(短編集)
不可能犯罪課の事件簿
- 『皇帝のキノコの秘密』 (1)
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「ブロンクスのママ」シリーズでミステリー史に永遠に名を残すアメリカの往年の推理作家ヤッフェの初期秀作集です。著者のデビュー作であるニューヨーク市警殺人捜査局内にある知られざる小さな部署DIC(不可能犯罪課)の長を務める青年探偵ポール・ドーンのシリーズ全作6編が一冊にまとめられるのは初の試みで、同時にサスペンス色の濃いノンシリーズの2編も併載されています。本書の短編は全て推理作家エラリー・クイーンの編集雑誌EQMMの年次推理コンテスト応募作品で、本書には全編に雑誌掲載時のクイーンの名調子の紹介文が添えられていて誠に興味深く読めます。合作作家クイーンの片割れのダネイ氏は編集長としてわずか十五歳の若さで開花した著者に賛辞を贈るだけでなく、若さ故の失敗もきちんと指摘する事を忘れないフェアな姿勢で臨み、若き新鋭に「次はがんばれよ」と励ましのエールを送っているのが何とも微笑ましいです。作風としては、この種の不可能犯罪物は難解で魅力的な謎に対する解答がいざ蓋を開けてみると手品の種明かしの様に案外簡単に思えてガッカリする場合が多く努力の割にやや損をしている気がしますが、ミステリー初心者の方の入門書としては最適だと思いますし、最後の二編では著者が単なる謎解きパズルでは飽き足らずシリアスな人間ドラマに挑戦した新境地の鋭く深い味わいの物語が楽しめます。 『不可能犯罪課』青年探偵ポールは同僚の殺人捜査局のフレッジ警視と共に趣味のクロスワード・パズルに熱中しながら不可解なエレベーター殺人事件に挑む。少し出来過ぎですが洒落た手掛かりの出し方にニヤリとさせられます。『キロシブ氏の遺骨』列車内の密室殺人で必然性はともかくとして、この危ういトリックは物足りません。戦後間もない時期の話で激しい反日感情が不愉快ですが仕方ないでしょう。『七口目の水』講演会の演者が水差しの水を七口目に飲んだ時に突然死を迎えた不可能な犯行の手口を暴くハウダニットで、やや記述漏れが気になりますが良く出来たトリックだと思います。『袋小路』スパイが袋小路で一瞬の内に書類を処分した手口とは?完全な失敗作なのですが発想は実に魅力的だと思います。『皇帝のキノコの秘密』歴史上の毒殺事件の謎を解く安楽椅子探偵の趣向と現代の出来事がリンクする巧みな傑作です。『喜歌劇殺人事件』休暇旅行中のポールがフレッジ警視から手紙でデータを貰って謎を解く非常に本格味の濃い代表作。トリックは平凡ですが不気味な雰囲気とバランスの良さが際立つ秀作です。『間一髪』父を憎む甥マークの殺人を阻止しようと奮闘するオールドミス・ハンナの活躍を描くサスペンス編。ミステリーには珍しい爽やかな読後感が素晴らしいです。『家族の一人』夫の昔馴染みの老乳母を幼児の為にと家庭に招いた妻が丁度世間を騒がす「子殺し乳母」のニュースに脅え疑惑を募らせる恐怖の物語。意外な真相に続いて人間の暗い一面を冷徹に描いたラストにどうしようもない哀しみが込み上げて来ます。 | ||||
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愛すべき安楽椅子探偵物『ママは何でも知っている』などの「ブロンクスのママ」シリーズ(都筑道夫の『退職刑事』の元ネタ)で知られる著者の初期作品集。カーの影響をもろに受けたタイトル通りの不可能犯罪物の連作だが、正直若書きの印象はまのがれず、特に「袋小路」のトリックは非科学的で噴飯もの。ただし「皇帝のキノコの秘密」はスマートな解決、意外なオチの傑作。 しかし何といっても本書の読みどころは、まるで子供のような年齢の著者を激励し導いていくエラリー・クィーン(フレデリック・ダネイ)の無私の愛情に溢れた[EQMM]]掲載時の解説にある。そのミステリへの愛に深く感動する。 | ||||
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