せる非情でブラックな短篇の数々。

お金をたくさん持ち、女性をたくさん口説く――破天荒な人生をおくる伝説的な親戚、オズワルド叔父から、甥の私におびただしい量の日記が届いた。

本書は、著者自身による自伝『少年』のつづき。

ワインの銘柄を当てる大博打の結末は? 夫殺しの凶器の行方は? ラスト一行に襲いかかるショックとは? 常軌を逸した賭けの行方や常識人に突然忍び寄る非常識な出来事など、短篇の名手が残酷かつ繊細に描く11篇を、すべて新訳で収録! 出版社からのコメント 名作

まったく何ともいいようのないうまさだった――隠れ家レストラン〈スピローズ〉で供される料理はどれもが絶品ばかり。

長年の旅と探求がこの作家にもたらした、深沈たる一滴、また一滴―。

そのワインは、1929年にサントアンの葡萄園でわずか40ダースだけが醸造されたという。

男がバーで「マクジョージ」と叫び客を撃つ。が、撃たれたのはマクジョージではない?これは単なる間違いか。

偵察飛行に向かってから二日後に帰投したパイロットは、その間の記憶を失っていた。

事件の状況は、まるで小説のようだった。現場はロンドン郊外の高級住宅地、著名な実業家が自宅の書斎で殺害されたのだ。

人はその男を“ボーン(骨)”と呼ぶ。いや、本人もそれ以外に自分を呼ぶ名を知らない。