川が流れるように
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時代は、1948年に遡ります。コロラド州、ガニソン川沿いにある農業と酪農によって栄える町、アイオラ。主人公は、桃農園の娘、十七歳のヴィクトリア。彼女は自動車事故によって母を亡くし、無口な父親と戦争で片脚を失った叔父、破天荒な弟、セスを抱え、全ての家事を背負いながら、暮らしていました。その町に放浪生活を送るウィル・ムーンが現れます。そして、ヴィクトリアとウィルは出会ってしまいます。先住民、ウィルとの恋愛は或る邪悪な出来事によってヴィクトリアに悲劇を齎します。そして或る事実を前にして、彼女はその場所を捨て、山へと逃れ、あまりにも苛酷な大自然の中でサヴァイヴすることを選択します。私はいつもは(笑)スリラーのレビュアーですので、たとえこの物語がスリラーではないにせよ、これ以上そのストーリーを語ることはできません。 桃農園の暮らし、「奇跡の桃」、動物たち、深い自然とその風景、それらを描写する作者の筆致は限りなく透明に近いビッグブルー、ベイビーブルーに満ちていて、たとえようもなく美しい。 「おれは川が流れるように進むよ」ウィルが言う。(p.115) しかし、「・・・それでも、いくら正しいことをしても、正しさが自分に返ってくるとは限らない」(p.132) ガニソン川。父とセスが山から牛たちを下ろし、走った源流。涙がたゆたうビッグブルー川に合流した川は、まるでヴィクトリアに寄り添うように長く、深く流れていきます。見方を変えれば、主人公はヴィクトリアという触媒を通過した<魂の川>だったのでしょう。 また、この物語には、1955年以降の米国の歴史が横たわっています。ケネディがヴェトナムで始めたこと。「アラバマ物語」の正しさ。描かれることの少なかった徴兵制とフラワー・チルドレン。 2024/4/28。オハイオ州立大学で起きた親パレスチナデモにおいて、狙撃班が準備されたという新聞記事を眺めた後、この物語でもまた1970/5/4に起きたオハイオ州、ケント州立大学にてカンボジア侵攻に反対する大学生が抗議活動中に州兵に銃撃された事件が言及されていて、その<シンクロニシティ>にしばし愕然となりました。 良くも悪しくも、米国は変わっていく。それでも尚、ウィルの言葉を心の支えとしながらいくつもの涙の川を渡るヴィクトリアのように正しいことに向かって進み続けているように思えます。 それに比べて・・・この国(日本)を憂うのはもうやめておきましょう。自立しようとする心が生まれなければ何も変わらない。変わるはずがない。 ◻︎「川が流れるように "Go As A River"」(シェリー・リード 早川書房) 2024/4/29。 | ||||
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